建築基準法における用途地域の種類13種|用途地域の調べ方3つ
こちらの記事では、建築基準法における用途地域の種類についてご紹介いたします。
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建築基準法における用途地域とは?
用途地域とは、建てられる建物の種類や用途が定められた地域のことを指します。
用途地域は12種類に分かれており、効率的に活動でき、環境が守られるように定められています。
用途地域の目的
・人が効率的に活動できるように定められている
用途地域は、主に住居・商業・工業系に分かれています。
それぞれ似たような建物を集めて建築することで、効率的に活動できるようになります。
たとえば住宅地に工場が混じっていると、業務上の利便性や生活環境が悪くなってしまいます。
そのため、都市計画では土地をいくつかの種類に区分し、これが用途地域となっているのです。
・すべての土地に定められているわけではない
用途地域はすべての地域に定められているわけではありません。
都市計画などによって「市街区域」と「非線引き区域」、「準都市計画区域」になっている区域が対象です。
用途地域は12種類のエリアに分類されます。
その詳しい種類について次の項で紹介します。
【用途別】 建築基準法における用途地域の種類13種
用途地域には、主に住居系、商業系、工業系の3種類に分類され、さらに分類ごとのエリアに分かれます。
・第一種低層住居専用地域
低層住宅を建てるための地域です。
小規模店舗や事務所兼自宅、小中学校などが対象です。
・第二種低層住居専用地域
低層住宅を建てるための地域です。
小中学校だけでなく、150平方メートルまでの店舗などが建てられます。
・第一種中高層住居専用地域
中高層住宅を建てるための地域です。
病院や大学、500平方メートルまでの店舗などを建てられます。
・第二種中高層住居専用地域
主に中高層住宅を建てるための地域です。
病院、大学、1,500平方メートルまでの店舗や事務所などを建てられます。
・第一種住居地域
住居の環境を守るための区域です。
3,000平方メートルまでの店舗や事務所、ホテルなどが建てられます。
・第二種住居地域
主に住居の環境を守るための区域です。
店舗、事務所、カラオケボックスなどを建てられます。
・準住居地域
道路の沿道で自動車関連施設やこれらと調和した住居などの環境を保護するための区域です。
・近隣商業地域
住民が日用品の買い物などを行う地域です。
小規模の工場も建てられます。
・商業地域
銀行、百貨店、飲食店などを建てられる地域です。
・準工業地域
軽工業の工場やサービス施設などを主に建てられる地域です。
・工業地域
どんな工場でも建てられる地域です。
ただし学校や病院、ホテルなどは建てられません。
・工業専用地域
工場専用の地域です。
どんな工場でも建てられます。
住居系の用途地域1:第一種低層住居専用地域
建築基準法における住居系の用途地域1つ目は、第一種低層住居専用地域です。
低層住宅に関係する住居の良好な環境を保護する目的を持つ地域で、閑静な住宅街を実現するために存在しています。
第一種低層住居専用地域で建設が認められるのは、住居専用の住宅・事務所や店舗が一体になった兼用住宅の一部・幼稚園・小学校・中学校・図書館・老人ホームです。
兼用住宅は一部しか認められないため、対象範囲などを事前によく確認してください。
また、兼用住宅でない一般的な住居専用住宅の場合も、高さや日影に関する制限および規制があります。
低層住宅専用地域とあるように、建設可能な高さは低層に限定され、周囲に与える日影問題についても考慮しなければなりません。
住居者以外が訪れる率が低いため、住宅街としては閑静で落ち着いたエリアを実現できます。
日影規制も厳しいため、近くの建物が原因で家に日が入らないなど問題が生じる可能性も極めて低いと言えます。
しかし、第一種低層住居専用地域では、店舗・事務所・商業施設・ホテル・工業施設・病院・銀行・大学などが建設できません。
病院や銀行は日常の中で必要になる施設なので、時として不便と感じられることもあるでしょう。
また、コンビニなど利便的な商業施設も建設できないことから、周辺環境における便利さは低下する地域となります。
住居系の用途地域2:第二種低層住居専用地域
建築基準法における住居系の用途地域2つ目は、第二種低層住居専用地域です。
第一種低層住居専用地域と同様に、低層住宅に関係する住居の良好な環境を保護することを主な目的とした地域となります。
ただし、第一種低層住居専用地域より制限がやや緩和されています。
たとえば、日用品販売店・喫茶店・理髪店・パン屋・洋服店などの店舗は、条件に適う建て方であれば第二種低層住居専用地域のエリア内に建設することができます。
日用品販売店・喫茶店・理髪店などにおける条件は、床面積150㎡以下の2階建てです。
パン屋・洋服店などの場合は、作業場面積が50㎡以下の2階建て以下であれば許容されます。
また、屋根付きの駐車場なども建設することができます。
しかしながら銀行や病院など大型の施設は建設できないため、第一種低層住居専用地域と同様に不便さは拭えません。
住居系の用途地域3:第一種中高層住居専用地域
建築基準法における住居系の用途地域3つ目は、第一種中高層住居専用地域です。
中高層住宅に関係する住居の良好な環境を保護する目的を持つエリアで、各低層住居専用地域よりも高さのある建物が建設されます。
第二種低層住居専用地域にあった建設の制限が緩くなり、飲料店・損保代理店・銀行支店・不動産会社・大学・病院などを建てることができます。
飲料店・損保代理店・銀行支店・不動産会社の場合は500㎡以下に限りますが、各低層住居専用地域よりは大幅に緩和されています。
住居の容積率制限も緩和されているので、中高層マンションも建設可能です。
生活に必要な店舗や施設があるエリアなので人の出入りが多くなりますが、付近で暮らす人にとっての利便性も向上しています。
住居系の用途地域4:第二種中高層住居専用地域
建築基準法における住居系の用途地域4つ目は、第二種中高層住居専用地域です。
第一種中高層住居専用地域と同じく、中高層住居に関係する住居の良好な環境を保護する目的を持つエリアです。
ただし、第一種中高層住居専用地域よりは店舗や事務所の建設制限が緩和されています。
1,500㎡の2階建て以下であれば、問題なく店舗や事務所を建設できます。
事務所に関しては、これまでの用途地域では条件さえ見合えば建てられますが、基本的には不可としているものばかりでした。
厳しい条件なく、事務所をある程度まともに建設できるのは第二種中高層住居専用地域からです。
また、第二種中高層住居専用地域になると、火薬・石油類・ガスなど危険物の貯蔵施設または処理施設も建設が許可されます。
産業や工業に関わる建物が増えるため、これらが建設できない用途地域と比べると、営業・稼働時間内のにぎやかさは増加します。
住居系の用途地域5:第一種住居地域
建築基準法における住居系の用途地域5つ目は、第一種住居地域です。
基本的には低層や中高層など高さを問わず、住居に害のない環境を保護する目的を持つエリアです。
第二種中高層住居専用地域にある制限を緩和した地域で、店舗は種類を問わず3,000㎡まで建設できます。
また、事務所も同様に3,000㎡までなら建設可能です。
居住用の建物に関しては、大規模マンションが建設できます。
ホテル・旅館・遊戯施設・自動車教習所なども許容されますが、範囲は3,000㎡以下に制限されています。
自動車修理工場なども含め50㎡であれば工場も建設できますが、環境悪化の可能性やその他危険性が極めて少ない場合に限ります。
住居系の用途地域6:第二種住居地域
建築基準法における住居系の用途地域6つ目は、第二種住居地域です。
住居環境を保護する目的を主とする用途地域ですが、第一種住居地域が持つ緩和制限がさらに緩くなっています。
事務所は床面積が無制限となり、第二種住居地域まできてやっと自由度の高い建設が可能となります。
また、カラオケボックス・パチンコ店・馬券発売所なども10,000㎡以下なら建設可能です。
比較的規模の大きい店舗・遊戯施設・ギャンブル系商業施設もみられるようになるため、多くの人が出入りするエリアとなります。
ギャンブル系商業施設や人の多さなどに懸念がある場合は、第二種住居地域に関して慎重な検討が必要です。
住居系の用途地域7:準住居地域
建築基準法における住居系の用途地域7つ目は、準住居地域です。
このエリアには、道路の沿道地域が持つ特性に合う業務の利便性向上を図るとともに、業務と地域特性に調和した住居環境を保護する目的があります。
住居地域という名称ではありますが、主として建てられるのは道路の沿道地域の特性に合う業務を行う施設や店舗です。
倉庫などの工業施設や商業施設も問題なく建設できます。
劇場や映画館など多くの人が娯楽で出入りする建物が建設されることも多いエリアなので、閑静な住宅街は実現できません。
そのため、静かな住居および周辺環境を希望する場合には検討が必要です。
住居系の用途地域8:田園住居地域
建築基準法における住居系の用途地域8つ目は、田園住居地域です。
農業に関する利便性の向上を図るとともに、この事情と調和する低層住宅の良好な住居環境を保護する目的を持つエリアです。
2017年に新しくできた用途地域で、都市部の農地(生産緑地)をそのまま活用する政府の取り組みから誕生しました。
第一種低層住居専用地域で建設が認められる建物に加えて、農業関係の施設を建てることができます。
商業系の用途地域1:近隣商業地域
建築基準法における商業系の用途地域1つ目は、近隣商業地域です。
このエリアには、近隣住宅で暮らす住民への日用品供給を主な業務とする商業の利便性向上を図る目的があります。
店舗や事務所の建設に関わる床面積制限が完全になくなるため、商業関連の建物がたくさん立ち並びます。
スーパーや商店街などが設けられることも多いです。
また、環境悪化や危険性が極めて少ない工場も150㎡以下なら建設可能です。
自動車修理工場に関しては、300㎡以下までと他工場より制限が緩くなっています。
危険物の処理や貯蔵を行う施設も、取り扱う火薬・石油類・ガスなどの量が少なければ建設できます。
商業系の用途地域2:商業地域
建築基準法における商業系の用途地域2つ目は、商業地域です。
商業施設の利用・運営に関わる利便性向上を目的とするエリアで、住居よりも店舗や事務所が圧倒的に多くなります。
近隣商業地域よりもさらに制限が緩く、広さや高さに関してほぼ全ての施設が許可されます。
そのため、大型スーパー・ビル・ターミナル駅・超高層マンションなどが積極的に建設されています。
たくさんの人が出入りする大型の建物が立ち並ぶため、商業地域の多くは街の中心地となっています。
危険性や環境悪化のリスクがある工場は建てられませんが、危険物の処理や貯蔵の量がやや多い施設は建てられます。
工業系の商業地域1:準工業地域
建築基準法における工業系の用途地域1つ目は、準工業地域です。
このエリアには、環境悪化のリスクがない工業の利便性向上を図る目的があります。
危険物の処理や貯蔵の量が多い工場の他、危険性や環境悪化のリスクが少しある工場も建設できます。
名称的には工業系ですが、商業施設のように用途が幅広いため、商業系の建物を建設することも可能です。
しかし、危険性がやや高い工業施設が立ち並ぶエリアなので、排気ガスなど健康被害を考慮して商業系は避けるべきと言われています。
工業系の商業地域2:工業地域
建築基準法における工業系の用途地域2つ目は、工業地域です。
準工業地域以上に工業を促進するエリアで、環境悪化のリスクやその他危険性が考えられる工場などを自由に建設できます。
その代わりに、ホテル・旅館・映画館・劇場など商業施設は建てられなくなります。
また、学校・病院・10,000㎡以上の店舗も建設できません。
住宅の建設は可能なので、工場跡地などに一戸建てやマンションが建てられることもあります。
しかし、周辺に工場がある場合は大型車両の交通量が多く、排気ガスによる健康被害も心配です。
工業系の商業地域3:工業専用地域
建築基準法における工業系の用途地域3つ目は、工業専用地域です。
名称の通り工業施設に限定されたエリアで、住居も含め工業施設以外は建設できなくなります。
用途地域はそのほとんどが住居環境の保護に根差す目的を持つため、商業や工業などの施設で制限はあっても、基本的にどこでも住居は建設可能です。
つまり、住居が建設できない用途地域は工業専用地域だけなのです。
もちろん、遊戯施設や公共施設も建てることはできません。
用途地域の調べ方3つ
用途地域は、自治体に聞く・インターネットで調べる・不動産会社に問い合わせるといった3つの方法で調べることができます。
調べ方によって得られる情報の深さや、都市計画図の入手方法などに違いがあります。
手軽に調べるなら、いつでもどこでも環境さえあれば使えるインターネットを活用することをおすすめします。
しかし、紙でできた現物としての都市計画図がほしい場合には、自治体の担当課に足を運ぶ方法が向いています。
調べ方それぞれに特徴があるため、確認しておきましょう。
用途地域の調べ方1:自治体に聞く
用途地域の調べ方1つ目は、自治体に聞く方法です。
各自治体には、都市計画課など地域の土地状況に関する担当があります。
その担当課の窓口で、知りたいエリアの都市計画図を見たり買ったりすることができます。
都市計画図における用途地域は、色分けで示されています。
色分けの仕方は自治体で異なる場合もありますが、大きな違いは大方ありません。
また、色分けされていない白色の部分は、用途地域としての目的を持たない土地を意味します。
場合により1つの土地に2つの用途地域指定がされていることもあるので、使い方に関してよく分からない時には自治体の担当者に相談してみましょう。
用途地域の調べ方2:インターネットで調べる
用途地域の調べ方2つ目は、インターネットの利用です。
土地の状況は、インターネットで簡単に調べることができます。
検索エンジンを開き、状況を知りたい市区町村名と用途地域または都市計画図と入力して検索をかけると、その情報を閲覧することができます。
簡単かつ手軽に調べることができる方法ですが、その土地のことを知っている人だからこその深い情報を得ることはできません。
また、国土交通省のサイトでも用途地域について分かりますが、知識がないと分かりにくい内容になっています。
そのため、独自に調べる中で分からないことがあった時は、自治体の担当者や不動産会社に聞いてみるとよいでしょう。
用途地域の調べ方3:不動産会社に問い合わせる
用途地域の調べ方3つ目は、不動産会社に問い合わせることです。
個人で調べることも可能ですが、土地や住居など不動産を選ぶ時には他の要素も含めて考える必要があります。
取り扱う不動産とその地域の情報に詳しい不動産会社であれば、用途地域のことも含めてどのようなエリアなのか教えてもらえる可能性があります。
同じ用途地域でも場所によって存在する店舗・施設・工業・住居の種類には違いがあるため、取り扱い地域に特化した知識を持つ不動産会社も頼りになります。
建てられる建物を知っておく必要がある
建築基準法などによって、建てられる建物が決まっている地域があるので、施工管理技士などは事前に確認しておきましょう。
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