アイランド工法のメリット3つ|適している現場の条件についても紹介
目次
アイランド工法とは?
アイランド工法とは山留工法の一つです。中央部に先行して構造物を作り、そこから切梁を斜めに伸ばし山留壁を支えながら、周辺の地盤を掘削し残りの躯体を作ります。
先に中央躯体を作ることで先行施工部は切梁がなくなるため、掘削、鉄筋、コンクリート工事の効率が良くなります。広くて浅い掘削工事で有利です。コスト面と安全性からこの工法が採用されることが多いでしょう。
アイランド工法は構造物の解体工事に採用されることが多いです。
解体工事で採用される場合もある
アイランド工法は地下構造物が分割施工となるため、工期が長くなる傾向があります。そのため、新設工事では採用されるケースが少ない工法です。
構造物の解体工事で採用されるケースが多い工法でもあります。解体工事を行う場合には、中央の構造物から切梁を設置、山留壁側の解体を行います。
アイランド工法のメリット3つ
アイランド工法は工事面積が広く浅い根切りを行う現場で有利な工法です。そのような現場では、アイランド工法のメリットが十分生かされます。
アイランド工法のメリットとは、「先行施工部分の工事効率の良さ」、「切梁のゆるみによる影響を受けにくいこと」、「コスト減」があげられます。
アイランド工法のメリットについて詳しくご紹介します。
1:先行施工部分の工事効率が良い
アイランド工法は先に中心に構造物を作り、そこから、山留め壁に向かい切梁を設置していきます。そのため、先に作る中心の構造物の部分には切梁がなくなり、鉄筋やコンクリート工事時に支保工の干渉が少なくなります。
支保工の干渉が少ないため、作業効率がよくなるのがメリットの一つです。
根切りの面積が広く、浅い場合に適しており、敷地ギリギリまで構造物が建築できます。
2:ゆるみなどの影響が出にくい
アイランド工法は、中央部に島のような部分を先行施工し、そこから山留壁に向かい切梁を設置していきます。
切梁は山留壁などの変形を抑えるために設置しますが、切梁の長さが長いとゆるみが生まれます。また、アイランド工法が得意とする広く浅い現場では、長い切梁ではバネが弱くなり、山留め壁が変形しやすいです。
アイランド工法は中央部の構造体から切梁を伸ばすので切梁が短くなり、また接合部も少なくて済むため、ゆるみなどの影響が少なくなります。
3:コストが抑えられる
アイランド工法が得意とする広く浅い現場でよく利用される水平切梁工法では切梁の長さが非常に長くなり、使用する山留め資材が多量です。
しかし、アイランド工法では初めに中心部に構造物を作り、そこから切梁を設置していくため、切梁が短くなり、かつ、山留め資材を少なくできます。そのため、水平切梁工法や集中切梁工法よりも、支保工のコストが少なくなります。
アイランド工法の注意点3つ
アイランド工法の留意点は以下の3つが挙げられます。
まずは工期が長くなってしまうと言う点です。地下構造物との分割施工が必要になり工期が長くなります。そして施工順序が制限されてしまう点、最後にどの工法でも言えることですが、適さない現場があると言うことです。
1:工期が長くなる
アイランド工法は先行して中央に構造体を建築します。中央構造物の構築が済んだ後、斜面を掘削して行くため、施工が2段階必要です。地下構造物を分割施工することになるので工期は長くなる傾向になります。
また、施工が2段階になるため、硬化したコンクリートの後に新しいコンクリートを打設する「打ち継ぎ」を行わなければいけません。構造的には打ち継ぎはなるべく避けるべき工法ですので、そこもデメリットとして数えられます。
2:施工順序が制限される
先に中央部の構造物を施工しなければならないアイランド工法では、施工の順序の制限を受けます。
しかし、施工の順序の制限はされるものの、地下工事に置いてアイランド工法は中央構造体を作ったあとは、各切梁が独立設置されているため地下工事を進めることが可能になります。
水平切梁工事では、切梁を組み終えるまでは他の作業を中断するか進捗が遅くなりますが、アイランド工法では各作業を進められます。
3:アイランド工法が適さない場合もある
どの工法にも言えることですが、適さない工事現場もあります。アイランド工法はその施工手順から、広く浅い現場に適し、敷地いっぱいに建造物を作る場合や建造物の形が不整形の場合に適しています。
しかし、狭く、深い根切りが必要な現場ではアイランド工法の採用は難しいです。その現場の地質や環境に適した土留の工法を選びましょう。
アイランド工法が適している現場3つ
アイランド工法が適している現場の条件を3つご紹介します。
アイランド工法は掘削面積が広ければ広いほど利点が活かされます。しかし、工期が長くなるなどのデメリットがあるため、新設工事では採用されるケースは少ないでしょう。
アイランド工法が適している現場についてご紹介します。
1:掘削面積が広い場合
掘削面積が広ければ広いほど利点が活かされ、大規模な掘削の現場に適した工法として知られています。
まず中央に構造物基礎部分を作り、そこから斜めの切梁を伸ばして山留めをおこないます。根切り範囲が広いと切梁及び支柱の増えるため、コストが増えます。
しかし、アイランド工法の場合、中央構造物より切梁を伸ばし、中央部分は切梁が必要ないためその分のコストを削減できます。
2:掘削深さが浅い場合
掘削が浅い場合にもアイランド工法は適しています。掘削部分が浅ければ先行施工部分で切梁の必要性がありません。そのため、掘削、鉄筋、コンクリート工事の効率が上がります。
ただし、掘削深さが深い場合には先に施工する中央構造部分の範囲が狭くなるため、アイランド工法のメリットが少なくなります。
3:敷地一杯に造る場合
敷地いっぱいに建造物を作る場合にもアイランド工法は適しています。
まず中央部に構造物を作り、その基礎部分から切梁を斜めにつけて土留めを行い法面を掘削しつつ、残りの構造物を作っていきます。そのため、敷地ギリギリまで建造物が建築できるメリットが生じます。
また、構造物の形が不整合な場合にもアイランド工法は適しています。
アイランド工法を理解しよう
アイランド工法は山留め工法の一種です。山留めとは周辺の地盤や建物を守るための工事で、切梁と呼ばれる鉄筋の梁で、土留壁を抑え、掘削部の土の流出を抑えます。
アイランド工法は、先に中央部分に建築物を先行施工し、そこから斜めに切梁を伸ばし、徐々に周辺を掘削していく方法です。
アイランド工法は広く浅い掘削の現場に適していますが、新設工事ではあまり採用されず解体工事で採用されることが多い傾向にあります。
アイランド工法の利点や留意点を理解しましょう。
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