土木工事の施工管理者必見!ダム事業のイロハを学ぶ。おおまかな経緯を解説
日本は世界的に見てもダムが多い国です。施工管理者のなかには、ダム事業に携わった経験がある人も多いのではないでしょうか。特に、土木施工管理を行う人であればダム事業の知識は必須です。
今回は、ダムができるまでの流れとダム事業の意義を解説します。各工程の内容についてもまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。
ダムができるまで
まずは、ダム事業の流れを一覧でまとめました。
・現地調査、設計
・工事用道路の整備
・仮排水路整備
・一次転流
・掘削
・二次転流
・コンクリート打設
・仮排水路閉塞
・試験湛水
・完成
以上がダム事業の大まかな流れです。
次に、1つ1つの工程について解説していきます。
ダムができるまでの建設工事の流れ
・工事用道路の整備
はじめに、ダム工事に必要な資材を運搬するための道路を作ります。
・仮排水路の整備
ダムの建設現場に水が流れていると掘削作業ができないため、仮排水路を作って一時的に川の流れを変える工事です。川の流れを変える作業を「一次転流」と呼びます。
・掘削
ダムを支えるための基礎地盤を作る工事です。建設予定地の地面や山肌を削り、柔らかい土砂やゴミを取り除きます。掘削作業が終わった後は研磨装置を使い、最後は手作業で岩盤をきれいに仕上げます。
・二次転流
基礎地盤が完成したら「二次転流」を行います。二次転流とは、一次転流で変えた川の流れを戻し、ダム内部に水を流す作業のことです。この作業によって堤体(ダムの本体部分)の完成前からダムの運用が可能となります。
・コンクリート打設
建設現場内に設置した設備でコンクリートの製造を行い、堤体を打設する工程です。コンクリートの打設方法には「RCD工法」「ELCM(拡張レヤ)工法」「CSG工法」などがあります。
・仮排水路閉塞
堤体が完成したら、水を貯める前に工事用施設の撤去と仮排水路の閉塞を行います。基本的に、すべての仮排水路を一気に閉塞することはありません。閉塞工事中もダム内部に水を流して運用し続けるために、仮排水路を1本だけを残しておきます。
・試験湛水、完成
試験的にダムの貯水、放流を行い、安全性を検証する作業です。通常、1年程度かけて行われます。試験湛水によって安全性が確認できれば、ダムの完成です。
ダム事業の意義
多額の費用をかけ、反対運動が起こってもダム建設が進められる理由は、四季のある日本は水害、渇水が起こるからです。
梅雨や台風の時期は降水量が一気に増えることがあります。ダムがないと河川の水量を調節できず、氾濫してしまうかもしれません。反対に、夏場は降水量が少なく水不足の心配があります。生活用水、農業用水を安定して供給するためにもダムは必要です。
施工管理はダム事業の流れを理解しておくことが大切
ダムの建設計画から完成までは、通常10~20年程度かかります。長期間の工事になるため、すべての工程に関わる機会はあまりないかもしれません。しかし、業務をスムーズに進めるためにも、ダムができるまでの流れや工程の意味を理解しておきましょう。
出典:国土交通省北海道開発局 札幌開発建設部「ダムができるまで<堤体建設>」
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