電気工事士の仕事内容を解説|向いている人や取得するメリットを紹介
電気工事士の仕事内容は「建設電気工事」「鉄道電気工事」「ビルメンテナンス」に分類されており、資格によって対応できる業務領域が異なります。
電気設備の工事に携わりたい方の中には、資格取得を検討している方もいるのではないでしょうか。
本記事では電気工事士の仕事内容や、資格を取得するメリットを解説します。
電気工事士になりたいものの、仕事内容を詳しく把握できていない方はぜひ参考にしてみてください。
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目次
電気工事士の仕事内容とは
電気工事士の仕事内容は、大きく以下の3つに分けられます。
- 建設電気工事
- 鉄道電気工事
- ビルメンテナンス
それぞれの仕事内容について以下より解説するので、電気工事士になりたいと考えている方は参考にしてみてください。
建設電気工事
一般住宅やアパート、マンションなどを建てる際には、電気をつけるようにするための配線工事やコンセントの設置などが必要になります。これらの仕事は電気工事士の資格を持っていないと行うことができません。
もし、電気工事士の資格を持たずにこれらの仕事を行ってしまうと違法となります。電気工事を行える規模は第二種と第一種で異なるので、持っている資格によって電気工事が行える建物の大きさも異なってきます。
鉄道電気工事
電車は当然ながら電気で動いています。毎日多くの人を乗せて、安全に運転を続けるためには電気設備の点検やメンテナンスを行う必要があります。それらも電気に関わる仕事のため、電気工事士の資格を持っていないと行うことができません。
また、架線の張り替えなども電気工事士の仕事の範囲であり、仕事内容によっては地面に穴を掘ったり、配管を曲げたり、溶接したりなどもするので、意外とものづくりをする仕事でもあります。
ビルメンテナンス
ビルのメンテナンス業務では電気工事士が必要になります。ビルのメンテナンスではいろいろな業務が行われますが、その業務の中には電気設備の整備や修理も含まれています。
大きな修理や整備が必要な場合は専門業者に依頼をすることになりますが、日々の細かな電気設備の整備や修理は電気工事士が行います。細かな電気設備の整備や修理であっても、その作業は電気工事士の資格を持たない人が行ってしまうと違法となってしまいます。
細かな電気設備の整備や修理のたびに専門業者に依頼をすることはできないので、ビルメンテナンスの業務では電気工事士が必須になります。
電気工事士に関する資格一覧
電気工事士の資格は第二種と第一種に分かれており、それぞれの業務範囲の違いは以下のとおりです。
資格 | 業務範囲 |
---|---|
第二種電気工事士 | 一般住宅や小規模な建築物などにある600ボルト以下で受電できる設備の工事に携われる |
第一種電気工事士 | 第二種電気工事士が対応できる設備に加えて、最大500キロワット未満のビルや工場など大規模な建築物の工事に携われる |
それぞれの資格の特徴について以下より解説しますので、電気工事士として働きたい方は参考にしてみてください。
第二種電気工事士
電気工事士の資格は第二種と第一種があり、どちらも国家資格で、受験資格はないので誰でも受験することができます。電気工事士の資格は第二種を取得しておくと、建物の電気配線を通したり、室内にコンセントを設置したりするなどの工事ができるようになります。
ただし、電圧が600V以下という条件があるので、工事ができるのは主に一般住宅や小規模なビル、事業所などになります。
もし、電気工事士の資格を持たずにこれらの工事を行うと、法律違反となってしまう場合があります。無資格で電気工事を行うと「3万円以下の罰金、または3カ月以下の懲役」が科せられます。
電気を扱う仕事なので感電や火事などの大事故に繋がってしまう可能性があるので、無資格の素人工事は絶対に行ってはいけません。
第一種電気工事士
第二種で行える電気工事には電圧が600V以下という条件があります。第一種を取得すると最大電力が500KW未満の電気工事が行えるようになるので、行える電気工事の規模が大きくなり、ビルや工場、大型店舗などの電気工事ができるようになります。
ただし、第一種の受験資格はありませんが、免状の交付には電気工事の実務経験5年以上、もしくは大学や高等専門学校で所定の課程を修め卒業したうえで電気工事士の実務経験3年以上のどちらかを満たす必要があります。
そのため、まずは第二種を取得して、電気工事の実務経験を積みながら第一種を取得しておくという流れになります。
電気工事士の年収・給与
電気工事士の平均年収・給与は400〜500万円ほどであり、人によっては日本全体の平均年収より稼いでいます。
項目 | 平均年収 |
電気工事士 | 400~500万円ほど |
日本全体 | 430万円ほど |
工事の規模が大きい場合や、資格を保有している場合には600万円以上稼ぐことも可能です。
また実績を積んだり、専門的なスキルを身につけたりすることによって、さらに高い年収を見込めます。
電気工事士として食べていけるか不安な方は、年収・給料について解説している以下の記事を参考にしてみてください。
※関連記事:電気工事士の年収と転職による給料について
電気工事士になる方法
電気工事士になるためには、まず第二種電気工事士の試験に合格して資格を取得しましょう。
第二種電気工事士には受験資格がないため、学歴・年齢・実務経験に関係なく誰でも挑戦できます。
効率よく第二種電気工事士を取得したい場合、通信講座を活用したり、職業訓練校に通ったりすることで重要な知識を短時間で学習できます。
電気工事士の受験資格
ここでは電気工事士の受験資格を第二種・第一種ごとに解説します。
受験資格と免状交付の条件が異なる場合があるため、資格取得を検討している方は注意しましょう。
第二種電気工事士
第二種電気工事士の試験には受験資格がないため、学歴や年齢などに関係なく、誰でも試験に挑戦できます。
前年度の試験において学科試験に合格している場合には、次の学科試験を免除できる点も特徴です。
試験は上期と下期に年2回実施されるため、資格を取得したい方はぜひ日程の近い試験に挑戦してみてください。
第一種電気工事士
第一種電気工事の試験に受験資格はないため、学歴や実務経験、取得済みの資格に関係なく誰でも受験可能です。
ただし、試験合格後に資格を取得したことを証明するための免状の交付手続きを行う必要があります。
免状の交付には、学歴に関係なく3年以上の電気工事に関連する実務経験が必要であるため、人によってはすぐに第一種電気工事士として働けない点に注意しましょう。
電気工事士の試験の難易度・合格率
電気工事士の試験の難易度・合格率について、資格ごとに解説します。
直近5回分の合格率の推移について紹介するので、自分でも合格できるか不安な方は参考にしてみてください。
第二種電気工事士
第二種電気工事士の直近5回の試験の合格率は、以下の表のとおりです。
年度 | 筆記試験の合格率 | 技能試験の合格率 |
令和4年度(下期) | 53.3% | 70.6% |
令和4年度(上期) | 58.2% | 74.3% |
令和3年度(下期) | 57.7% | 71.1% |
令和3年度(上期) | 60.4% | 74.2% |
令和2年度(下期) | 62.1% | 72.9% |
参考:試験実施状況の推移(第二種電気工事士試験)|ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター
直近5回の試験の平均合格率は筆記試験が58.34%、技能試験が72.62%であり、比較的合格を狙いやすい試験と言えます。
参考までに、施工管理の資格のなかで難易度が高い一級建築士の合格率は10%ほどです。
第二種電気工事士の資格試験に挑戦したい方は、自分の知識量に合わせて計画を立てて、学習してみてください。
第一種電気工事士
第一種電気工事士の直近5回の試験の合格率は、以下の表のとおりです。
年度 | 筆記試験の合格率 | 技能試験の合格率 |
令和4年度 | 58.2% | 62.7% |
令和3年度 | 53.5% | 67.0% |
令和2年度 | 52.0% | 64.1% |
令和元年度 | 54.1% | 64.7% |
平成30年度 | 40.5% | 62.8% |
参考:試験実施状況の推移(第一種電気工事士試験)|ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター
直近5回の試験の平均合格率は筆記試験が51.66%、技能試験が64.26%であり、第二種電気工事士よりも合格率が低く、難しいと言えます。
第二種電気工事士に合格した方は、第一種電気工事士の資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。
電気工事士になるメリット
電気工事士は需要がなくなることのない電気を扱う仕事であり、資格が必要なので誰にでもできる仕事というわけでもないことから、電気工事士は安定した仕事というイメージを強く持たれることもあります。
この他にも、電気工事士になるメリットはいくつかあり、電気工事の仕事には魅力もたくさんあります。そのため、電気工事士の仕事を覚えると「一生続けられる」と思えるようになるはずです。
電気工事士になるメリット1:学歴不問で高収入
第二種電気工事士試験は、誰でも受験することができます。年齢、性別、学歴、実務経験、一切問われません。
また、どの現場でも電気工事士が不足しています。そのため企業は、高い給与で電気工事士を採用しようとしています。
つまり、電気工事士は「誰もが努力すれば手に職つけて稼げる仕事」なのです。
電気工事士になるメリット2:面白い
どれだけ巨大な建物でも、電気が通っていなかったらコンクリートと鉄の「物体」です。
そこに電気を通すことで建物が快適空間、安心空間になります。電気工事はいわば、建物に命を吹き込む仕事です。
20年30年この仕事に携わっているベテラン電気工事士でも「奥が深い。毎日が勉強」といっています。飽きのこない仕事でもあるのです。
電気工事士に向いている人・向いていない人
電気工事士の仕事の特性上、電気工事の仕事に向いている人と向いていない人が存在します。
向いている人・向いていない人の特徴について以下より解説するので、自分が電気工事士に向いているか確認してみてください。
電気工事士に向いている人
電気工事に向いている人の特徴は以下のとおりです。
- 電気工事に興味がある
- 丁寧に作業を進められる
- コミュニケーションを円滑に取れる
- 継続して学習を続けられる
- 体力がある
電気工事の作業には感電や火災につながるリスクが常に伴うため、丁寧に仕事を進められる人に向いています。
また電気工事の現場ではチームで仕事をすることがあるので、他のスタッフと円滑にやり取りできるコミュニケーション能力が求められます。
電気工事士に向いていない人
電気工事に向いていない人の特徴は以下のとおりです。
- 電気設備の工事に関心がない
- 1人で黙々と作業をしたい
- 残業をまったくしたくない
配線の組み立てや設計図の作成など、電気設備の工事に関心がない場合、仕事へのモチベーションが上がらないため電気工事士に向いていません。
また他のスタッフと協働して仕事を進める必要があるため、1人で黙々と集中して作業したい方には不向きです。
繁忙期や工期が遅れているときには残業が発生することがあるので、定時にしっかり帰りたい方は別の仕事に就くことを検討してみてください。
電気工事士のやりがい・魅力
電気工事士のやりがい・魅力は以下のとおりです。
- 工事完了後に達成感がある
- 人々の生活のインフラを整備できる
- 専門的なスキルを身につけられる
電気工事士は屋内に配線を設置したり、空調設備の設置工事やクリーニング作業をしたりするので、人々の生活のインフラ整備に携われます。
また電気工事に関する専門的な知識・スキルを身につけられる点も、電気工事士のやりがい・魅力です。
電気工事士の仕事内容はきつい?「やめとけ」と言われる理由
「電気工事士はやめとけ」と言われる理由は以下のとおりです。
- 繁忙期に残業が多くなる
- 見習い時代の年収が低くて割に合わないと感じるときがある
- 肉体労働がきついときがある
電気工事の繁忙期や工程が遅れている場合には残業が発生するため、やめとけと言われることがあります。
また見習い時代は年収200〜300万円ほどであり、年収が労働に見合わないと感じる人もいます。
ただ電気工事士として実績を積み、大きな設備の工事に携われるようになれば、500万円以上稼ぐことも可能です。
電気工事士が「やめとけ」と言われる理由について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
※関連記事:電気工事士がやめとけと言われる理由は?向いている人や資格を取得するメリットなどもあわせて紹介
電気工事士は仕事がない?ニーズや将来性を解説
電気は人間が生活するために欠かせないものであるため、電気工事士の仕事が急にゼロになることはないと言えます。
一般住宅やビル、工場など、ほぼすべての建築の現場で電気設備の工事が発生するため、電気工事士の需要はあります。
今後、電気自動車が普及したり、再生可能エネルギーの施設が増えたりすれば、さらに電気工事士の仕事は増えるでしょう。
電気工事士の将来性についてさらに知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
※関連記事:電気工事士に将来性がある3つの理由!向いている人の特徴も解説
電気工事の仕事に関するよくある質問
電気工事の仕事に関してよくある以下の3つの質問に対して回答します。
- 「電気工事士はオワコン」というのは本当ですか?
- 電気工事士の仕事は難しいですか?
- 電気工事の仕事に就くためのおすすめの資格はありますか?
電気工事士の仕事の難しさや関連する資格について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
「電気工事士はオワコン」というのは本当ですか?
電気工事士はオワコンではありません。
電気は人々の生活に欠かせないインフラであるため、今後も仕事の需要はあると考えられます。
また電気自動車の普及や、再生可能エネルギーの設備の拡大に伴って、今後さらに需要は拡大するでしょう。
※関連記事:電気工事士がやめとけと言われる理由は?向いている人や資格を取得するメリット
電気工事士の仕事は難しいですか?
電気工事士の仕事の中には、難しい業務もあります。
さまざまな工具を使いこなせたり、図面を読み解いたりする必要があるため、覚えることも多いです。
日々継続して勉強し、ひとつずつ電気工事士の仕事を覚えていくことが大切です。
電気工事の仕事に就くためのおすすめの資格はありますか?
電気工事の仕事に就くためのおすすめの資格は、以下のとおりです。
- 電気工事士
- 電気工事施工管理技士
- 電気通信工事施工管理技士
- 電気主任技術者
- 電気通信主任技術者
それぞれの資格によって対応できる業務が異なり、電気工事士であれば電気設備の工事に携われます。
電気工事施工管理技士を取得していれば、電気工事の管理・監督業務を行えます。
就きたい仕事の業務内容に合わせて、資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。
※関連記事:電気工事の資格とは?第一種・第二種電気工事士の試験内容や難易度
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電気工事士の仕事内容は「建設電気工事」「鉄道電気工事」「ビルメンテナンス」であり、取得している資格によって対応できる設備の規模が異なります。
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