新3Kとは?建設業界がどう変化するのか
新3Kとは建設業界が掲げる新しい取り組みのことを指します。
この3Kとは、「給与・休暇・希望」のことを指しており、これを実現させることが人手不足解消の第一歩であることを示しています。
本記事では、新3Kとはなにか、新3Kによって建設業界はどのように変化していくのかなどを紹介します。
施工管理技術者も知っておくと便利な内容ですので、ぜひご覧ください。
人手不足が加速する建設業界
建設業界は慢性的に人手不足に陥っているとされます。
国土交通省の資料によると、建設業界における就業者のピークは1997年の約685万人とされています。
それ以降は徐々に減少しており、2017年には約500万人になりました。
これはピーク時から約27%も減少しています。
また建設業者数も減少しており、ピークの1999年と2015年を比較すると、約22%減少しているという結果になりました。
なぜここまで建設業界では人手不足が進行しているのでしょうか。
その理由の一つには、労働時間の長さが挙げられます。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると、2018年は175.3時間となっています。
これと比較すると、製造業は170.8時間、全産業の平均は167.5時間となっているため、建設業が他産業よりも労働時間が長いことが分かります。
3Kのイメージが強い
さらに建設業界が従来の3K(汚い・きつい・危険)のイメージがあることも原因の一つとされています。
厚生労働省が行った「雇用管理現状把握実態調査(平成24年度)」によれば、「若手の技能労働者が定着しない理由」に「作業がきつい(42.7%)」が挙げられています。
さらに「労働に対しての賃金が低い(24.2%)」、「休みが取りづらい(23.5%)」なども理由となっていました。
このように建設業界へのマイナスイメージが人手不足を進行させている一因とされています。
出典:国土交通省「建設産業の現状と課題」
新3Kとその内容
建設業界や国土交通省はマイナスイメージを払拭し、人手不足を解消するため「新3K」という取り組みを行っています。
新3Kとは「給与」、「休暇」、「希望」の3つです。
この3つの環境を整備することで、中長期的な担い手確保が期待できるとしています。
では新3Kを実現するために行われている国土交通省直轄工事における取り組みを紹介します。
給与
・「労務費見積もり尊重宣言」促進モデル工事
日建連では「労務費見積もり尊重宣言」をしており、これを踏まえて下請企業からの意見を尊重する企業を優位に評価しているとしています。
たとえば発注者は、入札契約手続きの審査基準日までに参加企業が「労務費見積もり尊重宣言」をしているかを確認する必要があります。
さらに労務費を内側明示した誓約書も確認します。
この双方を満たしていれば、1点が加点されます。
さらに2020度は全国モデル工事を発注するとされています。
・CCUS義務化モデル工事など
一般土木ではCCUS活用の目標を達成した状況に応じて、成績評定を加点するモデル工事を発注するとしています。
2020年度では義務化モデル工事が約10件、活用推奨モデル工事が約30件の発注予定となっています。
休暇
・週休2日対象工事
週休2日を確保した状況に応じて、労務費などが補正されます。
また成績評定が加減点される「週休2日対象工事」を発注するとしています。
週休2日対象工事では、週休2日が確保できるような工期設定や経費補正が実施されています。
さらに2024年4月からは、建設業でも時間外労働に関する罰則が適用されるとしています。
国土交通省は、2020年度は原則すべての工事を「週休2日対象」にすると公告しました。
・適正な工期設定指針
工期を適正なものに設定するための具体的で定量的な指針が2020年3月に策定公表されました。
主な内容は施工実日数、準備片付け期間、休日や天候などを考慮することや、溶融機関制度を原則活用することなどです。
希望
・i-Constructionの推進
建設業の全体的な生産性を向上させるため、必要経費の計上だけでなく総合評価や成績評定を加減点する「ICT施工」を発注するとしています。
また、BIM/CIMの活用や規格の標準化、新技術の活用なども推進されます。
新技術を活用に向けて、民間から新技術の提案を受けたり、現場実装に向けた基準の整備などを行われたりしています。
さらに今後は、大容量・多数同時接続の特徴を持っている5Gを活用した無人化施工も推進されます。
・中長期的な発注見通しの公表
品確法の改正に伴い、2020年度より中長期的な工事発注の見通しが作成・公表されます。
・誇り・魅力・やりがいの醸成
既存のブランドを再構築するリブランディングの提言が2020年1月に取りまとめられました。
出典:国土交通省「新3Kを実現するための直轄工事における取組」
新3Kで人手不足解消の実現が期待されている
従来の建設業界へのイメージを覆すのはなかなか難しいと考えられています。
しかし新3Kによって、新しいイメージが定着すればこれまで建設業界を敬遠していた人も就業を希望するようになるかもしれません。
今後、環境整備がさらに進めば、将来的に人手不足が解消される日が来ることが期待されます。
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