安心安全を守る!土木工事の品質管理とは
土木作業員としての仕事に慣れてきたら、ぜひ工事の品質を意識するようにしてください。例えば東京都港区にかかるレインボーブリッジは長さ約800メートル、重さ約5万トン もあります。もしこれが低品質な土木工事でつくられて崩壊してしまったら、大惨事が起きます。
レインボーブリッジが1993年の完成以来一度も崩壊していないのは、高品質の土木工事でつくられているからに他なりません。
つまり、品質管理がなっていない土木工事は、国民を守るどころか危険構造物になってしまうということです。
品質管理の「難しい」定義
国土交通省は土木工事の品質管理を次のように定義づけています。少し難しい用語を使っているのですが、概要をまとめるとこうなります。
- 設計図書(図面など)や特記仕様書、土木工事共通仕様書とおりにつくること
- 各種指針・要綱に書かれてある材料の形状寸法、品質、規格などを満たすこと
- 経済的につくること
つまり土木工事の品質管理とは、ルールにしたがって最も安い方法でつくるために工事全体を管理すること、といえるのです。
土木工事の品質管理はかなり緻密
土木工事はパワフルでダイナミックなイメージがありますが、実際の作業は繊細で緻密です。
例えば「アスファルト舗装」工事では、「骨材のふるい分け試験」を行わければならず、その試験は「舗装施工面積10,000平方メートル以上の中規模以上の工事」では「施工前と材料変更時の2回」実施しなければなりません。
このルールは、国土交通省が作成した「品質管理基準及び規格値 」に記載されています。
この「品質管理基準及び規格値」にはアスファルト舗装のほかに、セメント・コンクリート、ガス圧接、河川土木、道路土木、コンクリートダムなど計33種の工事の品質管理について記載されています。
手順を守る
では土木工事の品質管理の担当者は、現場で実際にどのような仕事をするのでしょうか。
手順は次のとおりです。
・対象となる工事(工程)の品質特性を決定する
(品質管理の対象となる工事(工程)の品質特性と特性値を定める)
↓
・品質標準を決める
(品質管理の対象となる工事(工程)の実現可能な内容を定める。ただし設計図書の規格の範囲内でなければならない)
↓
・作業標準を決める
(作業方法、作業順序、使用設備の注意などを決める)
↓
・工事を実施し、同時にデータを取る
↓
・データから規格とおりになっているか、工程が安定しているかチェックする
↓
・規格とおりで工程が安定していれば次の品質管理に移る
・規格から外れ工程が不安定であれば原因を追究し再発しないよう処置を取り、次の品質管理に移る
品質管理のポイントは、規格の管理と工程の管理に分かれているところです。
また、品質管理業務は対象となる工事(工程)ひとつずつに対して行います。
まとめ
品質管理の仕事は地味なだけでなく、ほかの土木作業員から迷惑がられることもあります。なぜなら品質に合致していない工事を行ったらやり直させなければならないからです。
迷惑がられても「NGを出す勇気」がなければ、200年使える土木構造物をつくることはできません。それが地図に載る仕事をする人たちの責務なのです。
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