ヘアークラックが起きる原因とは?種類別の対処法や修繕時の注意点
目次
ヘアークラックとは?
ヘアークラックとは建物の外壁に発生する細いひび割れで、国土交通省の定義で幅0.3mm以下深さ4mm以下とされています。
発生しやすい外壁は、モルタルやコンクリート、サイディングなどで、塗膜の表面だけが割れているものがほとんどです。基礎部分に発生するものを基礎ヘアークラックと呼びます。表面だけで構造に影響はありません。
ヘアークラックは英語で髪の毛のような細くて短いひび割れの意味です。
ヘアークラックを放置してはいけない理由
ヘアークラックを放置すると、雨漏りによって家の構造部分を腐食させる原因になります。
雨水が外壁のクラックから滲み込んで、木造家屋は木材の腐食やシロアリ発生を、鉄筋コンクリートや鉄骨を使用した建築は鉄材の腐食を引き起こします。コンクリートを中性化し、建物が危険な状態になります。
髪の毛ほどのひび割れでも、ヘアークラックを放置すると建物に将来大きなダメージを与えます。
ヘアークラックが起きる原因4つ
ヘアークラックが起きる原因は、経年劣化と新築時の工事が適切でなかった場合です。塗膜のひび割れの多くは経年劣化が原因です。他に短い期間で発生した場合は、新築工事の作業工程が原因と考えます。
珍しい原因では、建材メーカーが輸送中に軽い衝撃を与えてしまったことや施工作業中に何らかの負荷をかけた場合です。見た目ではわからない傷も施工後、ヘアークラックになって表面化する場合もあります。
ここからはヘアークラックが起きる原因について解説していきます。今回は、建物の揺れによるものを始めとした4項目をピックアップしていきます。
ヘアークラックが起きる原因4つについてご興味がある方は、参考にしてください。
1:建物の揺れによるもの
地震や台風により建物に大きな力が加わり、振動したり揺れたりすると建物がゆがみ、壁等にヘアークラックが発生します。
交通量の多い幹線道路沿いの建物、電車の線路に近い場所にある建物は、自動車や電車が通過するたびに振動するため、新築から時間経過するとヘアークラックが発生しやすくなります。揺れの多い土地に建物を建てる際は、弾性機能のある塗料を使うことで改善されます。
2:不同沈下によるもの
地盤が弱い場所に建てた建物は、地盤が不同沈下を起こして建物が斜めになると、壁面に歪が生じてヘアークラックが発生します。
ドアや窓が歪んで開けにくくなった、床が傾いているなどの不具合が生じた場合は不同沈下の疑いがあるので、壁面のヘアークラックの発生に注意します。
不同沈下が疑われる場合は、基礎の剛性を高めて荷重を分散させたり、地盤改良工事などの対策を建築業者に相談する必要があります。
3:経年劣化によるもの
外壁は紫外線や風雨、乾燥や寒暖の差によってヘアークラックが発生します。
外壁材の化粧モルタルやサイディングボードの素地、コンクリートは寒暖によって収縮と膨張を繰り返しています。劣化した塗膜が繰り返す素地の収縮と膨張に耐えられなくなって、小さなひび割れが発生します。
地震の揺れや地盤の変化、施工不良が原因の地盤沈下もヘアークラックを引き起こします。
4:新築時の施工不良によるもの
新築でヘアークラックが起きる場合は、乾燥時間を設けずに塗装作業を行ったことが原因です。
塗装工程で下地を塗った後の乾燥時間が適切でないと、塗膜にひび割れが発生しやすくなります。下地の塗料と中塗りや上塗りの塗料の相性が良くないと、表面塗膜にヘアークラックが起きることもあります。
塗装業者の施工費用が相場よりも大幅に安いと、工期を短縮するので注意が必要です。
【種類別】クラックの対処法4つ
ヘアークラックの他にもクラックはあり、状態に応じて補修方法は異なります。
クラックは乾燥クラックや構造クラック、縁切りクラックもあります。ヘアークラックは塗膜に発生しますが、この3つは外壁材に発生したクラックが塗膜に現れるタイプです。
クラックが横方向の場合は建物の構造上の問題が表面化したものです。雨水の侵入も縦方向のひび割れより多くなるので、小さなものでも早めに対処します。
1:ヘアークラックの場合
ヘアークラックは塗膜だけのひび割れなので、モルタルは弾性工法で対処します。
モルタル仕上げの場合は、下塗りフィラーでクラックを埋め、上塗りを弾性塗料で仕上げます。重ね塗りで塗装面を保護して長持ちさせます。サイディングは弾性工法が使えないので、クラックに粉末状のコンクリートやパテの注入で対処します。
ヘアークラックは緊急補修の必要はありませんが、専門業者による点検を受けるタイミングと捉えます。
2:乾燥クラックの場合
乾燥クラックは外壁が乾燥収縮してひび割れた状態です。乾燥クラックの発見は、外壁掃除で見つかるほどわかりにくいものです。モルタルが乾燥する前に仕上げの塗装を行うと発生するので、モルタルが乾燥してしまうとそれ以上クラックは大きくなりません。
乾燥クラックが気になる場合は、モルタルが乾燥してクラックが落ちついてから、塗り直しで対処します。
3:構造クラックの場合
構造クラックは幅0.3mm以上、深さ5mmくらいのひび割れで、壁面の素材に応じた補修で対処します。
クラックをグラインダーでカットしてクラック面をキレイにしてからプライマーを塗布し、モルタルやサイディングはコーキング(シーリング)処理します。鉄筋コンクリート外壁はエポキシ樹脂を注入します。
外壁の素材に応じた補修材で対処し、塗装で隠すと補修部分をわかりにくくできます。
4:縁切りクラックの場合
縁切りクラックはモルタル壁の仕上げ塗り作業をやり直した際の継ぎ目のひび割れです。
工事中の部分的なやり直しや天候によって、途中で仕上げ塗り作業が止まると、継ぎ目が目立つ大きなひび割れになります。塗装面だけのひび割れではないので、構造クラックと同じように下地をコーキング(シーリング)で補修して対処します。
補修が済んだら壁面全体を塗り直して、塗装面を再補強します。
ヘアークラックを修繕する時の注意点3つ
ヘアークラックを修繕する時は、専門店に点検してもらってから業者を選びます。修繕費用は相場を確認しましょう。
経年劣化は火災保険の対象になりませんが、風で飛来物が当たった場合は保険適用できるので写真撮影してから早めに申請します。地震による被害は地震保険の対象です。
ヘアークラックは自分で修繕できますが、気づかない場所にも発生しているかもしれません。まず、専門店の点検を受けてみましょう。
1:専門店に点検してもらう
ヘアークラックを修繕する前に専門店の無料点検を活用すると、クラックの状態を確認できます。
外壁塗装専門店に依頼すると、原因や構造にひび割れが到達しているかも見てくれます。自分の目の届かない高い部分や屋根の状況もわかります。
ヘアークラックの修繕は緊急性が高くありませんが、放置すると修理費用も高額になるので、早い段階で専門店に点検を依頼すると良いでしょう。
2:業者に依頼する場合
ヘアークラックの修繕を業者に依頼する場合は、複数の業者に見積依頼して相場を確認してから決定します。
地元の業者や納得できる説明をする業者は、ひび割れの状況に合わせた適切な修繕工事を行います。施工後の面倒見も良いので業者を選ぶひとつのポイントです。飛び込み営業の業者は未熟な技量の場合もあるので、避けたほうが賢明です。
新築後すぐのときは、施工した業者にメンテナンスとして依頼できます。
3:自分で修繕する場合
ヘアークラックを自分で修繕する場合は、ひび割れ部分を洗浄してから、プライマーとシーリング材を順番に塗布し、仕上げ塗装をします。
自分で修繕する場合は、幅0.3mm以下のひび割れの応急処置と考え、安全に作業できる高さのクラックだけにします。小さなクラックが複数集中している場合は、構造に問題があるので、諦めて専門店に依頼します。
修繕する際は外壁の素材に適した方法で行います。
DIYでやる時
DIYで修繕すると費用は抑えられますが、補修跡が目立つ結果になる場合もあります。
家の内部が傷んでいる可能性もあり、中途半端にDIYで塞ぐと内部の傷みを進行させる可能性もあります。外壁材に合った修繕をしないとクラックを広げてしまい、本格的な修繕が必要になります。
DIYで修繕すると準備する道具も多く、補修材は使いきれずにムダになるので、専門店に依頼するほうが費用を節約できます。
ヘアークラックを発見したら早めに対策を取ろう
ヘアークラックは見た目は小さなひび割れですが、専門業者に依頼して早めの対策を行いましょう。
外壁のひび割れは放置すると構造に影響を与え、被害が拡大します。無料点検を活用して複数の専門店から見積をとって補修します。DIYで修繕すると補修跡が目立ってしまうこともあるので、無理は禁物です。
クラックの種類に応じた適切な補修を行い、家の耐久性を高めましょう。
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