内装施工管理は本当に激務?きついと言われる理由と仕事のやりがい・魅力
「内装施工管理へ転職したいが、激務と言われているから不安だ」と、施工管理への転職を躊躇している方も多いのではないでしょうか。
本記事では、具体的な仕事内容や激務と言われている理由を紹介しています。実情をふまえた対策法や、専門職ならではの魅力がわかります。
これを読めば、転職成功率のアップや内装施工管理職の道へ踏み込む動機づけにもなるでしょう。
内装施工管理の仕事に興味のある方は、是非参考にしてください。
目次
内装施工管理の仕事は本当に激務なのか
平成29年に厚生労働省より発表された「建設業における若年労働者確保の課題について」によると、若者が離職する理由として最も多いのが「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかったため」(31.8%)ということがわかっています。
労働時間が長く休日が不定期だったりすると、若者が離れやすいことがうかがえます。
高齢化もすすむなかで、建設業の施工管理は慢性的な人手不足であり、個々の負担が大きくなることも多く、激務だと言われやすいことがわかるでしょう。
出典:建設業における若年労働者確保の課題について|厚生労働省
内装施工管理の仕事内容
内装施工管理は建設内部の仕事を管理する、いわば現場の総監督です。
工事が滞った場合は、自分の判断で人員を増やしたり作業内容を見直したりするなど、スケジュールに遅れが生じないようにします。
予め決められた工期までに完了させなければならず、現場作業の進捗を管理するのが主な仕事です。ここでは、その具体的な仕事内容を8つ紹介していきましょう。
1:工程表の作成
工程表を作成する目的は、決められた期日までに工事が終わるよう確実に管理するためです。工事の進捗や遅れ具合を把握できるため、工期の遅れを防ぐことに繋がります。
工程表は、作業ごとにかかる日数を割り当て工事担当者などを記載し、誰が見てもわかるように作成することが重要です。
全体図を視覚化できるため、機械の故障や作業員の欠勤などの急なトラブルにも速やかに対応できます。
また、作業の無駄を省いて効率化を図れるため、コスト削減にも繋がるでしょう。
2:資材の拾い出し・発注
設計者から届いた図面から、建材の種類や数量、必要な設備機器を決定し、算出して発注します。
建材は、壁やドア、床やクロス、キッチンパネルなど多岐にわたり、発注したすべての納期を確認します。
3:作業届・報告書などの書類作成
作業届には、休日や夜間に工事するための休日・夜間作業届があり、工程表で予め定めた休日や時間外作業の場合は、事前に届け出をする必要があります。
報告書には工事履行報告書があり、予定工程に対しての実施工程をそれぞれ(%)で月別に記入するため、工事の進み具合を視覚化できます。
必要があれば工事促進させる指示入れをして、作業が滞らないようにしましょう。
出典:土木工事書類作成マニュアル(案)[改訂版]|近畿地方整備局
出典:土木工事現場必携工事書類作成マニュアル編|北陸地方整備局
4:関連業者への指示書の作成・情報共有
施工を請け負うすべての業者に関する事項を記載した台帳を作成し、その旨を各業者へ書面で通知します。
業者名や各業者の施工範囲、技術者氏名や外国人建設就労者の従事の状況などを記載することで、各業者の施工分担関係が一目でわかるようになります。
この台帳を通じて現場の施工体制を把握することで、生産効率低下や建設業法違反などを防ぐことができるでしょう。
5:見積もり・原価算出
最終的な見積もりは営業部で行いますが、現場内での材料費や設備費の原価算出は施工管理が行うため、工事にどのくらいの費用がかかるのか、各施工会社に見積もりを依頼する必要があります。
6:建具図・施工図の作成
建具図や施工図は工事を実際に行うために必要な図面で、全体から細部まで示したものです。
施工業者へ必要情報をわかりやすく伝えるためのいわゆる翻訳書であり、設計図をもとに作成します。
各業者への指示や情報を共有することで、着工から完了までの工程を円滑に進められます。
7:設計者との調整
設計者が図面とあわせて作成する仕様書には、使用される資材の品質・施工方法、メーカー名や品番・数量など、図面には表示できないものが記載されています。
それをもとに図面どおりにすすめるなかで、表示が不明確でどのように施工したらいいか判断がつかない場合は、現場で判断せず設計者との調整が必要になります。
8:施主への説明・折衝
工事が始まると、施主と工程の連絡をしたり内容変更の説明をしたりして、擦り合わせをすることが多くなります。
作業にあたっての問題点やかかる費用について、解決に向けて折り合いをつける場面もあるでしょう。
内装施工管理が激務かどうかの検証
内装施工管理の作業時間は現場によっては作業ができる時間帯もさまざまで、早朝から深夜まで及ぶこともあり、勤務時間が不規則になりがちです。
限られた作業時間内で作業が予定どおりすすまない場合や、急なトラブルが起こった場合は、スケジュールに遅れが出ないよう休日に対応することもあります。
ここでは、作業時間の実情にもとづいて激務かどうかを検証していきます。
新築工事の作業時間
新築工事の場合、現場での作業時間は通常8時から17時までが多いようですが、作業前の準備や作業後の後片付けなどもしなければなりません。
作業前には作業員を集め、ラジオ体操で体をほぐしたり、危険予知活動として事故に気をつける点などの注意事項を周知したりします。
改装工事の作業時間
店舗などの改装工事の場合、閉店してからの作業開始になる場合が多いため、現場での作業時間は21時から7時までが多くなります。
駅構内のコンビニとなると終電から始発までの間の作業になるため、24時から5時までなど、さらに短縮されることもあり、作業時間が限られてしまいやすいのが実情です。
作業が終了しても、日中には設計者や施主などへの対応が必要なことも多いでしょう。
内装施工管理が激務だと言われる理由
前にも述べたとおり、内装施工管理の仕事は多様な施工内容や関わる人間も多いことから、業務量が増えがちです。
ここでは、現在の建設業界における実情をふまえたうえで、激務と言われる理由を説明していきます。
労働時間が長く不規則である
平成30年に国土交通省が発表した「建設業働き方改革加速化プログラム」によると、建設業は全産業平均に比べると年間300時間以上と労働時間が長いです。
働き方改革で推奨されている週休2日も、まだ十分には確保されていないようです。
実際に、作業前の下準備や作業後には事務処理があるため残業になることも多く、機械の故障など急なトラブルで終えられなかった作業を休日返上して働くこともあります。
これらのことが、労働時間が長くなる要因といえるでしょう。
それに加えて、作業時間帯は日中のみならず、現場によっては店舗の営業時間外の深夜から朝方にかけて作業することもあるため、勤務時間が不規則になりがちです。
出典:「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定~官民一体となって建設業の働き方改革を加速~|国土交通省
幅広い業務の知識が必要になる
管理者として現場を総指揮するにあたり、あらゆる内装工事についての知識が必要です。具体的には、壁や天井のクロス工事、ドアや窓を取り付ける建具工事などです。
内装工事は設備によってさまざまな工事が併用して行われ、施工する業者も異なるため、業者選びや職人との打ち合わせで各分野の知識が必要になる場面もあるでしょう。
多様な職種の人間関係がストレスになる
工事に関わる人は、設計者や発注者、業者など多様です。
そのような環境のなかでスケジュールを円滑にすすめるためには、立場上、各関係者と上手く付き合うことが重要になります。
例えば、年上の職人や性格の合わない人に対してそりが合わず話がこじれると、工事が滞るおそれがあるため、ストレスになりやすい場面もあるでしょう。
内装施工管理の魅力
ここまでは、内装施工管理の具体的な仕事内容と実情について述べてきましたが、やはり激務なんだと尻込みされた方も少なくないのではないでしょうか。
しかし、そんな内装施工管理だからこそ味わえる魅力もあります。ここでは、その魅力のいくつかを紹介していきましょう。
AIでは代替できない大切な仕事である
近年、AIを取り入れる企業や産業は数多くあり、コスト削減や生産性を向上するなどのメリットがありますが、あくまでも過去のデータから学習し分析できるものであって、それ以上の知識を自動的に取り入れられないのが現状です。
内装施工管理職においては、人との複雑なコミュニケーションや、あらゆる対応にも応用力が必要なため、パターン化されたAIに取って変われない大切な仕事だといえるでしょう。
資格が必要で誰でもできる仕事ではない
建築施工管理技士の資格を取得すれば、内装施工管理としての仕事の幅が広がるでしょう。
国土交通省が建設業法第27条の規定にもとづき実施している国家試験で、1級と2級があり、建設工事に従事する技術者の技術の向上を図ることが目的とされています。
検定に合格すれば有資格者となり、責任者を置かなくてはならない現場にも対応でき、給与も全国の平均以上が期待できるでしょう。
国税庁による令和2年分民間給与実態統計調査結果では、建設業の平均賃金が約500万円となっています。
建築施工管理技士は責任が大きいため給与が高い傾向にあり、資格を所有すれば手当がつく場合もあるため、高収入に繋がる可能性があります。
出典:技術検定制度|国土交通省
自宅でのDIYにも役立つ知識が身につく
仕事上で身についた技術や知識を使って、自宅でのDIYに活かしてみるのもおすすめです。
家族や友人のためにDIYができれば比較的低コストで抑えられ、さらにプロの腕で仕上げてもらえるため喜ばれることでしょう。
工事を終えたときに大きな達成感を得られる
内装施工管理は、現場全体を取りまとめスケジュールどおりにすすむように管理することから、体力的にも精神的にもそう甘くないことがうかがえます。
しかし、自分の力量で工程の段階をひとつひとつクリアしていく喜びや、与えられた工期までに工事が間に合ったときには、言いようのない達成感が味わえるでしょう。
内装施工管理が激務な場合の対策方法は?
建設業における週休2日の確保をはじめとした「働き方改革実行計画」をさらに加速させるため、平成30年に国土交通省が「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定し、長時間労働の是正、給与、生産性向上などについて新たな施策を展開しました。
建設業団体においても、タブレットPCを支給し現場での書類作成を可能にしたり、ひと現場あたりの施工管理の人数を増やしたりするなど、個々の負荷を少しずつ減らしているようです。
激務の対策方法として、比較的対策がしっかりされた大手ゼネコンなど大企業への転職や、サービス残業・サービス出勤がない派遣形態へ切り替えるのもよいでしょう。
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激務でも魅力がある内装施工管理にチャレンジしてみよう
内装施工管理の仕事は携わる業務範囲が幅広いため、多くのスキルと経験を積む必要があります。
しかし、そこにやりがいを見出し、身につけたスキルや知識が目に見える実績に繋がることは、この仕事ならでは魅力といえます。
また、社会への貢献度が高いことも、かけがえのない喜びや達成感へと繋がるでしょう。
内装施工管理の仕事を正しく理解し、自分に適性があると感じた方は、施工管理への転職にチャレンジしてみることをおすすめします。
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