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1級建築施工管理技士の合格率・難易度は?試験勉強・対策方法も紹介

働く
公開日時 2022.07.18 最終更新日時 2024.09.19

建設業界で働いている人の中には、キャリアアップを目的として、1級建築施工管理技士の資格を取得しようと考えている人もいるのではないでしょうか?

しかし、いざ資格を取得しようと考えると「1級建築施工管理技術検定の難易度はどの程度なのだろうか?」と疑問に思うことがあるものです。

建築関連の上位資格には難易度が高いものが多いため、難しいと感じがちです。

すでに2級施工管理技術検定に合格している人なら、1級と2級にはどの程度の差があるのか不安に感じることもあります。

そこでこの記事では、1級建築施工管理技能検定の難易度や受験資格、試験勉強のコツ、合格率の推移などの気になる情報を紹介します。

これから1級建築施工管理技士にステップアップしようと考えている人は、ぜひ一通りチェックしてみてください。

事前に試験の特徴をつかんでおくことで、効率的に学習を進めて速やかな資格取得を実現できる可能性が高くなります。

 


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1級建築施工管理技士とは?

1級建築施工管理技士とは?

1級建築施工管理技士は、大規模工事を扱う現場監督の国家資格です。学歴や実務経験により受験資格が設けられており、大卒で学部学科が指定学科なら3年以上の実務経験があれば受験資格を満たします。

試験は6月に行われる学科試験と10月に行われる実地試験に分かれていて、いずれも合格率は30パーセント台から40パーセント台です。学科試験は午前中2時間30分と午後2時間の時間で行われ、全問択一式になっています。

実地試験は3時間通して行われ、全問記述式です。実地試験は学科試験に合格した人のみ受験できる仕組みで、最終合格率で見ると毎年概ね15パーセント前後と低めで、難関資格の部類に入ります。

特に実地試験では突っ込んだ内容の出題も多く、かなり深く理解していないと合格点を取るのは難しいでしょう。学科試験に合格して実地試験で落ちてしまった人は、翌年は学科試験を受験せず実地試験を受けられます。

仕事内容

1級建築施工管理技士は建築一式工事から解体工事まで規模の大小を問わず、建設工事現場の管理・監督を行います。特に、大規模な工事管理については、1級建築施工管理技士の資格がないとできないため、主に規模の大きい工事管理・監督を行います。

また、事業所や営業所の「専任技術者」として認められ、工事管理の際は、該当する工事の「監理技術者・主任技術者」となることができます。

つまり、1級建築施工管理技士は工事管理の最高責任者であるため、その権限の大きさとともに、責任も重大となる仕事です。

2級建築施工管理技士との違い

1級建築施工管理技士は工事現場における施工管理の技術責任者としての国家資格です。では、1級建築施工管理技士と2級建築施工管理技士との違いはどのようになっているのでしょうか。

この違いの主な点の1つ目は資格の違いにあります。1級建築施工管理技士は監理技術者や主任技術者となることができ、2級建築施工管理技士は主任技術者のみなることができます。

2つ目は、施工管理できる工事の規模です。1級建築施工管理技士は高層ビルやマンションなどの大規模な工事管理を行うことができます。一方、2級建築施工管理技士は中規模なものを対象した工事管理です。

このように、1級建築施工管理技士はすべての規模の工事管理や監督ができるゼネラリストなのです。

1級建築施工管理技士の合格率

一般財団法人 建設業振興基金が発表しているデータによると、2021年に実施された1級建築施工管理技術検定の最終的な合格率は約30.1%です。(受験者数22,277人、合格者数6,708人)

ただし、この試験では以下のように2つの検定が行われます。

  • 1次検定
  • 2次検定

これからそれぞれの段階ごとに合格率の推移を詳しくチェックしていくので、受験を検討している人はぜひチェックしてみてください。

第一次検定(学科試験)の合格率

実施年合格率
2012年51.0%
2013年47.0%
2014年41.6%
2015年43.6%
2016年49.4%
2017年39.7%
2018年36.6%
2019年42.7%
2020年51.1%
2021年36.0%

1次検定は2020年までは「学科試験」と称されており、具体的な合格率は上記の通りです。過去10年間の合格率は36%~51%程度となっており、実施年によってバラツキがあります。

2021年から1次検定の出題内容が変更されたことにより、今後の合格率に差が出る可能性も考えられます。2021年の1次検定合格率は36%だったため、40%程度になると意識しておくのがオススメです。

2020年までは一次と二次、両方の試験に合格することで施工管理技士の資格を得られる仕組みでした。この仕組み自体は変更されていませんが、2021年以降は1次検定のみの合格者に技師補の資格が付与される仕組みが新たに導入されています。

これから1級施工管理技士の資格を取得しようと考えている人は、まずは1次検定に合格するための学習が必要です。1次検定に合格すると、次回以降の試験は2次検定のみを受験できます。有効期限は無期限です。

第二次検定(実地試験)の合格率

実施年合格率
2012年34.4%
2013年41.4%
2014年40.2%
2015年37.8%
2016年45.6%
2017年33.5%
2018年37.1%
2019年46.5%
2020年40.7%
2021年52.4%

2次検定は2020年までは実地試験と呼ばれており、合格率の推移は上記の通りです。過去10年間の合格率をチェックすると、おおむね34%~52%の間です。こちらも2021年より試験内容や出題範囲が変更されているため、今後は合格率に差が出る可能性があります。

2次検定に合格するために必要なスキルは「施工技術のうち実務経験に基づいた技術管理および指導監督に係る知識および能力」とされています。2次検定の受験資格を取得するのに必要な実務経験を積み重ねつつ、継続的に学習に励めば十分に合格を目指せるレベルの試験です。

2020年までの実地試験は記述式試験のみでしたが、2021年以降の2次検定では記述式試験にプラスして選択式試験も出題されています。

1級建築施工管理技士の受験資格が緩和

1級建築施工管理技術検定には受験資格が定められており、試験を受けるには受験資格のいずれかを満たしていなければなりません。

2021年から受験資格が緩和されており、2022年時点で指定されている受験資格は以下の通りです。

1次検定の受験資格

受験区分学歴・資格実務経験
A高度専門士の資格を有する者指定学科: 卒業後3年以上
指定学科以外: 卒業後4年6ヶ月以上
^専門士の資格を有する者指定学科: 卒業後5年以上
指定学科以外: 卒業後7年6ヶ月以上
^高校または専門学校の専門課程を卒業した者指定学科: 卒業後10年以上
指定学科以外: 卒業後11年6ヶ月以上
^上記に該当しない者15年以上
B2級建築士試験に合格した者合格後5年以上
C2級建築施工管理技術検定の2次検定に合格した者合格後5年以上
^2級建築施工管理技術検定の2次検定に合格し、実務経験が5年未満の者専門士の資格を有する者: 指定学科卒業は区分Aと同様、指定学科以外卒業は9年以上
高校・専門学校を卒業した者: 指定学科卒業は9年以上、指定学科以外卒業は10年6ヶ月以上
それ以外は14年以上
D2級建築施工管理技術検定の2次検定に合格した者実務経験不問(ただし2次検定受験資格なし)

1級施工管理技能検定の1次検定を受験する場合、上記のいずれかを満たしている必要があります。 区分Dの受験資格で受験した場合は、2次検定の受験資格を得られません。

しかし1次検定の合格は無期限有効なので、5年以上の実務経験を積んだら2次検定を受験しましょう。

2次検定の受験資格

  • 1級建築士試験に合格し、1次検定の受験区分A~Cの条件を満たしている
  • 受験区分A~Cの条件で1級建築施工管理技術検定の1次検定を受験し、合格している
  • 受験区分Dの条件で1級建築施工管理技術検定の1次検定に合格し、その後A~Cの条件を満たした

2次検定の受験資格は上記の通りです。2021年以降に実施される試験では受験資格における実務経験の基準が緩和されており、2級施工管理技術検定の2次検定に合格した場合、実務経験を問わず1級施工技術検定の1次試験を受験できます。

2級施工管理技術検定は受験資格に実務経験が定められていないため、ステップアップすることで実務経験が少なくても1級施工管理技術士補を目指せます。

1級建築施工管理技士の指定学科6つ

国土交通省令は技術検定の受検要件において、指定学科の修了者と指定学科以外の修了者で、受験に必要な実務経験年数に差を付けています。

自分が指定学科を卒業しているか否かで、必要な実務経験年数は異なるので指定学科の内容はチェックしておきましょう。

国土交通省令の定めによって、1級建築施工管理技士の指定学科は大きく分けて以下の6つがあります。

  • 建築学
  • 土木工学
  • 都市工学
  • 衛生工学
  • 電気工学・電気通信工学
  • 機械工学

1:建築学

建築学に関する学科は、建築(学)科、環境計画学科、建築工学科、建築システム科、建築設備工学科、建築第二学科、住居科、住居デザイン科、造形工学科などが挙げられます。

2:土木工学

土木工学に関する学科は、土木(工学)科、開発工学科、海洋開発(工学)科、海洋工学科、海洋土木工学科、環境開発科、環境建設科、環境整備工学科、環境設計工学科、環境土木科、建設環境工学科、建設技術科、建設基礎工学科などが挙げられます。

3:都市工学

都市工学に関する学科は、都市工学科、環境都市工学科、都市システム(工学)科が挙げられます。

4:衛生工学

衛生工学に関する学科は、衛生工学科、環境(工学)科、空調設備科、設備工学科、設備(工業)科、設備システム科が挙げられます。

5:電気工学・電気通信工学

電気工学・電気通信工学に関する学科は、電気(工学)科、電気通信(工)学科、応用電子工学科、システム工学科、情報工学科、情報電子(工学)科、制御工学科、通信工学科、電気技術科、電気工学第二科、電気情報(工学)科、電気・電子(工学)科、電気電子システム工学科などが挙げられます。

6:機械工学

機械工学に関する学科は、機械(工学)科、エネルギー機械工学科、応用機械工学科、機械技術科、機械工学第二科、機械工作科、機械航空工学科、機械システム(工学)科、機械情報(システム)工学科、機械精密システム工学科、機械設計科、機械電気(工学)科、建設機械科などが挙げられます。

1級建築施工管理技士の勉強・対策方法

1級建築施工管理技士の勉強・対策方法

1級建築施工管理技能検定の難易度は高く、合格するには体系的な学習が必要です。これから学習する人には、以下の4つのポイントを意識した学習が求められます。

  • 覚えるだけでなく内容も理解する
  • 動画教材や過去問をうまく活用する
  • 第二次検定の添削をしてもらう
  • 模擬試験を受けてみる

それぞれの段階で学習のポイントを詳しく解説します。限られた学習時間を有効活用するためにも、学習に取り組む前に一通りチェックしてみてください。

覚えるだけでなく内容も理解する

学習を進めるときは「問題の内容を理解し、解答に至るまでのプロセスや考え方を正確に理解すること」を意識してみてください。問題の内容と解答を覚えるだけでは、応用問題が出たときに対応できなくなります。

一例として、建築構造に関するものなど、工学に関する問題では計算問題が出題されることもあります。どのように解けばよいのか内容を理解しておけば、数値を変えた問題が出題されたときにも問題なく対応可能です。

動画教材や過去問をうまく活用する

学習するときは、テキストだけではなく動画教材や過去問を活用するのがオススメです。動画教材で学べば視覚と聴覚を活用できるため、テキストを読むだけに比べて覚えやすいのがメリットです。再生された映像が印象に残り、すぐに覚えられることもあります。

その上で過去問を使用すれば学んだことをアウトプットでき、より効果的です。アウトプットは学習したことを理解し、実際的な知識とするために欠かせません。日々の学習が完了したら、該当する範囲の過去問を解いてより実際的な知識として習得するのが有効です。

第二次検定の添削をしてもらう

2次検定では記述式問題が出題されるため、題意に適する解答を文章で表現しなければなりません。自分で文章を書いて添削しているだけでは、構造面の弱みを発見しにくくなります。

改善点を明確にして文章力を高めるためにも、2次検定の学習を進めるときには第三者に添削してもらうのがオススメです。客観的な視点で適切な解答になっているか、どこを改善すればよいのかが明確になります。

模擬試験を受けてみる

一通りの学習が完了したら、模擬試験を受けてみてください。模擬試験は実際の試験と同じ形で出題されるため、どのような形で行われるのか雰囲気をつかむのに役立ちます。

模擬試験を複数回受ければ、間違いが多く自分にとって苦手な分野がどこなのかも把握できます。弱点分野を重点的に学習して補強するのが効果的です。テキストに模擬試験が掲載されていることもあるため、一度チェックしてみてください。

令和3年度の1級建築施工管理技士の合格発表日はいつ?

ここでは2021年に実施され、2022年1月28日に合格発表があった1級建築施工管理技術検定(1次検定・2次検定双方)の合格発表日および合格率を紹介します。具体的な試験結果は以下の通りでした。

試験区分1次検定2次検定
合格発表日2021年10月17日2022年1月28日
受験者数22,277人12,813人
合格者数8,025人6,708人
受験者数36.0%52.4%

1次試験を受験した人数は22,277人で、試験に合格して1級建築施工管理技士の資格を取得した人数は6,708人です。

ここから最終的な合格率を計算すると、約30.1%になりました。なお、この計算では2020年以前に1次検定に合格し、2次試験のみを受験した人の割合は考慮していません。

令和3年度の2級建築施工管理技士の合格発表日はいつ?

2021年に行われ、2022年1月28日に合格発表があった2級建築施工管理技術検定のデータについてもあわせてチェックしてみましょう。具体的な試験結果は以下の通りです。

試験区分1次検定2次検定
合格発表日2021年11月14日2022年1月28日
受験者数32,128人15,507人
合格者数15,736人8,205人
受験者数49.0%52.9%

2級建築施工管理技術検定の受験者は1級より多く、30,000人以上が受験しています。1次検定を受験した人数が32,128人、2次検定に合格した人数は8,205人で、最終的な合格率は約25.5%です。なお、こちらも2020年以前に1次検定に合格し、2次検定のみを受験した人数は考慮していません。

合格率が25.5%で1級建築施工管理技士に比べて低いのが特徴です。受験資格に実務経験が問われないことを考えると、合格率の差は難易度の差というよりは受験者のレベル差と考えられます。

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1級建築施工管理技士は、建築現場において施工計画を策定したり、工程管理をしたりするのに活用できる資格です。

取得するには一定の実務経験が求められますが、建築工事全体の管理者として活躍したいなら、ぜひ取得を目指してみてください。

実務経験が不足している人でも、2級建築施工管理技士からステップアップして1級建築施工管理技術士補を目指す道も開かれています。長期的なキャリアプランを実現するのに役立つので、ぜひこちらも検討してみてください。

なお、読者の中には、すでに1級建築施工管理技士を取得しており、資格を活かした転職を検討している人もいるのではないでしょうか。

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