2級建築施工管理技士とは?試験内容・難易度・合格率・勉強法まで完全解説
2級建築施工管理技士は、建築現場で施工計画の作成や工程管理や安全管理などを担う国家資格です。資格を取得すると企業からの評価が高まり、資格手当や昇進につながる可能性もあるでしょう。
本記事では試験内容から難易度、取得後のキャリアまで、資格取得に必要な情報を解説します。2級建築施工管理技士の取得をお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
2級建築施工管理技士とは?
2級建築施工管理技士は、建設業法に基づく国家資格で、建築工事における施工管理を適切に行うための専門知識と技術を証明するものです。施工計画の作成、工事現場の工程管理などを行うために必要とされます。
資格取得者は、一般建設業の営業所や現場の主任技術者として従事できます。中小規模の建築工事を中心に活躍し、建築業界で技術者としてのキャリアを築くための最初のステップです。
2級建築施工管理技士と1級との違いは?
2級と1級の最大の違いは、携わることができる工事の規模と現場での役割です。2級は中小規模で主任技術者として活躍でき、1級は規模に制限なく監理技術者としても認められます。
そのほかにもキャリア面、年収面などの違いもあり、大きく下記のような違いがあります。
| 項目 | 2級建築施工管理技士 | 1級建築施工管理技士 |
|---|---|---|
| 受験資格 | ・第1次検定:17歳以上 ・第2次検定:1次合格後、実務経験3年以上 | ・第1次検定:19歳以上 ・第2次検定:1次合格後、実務経験5年以上 |
| 扱える工事の規模 | 4,500万円未満の現場 | 4,500万円以上※の現場 |
| 現場での役割 | 主任技術者(中小規模現場の管理) | 監理技術者(大規模現場の統括) 監理技術者補佐 |
| 経営事項審査の点数(会社の評価) | 2点 | 5点 |
| 年収・資格手当 | ・年収: 平均的 ・手当: 月5,000円〜1万円 | ・年収: 2級より100〜200万円高い ・手当: 月1万円〜3万円 |
| 試験難易度 | 合格率は比較的高め | 合格率が低く、難関 |
なお、より詳しくは下記記事で解説していますので合わせてお読みください。
※関連記事:2級建築施工管理技士と1級建築施工管理技士の違い
2級建築施工管理技士の試験制度|一次と二次に分かれる仕組み
2級建築施工管理技士の試験は、令和3年度から第一次検定と第二次検定の二段階方式に改正されました。第一次検定合格で「2級建築施工管理技士補」、第二次検定合格で「2級建築施工管理技士」として認められます。
以下は、2級建築施工管理技士の試験制度の概要です。
- 年間スケジュールと申込手順
- 第一次検定の概要
- 第二次検定の概要
- 受験資格(学歴・実務経験)
各検定の内容と受験資格を正しく理解することが重要です。
年間スケジュールと申込手順
令和7年度は、以下のスケジュールで試験が行われます。
| 時期 | 項目 | 内容 |
| 2月上旬〜2月下旬 | 前期申込受付 | 2月7日~2月28日(第一次検定のみ) |
| 6月上旬 | 前期試験 | 6月8日(第一次検定) |
| 7月上旬 | 前期合格発表 | 7月9日(第一次検定) |
| 6月下旬〜7月下旬 | 後期申込受付 | 6月25日~7月23日(第一次・第二次) |
| 11月上旬 | 後期試験 | 11月9日(第一次検定・第二次検定) |
| 12月下旬 | 後期合格発表① | 12月22日(第一次検定) |
| 翌年2月上旬 | 後期合格発表② | 2月6日(第二次検定) |
第一次検定の概要
第一次検定は建築学等・設備その他・施工・施工管理法・法規などの分野から出題されます。
| 項目 | 内容 |
| 試験科目 | 建築学等・設備その他・施工・施工管理法・法規 |
| 試験形式 | マークシート方式(択一) |
| 試験時間 | 2時間30分 |
| 出題数 | 50問 |
| 解答数 | 40問を選択して解答 |
| 合格基準 | 得点60%以上(40問中24問以上正解) |
分野ごとの出題構成は、以下のとおりです。
- 建築学分野:14問出題され、そのうち9問を選択して解答(4問必須+10問中5問選択)
- 設備その他:3問出題され、すべて必須問題として解答
- 施工分野:10問出題され、そのうち7問を選択して解答
- 施工管理法:10問がすべて必須問題として出題
- 応用能力問題(施工管理法の一部):5問出題される五肢択一式の必須問題
- 建築法規:8問出題され、そのうち6問を選択して解答
第二次検定の概要
第二次検定は、施工経験記述や工程管理、法規など実務に即した内容が中心の試験です。
| 項目 | 内容 |
| 出題分野 | 施工経験記述・施工管理・工程管理・法規・施工 |
| 試験形式 | マークシート方式(四肢択一式) |
| 試験時間 | 2時間 |
| 出題数 | 5問 |
| 解答数 | 5問(全問必須で解答) |
| 合格基準 | 得点60%以上(公表される合格基準点以上) |
分野別の出題項目は以下のとおりです。
- 施工経験記述:受検種別に応じた工事について記述する必須問題
- 用語と留意事項:施工用語や留意点を説明する記述式問題
- 工程管理:ネットワーク工程表やバーチャートを扱う記述式問題
- 法規:建築基準法や建設業法などに関する四肢択一式問題
- 施工:受検種別ごとに出題される施工に関する四肢択一式問題
受験資格(学歴・実務経験)
令和6年度より受験資格が改正されました。第一次検定は満17歳以上であれば、実務経験がなくても受験できます。高校生など、実務未経験者も含まれます。
一方、第二次検定には実務経験が必要で、2級第一次検定合格後に実務経験3年以上が条件です。ただし令和6年度から令和10年度は経過措置期間として、旧受験資格と新受験資格のいずれかを選択できます。旧受験資格では、大学指定学科卒業で卒業後1年以上の実務経験で受験できます。
2級建築施工管理技士の難易度と合格率
2級建築施工管理技士の難易度は「やや難しい」といえます。第一次検定の合格率は30%〜40%程度、第二次検定は25%〜35%程度です。割合になおすと3〜4人に1人しか合格できませんので、計画的な学習が不可欠で、初学者特有のつまずきを把握することが重要です。
なお、年度ごとの合格率の推移など、より詳しくは下記記事にまとめていますので合わせてお読みください。
※関連記事:2級建築施工管理技士の合格率・難易度・勉強方法
初学者がつまずくポイントとは?
初学者がつまずきやすいのは「構造計算」の分野です。モーメントやX軸・Y軸といった概念に馴染みがない方にとっては理解に時間がかかります。
また、専門用語の多さも課題です。コンクリートの種類や鉄筋の組み方など、実務経験がないと具体的にイメージしづらい内容が多く出題されます。応用能力問題は四肢択二式という独特の形式のため、慣れるまで時間がかかります。
2級建築施工管理技士の勉強法
効率的な合格には、計画的な学習スケジュールと自分に合う学習方法の選択が重要です。独学、通信講座、通学講座のいずれかを選び、段階的に知識を深めることが成功のカギです。

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- 勉強時間の目安と計画をたてる
- 独学・通信・通学を比較して自分に合うものを選ぶ
- 実地試験(記述)の対策をする
ライフスタイルに合わせた学習戦略を構築することが大切です。
勉強時間の目安と計画をたてる
実務経験が豊富な場合は100〜150時間、実務経験がない場合は200〜300時間が目安とされています。試験日までの期間を逆算し、1日あたりの学習時間を決めることが大切です。
半年間での合格を目指す場合、実務経験ありなら1日1〜2時間、実務経験なしなら2〜3時間の学習が必要です。第一次検定まで3ヶ月なら基礎学習に集中し、第二次検定まで3ヶ月なら記述問題の練習を増やすなど、段階的に内容を変更しましょう。
独学・通信・通学を比較して自分に合うものを選ぶ
仕事が忙しい方は通信講座、時間に余裕がある方は通学講座、費用を抑えたい方は独学がおすすめです。
| 学習方法 | 費用の目安 | メリット | デメリット |
| 独学 | テキスト+過去問で数千円〜1万円程度 | 費用が安く、自分のペースで学習しやすい | 分からない点を自分で調べて解決する必要がある |
| 通信講座 | 約3〜8万円 | 動画講義と質問サポートがあり、自宅で効率的に学べる | 独学より費用がかかる |
| 通学講座 | 約5〜15万円 | 講師から直接指導を受けられ、仲間と一緒に学べて質問もしやすい | 受講料が高めで、通学時間・日程の確保が必要になる |
実地試験(記述)の対策をする
第二次検定の経験記述は、第一次検定合格後に集中的に行うことが効果的です。過去問で出題パターンを把握し、手で書く練習を繰り返しましょう。
作成後は論理的な流れ、技術用語の使用を確認します。答案を講師に見てもらい、改善点をフィードバックしてもらいましょう。最低10〜20問のパターンで練習することで、本番で安定した記述ができるようになります。
2級建築施工管理技士の資格を取得するメリット
資格を取得することで、建築業界でのキャリアが大きく前進します。転職や就職での有利性、給与や手当の増加、将来の仕事の安定性が確保されます。
以下は、2級建築施工管理技士の資格を取得するメリットです。
- 転職・就職でのアピールポイントになる
- 昇給や手当で手取りが高くなる
- 資格は将来性が高い
個人としての付加価値が高まります。
転職・就職でのアピールポイントになる
2級建築施工管理技士の資格は、転職や就職時に強力なアピールポイントになります。採用担当者は資格保有者を、基本的な施工管理知識を備えた人材として評価します。
建設業者の営業所や工事現場では、この資格を持つ者を配置することが法的に定められているため、企業側からも重宝されるでしょう。資格を持つことで内定率が高まり、昇進の条件としても活用されます。
昇給や手当で手取りが高くなる
月額5千円から3万円程度の資格手当が支給される企業も多いため、年間で6〜36万円の収入増が見込まれます。資格を持つことで責任ある業務を任されるようになり、昇給にも期待できるでしょう。
建築業界では技術者としてのレベルが給与に直結することが多いため、資格取得は経済的なメリットが大きいです。さらに1級の資格を取得すれば、より手当が増額されます。
2級建築施工管理技士の資格は将来性が高い
建設業界では技術者不足が深刻化しており、2級建築施工管理技士の需要は今後も高まることが予想されます。少子高齢化に伴い建設業への入職者が減少する一方、インフラ整備や建築需要は続くため、経験豊富な技術者への需要は増加するでしょう。
受験資格の緩和により未経験者の参入が容易になり、業界全体の活性化につながる可能性があります。資格を持つ技術者は他業種への転職も比較的容易です。
2級建築施工管理技士についてよくある質問
2級建築施工管理技士について、以下のよくある質問にお答えします。
- 2級建築施工管理技士は未経験でも受けられる?
- 2級建築施工管理技士は文系でも合格できる?
- 2級建築施工管理技士を取得したあとのキャリアプランは?
これらの疑問を解消しましょう。
2級建築施工管理技士は未経験でも受けられる?
令和6年度より第一次検定の受験資格が改正されました。満17歳以上 であれば、実務経験がなくても受験できます。実務経験がない場合は200〜300時間の勉強時間が目安ですが、決して不可能ではありません。
ただし、第二次検定を受験する場合は、第一次検定合格後に実務経験3年以上が必要です。先に第一次検定に合格してから建築業界に就職し、実務経験を積みながら第二次検定を目指すというルートが一般的です。
2級建築施工管理技士は文系でも合格できる?
文系出身でも十分に合格可能です。試験には数学的な計算が含まれますが、高度な計算は要求されません。文系出身者は建築法規などの文章理解を得意とする傾向があり、この点では有利です。
個人の努力と学習方法がより重要です。自分の弱点を補う学習方法の選択が成功のカギです。
2級建築施工管理技士を取得したあとのキャリアプランは?
取得後は営業所や現場主任技術者として中小規模工事を担当し、経験を積むことで大規模な工事を任されるようになります。
さらに上を目指す場合は1級建築施工管理技士の取得を視野に入れ、監理技術者としての活躍を視野に入れることができます。施工管理の経験を生かし、営業や企画へのキャリアチェンジも可能です。
まとめ|2級建築施工管理技士はキャリアアップの土台になる資格
2級建築施工管理技士は、建築業界でキャリアを築くための土台となる重要な資格です。試験制度の改正により未経験者でも挑戦しやすくなりました。計画的な学習と適切な勉強方法の選択により、合格は十分に可能です。
2級建築施工管理技士として活躍する際には、適切な転職先(企業)選びが重要です。施工管理求人サーチは、建設技術者在籍数業界No.1の株式会社夢真が運営する求人サイトで、施工管理技術者向けの充実した求人情報と転職サポートを提供しています。資格取得後のキャリア構築に、ぜひご活用ください。

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