現場で働く作業員に年齢制限はあるのか？

現場で働く作業員には基本的に年齢制限はありません。

企業などに勤める会社員の場合、60歳程度で定年となることがあります。しかし、たくさんの知識や技術を持つ高齢のベテラン社員も多くいるため、定年の年齢を引き上げる動きが広がっています。

建設業界は人手不足の状態のため、高齢の作業員も貴重な存在となっています。何十年も築いてきた技術や知識が必要とされているからです。

高齢者の作業員に対する働きやすい環境づくり9つ

たくさんの知識や技術を持っているとはいえ高齢者であるため、高齢者が働きやすい環境づくりが必要です。

体力的な衰えや健康面についての問題など、高齢者だからこそ考慮する点がいくつかあります。健康で安全に長く働いてもらうために整えた方がよい、働きやすい環境づくりを9つ紹介します。

• 夏場・冬場の作業環境に対する注意
• 柔軟な勤務体制づくり
• 定期的な健康診断の実施
• 身体に負担のかかる作業への注意やケガ防止対策
• 転倒や墜落などの事故防止の徹底
• 高所作業の際の健康チェック
• 高齢者の作業員を対象にした特別教育の実施
• 高齢者作業員の単独作業はさせない
• 高齢者と一目でわかるような工夫

1：夏場・冬場の作業環境に対する注意

個人差がありますが、高齢になると温度への耐性や体温調整能力が低下してくるため、高齢者の作業員がいる場合は注意しなければいけません。

夏場の作業では熱中症予防のための対策、冬場は適切な防寒具を使用してもらうなど、作業環境を整えるようにしましょう。

また、休憩時間をしっかりと確保し、夏場や冬場でも安全に作業できるように配慮する必要があります。

出典：高齢者の身体と疾病の特徴｜公益社団法人東京都医師会

2：柔軟な勤務体制づくり

高齢の作業員に安心して働いてもらうためには柔軟な勤務体制をつくることが必要です。

仕事の内容や時間などは年齢だけでなく、個人の能力差に配慮しましょう。個人の特徴を把握して作業する内容や時間などの調整が必要です。

高齢者は急な仕事内容の変更や仕事量の変更に適応しにくいことがあるため、作業の進捗状況などをこまめに確認し、それぞれのペースで作業できるような勤務体制をつくりましょう。

3：定期的な健康診断の実施

加齢に伴った心身機能の変化を、高齢者の作業員が自覚できていないこともあるため、定期的な健康診断を実施する必要があります。

定期的に健康診断を実施していれば、心身機能に合う無理のない作業の方法を考えられます。その時の心身機能を把握し、状況に応じた業務内容に変更して、無理や事故が起きないように対策しておくことが必要です。

4：身体に負担のかかる作業への注意やケガ防止対策

加齢に伴い筋力や判断力が低下することから、身体に負担のかかる作業への注意やケガ防止対策をしなければいけません。

筋力が必要な仕事を減らしたり、補助具を使用したりするなどしてケガをしないように対策しましょう。また、集中しないといけない作業が長時間にならないように配慮する必要もあります。

5：転倒や墜落などの事故防止の徹底

転倒や墜落などの事故防止するために足場や脚立などを使用する場合は安定したものを使用したり、段差や傾斜のない滑りにくい床にしたりするなどの事故防止を徹底しなければいけません。

高齢者はバランス能力が低下しやすくなります。ちょっとした傾斜や段差などがつまずく事故に繋がることもあるため、転倒しやすい場所には手すりを付けるなど、高齢者の作業員が働く場所には配慮しましょう。

6：高所作業の際の健康チェック

高所作業の際の事故を防ぐためには、心身ともに健康で高所での作業ができるかチェックをするようにしましょう。

健康チェックでは作業前に作業内容や作業環境などに危険がないかを確認し、作業員も姿勢や動作だけでなく、表情や会話などにも問題がないかをチェックし、事故が起こらないようにします。

7：高齢者の作業員を対象にした特別教育の実施

高齢者の作業員が健康で安全に働くために加齢による影響などが、作業にどのように出るのかを教える特別教育を実施しましょう。

一般的な加齢による注意点だけでなく、現場の作業に特化した注意点を教えることで事故や怪我などを未然に防ぎ、高齢者の作業員が安全に働きやすい職場となります。

高齢者の作業員自身に年を重ねれば心身機能は低下し、病気になるリスクも高まることを理解してもらい、無理なく安全に能力を発揮してもらうための教育をすることは大切です。

8：高齢者作業員の単独作業はさせない

高齢者の作業員には事故や怪我を防ぐためにも単独作業させないようにしましょう。

高齢者の作業員が暑い時期の作業や危険が伴う作業を行う時は、単独作業をさせないように対策する必要があります。加齢により思わぬ事故に繋がることもあるため、単独作業の危険性を説明し、安全に作業ができるように複数で作業するなど、働きやすい環境づくりをしましょう。

9：高齢者と一目でわかるような工夫

現場での作業中は一目で年齢はわかりにくいため、高齢者だとわかるマークを作業着に付けるなどの工夫が必要です。

高齢者であることを周りがわかっていれば、高齢者に向かない危険な作業や高所での作業などを避けられます。高齢者本人が加齢による能力の低下を自覚できていない場合は、周りが作業させないことで事故を未然に防げるでしょう。

現場代理人の年齢制限について

現場代理人に年齢制限はありません。

現場代理人に明確な年齢制限はありませんが、建設業者の社員であることが多いため、所属している企業に定年があれば、その年齢が上限となります。

しかし、建設業界は人材不足のため、定年以上の年齢の現場代理人も増えてくるでしょう。

高齢者が現場代理人になる可能性は？

現場代理人に年齢制限はないため、高齢者が現場代理人になる可能性はあります。

年齢制限もありませんし、社員でないといけないということもないため、高齢者が現場代理人になる可能性はあるでしょう。

しかし、とても忙しい役職のため無理のないように配慮する必要があります。

高齢者が働きやすい環境づくりについて

高齢者が現場代理人として働くために危険のない働きやすい環境を整えたり、年齢制限があるのかどうかを把握したりしておきましょう。

高齢でも忙しい役職がこなせるように適した環境づくりはとても大切です。加齢により低下している能力を補えるように環境づくりをしましょう。

また、年齢制限がなければ高齢でも現場代理人を勤められるため、能力に合わせて判断しましょう。