電気通信工事業の建設業許可の要件とは?内容についてもあわせて紹介
目次
電気通信工事業とは?
電気通信工事とは、有線電気通信設備、無線電気通信設備、ネットワーク設備、情報設備、放送機械設備などの電気通信設備を設置する工事のことを指します。
以下では、電気通信工事の主な種類についてご紹介します。
電気通信工事の種類
電気通信工事の主な種類には、有線電気通信設備工事、無線電気通信設備工事、データ通信 設備工事、情報処理設備工事、情報収集設備工事、情報表示 設備工事、放送機械設備工事、TV電波障害防除設備工事などがあります。
各設備の新規取付工事だけではなく、すでに設置されている設備の改修や修繕、補修も電気通信工事に区分されます。
ただし、設備の機能・耐久性を確保するための保守点検に関しては電気通信工事に該当しません。
なお機械器具工事にはすべての機械器具類の設置に関する工事が含まれますが、電気通信工事にも該当する場合にはこちらに区分されます。
電気通信工事の具体例
電気通信工事には、具体例に「LAN・インターネット工事」「携帯電話基地局工事」「電話工事」「放送設備工事」「テレビ共聴放送設備工事」「その他の電気通信設備工事」などがあります。
たとえば「LAN・インターネット工事」は通信機器をインターネットに接続するための工事で、パソコンやプリンターなどネットワークに接続できるようにします。
「携帯電話基地局工事」はビルの屋上に配線やアンテナを設置し、携帯電話の基地局を作る工事です。
電気通信工事業の建設業許可を取得するポイント8つ
電気通信工事業の建設業許可を取得するためには、以下の5つの条件を満たしている必要があります。
1.経営業務の管理責任者
2.誠実性
3.欠格要件
4.専任技術者
5.財産要件
経営業務の管理責任者になれるのは、法人であれば常勤の役員、個人であれば事業主本人です。
それ相応の経験が必要であり、電気通信工事業であれば通算5年以上の経営経験、他の建設工事業種であれば通算6年以上の経営経験が求められます。
また、専任技術者は工事方法や工事仕様の決定などを行います。
一般建設業許可基準と特定建設業許可基準で、必要とされる資格や経験などの要件が異なるので注意が必要です。
1:経営業務管理責任者の要件について
経営業務管理責任者の要件としては、「1:5年以上の建設業での経営業務管理責任者の実務経験を有する」「2:5年以上の建設業での経営業務管理責任者に準ずる地位での経営管理経験を有する」「3:6年以上の建設業での管理責任者に準ずる地位として、経営業務管理責任者の補助業務の実務経験を有する」などの要件のいずれかを満たす必要があります。
また、法人の場合は常勤の役員のうち1人が経営業務管理責任者でなければなりません。
出典:(1)経営業務の管理責任者等の設置(建設業法施行規則第7条第1号)|国土交通省
2:特定建設業での専任技術者の要件について
建設業許可を取得するためには、営業所ごとに専任技術者を配置する必要があります。
電気通信工事業で特定建設業許可を取得する場合の専任技術者の要件としては、「1.建設業法の一級電気通信工事施工管理技士もしくは技術士法の電気電子・総合技術監理(電気電子)に合格している」「2.一般建設業許可の要件に加えて、元請けとして4,500万円以上の工事で2年以上指導監督的な実務経験を有する者」「3.国土交通大臣が①②と同等以上の能力を有することを認めた者」のいずれかに該当する必要があります。
3:実務経験で要件を満たすには
実務経験で特定建設業許可の専任技術者の要件を満たすためには、「1.請負金額が4,500万円以上の工事」「2.元請けとして発注者から直接請け負った工事」「3.現場主任や現場監督のような指導監督的立場で現場の指揮を取る」という3つに当てはまる実務経験が2年以上必要です。
また、実務経験で特定建設業の専任技術者になるには、一般建設業の専任技術者の要件を満たしたうえで上記の経験が求められます。
4:一般建設業での専任技術者の要件について
一般建設業許可を取得するための専任技術者の要件は、「1.大学や高等専門学校で電気工学、電気通信工学科を卒業後3年以上、高等学校で電気工学、電気通信工学科を卒業後5年以上、電気通信工事の実務経験がある」「2.学歴や資格を問わず、電気通信工事での10年以上の実務経験がある」「3.電気通信工事業で国家資格などを有している、もしくは国土交通大臣が個別の申請に基づいて認めている」のいずれかに該当する必要があります。
5:財産的基礎について
財産的基礎とは、建設会社が事業を継続するために必要な財務力を見るための審査項目です。
建設工事では資材費や人件費、建設機械の購入やレンタルなどを行うための資金が必要になるため、チェックすることは建設業許可が必要になる規模の工事を請け負える程度の財産的基礎があるかどうかです。
一般建設業許可の場合は「1.自己資本が500万円以上ある」「2.500万円以上資金調達能力がある」「3.直近5年間で建設業許可を取得して営業している実績があり、現在も建設業許可を有している」という3つのうち、いずれかに該当している必要があります。
また、特定建設業許可の場合は申請時の貸借対照表で「1.欠損額が資本金の20%以下」「2.流動比率が75%以上」「3.資本金額が2,000万円以上」「4.自己資本が4,000万円以上」の全てを満たしている必要があります。
出典:4.財産的基礎等(法第7条第4号、同法第15条第3号)|国土交通省
6:欠格要件について
建設業許可での欠格要件とは、建設業法で求められている資格を欠いていると判断されてしまう要件のことです。
欠格要件に当てはまると建設業許可が取得できず、取得後に該当してしまった場合も許可の取り消し処分を受けてしまうことになります。
欠格要件の例としては、「許可申請書や添付書類の重要な項目に虚偽や事実の記載が抜けている」「法人の役員や支配人が破産者で復権を得ない」「法人の役員や支配人が不正手段などによって許可を取り消されており、処分を受けた日から5年が経過していない」などがあります。
出典:欠格要件(建設業法第8条、同法第17条(準用))|国土交通省
7:誠実性について
誠実性とは、建設業許可の申請を行う者が請負契約において不正または不誠実な行為を行わないということです。
不正または不誠実な行為とは、「請負契約の際に詐欺や脅迫などの法律に違反する行為」「工事内容や工期に関して契約に違反する行為を行う」「申請者が不正や不誠実な行為によって免許取り消しなどの処分を受けてから5年以上経過していない」などが該当します。
建設業では工事の発注から実際に工事が完了するまでに長い期間がかかりますが、基本的に前払いによって契約が行われることから、発注者と受注者には強い信頼関係が必要です。
そのため、発注者と受注者が安心して契約を行うためにも、不正または不誠実な行為を行うような業者に許可を与えないようにする仕組みが必要になります。
8:雇用保険と社会保険に加入している必要がある
令和2年10月1日付の建設業法改正により、建設業許可の要件に「適切な社会保険への加入」が加えられました。
そのため、令和2年10月1日以降は、建設業許可申請時に社会保険に加入していない場合は申請が許可されなくなっています。
加入が義務付けられる社会保険は「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」の3つとなっており、法人と個人事業主で加入義務がある保険が異なるため、適切な社会保険に加入する必要があります。
出典:令和2年10月1日付建設業法改正に伴う「適切な社会保険への加入」について |東京都都市整備局
指導監督的実務経験とは?
指導監督的実務経験とは、工事現場主任者や工事現場監督者のように、工事の技術面を総合的に指導監督した経験を指します。
指定建設業以外では、元請として請負代金額4,500万円以上の工事で2年以上の指導監督的実務経験を培うことにより、国家資格を取得していなくても監理技術者となることが可能です。
実務経験によって監理技術者となる人の割合は、電気通信を含めた国家資格などが適用されていない5つの業種に偏っています。
建設工事とは?
建設工事とは、土木建築に関する工事のことです。
建設業法で建設工事に含まれる工事は「土木一式工事」「建築一式工事」などの一式工事が2つ、その他の専門工事が27あり、現在合計29の工事が存在しています。
このように、「建設工事」という言葉は土木系の工事や建築系の工事に関連したその他の工事も含めていることから、電気通信工事などの設備工事も建設工事に含まれています。
出典:3.業種別許可制
電気通信工事業の建設業許可を取得しよう
電気通信工事とは、有線・無線電気通信設備、ネットワーク設備、情報設備、放送機械設備などの電気通信設備を設置する工事です。電気通信工事も建設工事の1つであるため、建設業許可を取得することができます。
ぜひ本記事でご紹介した電気通信工事業の概要や電気通信工事の種類、電気通信工事業の建設業許可を取得するポイントなどを参考に、電気通信工事業の建設業許可を取得してみてはいかがでしょうか。
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