建設工事で活躍する建具・襖の知識|寸法や用途などの6つの分類で紹介
目次
建具としての襖の魅力
和風の伝統的な建具が襖と障子で、日本家屋での建具の代表と言えます。襖の歴史は明かり障子よりも前からあり、平安時代頃に屏風を柱の間に並べてはめ込んだ、襖の原形がみられます。
日本では古くから住空間に対する意識として、家屋内にはつながった広い空間があって、軽い襖により広い空間を仕切り利用するという考えがあり、これまで和風建築での建具として襖が発展してきました。
襖は自然素材である木や土で仕上げられることが多いのですが、思い切った色の襖紙を使うことで室内にアクセントを与えることができるので、日本家屋の空間を演出できる建具となっています。
小さな家でも、室内の空間を引き戸で仕切ることで、室内空間を有効利用できますし、引き戸を壁に引き込めば、より広く空間を演出できます。襖は目隠しとして使われますが、うまく利用することで、室内がシンプルでモダンな空間に演出されます。
【6つの分類別】代表的な襖の種類
日本家屋の建具である襖の種類の代表的な分け方に、6つの分類方法があります。分類方法の一つが寸法による分類で、高さと幅の違いから襖の呼び方が変わってきます。そして、開き方による分類もあり、引きと開きやそのほかの開け方での違いが出てきます。
さらに、建具である襖は用途による分類や、縁取りの方式による分類、そして縁の太さによる分類もあります。その他の分類として、襖の素材による分類である戸襖、源氏襖、ダンボール襖の分類もできます。
1:寸法による分類
日本家屋の建具である襖の種類の代表的な分け方に、寸法による分類があります。寸法は昔から使われてきた日本の単位である尺貫法による分け方になります。高さについては日本家屋の作りに合わせて高さが変わります。
襖の寸法で使われるのは尺貫法の長さの単位で、メートル法との換算例は、1分が3mm、5厘が1.5mm、1尺が約30.3cm、そして1間が約182cmになります。建具である襖の横の分類は幅の違いによる枚数の呼び方で示されます。
高さ
日本家屋の建具である襖の種類の代表的な分け方に、寸法である高さを基準にした分類があります。日本での単位には尺貫法があり、長さとして1尺はメートル法に換算すると約30.3cmになります。
この尺を基準にして建具の襖の高さが、5尺7寸の襖を「五七(読み:ごしち)」、高さが3尺以上で5尺くらいまでの襖を「中間(読み:ちゅうま)」、そして高さが2尺以上で3尺くらいまでの襖を「半襖(読み:はんふすま)」と呼び分けています。
幅
日本家屋の建具である襖の種類の代表的な分け方に、襖の幅による分類があります。その幅を基準にした襖の分類では、建具として柱と柱の間を2枚の襖で構成している襖を「2枚立ち(読み:にまいだち)」の襖と呼んでいます。
これよりも幅が狭い4枚の襖で、建具として柱と柱の間を構成している襖を、「4枚立ち(読み:よまいだち)」の襖と呼んでいます。このように襖の幅により呼び方が変わりますし、室内の雰囲気も変化してきます。
2:開き方による分類
日本家屋の建具である襖の種類の代表的な分け方に、開き方による分類方法があります。襖を開くために溝が作られていますが、1本の溝に1枚の襖を入れている状態を「片引き」と呼びます。
そして、1本の溝に2枚立ちの襖をはめ込み、左右に引き分けて開閉する襖を「引き分け」と呼び、2本以上の溝に襖を入れることで、開閉の際に襖を引違えることが可能になっている状態のものを「引違い」と呼びます。
引き
日本家屋の建具である襖の種類の代表的な分け方に、引きという考えがあります。片開きとは、1本の襖の片側に丁番を付け反対側に取っ手を付けて、開閉して使用する襖であって1本の溝に1本の襖が入りますので「一本引き」とも呼ばれます。
引き分けとは、1本の襖の片側に丁番を取り付け、反対側に取っ手を付けた襖であって、開閉して使用する襖となり、1本の溝に2枚の襖を入れたもので左右に引き分けて使います。
引き違いとは、2本以上の溝に襖を入れることで、引き違えることができるものを言います。
開き
日本家屋の建具である襖の種類の代表的な分け方に、開きという考えがあります。片開きとは、1本の襖の片側に丁番を取り付け、その反対側に取っ手をつけた襖で、開閉して使用する襖になります。
そして、両開きとは2本の襖を手前に引いて使用する襖のことです。他には観音開きという襖もあり、2枚、3枚、4枚ずつ襖の左右に吊られ折りたたんで開くもので仏壇に見られます。
倹飩(読み:けんどん)という襖の分類もあり、上下に上げ下げして取り外すことのできる小さな襖のことになります。
その他
上部の鴨居の溝に差し込んで、その後下側の溝にはめ込むタイプの襖です。別名を「落とし込み」と言います。
また、嵌めごろし(読み:はめごろし)は、壁に取付けたままで、開閉のできない襖のことを言います。
3:用途による分類
日本家屋の建具である襖の種類の代表的な分け方に、襖の用途による分類があります。
用途別の襖の呼び方には、間仕切り(別名:中仕切り)があり、部屋と部屋とを仕切るために使われる襖のことになります。襖の両側が部屋に面するために、襖の両面に上貼りが貼られていますので「両面貼り」とも言われています。
鴨居上(読み:かもいうえ)という分類もあり、押入れの上の小さな襖のことになり、縁は細縁か縁なしが使われることが多くなっています。
天袋(てんぶくろ)や地袋(じぶくろ)と呼ばれる襖もあり、床の間の脇床の上段・下段に取り付けられる小さな襖のことになりますが、上段のものを天袋、下段のものを地袋と言い、縁は細縁が用いられることが多くなっています。
4:縁取りの方式による分類
上下に薄い木(スリザン)を打ち付け、縁を付けないタイプの襖です。スッキリとしたデザインが特徴で、和洋室問わず使われます。また、お茶室の出入り口に用いられることでも知られています。別名を「坊主ふすま」と言います。
縁の取付け方による襖の名称の違いもあり、堀付きは一般的な襖縁の付け方であって、縁の表面に釘の頭が見えないようにしてある縁の付け方です。打付は襖縁の外側から釘止めをしてある縁の付け方で、印籠はその名の通り印籠の形で縁を付けたものです。
5:縁の太さによる分類
日本家屋の建具である襖の種類の代表的な分け方に、襖の縁の太さによる分類があります。襖の縁の太さによる呼び方には、まず並見付き(よみ:なみつき)があり、これは縁の見付きの部分が6分5厘の一般的に使われている襖になります。
細縁襖(ほそぶちぶすま)と呼ばれる襖は、襖の縁の見付きが、並見付きよりも細くなっていて、5分のものと4分のものがあります。太縁襖(ふとぶちぶすま)は、縁の見付きが並見付きよりも太い襖のことで、見付きは8分や1寸のものが多くなっています。
6:素材による分類
日本家屋の建具である襖の種類の代表的な分け方に、素材による分類があります。素材としての分け方には、大きく分けて戸襖、源氏襖、そしてダンボール襖の3種類があります。
まず、戸襖は、ベニヤを軸に洋室側にはクロスを貼り、和室側にはふすま紙を貼ってある襖になります。源氏襖は、障子窓が配された襖で、明り取りができるように襖の一部に障子が付いています。障子の大きさや配置、そして格子などでデザインが工夫できます。
ダンボール襖は、襖の心材に普通のダンボールの数倍の強度に強化したダンボールを使っていて、軽く作られていて、比較的安価に大量生産されています。重量は同じ大きさの木材と比べて半分も無いのですが、木の襖ほど丈夫ではありません。
戸襖
和洋室間の仕切りに用いられる襖です。ベニヤを軸に、洋室側にはクロスを貼り、和室側にはふすま紙を貼ります。
和室側は、ふすま紙の周りに縁を取り付けることで襖に見えるようにします。ふすま紙の貼り方は、ふすま紙裏面全体に糊を付けるベタ貼りと呼ばれる方法が取られています。
源氏襖
奥座敷など暗い部屋に光を取り入れることができる障子窓が配された襖です。襖の一部である障子の大きさや配置場所、格子などでデザインに差を生み出すことができます。別名を「中抜きふすま」、「御殿ふすま」、「長崎ふすま」などと言います。
ダンボール襖
日本家屋の建具である襖の種類の代表的な分け方に、素材による分類がありますが、ダンボールを使った襖もあります。このダンボール襖の特徴は軽くて使いやすいうえ、安価であることです
ダンボール襖は、心材に普通のダンボールの数倍の強度に強化したダンボールを使っていて、頑丈になっています。反面、重量は同じ大きさの木材と比べて半分も無く、場合によると4分の1の重さしかありませんが、軽い分、木の襖ほど丈夫ではありません。
さらに、加工もしやすく量産しやすいので、価格を抑えて作ることができます。ダンボール襖の欠点と言えるのが、心材のダンボールが折れ曲がってしまうと、壊れてしまい修復が難しいことです。
そして、襖の模様替えも古い紙を剥がして新しい紙を張ることは難しいので、重ね張りで対応することになります。
建具としての襖の特徴
建具としての襖の特徴には、環境に優しいこと、デザイン性が抜群に良いこと、そして湿度調整機能を持っていることの3点があります。
このうち環境に良いこととして、建具の襖のうち木で作られている襖は、使用する木材には、捨てられてしまうことの多い間伐材が使用されていますので、環境面で良い素材となっています。そして、ふすま紙を張り替えることで長期間使えるもの良い点です。
襖は建具として、障子部分を付けることや、ふすま紙の組み合わせで様々なバリエーションを付けることができ、建具の襖を置く場所に合わせて、デザインを変えることができます。
さらに、木材や紙でできている建具の襖は、仕切りの機能に加えて、室内の湿度を吸収し、放出することができる素材のため、室内の湿度が調節されて快適な住環境を得ることができます。
環境に優しい
襖に使われる木材は間伐材が使用されています。また、ふすま紙を張り替えたり、縁や引手を取り替えたりすることで長期的に使用することができます。そのため地球環境に優しいという特徴を持ちます。
デザイン性も抜群
襖は部材やふすま紙、障子窓の有無など様々なバリエーションがあります。襖を配置する場所に合わせて、様々なデザインから選ぶことができるのです。
湿度調整機能
襖は単なる仕切りではありません。室内の湿度に合わせて、湿気を吸収したり放出したりすることができるのです。室内の湿度を調節して、快適な住環境を作り出します。
建具としての襖の特性を把握しておこう
建具としての襖の特性を把握して、自分の家屋に合った襖を用意しましょう。デザイン性にも優れた襖は、紙や木で出来ていてエコロジカルな建具です。自然素材によりできているので人と地球にやさしい建具です。
しかも、日本の気候風土に合っていて、湿度の高い日には和紙などが湿度を吸収して快適な室内環境を作ってくれますし、湿度の低いときには逆に湿気を放出して湿度を与えてくれます。
さらに、張り替えることで長く使える建具としての特性を持っていますので、持続可能な社会を形成するのにも役に立っている建具と言えます。
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