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施工管理者は知っておきたい施工確認試験の事

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公開日時 2023.03.23 最終更新日時 2023.03.23

施工管理は工事を無事に完成させることが大事な使命であることは皆さんご存知の事かと思います。工事を無事に完成させたとしても、品質に問題があればそれは無事に完成したとは言えないでしょう。特に住宅等の分野では、施主がまもられる「品確法」という法律も制定されており、品質に対する責任は重いものとなっています。
公共建築工事においてバイブルとなる「公共建築工事標準仕様書」においては、品質を保つ為に各種工事ごとに施工確認試験を行うように、示しています。
この記事では、施工確認試験の内容を紹介していくと共に必要性等についても紹介していきます。

施工確認試験とは?必要性も解説


そもそも施工確認試験という言葉は書物等に掲載されている言葉ではありません。この記事では、施工時に行う試験が多様化しているので、それらをまとめる事を目的としています。改めて定義をさせていただきますと「施工が適切に行われたかどうかを確認するための試験」という事になります。
必要性という意味では、人の手等によって行われた施工状況が適切であったかを確認するために試験を行う必要があります。これは、品質が満足するものになっているかは、人の目視等だけでは判断する事ができません、工事の種類にもよりますが機械等を用いて測定する事で性能が満足するものであることを確認できます。この試験の積み重ね等によって、品質が保たれている事を確認していく事になります。

施工確認試験の基準となる指針


施工者が工事現場で目にするものと言えば、設計図書です。設計図書は、図面の他に特記仕様書も含まれた形で設計図書と表現します。特記仕様書は、図面のように絵ではなく、文字で表現されるものです。特記仕様書は、公共工事や大手の設計会社等であれば作りこまれたものが存在し、その中に「施工確認試験」を行う旨が書かれている事があります。特記仕様書も公共工事であれば「本特記仕様書に記載なき事項は“公共建築工事標準仕様書”による」等と書かれております。
ですので、公共工事の場合の施工確認試験の基準となる指針は「公共建築工事標準仕様書」であると解する事ができます。東京都の場合は、公共建築工事標準仕様書に準ずるものとして「東京都建築工事標準仕様書」というものを運用していますので、東京都による工事の場合は、この仕様書が指針となります。
また、公共建築工事標準仕様書では解説しきれない部分を補完するものとして「建築工事監理指針」というものがあります、この指針については同様程度の効力をもっている事から施工確認試験の指針としても扱います。

公共工事と民間工事での違い


建築工事において守らなくてはいけない法律は基本的には「建築基準法」との「その他関係法令」です。公共工事の場合は、特記仕様書に基づき「公共建築工事標準仕様書」を遵守する必要が出てきます。それに対して、民間工事では上記のような標準仕様書は無いのが実情の為、独自の仕様書等に従うなどの必要があります。本来、標準仕様書は建築主側の立場の人達が、品質を一定にする為に作成したものですので、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなど同じ建築物を作る業種であれば作成している可能性があります。しかし、民間工事において独自の仕様書を作成している会社の情報や仕様書を入手する事は困難な為、この記事においては、公共工事に焦点をあてて解説をしていきます。

施工確認試験は報告する必要があるのか?


施工確認試験を行ったものを報告する義務があるのかと言えばあると答えた方が適切でしょう。公共工事においては、標準仕様書の中に「・・・・・の結果について監督員に報告する」という文言が良く出てきます。監督員とは役所の担当者等を指しますが、標準仕様書に従う事を原則とするならば、このように書かれた試験については報告の義務が生じてきます。また公共工事においては、標準仕様書に限らず役所が報告を求めるものを定めている場合もあります。公共工事における工事竣工は、建物が完成することと書類を適切に出しているのかなどを検査され合格となったら、完成引き渡しになります。この検査の中で施工確認試験について報告がされているかを確認する事が通例です。従って、施工確認試験は報告するものであるとの認識がよろしいかと思います。

施工確認試験と工事監理者の立ち合い


施工確認試験には工事監理者が立ち会うべきなのかという問いに対しては、状況によるというのが適切な回答かと思います。工事監理者の立ち会いの必要有無は、契約上で決められている事がほとんどですが、立ち合い項目が明確になっているかといえばそうではありません。工事監理者としては工事の特性に応じて施主と相談の上、立ち会い項目を定めていますので、施工確認試験においても立ち会いをするのかを確認しておく必要があるでしょう。

施工確認試験とその概要1

施工確認試験とその概要1


ここでは、杭工事と鉄筋工事の試験とその概要について具体的に説明をしていきたいと思います。

・試験杭、杭の載荷試験、地盤の載荷試験【杭工事】
公共建築工事標準仕様書(平成31年版)には以下のように記されています。

4.2.1 試験一般
(1) 工事の適切な時期に、設計図書に定められた杭又は支持地盤の位置及び土質について、この節に示す試験を行い、その結果に基づき、支持力又は支持地盤の確認を行う。
(2) 試験は、監督職員の立会いのもと行い、その後の施工について、監督職員と協議する。ただし、あらかじめ監督職員の承諾を受けた場合は、この限りでない。
4.2.2 試験杭
(1) 試験杭の位置、本数及び寸法は、特記による。
(2) 工法ごとの試験杭は、3節から5節までによる。
(3) 試験杭は、本杭に先立ち施工し、試験杭の結果により、本杭の施工における管理基準等を定める。
(4) 試験杭の施工設備は、本杭に用いるものを使用する。
4.2.3 杭の載荷試験
(1) 杭の載荷試験は、鉛直載荷試験又は水平載荷試験とし、適用及び載荷試験の方法は、特記による。
(2) 試験杭の位置、本数及び載荷荷重は、特記による。
(3) 報告書の記載事項等は、特記による。
4.2.4 地盤の載荷試験
(1)地盤の載荷試験は、平板載荷試験とし、適用及び載荷試験の方法は、特記による。
(2)試験位置及び載荷荷重は、特記による。
(3)載荷板を設置する地盤は、掘削、載荷装置等で乱さないようにする。
(4)報告書の記載事項等は、特記による。
4.2.5 報告書等
(1)報告書の記載内容は、次により、施工完了後、監督職員に提出する。
(ア)工事概要
(イ)杭材料、施工機械及び工法
(ウ)実施工程表
(エ)工事写真
(オ)試験杭の施工記録及び地業工事に伴う試験結果の記録
(カ)3節から6節までにおける施工記録
(キ)「基礎ぐい工事の適正な施工を確保するために講ずべき措置(平成28 年3 月4 日 国土交通省告示第468 号)」に規定する施工の適正性を確認する施工記録を保存する期間
(2)この節の試験及び3節から5節までの試験杭において採取した土砂は、土質資料として整理し、(1)の報告書とともに、監督職員に提出する。
【公共建築工事標準仕様書(平成31年版)】

杭については近年支持方法の確認がされていないという事例があり、社会的な問題となりました。標準仕様書では上記程度の事にしか触れていないのが実情でありますが、自治体等が作成する特記仕様書ではもっと細かい内容を規定しているところもあります。ここでは、杭に関する試験がどのようなものがあるのかを理解する程度にとどまりますが、今最も大事な試験の一つになるかと思いますので、概要はしっかり理解しておいた方がよいでしょう。。
杭の試験については、4.2.5で示す通り報告書の提出が定められています。

・圧接完了後の試験【鉄筋工事】
公共建築工事標準仕様書(平成31年版)には以下のように記されています。

5.4.10 圧接完了後の圧接部の試験
圧接完了後、次により試験を行う。
(ア) 外観試験は、次による。
(a) 試験対象は、全ての圧接部とする。
(b) 圧接部のふくらみの形状及び寸法、圧接部のふくらみにおける圧接面のずれ、圧接部における鉄筋中心軸の偏心量、圧接部の折れ曲り、片ふくらみ、焼割れ、へこみ、垂下がりその他有害と認められる欠陥の有無について、外観試験を行う。
(c) 試験方法は、目視により、必要に応じて、ノギス、スケールその他適切な器具を使用す
る。
(d) 外観試験の結果、不合格となった場合の措置は、5.4.11(1)による。
(イ) 超音波探傷試験又は引張試験の適用は特記による。特記がなければ、超音波探傷試験とす
る。
(a) 超音波探傷試験は、次による。
① 1ロットは、1組の作業班が1日に行った圧接箇所とする。
② 試験の箇所数は、1ロットに対して 30 か所とし、ロットから無作為に抜き取る。
③ 試験方法及び判定基準は、JIS Z 3062(鉄筋コンクリート用異形棒鋼ガス圧接部の超音
波探傷試験方法及び判定基準)による。
④ ロットの合否判定は、ロットの全ての試験箇所が合格と判定された場合に、当該ロット
を合格とする。
⑤ 不合格となったロットへの措置は、5.4.11(2)による。
(b) 引張試験の方法等は、特記による。特記がなければ、次による。
① 1ロットは、1組の作業班が1日に行った圧接箇所とする。
② 試験片の採取数は、1ロットに対して3本とする。
③ 試験片を採取した箇所は、同種の鉄筋を圧接して継ぎ足す。ただし、D25 以下の場合は、
監督職員の承諾を受けて、重ね継手とすることができる。
④ 試験片の形状、寸法及び試験方法は、JIS Z 3120(鉄筋コンクリート用棒鋼ガス圧接継
手の試験方法及び判定基準)による。
⑤ ロットの合否の判定は、全ての試験片の引張強さが母材の規格値以上である場合かつ
圧接面での破断がない場合を合格とする。ただし、圧接面で破断し不合格となった場合は、
次により再試験を行うことができる。 <略>
【公共建築工事標準仕様書(平成31年版)】

圧接とは、鉄筋工事の接手部分の方法を示しています。鉄筋の接手工法には、重ね接手や圧接接手などの工法が存在しますが、鉄筋径が太径になると圧接工法のみとなります。圧接は鉄筋と鉄筋を熱によって突き合わせて一体化する方法で、圧接部に膨らみが生じ、その部分に空洞等がないかを調べる試験です。
標準仕様書の中では、超音波探傷試験や引っ張り試験のどちらかを特記として定めるとしており、特記仕様書が優先となっている事がわかります。特記仕様書では、両方の試験を行うように定められている事もあるので注意が必要です。

施工確認試験とその概要2


ここでは、鉄骨工事の試験とその概要について具体的に説明をしていきます。

・溶接部試験【鉄骨工事】
公共建築工事標準仕様書(平成31年版)には以下のように記されています。

7.6.12 溶接部の試験
(1) 技能資格者が行う溶接部の試験は次により、試験結果の記録を監督職員に提出する。
(ア) 溶接部の外観試験は、次による。
(a) 「鉄骨造の継手又は仕口の構造方法を定める件」(平成 12 年 5 月 31 日 建設省告示第
1464 号)第二号に関する試験を行う。
なお、試験方法等は、特記による。
(b) JASS 6 付則 6[鉄骨精度検査基準]の付表 3「溶接」に関する試験を行う。
なお、試験方法等は、特記による。
(イ) 完全溶込み溶接部の超音波探傷試験は次により、適用は特記による。
(a) 試験の規準は、(一社)日本建築学会「鋼構造建築溶接部の超音波探傷検査規準」による。
(b) 工場溶接の場合は、次による。
① 試験箇所数の数え方は、JASS 6 表 10.1[検査箇所数の数え方]に準ずる。
② AOQL(平均出検品質限界)は、2.5%又は 4.0%とし、適用は特記による。特記がなけ
れば、4.0%とする。
③ 検査水準は、第1水準から第6水準までとし、適用は特記による。特記がなければ、第
6水準とする。
④ AOQL と各検査水準に応じたロットの大きさ(箇所数)は、表 7.6.2 による。
⑤ サンプルの大きさ(箇所数)は、20 とする。
<略>
(c) 工事現場溶接の場合は、次による。
① 試験は、全ての溶接部について行う。
<略>
(ウ) 割れの疑いがある表面欠陥には、JIS Z 2343-1(非破壊試験-浸透探傷試験-第 1 部:一
般通則:浸透探傷試験方法及び浸透指示模様の分類)又は JIS Z 2320-1(非破壊試験-磁粉
探傷試験-第 1 部:一般通則)による試験を行う。
(2) (1)の(イ)及び(ウ)の結果、不合格箇所がある場合は、7.6.13 による補修を行う。
【公共建築工事標準仕様書(平成31年版)】

鉄骨構造においては、溶接接合という接合方法が存在します。溶接接合とは、別々の鉄骨同士を一体化する方法で、この溶接において不具合が生じると重大な欠陥となります。
その為、超音波探傷試験において、溶接部に欠陥がないかを試験します。注意すべきは、工場と工事現場においての、検査数の数です。鉄骨は工場の製作段階で接合できるものはしてしまうのが実情です。鉄骨工場は高い品質管理のもとで製作を行っているので、検査においても限られた箇所を抽出する検査方法としています。対して、現場においても溶接作業は生じますが、これは全数行う事を原則としています。

・スタッド溶接試験【鉄骨工事】
公共建築工事標準仕様書(平成31年版)には以下のように記されています。

7.7.6 スタッド溶接完了後の試験
(1) スタッド溶接完了後の試験は、次による。
(ア) 外観試験
(a) 全てのスタッド溶接部について、母材及びスタッド材軸部のアンダーカットの有無を確認する。
(b) 全てのスタッド溶接部のカラーを確認し、7.7.3(3)を満足しないスタッドは、(イ)(b) に準じて打撃曲げ試験を行う。
<略>
(イ) 打撃曲げ試験
(a) 試験は抜取りとし、(ア)(c)の①及び②による。
(b) 打撃により 15°まで曲げ、溶接部に割れその他の欠陥が生じない場合は、そのロットを
合格とする。
<略>
(2) (1)の試験結果の記録を監督職員に提出し、不合格となったスタッドは、7.7.7 による補修を
行う。
【公共建築工事標準仕様書(平成31年版)】

鉄骨構造においては、床スラブの構築の為にスタッドを溶接します。試験方法としては、外観試験としてアンダーカットの有無を全数確認します。また、打撃試験により欠陥が無いかを確認し、打撃試験については、抜き取り検査となる為、全数確認する必要はありません

施工確認試験とその概要3

施工確認試験とその概要3


ここでは、コンクリート工事とシーリング工事の試験とその概要について具体的に説明をしていきます。

・圧縮強度試験【コンクリート工事】
公共建築工事標準仕様書(平成31年版)には以下のように記されています。

9節 試験等
6.9.1 一般事項
この節は、コンクリートの試験及び構造体コンクリートの仕上りの確認に適用する。ただし、軽易なコンクリート工事の場合は、監督職員の承諾を受けて、試験を省略することができる。
<略>
6.9.3 コンクリートの強度試験
(1) 試験の目的に応じた、1回の試験、供試体の養生方法及び材齢は、表 6.9.2 による。

<略>
6.9.4 調合管理強度の判定
(1) 調合管理強度の判定は、3回の試験で行い、(ア)及び(イ)を満足すれば合格とする。
(ア) 1回の試験における圧縮強度の平均値(x)が、調合管理強度の 85%以上であること。
(イ) 3回の試験における圧縮強度の総平均値( )が、調合管理強度以上であること。
<略>
6.9.5 構造体コンクリート強度の判定
(1) 構造体コンクリート強度の判定は、1回の試験で行い、次の(ア)から(ウ)のいずれかを満足すれば合格とする。
(ア) 工事現場における水中養生供試体の材齢 28 日の圧縮強度試験結果が、次を満足すること。
(a) 材齢 28 日までの平均気温が 20℃以上の場合は、1回の試験の結果が、調合管理強度以上であること。
(b) 材齢 28 日までの平均気温が 20℃未満の場合は、1回の試験の結果が、設計基準強度(F c )に3N/mm 2 を加えた値以上であること。
(イ) 工事現場における封かん養生供試体の材齢 28 日の圧縮強度試験の1回の試験の結果が、設計基準強度(F c )に 0.7 を乗じた値以上であり、かつ、工事現場における封かん養生供試体の材齢 28 日を超え 91 日以内の圧縮強度試験の1回の試験の結果が、設計基準強度(F c )に3N/mm 2 を加えた値以上であること。
(ウ) 標準養生供試体の材齢 28 日の圧縮強度試験の1回の試験の結果が、調合管理強度以上であること。
(2) 不合格の場合は、監督職員の承諾を受け、JIS A 1107(コンクリートからのコアの採取方法及び圧縮強度試験方法)その他の適切な試験方法により構造体コンクリート強度を確認する。
また、必要な措置を定め、監督職員の承諾を受ける。
【公共建築工事標準仕様書(平成31年版)】

コンクリート工事においては、現場で打設したコンクリートが設計通りの強度が出ているのか、又スランプや塩化物量が適切であるのかを確認する必要があります。鉄筋コンクリート造においては、コンクリートは構造体の重大な要です。施工管理者の仕事をはじめると、まず勉強するのがコンクリートの強度試験等についてではないでしょうか。試験方法も変化しており理解するのも大変な所ですが、大事な部分なのでしっかり理解をしておきたい所です。
コンクリート試験においての大事なポイントは、「調合管理強度と構造体コンクリート強度を判定する事を目的としている」事であり、その供試体の採取数や養生方法を標準仕様書では定めています。現場においては、供試体を何本とれば良いのかはわからなくなる事もあるかと思いますが、こちらをしっかり理解していれば問題ありません。

・簡易接着性試験【シーリング工事】
公共建築工事標準仕様書(平成31年版)には以下のように記されています。

9.7.5 シーリング材の試験
(1) 外部に面するシーリング材は、施工に先立ち、接着性試験を行う。ただし、同じ材料の組合
せで実施した試験成績書がある場合は、監督職員の承諾を受けて、試験を省略することができ
る。
(2) 接着性試験は、簡易接着性試験又は引張接着性試験とし、適用は特記による。特記がなければ、簡易接着性試験とする。
(ア) 簡易接着性試験は、次による。
<略>
(イ) 引張接着試験は、次による。
JIS A 1439 (建築用シーリング材の試験方法) に基づく引張接着性試験とし、被着体は、使用する材料と同様に製作されたものとする。
【公共建築工事標準仕様書(平成31年版)】

どのような建築工事においても、シーリング工事が無い事はほぼありえないでしょう。異種の材料が取りあう場合や、ロングスパンの物を作る時などにシーリングは使用され、その大きな目的は防水をする事です。防水工事と言えば、ウレタン防水などのいわゆる防水を指すように思われますが、シーリングも大事な防水機能を有しています。シーリングが剥落したり、途中で亀裂が入っている事は建物内に水が浸入する恐れがあるので、施工前のシーリングに対して、試験を行っています。標準仕様書では簡易接着性試験と引張接着試験の両者を特記で定めるとしていますが、一般的には簡易接着性試験が行われる事が多いでしょう。

施工確認試験とその概要4


ここでは、塗装工事、アンカー工事、タイル工事、舗装工事の試験とその概要について具体的に説明をしていきます。

・塗りつけ量確認試験【塗装工事】
公共建築工事標準仕様書(平成31年版)には以下のように記されています。

18.1.7 塗装面の確認等
塗装の仕上がり面の確認は目視とし、表 18.1.1 による。ただし、錆止め塗料塗りの品質確認は、次により、塗付け量又は標準膜厚の確認を行う。
(ア) 工事現場塗装の場合は、使用量から単位面積当たりの塗付け量を推定する。
(イ) 工場塗装の場合は、電磁膜厚計その他適切な測定器具により、膜厚の確認を行う。
(ウ) 試験ロットの構成、1回の測定箇所数、合否の判定、不合格ロットの措置等は、1.2.2[施工計画書]による品質計画で定める。
【公共建築工事標準仕様書(平成31年版)】

塗装工事においての品質は、塗上がりが適正かという事はもちろんですが、標準仕様書に定められた塗布量が塗られたかという事は、耐久性の問題からも重要なポイントです。特に、鉄部等においては、錆等の進行は致命傷になりかねないものですので、塗布量の確認は大事なポイントになります。塗装は、工事現場で塗られるものと、工場で塗られるものがあります。一般的には、工事現場で塗られるものは、使用した塗料数量から単位面積あたりの塗布量を推定しています。対して工場で塗られたものについては膜厚計を用いて、厚みを確認します。

・引っ張り試験【アンカー工事】
公共建築工事標準仕様書(平成31年版)には以下のように記されています。

8.12.7 施工確認試験
あと施工アンカーの施工後の確認試験は、特記による。特記がなければ、引張試験機による引張試験とし、次による。
<略>
【公共建築工事標準仕様書(平成31年版)】

あと施工アンカーは、耐震改修工事で頻繁に用いられるもので、既存躯体と新規構造物を緊結する方法です。新築工事の場合のアンカーなどはコンクリート打設前に仕込まれていますので、打設時に一体化されるが、改修工事においてはそのような事はできないので、後からコンクリートに打ちこんで一体化する方法をとっています。アンカーが容易に抜けてしまうようでは固定されているとは言えないので、引張試験をして大丈夫であるかを確認します。設計時にアンカーに必要とされる耐力を設定しているので、それを満足するものであるかを確認します。

・接着力試験【タイル工事】
公共建築工事標準仕様書(平成31年版)には以下のように記されています。

11.1.5 施工後の確認及び試験
(3) 接着力試験は、次による。
屋外のタイル張り及び屋内の吹抜け部分等のタイル張りは、次により接着力試験を行う。た
だし、施工場所の状況等により、監督職員の承諾を受けて、省略することができる。
(a) 試験方法は、接着力試験機による引張接着強度の測定により、試験は、所定の接着強度
が発現したと予想される時期に行う。
<略>
【公共建築工事標準仕様書(平成31年版)】

タイルは外壁面等に施されるが、剥落すると人的被害をもたらし重大な事故になる可能性があります。施工が適切に行われたかどうかを、試験機を用いて実際にタイルを引張ることで、剥離する力を測定します。これが基準を満たしていれば合格であり、満たしていなければ不合格となります。

・路床試験【舗装工事】
公共建築工事標準仕様書(平成31年版)には以下のように記されています。

22.2.5 試験
(1) 路床土の支持力比 (CBR) 試験は JIS A 1211 (CBR試験方法) に基づき、適用は特記による。
<略>

路床とは、いわゆる「土」の部分を指すものであるが、舗装工事において締固めが足りないと沈んでしまい、結果として沈下等の現象を起こしてしまいます。
CBR試験という、土の強さの大小を判定する試験を行います。

・路盤試験【舗装工事】
公共建築工事標準仕様書(平成31年版)には以下のように記されています。

22.3.5 試験
(1) 路盤の最大乾燥密度は、JIS A 1210 (突固めによる土の締固め試験方法) に基づく試験によ
り確認し、監督職員の承諾を受ける。
(2) 路盤の締固め完了後、次により、路盤の厚さ及び締固め度の試験を行う。
<略>
【公共建築工事標準仕様書(平成31年版)】

路盤工事とは、アスファルト舗装等の下に敷く砕石敷きの事を指すが、十分な締固めがされていないと路床と同じく、沈下原因となってしまいます。JISに基づく締固め試験方法にて適切であるかを確認することとしています。

まとめ


いかがでしたでしょうか。「公共建築工事標準仕様書」に掲載されている試験について簡単ではありますが、紹介させていただきました。建築工事は多岐に渡る為、どのようなタイミングにどのような試験があるかを把握する事はなかなか大変なことです。設計図書の中には、特記仕様書がありますが、どうしても図面の方ばかりに気か行ってしまい、見落としていたりする事もあろうかと思います。今回の記事において、試験の対象となる事がどのよう場所に載っており、どのようにこの工事に適用されるのかが分かってきたのではないでしょうか。
適切な施工管理を行うにあたって、この記事がお役立ていただければ幸いです。


当サイトの記事は基本的には信頼性に足る情報源(公共機関や企業サイト、または専門家によるもの等)をもとに執筆しており、情報の正確性・信頼性・安全性の担保に努めていますが、記事によっては最新の情報でない場合や情報の出典元表記や正確性が充分でない場合があります。予めご了承ください。

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