屋根工事業の建設業許可の基準と建設業許可が必要な工事|屋根工事業の例も紹介
目次
屋根工事業の内容
屋根工事業は瓦やスレート、金属薄板などを使って屋根をふく工事とされています。
屋根ふき工事などが該当します。
建設工事区分の考え方は以下のようになります。
屋根工事業の概要と特徴一覧
・屋根工事の区分
瓦や金属薄板、スレート以外の材料でも「屋根ふき工事」に該当します。
そのため板金屋根工事も板金工事ではなく「屋根工事」とされています。
屋根断熱工事は、断熱処理が施された材料によって屋根をふく工事のため、「屋根ふき工事」の一類型となります。
屋根一体型の太陽光パネル設置工事は「屋根工事」に分類されます。
ただし太陽光発電設備の設置工事は「電気工事」、太陽光発電パネルを屋根に設置する場合は屋根などの止水処理を行う工事などが含まれます。
太陽光パネルに関する工事は区分が難しい場合もあるため、事前に確認しましょう。
屋根工事業の建設業許可の基準6つ
屋根工事業の建設業許可を受けるには、6つの基準を満たしている必要があります。
建設業法が定める「許可要件」を備えていることに加え、「欠格要件」に該当しないことが必要です。
許可を申請する際には、予め要件を確認するようにしましょう。
出典:許可の要件|国土交通省
1:経営業務の管理をする責任者が適切な資格を有している
適正な建設業の経営が行われるために、責任者には一定期間の経験年数が求められます。
法人では常勤役員のうち1人、個人事業者では本人または支配人のうちの1人が、下記のいずれかに該当しなければなりません。
- 屋根工事業の経営業務において5年以上の経験がある
- 屋根工事業以外の建設業の経営業務において6年以上の経験がある
出典:許可の要件|国土交通省
2:契約を行う営業所ごとに専任技術者を置いている
屋根工事業に関する専門的な知識を持ち、一定の資格や経験のある専任技術者を置くことも必要です。
専任技術者は、営業所ごとに常勤していなければなりません。
一般建設業と特定建設業で専任技術者に求められる条件は異なります。
【一般建設業】
次のいずれかに該当しなければなりません。
- 屋根工事業の実務経験が10年以上ある
- 指定学科を卒業し、一定期間の実務経験を持つ
- 資格保有者
有効な資格には、1級建築士などの国家資格や、建築板金技能士などの技能検定が挙げられます。
【特定建設業】
次のいずれかに該当しなければなりません。
- 1級建築士または1級建築施工管理技士の資格保有者
- 一般建設業で求められる実務経験の条件を満たしており、元請けとして4,500万円以上の工事において2年以上指導監督的な実務経験を持つ
出典:許可の要件|国土交通省
3:財産的基盤が充分にある
屋根工事業に着手するには、資材や器具の購入及び労働者の確保など、一定の準備資金が必要になります。
そのため、建設業許可を必要とする規模の工事を請け負えるだけの、財産的基盤を有していることが基準の1つになります。
一般建設業と特定建設業では許可される基準に相違点があります。
【一般建設業】
次のいずれかに該当していなければなりません。
- 自己資本が500万円以上ある
- 500万円以上の資金を調達する能力がある
- 許可を申請する直前の過去5年間に継続して営業した実績がある
【特定建設業】
次の全てに該当しなければなりません。
- 欠損額が資本金の20%を超えていない
- 流動比率が75%以上である
- 資本金が2,000万円以上かつ自己資本が4,000万円以上ある
出典:許可の要件|国土交通省
4:欠格要件に当てはまらない
許可申請書やその添付書類に虚偽の記載がある場合や、重要な事実の記載が欠けている場合、建設業許可は下りません。
また、申請者や役員が下記のいずれかに該当する場合も許可は行われません。
- 破産者である
- 建設業許可を取り消されてから5年以内である
- 営業停止を命じられ、その禁止の期間が経過していない
- 禁錮以上の刑に処され、その刑の執行の終わり、またその刑の執行を受けることがなくなった日から5年以内の者
- 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者
出典:許可の要件|国土交通省
5:社会保険と雇用保険に加入済みである
屋根工事業の建設業許可を受けるには、適正な社会保険に加入することも必要です。
健康保険、厚生年金保険は、適用事業所に該当する全ての営業所について、その届け出をしなければなりません。
雇用保険は、労働者が雇用される事業において、その事業所に該当する全ての営業所について届け出が必要です。
労働者ごとの加入は要件とはされていません。
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出典:3.(1)許可基準の見直しについて(建設業法第7条関係)|国土交通省
6:誠実性が欠如していない
建設業は契約から工事が完了するまでの期間が長く、料金も前払いが一般的です。
発注者と受注者の間に強い信頼関係が必要となることから、建設業許可の条件の1つに誠実性という項目が含まれています。
契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな場合には、建設業許可は受けられません。
不正とは詐欺や文書偽造などの法律に違反する行為、不誠実とは工事内容や工期などにおいて契約に違反する行為を指します。
許可申請者である法人や個人はもちろん、重要な地位にある役員についても対象となります。
出典:許可の要件|国土交通省
屋根工事業の建設業許可が必要な工事3つ
建設業を営む場合には、行う工事が公共工事か民間工事かに関わらず建設業許可を必要とします。
形態が元請けか下請けか、また、法人か個人事業主かに関わらず、許可を得ずに事業を営むなら規定により罰せられることになりかねません。
建設業許可は業種ごとに行われるため、屋根工事を請け負うには屋根工事業の建設業許可が必要になります。
ただし、どんな工事にも絶対に建設業許可が必要というわけではなく、例外もあります。
1:屋根工事業の一般建設業許可が必須なもの
2つ以上の都道府県の区域内に営業所を設ける場合は国土交通大臣から、1つの都道府県内でのみ営業所を設ける場合は都道府県知事からの許可が必要になります。
屋根工事業では、発注者から直接請け負った工事1件につき、下請けとの契約が4,000万円未満の場合は一般建設業許可に区分されます。
下請け契約の総額が4,000万円以上になる場合は、特定建設業許可が必要になります。
2:附帯工事について
屋根工事業に関係する建設工事を併せて請け負う場合には、その附帯する業種の建設業許可は必要とされません。
建設工事の多くは様々な業種の工事が複雑に関連しているため、発注者の希望があれば一連の工事として、屋根工事業以外の業種も許可なしで行えます。
例えば、屋根工事業に伴って舗装工事業が行われることもあります。
3:軽微な建設工事
軽微な建設工事のみを請け負って営業する場合にも、建設業許可を受ける必要はありません。
軽微な工事とは、規模が小さく、工事1件の請負代金が500万円未満の工事のことをいいます。
ただし、1件の工事において契約書を分けて請け負ったとしても、あくまでも1つの工事とみなされるため算定には注意が必要です。
屋根工事に当てはまる工事内容・屋根工事業の例
屋根工事業とは、瓦、スレート、金属薄板など材料に関わらず、屋根をふく工事のことをいいます。
屋根をふく材料は大きく「スレート系」「金属系」「粘土系(瓦など)」「セメント系」に分けられます。
金属屋根と瓦屋根では施工方法が大きく異なりますが、同じ屋根工事に当てはまります。
具体的な例として、瓦屋根ふき工事、スレート屋根ふき工事、金属薄板屋根ふき工事の他、屋根断熱工事や、屋根一体型の太陽光パネル設置工事も屋根工事業に該当します。
屋根工事業の建設業許可について理解しよう
多くの屋根工事業において国土交通省の与える建設業許可が必要となります。
許可を得るには基準を満たす必要があり、定められた許可要件を備え、欠格要件に該当しないことが求められます。
許可要件の一つとして、その分野の専門的な知識や資格を持つ専任技術者を置くことが求められています。
そのため、特に屋根工事業の実務経験の長い方や、資格を保有している方は事業所にとって貴重な存在といえます。
建設業許可についてよく理解し、適正な経営や屋根工事業の施工に貢献しましょう。
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