変電所の主な役割5つ|変電所の種類や主な設備もあわせて紹介!
目次
変電所とは
変電所とは発電所と配電までの間に、電気の電圧を変える場所です。
発電所の電気は電圧が約2万ボルトです。複数の変電所を経由していく間に電圧を下げて、工場や家庭で使用する状態になります。また、電圧が高くても電流を下げると大量の電気を運ぶことが可能です。
変電所は、郊外の発電所で発電した電気を消費者へ効率よく運ぶシステムの中心的役割を果たしています。
変電所の種類
変電所の種類は設備形態による分類と電圧による分類があります。
設備形態による分類は、屋外と屋内、地下変電所です。そして、電圧による分類は超高圧と一次・二次、配電用があります。超高圧は発電された電気の電圧を50万ボルトまで上げます。
また、一次と二次は超高圧と配電用の間にあり電気の分配などを行い、配電用は電圧を約6千ボルト程度にまで下げます。
屋外変電所と地下変電所について、下記で説明します。
屋外変電所
屋外変電所は地下と比較して低予算で建設可能ですが、広大な土地が必要なため都市部では郊外に設置されます。
屋外施設ですが、設備の一部は屋内に設置され、主要な機器は屋外に設置し、制御装置は敷地内にある建物の中での稼働です。超高圧と一次・二次の多くが屋外タイプで、電圧低下作業を行います。
このように、日本の変電所の多くは屋外に設置されています。
地下変電所
地下変電所は配電用のもので、都市部のオフィスビルやお寺、学校や公園などに設置されています。
地下同様、屋内型も住宅密集地や都市部に電力を安定的に供給する目的で設置された変電所です。また、屋外型よりも電圧を下げる役割は少なく、比較的狭い面積でも設置できる施設になっています。
なお、地下変電所が多い東京は、送電線も地中に専用ケーブル施設を整備し、効率化しています。
変電所の主な設備3つ
変電所の主な設備は、変圧器と断路器、遮断器の3つです。
送電線を通って運ばれた電気は、屋外変電所で電圧を低下させますが、一度に電圧を下げるのではなく、複数の遮断器や断路器を経て変圧器に送られます。変圧器で電圧を下げた後、再度遮断器や断路器を通って次の変電所へ送られます。
変電所へは鉄塔や電柱を使う架空送電を利用します。この電気は三相交流で、そのまま家庭では使用できないタイプです。
変電所の主な設備1:変圧器
変圧器は電圧を変える設備で、変電施設の中心的役割を担います。
変圧器は鉄心(コア)に2つのコイルを巻きつけたものです。電磁誘導作用によって電圧を変え、発生する熱を冷却する装置も備えています。
なお、東日本と西日本では電気の周波数が異なります。変圧器は電圧を変えますが、周波数は変えられないので変圧器も使い分けます。東日本の50Hz用は西日本で使用できますが、西日本の60Hzは東日本で使えません。
変電所の主な設備2:断路器
断路器は変圧器や遮断器、送電線などの点検や修理をするときに電気を止める設備です。
断路器は遮断器の片側や両側の端に設置されます。これは、点検作業する機器を確実に切り離す役割です。遮断器と比較すると設計上、少しの電気しか止められません。そこで、断路器単独では使用できず、遮断器と併用しなければ遮断できません。
断路器は、変圧器で電圧を変える前と変えた後の両方に設置される設備です。
変電所の主な設備3:遮断器
遮断器は一定以上の電流が流れると、自動的に電気を停止させ事故を未然に防ぐ設備です。
一般家庭ではブレーカーと呼ばれ、普段は送電の切り換えや停止に使用します。また、遮断器は断路器と合わせて開閉器と呼ばれます。
遮断器で強制的な電流の切り離しを行うと、電極間にアーク放電が発生する場合があり、開閉器を損傷する大事故につながったり、変電所が停電し、大規模停電も発生します。
変電所の主な役割5つ
変電所の主な役割は電圧の調整や変成、調相や系統保護などです。
電圧を変える以外に、安定供給のため送電設備に負荷のかからないような役割や、送電線に事故が発生した際には、系統を保護し事故の影響を抑える働きもあります。
さらに、同時に系統の切り替えを行って、電力量の調整を図る機能も持っています。
変電所の主な役割1:電圧調整
変電所からの距離が遠くなると送電線の電圧降下が大きくなるので、変電所から送伝する電圧を調整して電圧が一定になるように保ちます。
送電圧が同じままでは、供給電圧の変化を抑制できません。そのため、変電所で電圧調整を行って消費者に近い場所の変化を抑えますが、その際、送伝する電圧を発電施設近くまでさかのぼって、順次目標値に近づくように調整します。
変電所の主な役割2:電圧変成
電圧変成とは、変圧器によって電圧を変えることです。送電効率を上げるために電圧を高くし、使用場所に適した電圧にするために低くします。
変電所の変圧器は発電機が作った波型が3つの「三相交流」の電気を変成してから、消費者に近い変圧器で波型が1つの「単相」にします。
また、発電施設で作られた電気は交流ですが、家電製品は直流です。そのため、内蔵した変換装置やACアダプターによる変換で対応します。
変電所の主な役割3:調相
調相とは、無効電力を調整して送電時の損失を減らすことで、電圧調整の1つです。
送電される電力で使用されるものが有効電力です。使用されないものは無効電力で、有効電力を送るために欠かせませんが、実際はまとめた皮相電力で送電します。
調相による電圧調整は、電力用コンデンサと分路リアクトルを主に使用します。電力用コンデンサは電圧が下がるのを抑制し、分路リアクトルは電圧が上がるのを抑えます。
変電所の主な役割4:系統保護
変電所は、送電などで事故が発生した際にその他の系統を保護する役割があります。
系統保護は、遮断器による系統の切り替えです。事故回線を切り離して事故の影響を抑え、送電の安定を確保します。この仕組みを保護リレーと呼び、事故の検出と発生場所や事故の種類も識別し、遮断器に作動する指令を出すシステムです。
系統保護は、電力系統の監視の役割を担います。
変電所の主な役割5:潮流調整
電力潮流は発電所から消費地へ向かって流れますが、大きさと方向が一定ではないので、変電所で潮流調整を行います。
潮流調整の方法は有効電力潮流の場合、変電所内の送電線路の接続変更です。無効電力潮流に対しては、調相設備の停止や運転で行います。
潮流調整により電力設備の過負荷を防止し、系統の安定運用が可能です。適正電圧を維持し、送電中の電力喪失を軽減します。
変電所の近くに住む場合
変電所周辺では超低周波電磁界が発生していますが、体に与える影響はありません。
体に影響を与えるような強い電磁界は、普通の生活環境では存在しません。そして、変電所など電力設備周辺の磁界や高圧送電線の電界は経済産業省令で規制されています。
また、磁界は国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の制限値を採用し、日本の電界の基準はより厳しい数値です。したがって、変電所周辺でも安心して暮らせます。
変電所について知ろう
変電所は電気を発電所から消費地へ届ける間に、電圧を調整する役割を果たしています。
発電所は屋外と屋内、地下で変圧器などを使用して電圧の調整を行い、同時に系統保護や潮流調整を通じて電気の安定的な供給を助け、監視する役割も担います。また周辺の環境は省令などで規制され、健康に与える影響はありません。
変電所の種類や設備、役割を知って、電気を身近なものにしましょう。
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