現場監督なら知っておこう!設計図の種類と内容【構造図】

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現場監督になって間もない人の中には、【構造図】が何かということはわかっていても、その中に描かれていることの意味までは理解できていない人が多いのではないでしょうか。
既に完成している建物の場合、構造部分は仕上げの内外装材で隠れてしまって目に見えない為、余計に難しく感じてしまうのでしょう。
しかし、施工を管理する現場監督にとって基礎や柱・梁といった構造について知り、構造図の見方を覚えておくことは必須であり、とても大切なことなのです。
建物の強度に関わる部分を担っているという意味では、意匠図よりも重要度が高いと言えるでしょう。
そんな【構造図】。具体的にどのような図面があるのか一つ一つ具体的に説明していきますので、少しずつ理解を深めていって下さい。
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目次
特記仕様書と標準図
まずは、建物の設計をする上で基準となる「特記仕様書」と「標準図」について説明していきます。この「特記仕様書」と「標準図」があるおかげで、大規模な建築物でも設計図を簡潔にわかりやすくまとめることが可能になっています。
特記仕様書の役割
特記仕様書とは設計図の一番最初に綴じられる図面のこと。
建設会社や設計事務所において、使用材料や各部のディテール、検査方法など基準となる仕様を記載したもので、他の図面と違い建物の設計をするたびに一から作成する必要がありません。
こうした社内共通の仕様を元に施工を行うことで一定の施工品質を維持することができると共に、設計の効率化も図っています。
設計図といっても、特記仕様書はその殆どが文章や表・記号によって成り立っています。
意匠や設備について記載された特記仕様書もありますが、構造に関しては主に基礎の形状や使用するボルト・金物について、構造材として使用する材料の品質や強度・数量・検査方法等が記載されています。
土工事で発生する土や材料の処分・リサイクルに関する項目もあります。
この特記仕様書には、標準仕様書も含めたすべての図面に優先される重要な項目が盛り込まれているので、現場監督としては絶対に見落としがあってはいけません。
したがって、仕様を確認する際には、まず特記仕様書の内容をすべて確認する癖をつけましょう。
公共建築工事標準仕様書とは
このように設計図の基準となる特記仕様書ですが、必ずしも建設会社や設計事務所が独自に作成しているわけではありません。
国土交通省大臣官房営繕部において公共建築工事で使用する材料・工法等について標準的な仕様を取りまとめた、設計図書の一つである『公共建築工事標準仕様書』(改修工事については『公共建築改修工事標準仕様書』)という参考書類があります。
この『公共建築工事標準仕様書』は建築物の品質・性能の確保と施工の合理化に加え、設計図書を作成する上での効率化を図ることを目的として技術基準を定められたものであり、自治体による公共工事の建築物はすべて特記事項がない限りこの仕様書の内容に準拠して施工されます。
この仕様は3年ごとに見直しもされており、性能や品質・環境への配慮等において常に最新の技術を用いるよう内容を更新することで、公共建築物の一定水準以上の品質を保持しています。
民間の建築工事においてもこの『公共建築工事標準仕様書』を用いられることが多く、その場合は公共工事の図面と同様、特記仕様書の冒頭に「本特記仕様書、図面に記載されていない項目については公共建築工事標準仕様書に依る」といった一文が記載されます。
つまり、どのような工事においても現場監督は『公共建築工事標準仕様書』の内容を頭に入れておく必要があるということですね。
国土交通省のサイトでも公開されていますので、一度目を通しておいてはいかがでしょうか。
標準図の位置づけ
構造標準図は、特記仕様書と併せて設計図に添付される図面のことで、設計の基本となる納まり等の情報が記載されています。
特記仕様書と同様、施工の品質確保と設計の合理化を図り基準となる共通事項を定めたもので、部材リストや詳細図等の構造図において特別な指示がない限り、この標準図の内容に準拠して施工されることになっています。
あくまでも標準となる図ですので、すべての図面に優先される特記仕様書とは違い、標準仕様書と同じ位置付けということになりますね。
国土交通省大臣官房営繕部のサイト上で標準詳細図が公開されていますが、内容は殆どが意匠に関するものなので、構造における標準図としてはあまり参考にはなりません。
標準図の記載内容
それでは、構造標準図には具体的にどのような内容が記載されているのでしょうか。
東京都建築士事務所協会による構造標準図を例に挙げると、まずは鉄筋の余長や折曲げの角度・形状、定着方法や継手位置、コンクリートのかぶり厚さ、鉄筋のあきやフックといった、鉄筋の規格ごとの加工方法や配筋に関する事項が文章や図表によって記されています。
それ以降は、杭・基礎・梁・スラブ・壁等、構造の部位ごとの鉄筋加工や配筋の要領が詳細図によって示され、最後には柱や梁のコンクリート増打ち部分の補強についても記載されています。
鉄骨造の建物においては、鉄骨の施工に関する構造標準図も添付されます。
こちらは鋼材のボルト接合や溶接接合における接合方法や材料・性能に関する事項が図解で記されています。
部材リストや配筋詳細図等、他の図面において特別な指示がある場合にはそちらが優先されますので注意が必要です。
基礎の図面と各階伏図
ここからは建物を支える基礎の図面2種類と、構造図において最も重要度が高いとされている各階伏図について、図面の見方や記載されている内容について詳しく説明していきたいと思います。
基礎伏図について
建物で一番最初に出来上がるのが基礎の部分。様々な荷重に耐え、建物を強固に支えるための重要な構造体の一部です。
その基礎を施工する際に必要となる図面が、基礎伏図。
建物全体の基礎を真上から見下ろした図で、上から見ているという点で意匠図の平面と少し似ています。
平面図の場合は二本線で壁の断面を表現していますが、基礎伏図にも同じように壁の位置に沿って二本線が引かれている場合があります。
この二本線は基礎の立ち上がり部分を上から見た所で、その立ち上がりのラインの両サイドに点線か実線でもう1本ずつ線が引かれていたら、それは土の中に埋まったフーチングを表しているため、その基礎が布基礎であることがわかります。
独立基礎の場合は、平面図における柱の位置に四角で柱脚コンクリートの図が描かれており、その外側にあるもう少し大きな四角がフーチング。
柱脚と柱脚を繋ぐ二本線が描かれていたら、それは地中梁を表しています。
では、基礎の形状以外に基礎伏図から読み取れる情報は他にどういったものがあるのでしょうか?
アンカーボルトやホールダウン用のボルトの位置。床下換気口や人通口が記載されている場合もあります。
人通口とは、床下点検等のために人が通れるよう基礎の立ち上がり部に設けた高さ350㎜、幅600㎜程度の開口のこと。
その他、平面的な寸法はもちろんのこと、基礎コンクリートの天端レベルや基礎底のレベル、基礎高さといった高さ関係の情報も記載されています。
基礎詳細図について
同じく基礎の図面ですが、基礎全体を平面的に見た基礎伏図に対して基礎詳細図は基礎部分を垂直方向に切断し、断面の詳細を図に描いたものをいいます。
基礎断面図とか基礎断面詳細図と呼ばれることもあります。
基礎コンクリートの厚みや高さといった寸法がすべて記載されているのはもちろんのこと、基礎外周部の詳細図であればGL(地盤レベル)から見た基礎の高さや根入れ深さもわかります。
根切り底の砕石や捨てコンクリート(無筋コンクリート)部分の厚みや、防湿シートの厚さについてもきちんと表記されています。
当然ながら、コンクリートの中に配された鉄筋の組み方や呼び径、本数といった基礎の配筋に関することもすべて基礎詳細図を見ればわかるようになっています。
詳細図なので、縮尺も一般的に30分の1程度と大きめに描かれますが、中には5分の1という縮尺で描かれたものもあります。
構造図における伏図
伏図にも複数の種類があり、例えば前項で説明した基礎伏図もその一つ。
床伏図は各階ごとにフロアの真上(床天端の1mほど上部)から床組を見下ろすように描かれた図面のことで、屋根の構造部分を上から見下ろした図面は小屋伏図といいます。
見下ろした状態を描いた図面なので「見下げ図」とも呼ばれています。
一般的な設計図書における構造図は見下ろした状態の伏図で作図されることが多いですが、コンクリート造の建物において施工図を作成する場合には「見上げ図」で描かれることが多いです。
コンクリートの躯体についてはその階の壁と柱、その上階の梁とスラブを一区切りとして型枠を作り、コンクリートを打設するため、施工業者にとってはコンクリートを一度に打設する範囲を一枚の図面で表現できる躯体図(又はコンクリート寸法図)が都合がよいというわけです。
この他、屋根伏図や天井伏図という図面もありますが、こちらは屋根や天井の仕上げ面を図面にしたもので意匠図に分類されます。
各階伏図について
「見下げ図」とも呼ばれる、各階の床伏図。
フロアごとの構造に関する情報がすべて一枚に集約された、構造図の中では最も重要な図面とされています。
同時に建物の基本的な構造をきちんと理解していなければ描くことのできない、専門性の高い図面でもあります。
各階ごとに作成されていますから、各階伏図を見ればフロアごとの構造がほぼ把握できるようになっています。
壁や柱・梁の配置、各スパンやレベル等も記載されており、木造建築物の場合は根太や大引き、土台といったすべての構造材がサイズやピッチも併せて表示されています。
RC造の建物であればコンクリートの増打ち部分に関してもハッチングで表現されます。
鉄骨造の場合は小梁のピッチはもちろん、デッキプレートのデッキ方向も矢印を使って表す必要がありますし、剛接合部分や現場でのジョイント位置についても一目でわかるよう指示されていなければなりません。
このような細かい表記が必要とされる鉄骨造の伏図は、他の構造の伏図よりも更に高い精度が求められます。
また、RC造や鉄骨造の伏図にはすべての構造躯体に符号が振られているため、その符号を部材リストと照らし合わせることで、基礎や柱・梁等のサイズや配筋について確認することが可能です。
軸組図と部材リスト
構造の断面図とも言える軸組図は、躯体の高さ関係を把握する上で必要不可欠な図面です。前項で取り上げた伏図と軸組図に関係の深い部材リストと併せて、どのような事項が記載されているのか説明したいと思います。
軸組図と断面図
軸組図とは、柱や梁のある通り芯の位置で建物を垂直方向に切断し、その切断面を図面化した、言わば構造体の断面図です。
意匠図における断面図と見方は同じですが、表現されているものはまったく違います。
まず、断面図の場合は軸組図のように通り芯の位置で建物を切断して図面化することはまずありません。
断面図の目的は、仕上げ部分を含めた建物全体の高さ関係や上下階の位置関係、開口部(窓枠間)の寸法等を表現することです。
だから、例えば天井の仕上げ線や上階の床仕上げの線は引かれていますが、懐の中の構造部分は一切描かれていません。
それに対し、軸組図が表現するのはあくまでも構造ですから描かれているのは躯体の線のみで、仕上げ部分は一切描かれません。
また、建物の高さ関係がわかりやすい位置数カ所に絞って作図される断面図に対し、躯体の高さ関係を表すために描かれる軸組図は、柱や梁があるすべての通り芯について作成されるため、かなりの枚数に上ります。
同じような目線で描かれた図面でありながら、実はこれだけ考え方が違うのが、意匠における断面図と構造の軸組図なのです。
軸組図について
先にもお伝えしたように、軸組図には主に躯体の高さ関係を中心とした骨組みに関する情報が記載されています。
柱や梁のレベルの他、鉄骨造であれば現場継手の位置やベースプレートの天端高さまで細かく表記されていますし、工場での組み立てなのか現場組み立てなのかも明記されている場合があります。
RC造の場合は壁自体が柱や梁と一体になった構造体であるため、開口部の寸法や位置まできちんと書き記しておく必要があります。
これは2007年6月の建築基準法改正により義務づけられたもので、意匠における断面図の開口寸法には窓枠の内寸が記載されますが、軸組図で表記されているのはあくまでも躯体の開口寸法ですので、注意が必要です。
その他、RC造では柱と壁を切り離すための緩衝材(耐震スリット)の位置も明記されています。
また、軸組図には仕上げの情報は一切記載されませんが、地盤レベル(GL)や各階の床レベル(FL)といった仕上げ面の高さ情報は表示されているため、スラブ天端から床仕上げ面までの高さに関しては軸組図から読み取ることができます。
軸組図にも、梁や柱・壁・基礎といった構造躯体に伏図と同じ符号が振られていますので、各部の寸法や配筋等の詳細を部材リストで確認できます。
部材リストについて
各階伏図や軸組図の項目でも名前の出てきた、部材リスト。
その名の通り、柱や梁といった構造体の断面形状や寸法・仕様等が一覧表としてまとめられた図面です。
鉄骨造の場合は主に既成の鋼材が使用されるため、図は描かずに文字だけで仕様を表記されていることが多いです。
柱の部材に関しては、角形鋼管は「□」、H型鋼は「H」と頭に表示され、続いて「縦(幅)×横(幅)×厚み」の順に記載されます。
例えば、250mm角・12mm厚の角形鋼管であれば「□-250×250×12」という表記になります。
梁の部材については「□」又は「H」の後に「ウェブ(梁せい)×フランジ(幅)×ウェブ厚×フランジ厚」の順に記載されます。
また、頭の部分に「□」でも「H」でもなく「BH」と表示されている場合は、既製品ではなくH型鋼を製作したものであることがわかります。

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RC造の部材リストは、基礎・梁・柱・スラブ・壁がすべて部分的に図形化され、断面寸法や配筋の形状が記載されています。
梁リストであれば上筋と下筋の本数や呼び径、あばら筋や腹筋の本数や呼び径・ピッチ等についてもすべて書き込まれています。
柱リストも同様に主筋と帯筋の本数や呼び径、ピッチ等が記載されています。
リストと伏図・軸組図
このように、基礎や各階の床伏図・軸組図・部材リストのそれぞれの役割を見ていくと、これらの構造図がそれぞれに深い関わりを持っていることを理解いただけると思います。
伏図によって平面的な構造を一目で確認することができ、軸組図によって通り芯ごとの骨組みを把握することができます。
伏図と軸組図から建物全体の躯体の形状を大まかに読み取ることができたら、それぞれの構造躯体に振られた符号を元に、部材リストで各部の断面詳細を確認する。
伏図・軸組図・部材リストという3種類の図面から、このような流れで建物の構造を知ることが出来るというわけです。
また、符号にもそれぞれ意味があって、例えば「F」は基礎(Footing)で「G」は大梁(Girder)。「B」は小梁も含めた梁(Beam)、「C」は柱(Columm)、「S」が床(Slab)で「W」は壁(Wall)。
「W」の頭に「E」がついて「EW」となっている壁面は耐震壁(Earth quake Wall)であることが、符号を見ただけで読み取れます。
その他、それぞれの符号の前に「C」がついたものは片持ち(Cantilever)を表し、例えば「CG」なら片持ち梁、「CS」なら片持ち床を意味しています。
まずは符号の意味を頭に入れてから伏図・軸組図・部材リストを見てみると、構造の全体像がイメージしやすくなるかもしれません。
構造における各種詳細図
建築物の強度・耐震性に関わる靱性を左右する、鉄筋コンクリートの配筋や鉄骨の接合部の仕様。より安全で正確な施工を行うため、各構造部の細部について記載された様々な詳細図について説明したいと思います。
構造詳細図について
構造詳細図とは、構造躯体の断面形状や使用材料・寸法等の細部の納まりに関する情報が記載された図面のことです。
例えば、先に説明した標準詳細図や部材リストのように配筋や鉄筋の種類について記された図面も構造詳細図に該当します。
それ以外にも架構詳細図や、必要に応じて部分的に抜き出した雑詳細図と呼ばれる図面もあります。
この記事の一番最初で取り上げた基礎詳細図も、構造詳細図の一つです。
構造詳細図というと配筋詳細図を指すものが多いため、「構造詳細図=配筋詳細図」と認識している人も多いかもしれませんが、構造詳細図は何も鉄筋コンクリートについて説明されたものばかりではありません。
鉄骨造においても、各部の納まりや施工上配慮が必要な項目は構造詳細図においてきちんと明記されている必要がありますし、鉄筋コンクリートの場合は配筋に関することだけでなくコンクリートの複雑な形状まで正確に表現されていなければなりません。
そんな構造詳細図について、順番に説明していきたいと思います。
配筋詳細図の重要性
一般住宅からビルディングのような大規模建築物に至るまで、施工の現場においてコンクリート打設前に必ず実施されるのが配筋検査。
木造や鉄骨造の建物においても基礎だけは鉄筋コンクリートで造られるため、配筋検査はどのような構造においても例外なく実施されます。
具体的にどのような検査を行うのかというと、基礎・柱・梁・壁・スラブといったすべての構造躯体において鉄筋の配置や寸法、数量や呼び径、重ね継手や定着長さ、コンクリートのかぶり厚さが図面通りに施工されているかどうかをチェックするものです。
決められた大きさの梁や柱の中にサイズやピッチ等、すべてを決められた通りに鉄筋を何本も配し、きちんと納めていかなければならないため、しっかりと検討された図面が必要です。
したがって、配筋についての詳細図はすべての鉄筋コンクリート部分について網羅されていなければなりません。
鉄筋は建物の靭性を確保する上で必要不可欠ですので、僅かな施工不良が命取りにもなる可能性も十分にあり得るのです。
そう考えると、鉄筋コンクリートにおける鉄筋の施工がいかに重要であるか、配筋詳細図がいかに大切な図面であるかがよくわかります。
架構詳細図について
構造詳細図の一つである架構詳細図、通常100分の1の縮尺で描かれる軸組図を50分の1から30分の1程度の大きめの縮尺で描いたもの。
鉄筋の種類や配筋の方法、取合い部分の仕様が詳細に記載された図面で、架構配筋詳細図と呼ばれることもあります。
高さ関係の寸法や部材の符号も軸組図と同じように記されています。
軸組図が断面図なら、架構詳細図は意匠図面でいうところの矩計図に近いですね。
RC造の場合は躯体の内部に配された鉄筋が、継手の位置や定着長さ、フックの部分まで正確に描かれています。
部材リストと同様、鉄筋の本数や呼び径、ピッチの他、あばら筋や腹筋・帯筋についてもすべて記載されています。
鉄骨造の場合は鋼材接合部の金物やボルト類、溶接の仕様やピッチ、デッキプレートの接合部の取合い形状に至るまで細かく表記されている他、現場溶接なのか工場溶接であるかも記載されます。
鉄骨の施工において重要なポイントである接合部分をどのようにして処理するのかが、この架構詳細図から判断できますので、細部の作業を行う際には必ず事前にこの図面に目を通すようにしましょう。
構造図における雑詳細図
雑詳細図には何を描くのか。
特に定義があるわけではなく、部材リストや架構詳細図といった他の詳細図で表現できていない部材について、その配筋形状や仕様・取合い部分の断面図にしたものが雑詳細図です。
躯体の中に描かれているものは、基本的に架構詳細図と同じ。RC造であれば鉄筋の本数や呼び径・ピッチ。そして、コンクリートの細部の形状について等。
鉄骨造であれば、鋼材の取合い部分やボルト・金物類、溶接の仕様について記載されているものが殆どです。
架構詳細図のように広範囲を図にしたものではなく部分的に表現されているものなので、部分詳細図と呼ばれることもあります。
架構詳細図と同様に、100分の1や200分の1の縮尺では細かい部分を表現しきれないため、20分の1や30分の1といった大きめの縮尺で描かれることが多いです。
架構詳細図でも細かすぎて表現しきれないような部分を取り出して、10分の1といった縮尺に拡大して作図される場合もあります。
雑詳細図では様々な部分について詳細が描かれますが、中でも多いのが階段詳細図。
その他、段差のあるスラブの配筋形状や小梁の配置、庇の接合部の取合い、擁壁の詳細図等。
その他コンクリート形状の複雑な立ち上がり部分については、詳細図が準備されている場合が多いです。
構造図の種類と役割

施工における構造図の種類について詳しく説明してきましたが、ここでその内容を少し整理してみましょう。また、構造計算との関係性や構造図の役割についても最後に少しお伝えしておきたいと思います。
構造図の種類について
建築物の施工に必要な構造図には、まず、
・特記仕様書
・標準図
という図面がありました。
これは使用する材料や仕様の基準・検査方法等の基本について明記したもので、特記仕様書は他のどの図面にも優先される重要な図面であり、標準図に関しては他の図面で別途仕様について記載がある場合はそちらの内容に沿って施工されるというものでした。
どちらも、施工において一定水準以上の品質を確保するため、そして設計における合理化のために準備された図面です。
その他の構造図については、
・伏図(基礎伏図、各階床伏図etc)
・軸組図
・部材リスト
・詳細図(基礎詳細図、架構詳細図、雑詳細図etc)
という具合に大きく分類できます。
意匠図と違って見慣れない図面ばかりですから、最初は意味を理解するのにも時間がかかってしまうかもしれませんが、まずは「どこから見た図面なのか」ということを頭に入れて、それぞれの図面の符号を照らし合わせながら他の構造図との繋がりや、あるいは意匠図との関係性を知ることで、構造図は意外と簡単に理解できるものです。
基準図や標準図に関しては構造種別によっても必要なものが変わってきますが、上に挙げた図面は木造・鉄骨造・RC造を問わず、すべての構造に必要となるものですので、現場監督として仕事をするのであれば覚えておきましょう。
柱状図と杭伏図
前項で挙げた図面とは別に構造図の一つとして準備される図面に、柱状図・杭伏図というものがあります。
まず、柱状図(=ボーリング柱状図)ですが、これはある敷地におけるある地点の地質断面図や標準貫入試験の結果を示した図表のことをいいます。
標準貫入試験とは、ボーリングによって掘削した孔を使用して地盤の固さや締まり具合を表わす数値(N値)を求めるために行われる試験で、試料のサンプリング等も行う地盤調査の一つです。
つまり柱状図は、建築物の基礎の設計や土木工事において地盤の状態を知るために必要な図面ということになります。
一方、杭伏図は基礎伏図や床伏図と同様、構造図における伏図の一種です。
杭の施工が必要な工事において作成される図面で、敷地における杭の位置や杭の種類・杭の下端や天端のレベル等が記載されています。
杭の詳細を照合するための符号もつけられています。
これら、柱状図と杭伏図については他の構造図を作成する構造設計士とは別に専門業者が作成する場合もありますが、杭伏図の施工図に関しては現場監督が自身で作図しなくてはなりませんし、施工管理を行う上でも図面の内容を理解しておくことは必須です。
聞き慣れない図面ではありますが、まずは見方の把握に努めましょう。
構造設計について
現場監督の皆さんであれば当然ご存知かと思いますが、一般的にあまり知られていないのが、建物の構造図は意匠図を描いている設計士とは別の構造設計士が作成しているということ。
構造図は設計士の経験値によって安易に作成できるものでもなく、建築基準法に基づいてきちんと構造計算された上で設計が行われます。
構造計算の基本は荷重設定にありますから、例えば同じ形状の建物でも雪の積もる地域と雪の降らない地域で計算結果は大きく異なりますし、同じ陸屋根の建物であっても屋上を人が歩行するのかしないのかによって、配筋や鉄骨の種別・形状はまったく違ったものになります。
構造計算が必要とされる理由は、言うまでもありませんが建物の耐力・安全性を高めるため。
だからこそ建物の強度に関わる配筋や接合部の取合いにおける精度が重要で、これだけ綿密な図面が何十枚も必要になってくるというわけです。
構造図の役割について
設計図というと、まず意匠図を想像する人が多いでしょう。
しかし、実際には基本設計の段階から既に構造設計士において架構の検討なども行われており、確認申請の提出までに意匠図との整合性が取れているよう、構造計算書に基づいた柱や梁等の断面寸法を固めておく必要があります。
意匠図と構造図は同じ建築物の設計図でも考え方や描かれているものはまったく異なり、主に間取りやデザイン・仕上げの納まりについて描かれた意匠図に対し、構造図は構造躯体とその納まりのみを表現した図面です。
意匠図が建物の品質を上げ、住む人の居住性を向上させるための図面であるとすれば、構造図は建物の強度を上げ、万が一の場合に人命を確保するための図面であると言えます。
現場監督の仕事の一つとして、「図面の確認」も挙げられます。
まずはしっかりと構造図を読めるようになって、意匠図との整合性が取れているか、矛盾がないかどうかをチェックできるようになりましょう。
構造を知ることで建物がわかる
意匠図に比べると構造図は地味で面白みがないと感じられるかもしれません。
だから、最初はなんとなく「難しい」「取っ付きにくい」と思う人も多いのですが、構造について知ることで建築物や施工という仕事はより面白くなってきます。
まずは、それぞれの構造図を見比べて、それを立体的に理解していく所から始めましょう。
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意匠図と構造図は同じ建築物の設計図でも考え方や描かれているものはまったく異なり、主に間取りやデザイン・仕上げの納まりについて描かれた意匠図に対し、構造図は構造躯体とその納まりのみを表現した図面です。
意匠図が建物の品質を上げ、住む人の居住性を向上させるための図面であるとすれば、構造図は建物の強度を上げ、万が一の場合に人命を確保するための図面であると言えます。
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