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工期が遅れてしまった。よくある原因と対処方法

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公開日時 2023.03.17 最終更新日時 2023.03.17

現場監督の仕事の一つである工程管理は、計画した工程表通りに着工し、管理し、完成予定日までに工事を完成させる仕事です。この工程管理を充分に行っていても、実際の現場では「工程が遅れそうになる」、「工程通りに工事が行えない」ことがあります。

工期が遅れる原因と対処方法を知り、工程管理に強い現場監督になりましょう。

工期が遅れることによる現場などへの影響


“ 工期が遅れる”、“工期が遅れそうになる”ことは、現場監督なら一度は経験しているのではないでしょうか?工期が遅れた場合、後工程や現場環境・予算に影響します。工期が遅れるとどのような影響があるのでしょうか。

後工程が予定通り入れない

“工期が遅れる”とは、予定していた工事が工程通りにはじまらないこと、最終的に工事の完成が間に合わないことをいいます。
工程管理では、各業者が予定している日に工事をはじめ、完成予定日までに工事を終わらせるよう、現場管理と資材・職人の手配を行います。
現場では、前工程の工事を確実に終わらせ、次工程の工事がスムーズにできるように、工事内容の確認を行い、現場の清掃及び工事するための場所(資材置き場・工事に必要なスペース・廃材置き場)を確保します。次工程がはいれる状態になっていなければ、資材搬入ができない、職人がきても工事できない状況となってしまいます。
工程通りに職人が工事できなかった場合、後工程の職人を確保できなくなるケースが多々あります。職人は1、2ヶ月先まで工事予定を組んでいるため、予定がずれてしまうと次に工事できる日が1ヶ月以上先になることがあります。この場合、他の職人を確保しなければなりません。
前工程の工事が遅れ、職人の確保が困難になってくると、さらに他の工事も遅れることになり、一つの工事の遅れが全体の工期に影響をおよぼします。

現場環境が悪くなる

現場監督は、工期に遅れがみられる場合、遅れをとりもどすために工期を短縮する対策を行わなければなりません。職人の人数を増やしたり、複数の工事を同時に行うなどの方法が一般的です。
工期の短縮を行っている現場では、 複数の職人が同時に現場に入り、現場環境が煩雑になります。

【現場環境が煩雑になり悪くなる状況】

  • 色々な工事の資材が大量に入り、資材を探す・移動が大変で時間がかかる
  • 同じ工事場所、同じ時間に複数の職人がバッティングする
  • 現場のゴミ・廃材の処理が間に合わなくなり、工事場所、資材置き場を確保できなくなる
  • 駐車場が不足する

現場環境が悪くなることで、工事の仕上がり精度が悪くなったり、職人の工事時間が長くなるという悪循環が起こります。

工事の完成予定日に間に合わなくなる

各工事の工程が遅れ、最終的に工事の完成が間に合わなかった場合、いろいろな問題が起こります。

① お施主様への影響
完成が遅れると、予定していた日に引っ越しできなくなり、開館日や開店日・転勤や入学に間に合わない、アパートの賃貸契約が切れてしまうなど、お施主様の予定に影響が出ます。
また、改めて引越し日を決める時に、引っ越し費用が高くなる、引っ越し業者が見つからないケースもあり、労力と費用・時間がかかることになります。

② 工期延長による違約金などの支払い
工事完成日が「建築工事請負契約書」の完成日より遅れてしまった場合、違約金を払わなければならないケースがあります。
これは、契約書の内容によりますが、違約金以外に仮住まい費用や引っ越し費用などの実費を負担するケースもあります。

工事予算を超えてしまう

工期が遅れてしまうと、改めて職人を手配したり、職人の人数や作業時間を増やしたりすることで、工期短縮を行います。
この場合、新たな人件費がかかったり、工事費用を予算より多く出さないと職人を確保できなかったり、職人に残業をしてもらうために割増費用を払わなければなりません。
また、追加で駐車場を確保したり、資材搬入用の重機を新たに確保したりと、工期を短縮するために新たな経費も必要になります。
工期の遅れを取り戻すために、費用がかさみ、予算を超えてしまうのです。

体力的にも精神的にもストレス大

工期が予定より遅れている場合、現場監督は体力的にも精神的にもストレスが大きくなります。
現場では、工期の遅れを取り戻すために、職人に残業をさせることになります。職人と一緒に現場監督も現場に長時間いることになり、現場から事務所に戻る時間が遅くなります。事務所では、翌日の作業確認・資材や業者の手配・各書類の作成・工事写真の確認等の仕事があり、翌日も早朝から現場で仕事となります。
工期短縮のために現場を長時間動かすと、早朝から夜遅くまで仕事をする長時間労働になり、体力的に厳しくなります。
また、工期が遅れてくると、お施主様はいつできるのか不安を持つようになります。
会社側は、約束している完成日までに引渡しを行うのが基本姿勢ですので、職人には、残業や工事日数の短縮をお願いしなければなりません。現場監督は、お施主様と会社・職人の間に入り、体力だけでなく精神的にも厳しくなります。

工期が遅れる原因


工期が遅れる原因は、工事時期や天候の問題だけでなく人的な問題や不可抗力な場合など、色々あります。工期が遅れる原因をまとめました。

工事時期による工期の遅れ

建築工事は、天候や暦・繁忙期の影響を受けやすく、1年を通して工期に影響が出る時期にパターンがあります。
例えば地鎮祭を行う場合、地鎮祭に適した暦である大安などの日程は神主の確保がむずかしくなります。その後の基礎工事や上棟に必要な重機・足場設置時期も重なる傾向にあります。
また、2、3月は、学校卒業・入学・転勤・入社などで賃貸物件の入退去が多い時期になります。また、戸建て住宅の完成・引渡しも多い時期です。
そのため、内装工事業者、クリーニング工事業者が繁忙期になり、職人の確保がむずかしくなります。前年12月頃から職人の確保に入り、1月には3月の職人を確保するのは厳しい状況となります。工事が遅れると、職人に残業や土日の工事をお願いすることになります。
日本は四季があるため、天候にもパターンがあります。雨や強風の日は外部工事ができない場合があります。6、7月の梅雨の時や8、9月頃の台風だけでなく、4月の菜種梅雨は長雨になる場合があること、突風に注意が必要なことを覚えておきましょう。
大型連休前後の工事も工期が遅れる原因になることがあります。職人が休みをとっていたり、大型連休中は物流がとまり、連休後初日は物流量が増えるため、早期に発注しないと希望日に資材を搬入することができない可能性があります。

資材不足による工期の遅れ

資材不足は、建築ラッシュや繁忙期・天災などにより起こります。この問題は、簡単には解消されず、工期への影響が大きいので注意が必要です。
建築ラッシュによる資材不足は、国家規模の大きな事業がある時に起こる傾向があります。最近では、東京オリンピックによる公共施設、宿泊施設の建設ラッシュにより、鉄骨や高力ボルトが不足する事態が起きました。今後の大きな事業として、大阪万博やリニア新幹線工事の工事予定に注意が必要です。
賃貸物件の修繕や住宅の竣工が重なる2、3月は、ビニールクロスの欠品が多い時期です。指定のあるデザインクロスや使用量の多いクロスなどは注意が必要です。
地震や水害・風害などの天災による資材不足は、被害を受けた地域で生産されている資材や(阪神淡路大震災の時は照明、東日本大震災の時は木材など)、仮設住宅建設のために必要なコンパネやアルミ材・断熱材などが急激に不足します。

施工詳細が決定しないために起こる工期の遅れ

施工の詳細が決まらないために、工期が遅れる場合もあります。資材と職人が手配でき、前工程の工事が完了していなければ、次の工程にはすすめません。そのため、工事に入る前日に施工詳細が決まっても工事ができるとは限りません。
施工詳細が決まっていないと、前工程が完了していない、必要な資材が揃わない、必要な職人が手配できないなど、不足するものがでてきます。施工詳細は、工事手配前までに決める必要があります。

施工ミスによる工期の遅れ

施工ミスによる工期の遅れは、施工指示の間違い・説明不足・人手不足・作業員の未熟さにより起こります。
施工指示の間違いや説明不足は、図面の見間違い・間違い・現場での打合わせ不足などが原因です。現場監督は、複数の現場を担当していたり、工程会議・書類提出などで現場にいないことが多々あります。現場作業中に不明な点があった場合、直ぐに確認できればよいのですが、できないケースもあります。この時に施工ミスが起こりやすくなっています。
また、人手不足により現場に慣れていない職人や経験の浅い職人を使った場合も施工ミスが起こりやすくなります。

不可抗力の天災や事故による工期の遅れ

工期が遅れる原因に、天災(地震や水害など)や事故があります。
天災の場合、直接被害を受けたケースや天災により資材や人手を確保できないケースがあり、どちらも簡単に工事再開、工期短縮ができません。現場対応や世間の状況、会社の対応、お施主様の意向などを検討しなければならないからです。
また、現場でおこる転落や怪我や車両による事故、火事などは、被害状況の確認・保険の手配・工期の調整・原因の究明・安全の確認などが必要になり、こちらもすぐに工事を再開できないケースがあるので注意が必要です。

工期が遅れた時の対応

工期が遅れた時の対応


工期が遅れた時には迅速、適切な対応をとることで、工期が遅れたことによる影響を最小限にすることができます。また、その経験は、今後他の工事現場の工程管理に役立ちます。工期が遅れた時、どのような対応が必要なのかをまとめました。

関係者への連絡

工期が遅れていることがはっきりしたら、現場の状況が悪くなる前に、関係者に連絡をしましょう。工期が遅れていることは、工程表があるため、ごまかしたり、かくしたりすることはできません。
工期が遅れているのに、「予定通りに進んでいます。」、「大丈夫です。引渡しは間に合います。」と口で言っていても、関係者はわかっています。お施主様を不安にさせる、関係者の信頼を失うような言動に気を付けましょう。

① 社内関係者へ連絡
まず、上司や担当営業、設計などの社内関係者に工期が遅れていることを報告します。どのぐらい遅れているか、現在の現場の状況などを説明しましょう。

お施主様や工事関係者、社内関係他部署(経理や総務など)にどのように伝えるか、協議し、情報を共有し、今後の対応の確認を行います。

② お施主様への連絡
社内協議を行った後、お施主様へ連絡します。現在の状況と今後の対応を一緒に報告します。工期が遅れていることだけの連絡では不十分です。工期はどうなるのか、必要な手続き等の変更の有無などの報告も必要です。

【お施主様への報告内容(例)】

  • どのぐらい工期が遅れているのか、現状の報告
  • 工期が遅れた原因は何なのか
  • 今後の工期はどうなるのか(リスケした工程表を持参する)
  • 引渡しは延期となるのか、いつになるのか
  • 工事代金の支払いはどうなるのか
  • 仮住まいや引っ越しはどうしたらいいのか、追加でかかる費用負担はどうなるのか

お施主様に連絡する時には、上司や営業に同伴をお願いしましょう。会社の決定事項として報告し、自分以外の人に同席してもらうことで、落ち着いて報告できるようにするためです。

③ 工事関係者への報告
工事関係者は、遅れのない工程表で自分が納材する日、工事に入る日の段取り(準備)をしています。予定通りに工事に入れないと、自分の他の仕事にも影響します。場合によっては工事自体ができなくなるかもしれません。
工事関係者には、組み直した工程表を元に早急に工事の再手配を行いましょう。その際、工事現場が複数の業者・職人で混雑することが想定されるので、現場の対応や注意事項も一緒に連絡しましょう。

【工事関係者への再手配時の注意事項】

  • 現場工事時間の延長の有無と延長時間
  • 駐車場の台数及び追加確保した場所の連絡
  • 資材の納品時間と納品場所の連絡
  • 廃材・残土などの仮置き場、処分方法の指示
  • 必要重機の搬入日と時間

工程を組み直す場合、納品時間や場所など工事現場の管理状況も変更になります。工事現場が煩雑になっても、安全で質の高い現場管理ができるように配慮するようにしましょう。

工期が遅れた原因の究明とその後の対策

工期が遅れるのには原因があります。悪天候のためなのか、納材は適切な時期に納材されていたのか、職人の人数は足りていたのか、現場の施工方法に問題はなかったかなど、工事が遅れた原因を究明しましょう。原因によっては、その後の対応方法が変わる場合や他の現場でも対応が必要な場合があるからです。


天候のために遅れた場合は、今後の工程に天候の影響が考慮されているか確認しましょう。納材の遅れや発注ミスで遅れた場合は、今後の資材が正しく発注されているか、納期は問題ないか確認します。
作業の遅れが原因の場合は、作業員の人数が足りているのか、作業員の技術や作業速度を正確に把握できているのか、間違った作業をしていないかなどを確認しましょう。


現場の事故が原因の場合は、今後事故が再発しないように、危険場所の洗い出しを行い、手摺や柵、注意看板を設置し、現場朝礼や文書で周知・徹底しましょう。
無理な工期設定が原因の場合は、社内でそのような状況が常態化しているおそれがあります。今後の現場のことを考え、工期内で完成する工程の設定・管理ができるように働きかけていきましょう。

工程表の組み直しとその後の工程管理方法

工期が遅れた場合、工程の組み直しを行い、修正した工程表を作成します。新たな工程表は、工事の遅れをできる限り取り戻すことができる、実現可能な工程表を作成します。希望観測的な工程表やもう少し努力することがあるという工程表ではいけません。
社内協議の時に、お施主様に再提出する工程表を、関係者全員に配布し、意見や協力を求めます。
組み直した工程の確認がとれたら、その工程表で現場の管理を行います。工事関係者全員に組み直した工程表を配布、説明し、工事日程を再確認します。配布しただけでは、職人の工事日程は変更されません。メールやFAXの確認に加え、口頭での確認が必要です。
組み直した工程表で現場管理を行う時には、各工事の進捗状況を今まで以上に確認します。職人の中には工程が組み直されたことを知らずに現場に入る職人もいるので注意が必要です。
工事内容の確認は、工事に入る時、工事中、完了時に加え、必要と思われる時に行います。手直しや不明点がある場合は、現場で確認し、早急に対応しましょう。また、工事完了時の確認は、翌日ではなく、完了後すぐに行うと、より工程がスムーズにすすみます。

契約工期内で完成しない場合の対応

「建築工事請負契約書」の引渡し期限内に工事が完成しない場合、お施主様への影響が大きいため、特に配慮が必要です。

【契約工期内に完成しない場合、必要な対応】
・お施主様への報告は、適切な時期までに行う
完成日が延びることにより、施設の開館やお店のオープン、マンションの入居、引っ越し、転校などの日程変更が必要になります。お施主様の予定が変更可能な時期までに報告をしましょう。


・契約による違約金及びその他費用の打合わせと報告
お施主様とは、違約金発生の有無や引っ越し・仮住まいなどの追加でかかる費用の打合わせも行います。社内経理部門にも完成後最終金の入金日の変更を連絡します。


・工事保険の確認
工事現場では、火災保険や工事保険・労災保険などの保険をかけています。工期が延びる場合、保険期間を延長しなければなりません。関係部署に忘れずに連絡しましょう。

工期が遅れないように事前にできること


工期が遅れることのない工程計画・管理を行うためには、工程を組む時から遅れないようにするための注意が必要です。事前に注意しておきたいことをまとめました。

工程を組む時の注意点

工程管理を行う時には、工程を組み工程表を作成します。工程の中には工期の遅れが発生しやすい時期や組み方があることを理解しておきましょう。工程が遅れる要素がない工程表を作成するために注意したい点をまとめました。

① 工期の遅れやすい時期の確認
梅雨や台風シーズンの土工事・外部工事の日程や日数を確認します。天候により工事が中止になることがあるので、工程をずらしたり、天候による工事中止日数をある程度見込んで、工程を組むようにします。

② 大型連休は工事日数を調整する
お正月・ゴールデンウィーク・お盆・秋の連休などの大型連休があると、工事日数が少なくなります。休みを工事日数に加えていないか確認しましょう。

③ 資材を発注する時期を確認する
大型連休は、連休数日前から物流が止まったり、運送量が多くなり予定日の納品がむずかしくなる傾向があります。予定通りに資材搬入ができるか、時期を確認しておきましょう。

④ 予備日の設定を行う
建築工事は、急な雨や高温・低温・暴風により工事が中止になることがあります。また、地下水位がはっきりしない現場では、排水処理や地盤補強の工事日数が標準よりかかる場合があります。
コンクリートの打設・養生期間を調整する日数の見込み(雨の多い地域、寒冷地など)や外壁塗装工事の雨天中止を調整する日数も必要です。
また、地盤の強度を確認しておく必要があります。仮設工事で使用するラフタークレーンやクローラークレーンは、許容吊荷重にもよりますが、場合によっては地盤が沈下する恐れがあります。養生鉄板を敷くだけでは強度が不足する場合は、地盤改良なども事前に行う必要があります。これはクレーンの転倒が工期の大きな遅延に繋がるからです。
これらの工事の予備日を工程の中に確保しておきましょう。工事に入る日が遅れても終わる日は予定工程内となるように予備日を設けるようにしましょう。

⑤ 不測の事態を想定した工程組み
工程を組む時には、不測の事態を想定した工程組みも必要です。想定できる予備日とは別に工事現場での事故や台風・洪水などに対応できる予備日も工程を組むときに設定します。

どこで起こるかわからない不測の事態のため、大まかな工程ごとに予備日を設けるようにします。基礎工事が終わったあとの躯体工事が始まる前や内装工事が始まる前に予備日を設定しておきます。

打合わせの期限をはっきりさせる

職人が予定通りに工事に入り、終わらせるためには、工事の詳細が決まっていないといけません。工事前に、必要な資材などを発注し、納品のタイミングも考えて、工事詳細の最終決定日を決めることが重要です。
最終決定日が工事前日では、工事に支障が出るケースがあります。担当設計に詳細内容の決定及び図面・資料の提出期限を伝えて、お施主様の打合わせの期限をはっきりさせるようにしましょう。

職人を確実に確保するための方法

職人を予算内の工事費用、工程通りに確保する仕事は、現場監督の仕事の中でむずかしい仕事の一つです。職人を確保するために、丁寧で確実な連絡と、書類の送付が必要です。

【職人を確保するための方法】

  • 工程が決まったら、職人に早目に連絡し、発注作業を行う
  • 複数回連絡を行い、予定日に確実に工事に入るように再度依頼、前日確認も行う
  • 事前に施工図面を送付し、説明する
  • 工事前に、発注書を送付し発注請書を確実に受け取る
  • 資材納入日や必要重機の搬入日などもいっしょに連絡する

無理な工期への対応

建築請負契約書の工期が厳しい工期だった場合、工程表の作成や説明に配慮が必要です。
工程表を作成する時に、施工・仕様の詳細決定時期や、資材の発注・納品の時期を明確にしておきましょう。また、通常以上に天候や繁忙期の見込みに注意をはらいましょう。
社内関係者には、工事が始まる前に工程の説明を行い、工期の厳しさを共有し、社内の協力をお願いしましょう。また、お施主様への説明に対する相談も事前にしておきましょう。
お施主様に対して、工事の詳細内容決定や工程に係わる予定(銀行融資手続きや地鎮祭などの行事の日程)などの説明も早めに行うようにしましょう。

施工管理の精度を上げる

現場監督の施工管理の精度を上げることで、工程がスムーズにすすみ、工程の遅れを未然に防ぐことができます。

① 後工程のことを考えた工程管理
施工管理を行う時には、仕上げ工事内容を考えながら施工管理を行います。例をあげると、電気配線の粗配線工事では、照明の取付け位置を室内の家具の配置、照明のサイズから決定し、取付に必要な下地の指示をしておく必要があります。屋外排水管工事では、屋外設備の位置(エアコン・ボイラー・カーポートなど)を確認しながら、基礎立上りや、地中梁に配管スリーブを入れる位置を指示する必要があります。

② 関連複数業者の現場打合わせ実施
現場での施工確認では、同じ施工場所の関連業者は同じ日、同時刻に打合わせを行いましょう。工事の順番や工事の取り合い、問題点などを共有し、スムーズな工事、仕上げ精度の高い工事となるように打合わせを行います。

③ 墨出しの重要性を認識する
工事現場では、『墨出し』作業が都度行われます。複数の業者が墨出しを基準として、工事箇所の位置や寸法の確認を行います。現場監督が不在の時でも墨出しがあれば、墨出しを基準として工事がすすめられます。墨出しが必要な工事が行われる前に、確実でわかりやすい墨出しを行うようにしましょう。

④ 二重確認の手法で現場の施工管理を行う
墨出しの位置があっているか確認を行う時には、二重確認の手法で確認を行うようにしましょう。
二重確認の手法は、Aという位置を確認する際、右からの寸法だけでなく左からの寸法も測り、Aの位置を違う経路を使い確認する方法です。同じ位置から同じ方法で、何度スケールで計って確認しても問題点はわかりません。
残った寸法はいくつなのか、その隣に予定している設備ははいるのか、照明はあたらないか、コンセントの使用に問題はないか、タイル割りはできているかなど周辺の寸法や状況を一緒に確認することで、施工の質が高くなります。

工期が遅れるトラブルの実例と対処方法

工期が遅れるトラブルの実例と対処方法


実際に工期が遅れてトラブルになった実例と対処方法をまとめました。実例を知り、経験を共有することで、工期の遅れを最小限にとどめ、トラブルのない現場管理を目指しましょう。

2、3月の内装工事は、業者の奪い合い

2月下旬に完成予定の「賃貸併用住宅」の工事が遅れ、完成予定が3月10日になった現場で起こったことです。構造の鉄骨工事が遅れたことで、内部軽量工事が遅れ、さらに内装工事の予定が2週間遅れることになりました。その結果、内装工事業者を確保できなくなり、2月下旬に完成できず工期が遅れてしまいました。
建設業界では、2月頃から内装業者が繁忙期にはいります。賃貸住宅の退去や契約に向けた内見が一斉にはじまり、多くの部屋の改装工事を行うからです。また、戸建て新築住宅も年度変わりのため、多くの完成をむかえます。この事情は毎年のことで、どこの会社も前年12月頃から内装業者の予定を3月まで押えます。そのため、遅れた工事日程に内装業者を新しく確保するのが難しくなるのです。
2月頃からの内装業者不足は、業界ではあたりまえのことです。社内全体で職人の工期を調整してもらう、現場工程の時間調整、早朝や残業・休日の対応で工期短縮をはかる、または事前に長い工程で職人を複数確保するなどの対応をしましょう。

台風上陸による被害

8、9月の台風シーズンに、建築中の住宅がある地域に台風が上陸したために被害を受け、工期が遅れたケースがあります。建築中の住宅は、上棟後約1週間という状況でした。台風の直撃を受けたため、周りの住宅と同様、屋根瓦が飛ぶという被害を受けました。
この場合、一時的に屋根工事業者が不足する為、業者をすぐに確保する必要があります。そして、被害の写真を撮り、保険会社に連絡を入れます。火災保険の風害・水害被害の適用を受けるためです。保険会社の確認を受けないと、被害部分を直すことはできませんので、注意が必要です。
また、被害を受けた住宅は構造骨組みの状態で被害を受けたため、構造に被害がないか調査を行いました。屋根下地や構造体の金物などを調査し、一部に構造金物の欠損・曲がりなどがあることがわかりました。お施主様が建て替えを希望されたため、一度解体して建て直しました。
被害の状況や保険金の金額によりその後の対応が変わるので、慎重に工事を進める必要がありました。

補助金申請による工事の遅れ

建築工事には、補助金の申請を行う工事があります。浄化槽の補助金・太陽光発電の補助金・省エネ工事の補助金・耐震補強工事の補助金などです。
省エネ工事の補助金申請で、申請許可が期日までにおりなかったために、基礎工事の着工が遅れたケースがあります。補助金の申請許可は、着工前に許可を取らなくてはいけないものが多く、補助金の申請許可が遅れたことにより、着工が遅れ、工期全体も遅れてしまいました。
補助金は、制度により申請開始時期や補助金額の上限枠・完成期日などが決まっています。事業年度ごとの予算付けとなるため、5月の申請開始や補助金の早期打ち切り時期(予算終了のため)、工事完成期限に合わせて、申請許可業務が混雑して、許可が遅れるのです。
その為、混雑する日程を考慮した許可申請の予定を組んで、早めに対処しましょう。

基礎工事の着工遅れによる全体工程の遅れ

基礎工事の着工の遅れは、全体工程の遅れにつながりやすい傾向があります。
2月寒明けの着工を予定していた現場で、解体工事と地盤改良工事が遅れ、基礎着工が遅れた現場がありました。結果、後工程の鉄骨工事業者(とび職人)の確保ができず、全体工事の遅れを取り戻せませんでした。結果、完成が2週間遅れました。
原因は、寒明けの解体・地盤改良工事が集中したためでした。寒明けの解体・地盤改良工事は、早期発注を行い、早いタイミングで工事業者を確保しましょう。

前工程の施工ミスによる工期の遅れ

施工の確認で設計図通りに施工できていない箇所を発見し、後工程の工事ができず、工期が遅れるケースがあります。
バルコニーの防水工事を行うために、前日に現場を確認したら、水勾配が足りない、サッシ下の防水立ち上がり寸法が足りないため、明日の防水工事ができない状況が判明しました。バルコニーの水勾配は防水工事の仕様により最低勾配が決まっています。また、サッシ下端の立ち上がり寸法は、設計規定(住宅瑕疵担保責任保険など)があります。
現場の防水下地は完成していますが、設計や仕様で重要な寸法が確保できていなかったため、サッシの取付けや下地工事をやり直す対応となりました。
施工ミスの原因は、サッシの取り付けや防水下地を作った業者との打合わせ不足・業者の経験不足です。防水の指定寸法が足りない場合、雨漏りやオーバーフローの原因になり大きな被害となります。防水の指定寸法を前工程の業者と細かく打合わせすることで、施工ミスを防ぐことができます。

工事不具合による工期遅れは、致命的

前工程ができていない、設計図通りに施工できていないなどの工事不具合は、工事をやり直さなければなりません。この場合、後工程となる工事の日程を全て調整し直します。その連絡作業も煩雑ですが、職人の確保が難しくなり、工事全体の工期に対して致命的になります。
施工詳細図の事前チェック、現場でおこなう職人との打合わせ、不明点の設計者への確認を入念に行い、工事不具合の発生を防ぐようにしましょう。

元々の工期設定が無理なケース

工程が遅れる原因の一つに、建築請負工事契約の工期がもともと短く、無理な工程だったケースがあります。
工事請負契約書の工期が、標準的な工程より1ヶ月ほど短い新築住宅の現場で起きた事例です。大工工事の人数を増やして対応していましたが、内装工事や設備の仕上げ工事に入り、業者の数が増えると思うように工程管理が機能せず、予定工程より1週間ほど完成が遅れてしまいました。
標準工程より3週間工期を短縮できたのですが、契約工期には間に合わなかったのです。
はじめから工事日数が短い工事の現場担当になった場合は、工程を綿密に組み、社内の協力(職人や資材・重機搬入の融通や手助け)を得るようにしましょう。また、契約内容の確認を自らで行い、正確な引渡し日を把握し、営業と情報を共有しておきましょう。お施主様には、工程ごと進捗状況を報告し、良好な関係を保ち、進捗を理解しておいてもらいましょう。
最終的に工期が遅れた場合、無理な工程であったかどうか、工期短縮に対して監督・会社が努力したのか、お施主様への報告が適切にされていたかが、重要になります。工事の完成が遅れる場合は、決断を早く行い、会社と相談の上、お施主様に報告するようにしましょう。

まとめ


工期が遅れる原因は、不可抗力なもの、人的なもの、想定があまかったものに分類できます。
災害など付加抗力なものが原因だった場合は、その後の対応や工期の調整(延期など)についての話し合いが必要です。
施工ミスや詳細決定の遅れなど人的なものが原因だった場合や工事時期や天候などの想定に原因がある場合は、工程管理を見直すことで防ぐことができます。
工期が遅れる原因を取り除き、対策を行い、工期が遅れることのない工程管理を目指しましょう。

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