塔状比が大きい建造物の設計方法4選|塔状比についてなども紹介

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こちらの記事では、塔状比が大きい建造物の設計方法についてご紹介いたします。
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塔状比について
塔状比とは、建築物の高さ方向と幅方向の長さの比率のことです。言い換えると、建築物がどの程度細長いかを数値で表したものです。
塔状比は「建築物の高さ÷建築物の幅」という式で計算できます。この式の値が4以上だと、その建築物は塔状建物と呼ばれます。塔状建物は地震や台風などによる揺れから大きな影響を受けるので、揺れに対する様々な性能が必要になります。
塔状比4以上の場合
過去の研究結果や地震の被害例から建築基準法には、塔状比4以上の建築物に対して「転倒しない」ことが明記されています。塔状比が4以上になると支点の引き抜きが生じる可能性があります。
支点には杭があり、杭は地震が発生した際の引抜抵抗力を考慮して設計されます。この塔状比の値が大きくなればなるほど、杭に必要な引抜抵抗力も大きくなります。杭表面積を大きくすることで、引抜抵抗力は大きくなります。
塔状比とアスペクト比の関連性とは
アスペクト比とは、長方形の長辺と短辺の比率のことです。 PCの画面などでよく用いられる用語です。アスペクト比は縦横比と横縦比の2種類があります。縦幅が長い場合は縦横比、横幅が長い場合は横縦比を使用します。
建築物の場合のアスペクト比は「高さ÷幅」で表され、建築業界ではこの比を塔状比と呼んでいます。つまり塔状比はアスペクト比の一種で、建築業界特有の表現と言えます。
計算の仕方
塔状比の計算方法は「高さ÷幅」で表すことができます。一方、アスペクト比は縦横比と横縦比の2種類があり、計算の仕方が変わります。
縦長のものは縦横比を使い、「縦幅÷横幅」という計算を行います。横長のものに対しては横縦比を使い、「横幅÷縦幅」という計算を行います。塔状比の場合は1以下の値になることもありますが、アスペクト比は基本的に1以上の値をとります。
塔状比が大きい建造物の設計方法4選
塔状比が4以上の建築物は4未満の設計方法とは異なる方法を取ります。なぜなら同じように設計してしまうと倒壊の恐れがあるからです。
塔状比が大きい建築物の設計には重心を下げたり、杭を設置したりする必要があります。また、杭の強度を上げたり、免震ゴムを使用したりする必要もあります。ここからは塔状比が大きい建造物の設計方法を4つご紹介します。
塔状比が大きい建造物の設計方法1:重心を下げ重くする
塔状比が大きい建造物の設計方法の1つ目は「重心を下げ重くする」です。建造物が高くなるにしたがって質量も大きくなります。そのため質量を支える1階の柱は太くする必要があります。
しかし外観的にあまり良くないので、階が高くなるにつれて質量を軽くしていきます。そうすると重心が下がり、倒れにくくなります。また、建造物の基礎の部分を重くすることで重心がさらに下がり、地震に強い建造物になります。
塔状比が大きい建造物の設計方法2:杭設置し浮きにくくする
塔状比が大きい建造物の設計方法の2つ目は「杭設置し浮きにくくする」です。塔状比4の建造物の頂部を横に押すとテコの原理により、押した力の4倍の力が建造物の根本付近にかかることになります。
仮に塔状比4の建造物の重心が真ん中にあるとすると質量の25%の地震の力で建造物が浮き上がることになります。地震の力で浮き上がるのを避けるために杭を設置する必要があるのです。
塔状比が大きい建造物の設計方法3:柱の強度を上げる
塔状比が大きい建造物の設計方法の3つ目は「柱の強度を上げる」です。建造物に力が加わると柱はわずかに伸び縮みします。建造物の高さが高くなると、このわずかな伸び縮みも無視できない変形になります。
地震が発生した際は地震によって曲がる変形と伸び縮みの変形の足し算になるため、柱の強度が弱いと簡単に壊れてしまいます。曲がりや伸び縮みによって変形しない強度が必要です。
塔状比が大きい建造物の設計方法4:免震ゴムに注力する
塔状比が大きい建造物の設計方法の4つ目は「免震ゴムに注力する」です。免震を施した建造物に使用される免震ゴムは引張力に弱い特徴を持っています。
そのため免震ゴムに生じる引張力は制限されていますが、塔状比が大きい建造物の場合、地震の時に生じる柱の押し引きが大きくなるため、設計が困難になります。実際の現場では、部分的に引張力に耐えることができる装置に代替する処置が取られます。
塔状比が大きい国内外の建造物5選
国内外には塔状比が大きいことで有名な建造物があります。敷地面積が狭いため、仕方なく塔状比が大きくなったものから、ランドマークにするためにデザインされたものまで、塔状比が大きくなる理由は様々です。

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国内では塔状比が10を超えるものは少ないですが、国外にはたくさんあり、ニューヨークには塔状比が20を超えるような建造物まであります。ここからは塔状比が大きい国内外の建造物を5つご紹介します。
塔状比が大きい国内外のビル1:ペンシルビル
塔状比が大きい国内外のビルの1つ目は「ペンシルビル」です。ペンシルビルの採用例は東京都北区にある地上10階建の集合住宅です。
ペンシルビルには、軽量コンクリートと軽量骨材が使用されています。軽量コンクリートを使用することでビル全体の重さを軽くすることができるため、杭の本数を減らしたり、杭の表面積を小さくしたりすることができます。その結果、大幅なコストダウンを図ることが可能です。
塔状比が大きい国内外のビル2:京王プラザホテル
塔状比が大きい国内外のビルの2つ目は「京王プラザホテル」です。京王プラザホテルは東京都新宿区にある宿泊施設で、客室数は1438室あります。
地上47階建で、最高部の高さは179.55mです。鹿島建設が施工し、1971年6月5日に開業しました。当時は世界一の超高層ホテルとして建設され、1974年に新宿住友ビルに抜かれるまでは日本一の高さの超高層ビルでした。
塔状比が大きい国内外のビル3:東京スカイツリー
塔状比が大きい国内外のビルの3つ目は「東京スカイツリー」です。東京スカイツリーは東京都墨田区にある展望・放送施設です。日建設計が設計し、大林組が施工を担当しました。
高さは634m、足元の一辺の長さは約68m、重さは約36,000tです。地上350mの展望デッキには約2,000人、地上450mの展望回廊には約900人収容できます。
塔状比が大きい国内外のビル4:スーパー・スレンダー
塔状比が大きい国内外のビルの4つ目は「スーパー・スレンダー」です。スーパー・スレンダーは20年以上前からニューヨーク市に登場し始めた細長い高層ビルの総称です。
50〜100階建の高さで、そのほとんどが居住スペースです。塔状比が10以上の建造物を「スレンダーネス」という言葉で表現されるようになりましたが、最近では塔状比23の超スレンダーネスなビルも建設されています。
塔状比が大きい国内外のビル5:432パーク・アベニュー
塔状比が大きい国内外のビルの5つ目は「432パーク・アベニュー」です。432パーク・アベニューはニューヨークにある居住用のビルで、高さは地上426mあります。
85階建で、塔状比は15です。ウルグアイ人の建築家ラファエル・ヴィニオリが設計を担当しました。23メートルプールやジムなど、豊富なアメニティも揃っています。
塔上比が高いビルが建てられる理由とは

大型のオフィスビルの場合は、トイレやエレベーターの両側に奥行き20mほどのオフィス空間を作ります。これ以上大きくすると柱が必要になるなどしてコストがかかってしまいます。
ホテルの場合は廊下とその両側に客室があれば十分ですし、客室には窓が必要なので、幅を広げたとしても客室が増やせるわけではないです。高さを高くすることで新たなオフィスや客室を創り出せるので、メリットがあります。
ペンシルビルができる理由
銀座のような地価が高い場所はビルを建てる敷地を狭くせざるを得ません。土地を有効活用するためには建物をどんどん上に積み上げるしかありません。そのため自然に細長くなっていきます。
以前はビルの高さは31mまでという制限がありましたが、1998年に銀座の住民が中央区と話し合い、高さ制限が56mまでという「銀座ルール」ができて以来、さらにビルが細長くなる傾向があります。
超高層ビルができる理由
現在、都市部を中心に超高層ビルが盛んに建設されています。その背景には鉄筋コンクリートの性能の向上が挙げられます。
鉄筋コンクリートは引張力や曲げる力に強い鉄筋と圧縮に強いコンクリートが組み合わされてできています。この建築資材は耐久性や耐震性に優れており、超高層ビルの発展に影響を及ぼしています。更なる技術革新により、今後ますます超高層ビルが建てられていくでしょう。
塔状比について理解しましょう
塔状比とは、建造物の高さと幅の比で「高さ÷幅」で表すことができます。建造物の転倒の観点から塔状比4以上の建造物に対しては重心を下げたり、杭を設置したりと特別な処置が必要です。
日本のペンシルビルの塔状比は7以上でとても細長いですが、ニューヨークにあるスーパー・スレンダーと呼ばれるビル群の塔状比は10以上あります。塔状比を意識すれば、ビルの見え方も変わってくるでしょう。
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