消防設備士として独立開業するには?必要な資格や注意点を紹介
消防設備士として独立したいと考えている方の中には「どのような資格が必要なんだろう」と疑問を持っている方もいるでしょう。
消防設備士として働ける資格さえ持っていれば、独立後も問題なく働くことが可能です。
今回は、独立する際に必要な資格や登録すべきものを紹介した上で、開業資金や年収などについて紹介します。
独立する際の注意点やおすすめの営業方法も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
消防設備士として独立する際に必要な資格や登録すべきもの
消防設備士として独立する際には、以下の3種類の資格・保険が主に必要です。
- 消防設備士の資格
- 電気工事士の資格
- 一人親方労災保険
それぞれの資格や登録すべきものについて詳しく紹介するので、消防設備士として独立を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
消防設備士の資格
消防設備士として独立して働くためには、消防設備士資格が必要です。
資格には甲種と乙種の2種類があり、取得する種類によって以下のように業務範囲が異なります。
- 甲種:消防設備等または特殊消防用設備等(特類の保有者のみ)の工事・整備・点検
- 乙種:消防用設備等の整備・点検
また資格の区分によって対応できる設備が異なり、区分ごとの特徴について以下の表にまとめました。
種類 | 区分 | 対応できる設備 |
---|---|---|
甲種 | 特類 | 特殊消防用設備(従来の消防用設備等に代わり、総務大臣が当該消防用設備等と同等以上の性能があると認定した設備) |
甲種または乙種 | 第1類 | ・屋内消火栓設備 ・スプリンクラー設備 ・水噴霧消火設備 ・屋外消火栓設備 ・パッケージ型消火設備 ・パッケージ型自動消火設備 ・共同住宅用スプリンクラー設備 |
第2類 | ・泡消火設備 ・パッケージ型消火設備 ・パッケージ型自動消火設備 | |
第3類 | ・不活性ガス消火設備 ・ハロゲン化物消火設備 ・粉末消火設備 ・パッケージ型消火設備 ・パッケージ型自動消火設備 | |
第4類 | ・自動火災報知設備 ・ガス漏れ火災警報設備 ・消防機関へ通報する火災報知設備 ・共同住宅用自動火災報知設備 ・住宅用自動火災報知設備 ・特定小規模施設用自動火災報知設備 ・複合型居住施設用自動火災報知設備 | |
第5類 | ・金属製避難はしご ・救助袋 ・緩降機 | |
乙種 | 第6類 | 消火器 |
第7類 | 漏電火災警報器 |
すべての資格を保有していることが理想ですが、最低限必要な資格は消防設備士「甲種4類」と「乙種6類」です。
甲種4類の資格では、以下の3種類の点検整備や工事が可能となります。
- 自動火災報知設備
- ガス漏れ火災報知設備
- 火災通報装置
また、乙種6類の資格を取得すると、消火器の点検・整備が可能となるため、甲種4類と乙種6類を保有すれば消防設備士として十分に業務ができます。
消防設備士の資格について詳しく知りたい方は、以下の記事も確認してみてください。
>>消防設備士の難易度・合格率は?受験資格や合格するための勉強方法を解説
電気工事士の資格
独立後に行いたい業務に応じて、電圧600V以下の電気工事を行うために必要な資格である「第2種電気工事士」の資格取得もおすすめです。
消防設備士として業務を行っている中で、誘導灯の新設や交換などを行う際には、第2種電気工事士の資格が必須となります。
消防設備の点検や整備に付随する電気関連の業務を行えるようになるため、独立をする際には第2種電気工事士を取得しておくことをおすすめします。
電気工事士の資格について詳しく知りたい方は、以下の記事も見てみてください。
>>電気工事の資格とは?第一種・第二種電気工事士の試験内容や難易度を解説
一人親方労災保険
個人事業主の消防設備士は業務の実態や災害発生状況が限りなく労働者に近いため、国が独立した消防設備士に対して特別に労災保険に加入を認めています。
独立後は日当保証がないため、労災事故でケガをしたら収入が0になりますが、一人親方労災保険に入っていれば、年間保険料に応じた額を受け取れます。
一人親方労災保険の保険料は給付基礎日額3,500円で年間23,000円程度、給付基礎日額20,000円で年間132,000円程度です。
年間保険料を支払う必要がありますが、仕事ができなくなった場合を想定して加入しておくことをおすすめします。
消防設備士の独立に必要な開業資金
消防設備士として独立開業する際、必要な開業資金の明確な決まりがないため、誰でも独立ができます。
ただし、独立時に工具や移動用の車などがない場合は、購入するための費用が必要となるため、状況に応じて開業資金を用意しましょう。
会社や銀行と取引する可能性がある場合、ある程度の資本金があったほうが信用を得やすくなります。
そのため、融資を受けたい場合や新規の取引先を増やしたい場合は、資本金を用意してから開業することをおすすめします。
消防設備士として独立するときに受けられる独立支援
個人で開業する場合、助成金はとくになく、取引先企業や在籍していた企業によってはサポートを受けられる可能性があります。
たとえば、独立支援制度がある企業の場合、開業資金を用意してくれたり、業務を割り振ってくれたりすることもあります。
法人で開業する場合、市町村によっては助成金を受けられるケースがあり、開業とともに移住すると数百万円受け取ることも可能です。
独立して移住する場合には、地域の助成金をもらえないか調べておきましょう。
独立した消防設備士の給料は安い?稼げる?年収・収入を解説
独立した消防士の年収は、営業がうまくいっていなければ300万円代まで落ち、継続して案件を獲得できていれば600万円以上も可能です。
年収700~800万円を目指すことも可能ですが、年収1,000万円以上を目指したい場合は起業して法人を立ち上げる必要があります。
消防設備士の平均年収や日本全体の平均年収は以下のとおりです。
職種 | 平均年収 |
---|---|
消防設備士(個人事業主) | 約300~600万円 |
消防設備士(会社員) | 約462万円 |
日本全体 | 約443万 |
厚生労働省が発表している令和4年賃金構造基本統計調査によると、会社員の消防設備士の平均年収は約462万円です。
国税庁の令和3年分民間給与実態統計調査によると、日本の平均年収が443万円なので、消防設備士は日本の平均以上に稼げる職種となります。
消防設備士の年収について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
>>消防設備士の年収はどれくらい?資格の種類や活躍の場についても紹介
消防設備士として独立するメリット・デメリット
消防設備士として独立するメリットは、自分で仕事内容や就業時間を選べることに加えて、成果に応じて給料が決まる点です。
請ける仕事は自分で決められるため、自分や家族の時間を優先した働き方にすることも可能です。
請けた仕事によっては、会社員時代と同じ業務でも収入が倍になることもあり得ます。
一方、仕事が継続して獲得できる保証はなく、ケガや病気によって働けない期間は収入が0になる点は大きなデメリットです。
日当保証はなく、自分の代わりに働いてくれる人もいないため、動けない期間の収入は無くなってしまいます。
また、会社と違い自分で仕事を取らなければならず、安定して仕事があるかは自分の営業力次第です。
自由に働けて稼げる可能性がある一方、収入や仕事がなくなるリスクがあることを独立前に理解しておきましょう。
消防設備士として独立するときの注意点
消防設備士として独立する際の注意点には以下の4つがあります。
- 取引先によって支払いタイミングが異なる
- 確定申告や事務作業を自分で行う必要がある
- 資材・工具を自分で用意する必要がある
- 自ら営業をする必要がある
それぞれ詳しく紹介するので、消防設備士として独立したい方は、独立前にしっかりと確認しておきましょう。
取引先によって支払いタイミングが異なる
独立後は取引先によって支払いタイミングが大きく変わるため、注意しましょう。
請求の翌月に支払われる場合もあれば、翌々月に振り込まれるケースがあり、契約時に確認が必要です。
資金繰りを誤ると黒字倒産になる可能性もあるため、事前の確認が大切になります。
会社員は毎月給料が支払われますが、独立後は取引先の支払いがなければ収入がなくなるため、支払いタイミングの確認は必須です。
支払いタイミングが翌々月以降になる場合には、自転車操業にならないようにある程度の資本金を持っておくと安心です。
確定申告や事務作業を自分で行う必要がある
消防設備士として独立すると、会社がやってくれていた事務作業を、自分でやる必要があります。
たとえば、取引先との契約書類の作成や、自治体に提出する書類の作成、経理といった事務作業などが挙げられます。
現場での施工や営業活動と並行して行う必要があり、独立前よりも時間的な余裕が減る可能性があることを理解しておきましょう。
確定申告では青色申告をするために、経費の知識や数字の入力作業なども必要となります。
確定申告でミスをすると余計に時間が増えてしまうため、充分な時間を確保したり、税理士に依頼したりしましょう。
資材・工具を自分で用意する必要がある
独立したら会社が用意してくれていた資材や工具などを、自分で用意する必要があります。
たとえば、消防設備の点検に必要な工具や資材、車などが挙げられます。
設備・道具の導入費だけでなく、定期的に補充や修理する際にも費用が発生する点にも注意が必要です。
自ら営業をする必要がある
独立後は営業活動を行い、仕事を自分で獲得しなければならないため、注意が必要です。
独立前に長く働いて人脈づくりをしておくと、独立後に仕事をもらえる可能性が高まります。
ただし、営業活動ばかりに時間を割くと通常業務を行う時間が取れなくなり、収入が減ってしまうことも考えられます。
独立前に人脈づくりや営業活動を行い、継続して案件を獲得できるように注意しましょう。
消防設備士として独立するのはやめとけと言われる理由
消防設備士として独立するのはやめとけと言われる理由は、会社員時代よりも業務量が増えて忙しくなる可能性があるからです。
現場での業務に加え、営業活動や事務作業を行う必要があり、効率よく行わないとプライベートの時間を取れなくなってしまいます。
プライベートの時間を優先しすぎると、収入が激減してしまい、生活が苦しくなってしまうこともあります。
このような理由から独立はやめとけと言われていますが、独立前に人脈づくりを行い、副業を始めておくと安心です。
独立後の消防設備士の仕事は楽しい?
消防設備士はやりがいを得やすい職業なので、楽しいと感じる方もいます。
マンションや施設の安全を確保するための職種なので、利用者の安全を守っていることを実感しやすいです。
独立後に消防設備士として仕事を取る方法
独立後に消防設備士として仕事を得る方法は以下の2つです。
- 外注先を募集している企業へアプローチする
- 建設業界向けビジネスマッチングサイトを利用する
2つの営業方法について詳しく紹介するので、独立後の営業に不安がある方はぜひ参考にしてみてください。
外注先を募集している企業へアプローチする
独立後に仕事を取る方法として、外注先を募集している企業へアプローチする方法があります。
具体的には、業界内で外注先を募集している工務店やハウスメーカーなどの下請けに入るなどの方法があります。
ただし、誰でも仕事をもらえるわけではないため、独立前から現場で会う工務店やハウスメーカーの担当者との関係を構築しておくと安心です。
担当者との関係性ができていれば、担当者から仕事を直接もらえるようになり、営業活動の効率が向上します。
建設業界向けビジネスマッチングサイトを利用する
独立後の営業には、建設業界向けのビジネスマッチングサービスの利用がおすすめです。
建設業界向けのビジネスマッチングサービスを利用すれば、営業コストを削減できるだけでなく、効率よく営業できます。
消防設備士の仕事があるサービスの代表例は以下のとおりです。
これらのサービスでは、各企業が業務内容や報酬、日時などを掲載しており、自分にピッタリな仕事を見つけられます。
勤務エリアや業務内容を絞って探せるため、独立後の営業に不安がある方はぜひ利用してみてください。
独立前に副業で消防設備士の仕事をすることもおすすめ
独立してすぐに仕事を得られるか不安な方は、独立前に副業として自分で案件を獲得してみましょう。
副業を行いたい方にも、時間があるタイミングだけ仕事が請けられるビジネスマッチングサイトがおすすめです。
売上をある程度確保してから独立すると、仕事や収入に悩まずにスタートを切れるので、独立が不安な方におすすめです。
消防設備士の独立に関するよくある質問
消防設備士の独立に関するよくある質問には以下の3つがあります。
- 消防設備士として独立した場合、食いっぱぐれることはありますか?
- 消防設備士として独立すると年収が下がるというのは本当ですか?
- 消防設備士が人手不足というのは本当ですか?
それぞれのよくある質問とその回答を紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
消防設備士として独立した場合、食いっぱぐれることはありますか?
消防設備士は仕事さえ取れれば食いっぱぐれることはありません。
商業施設やマンションなどの建築物には、火災を防ぐために消防設備を設置することが消防法によって定められています。
そのため、消防法が改正されたり、新たな建築物が建設されなくなったりしない限り、消防設備士の仕事はなくなりません。
また、すでに建設済みの施設も定期的に消防設備のメンテナンスが必要なので、消防設備士の需要は高いです。
職種の将来性はあるので、仕事を取れるかどうかにかかっています。
消防設備士の将来性について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
>>消防設備士に将来性はある?食いっぱぐれる可能性や仕事の需要について解説
消防設備士として独立すると年収が下がるというのは本当ですか?
消防設備士として独立後に満足に仕事を獲得できなければ、年収が下がる可能性はあります。
独立後に仕事がなくて生活に困る状況を避けるために、独立前にビジネスマッチングサイトを活用して副業をすることをおすすめします。
消防設備士が人手不足というのは本当ですか?
消防設備士は業界全体で人手不足であるため、未経験募集の求人も多く出ています。
資格保有者であれば面接でも評価され、希望する企業への就職や転職が成功する可能性が高まります。
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消防設備士として独立する際には、甲4種や乙6種に加えて第2種電気工事士の資格を取得することをおすすめします。
独立する場合、年収が大幅アップする可能性がありますが、仕事が取れない場合は会社員時代よりも年収が下がる恐れがあるため注意しましょう。
営業活動に力を入れすぎると現場で施工する時間が取れなくなるため、ビジネスマッチングサービスを使って効率よい営業活動を行うことが大切です。
独立する前に消防設備士としての経験を積みたい方には、建設業界の求人に特化している「施工管理求人サーチ」がおすすめです。
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消防設備士として独立する際には、甲4種や乙6種に加えて第2種電気工事士の資格を取得することをおすすめします。
独立する場合、年収が大幅アップする可能性がありますが、仕事が取れない場合は会社員時代よりも年収が下がる恐れがあるため注意しましょう。
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