コンクリートポップアウト現象の原因3つ!特徴や事前の抑制対策も解説
コンクリートポップアウトとは
コンクリートポップアウトとは劣化現象の1つです。コンクリートの劣化現象で、コンクリート表面が薄い皿のように剥がれ落ちることを指します。
また、コンクリートポップアウトはコンクリートの中に吸水性粘土鉱物などの膨張物質が含まれたり、コンクリート中の水分が凍結と融解を繰り返したりすることによって発生する仕組みです。
コンクリートポップアウトが発生した場合は、剥離した場所にモルタルなどを充填して修繕が行われます。
ポップアウトとひび割れの違い
ひび割れとはコンクリートに亀裂が発生することです。
コンクリートに発生するひび割れはコンクリートに深い溝が発生するもので、コンクリートの劣化や乾燥収縮などが原因で発生します。
一方、ポップアウトはひび割れではなくコンクリート表面が剥離する現象となっており、同じコンクリートの劣化現象でも症状が異なります。
コンクリートポップアウト現象の原因3つ
コンクリートポップアウト現象の原因をご紹介します。
同じコンクリートポップアウトでも、発生する原因はコンクリート内の水分の凍結融解や鉄筋のさびによる膨張などさまざまです。
ここではコンクリートポップアウト現象の原因3つをご紹介しますので、どのような現象があるのか参考にしてみてはいかがでしょうか。
ポップアウト現象の原因1:凍結融解作用
ポップアウト現象はコンクリート内に含まれている水分の凍結融解作用によって発生することがあります。
コンクリートの中には一定量の水分が含まれていますが、その水分が凍結するとコンクリートが膨張することになります。また、長い期間凍結と融解を繰り返すことにより、コンクリートは徐々に劣化していきます。
そのため、コンクリート内の水分が凍結と融解を繰り返すことでポップアウトを引き起こす原因となります。
ポップアウト現象の原因2:鉄筋の腐食による膨張
ポップアウト現象はコンクリート内部の鉄筋の腐食による膨張によって発生することがあります。
鉄筋コンクリートのように、建物を構築するコンクリートの内部に埋め込まれているのは鉄筋です。しかしコンクリート表面から雨水などが染み込むことで鉄筋が腐食し、錆が発生し、膨張することがあります。
そのため内部の体積が増え、コンクリート表面にポップアウトが発生するケースがあります。
ポップアウト現象の原因3:反応性骨材による膨張
ポップアウト現象は反応性骨材の膨張によって発生することがあります。
コンクリートは高いアルカリ性となっていますが、そのアルカリ分がコンクリートの中にある反応性骨材の中にある反応成分と化学反応を起こした場合、コンクリートに内部応力が発生して反応性骨材の周囲のコンクリートを破壊します。
また、反応性骨材による膨張の種類は、アルカリ骨材反応や溶融スラグ骨材の混入などです。
アルカリ骨材反応
アルカリ骨材反応とは、コンクリートに含まれているアルカリ性水溶液が骨材と化学反応を起こすことでコンクリートの膨張やひび割れなどを発生させる現象です。
ただし、アルカリ骨材反応は全てのコンクリートで発生するというわけではなく、火山岩などに含まれるシリカ鉱物が一定以上含まれている骨材を使用している場合にのみ発生します。
そのため、骨材に天然骨材を使用する場合は特に注意が必要です。
溶融スラグ骨材の混入
溶融スラグとは、廃棄物や下水汚泥の焼却灰を溶融、冷却して作ったガラス状の固化物です。
溶融スラグは基本的に生コンクリートに使用することが認められていませんが、まれに混入することがあります。
また、この溶融スラグを生成する際に添加される生石灰の量が多すぎた場合、溶融スラグとして固化した後も内部に残存し、コンクリートの水分と混ざり合うことで膨張し、ポップアウトを引き起こす原因となるでしょう。
コンクリートポップアウトの特徴3つ
コンクリートの劣化現象にはポップアウト以外にもクラックなどの症状がありますが、ポップアウトにはどのような特徴があるのでしょうか。
ここではコンクリートポップアウトの特徴3つをご紹介しますので、どのような特徴があるのか参考にしてみてください。
コンクリートポップアウトの特徴1:表層部の部分的破損
コンクリートポップアウトはコンクリート表面部に部分的な破損が発生します。
ポップアウトはひび割れのようにコンクリートに長い亀裂が発生するのではなく、部分的に表面が破損します。また、コンクリート表面部のみが薄く皿状に剥離、もしくは剥落する点がポップアウトの特徴です。
コンクリートポップアウトの特徴2:美観を損なう
コンクリートポップアウトは建築物などの美観を損ねます。
同じコンクリートの劣化でも、ひび割れなどの場合、ケースによっては髪の毛のように非常に薄く、見た目の面では大きな影響を与えないものもあります。
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しかしポップアウトの場合は、コンクリート構造物の表面の一部が円状に剥離してしまうため、どうしても目立ちます。そのため、構造物の美観を大きく損ねるという点が特徴です。
コンクリートポップアウトの特徴3:進行した場合耐久性が損なわれる
コンクリートポップアウトは進行していくと構造物の耐久性を損ねます。
コンクリートの劣化がポップアウトとして発生した場合、初期であればコンクリート表面部のみの症状なので構造物には大きな影響は与えません。しかしそのまま対策を行わずに放置していると、だんだんと劣化が進行していき、構造物自体の耐久性にも影響を与えることになります。
そのため、ポップアウトが発生した時点で何らかの対策を行うことが重要です。
コンクリートポップアウト対策5つ
コンクリートポップアウトへの対策をご紹介します。
コンクリートの構造物にポップアウトの発生、また進行させないためには、事前の対策や発生後の適切な対策が必要となります。
ここでは最後にコンクリートポップアウト対策5つをご紹介しますので、どのような対策があるのか参考にしてみてください。
コンクリートポップアウト対策1:事前の抑制対策が必要
コンクリートポップアウト対策には、事前の抑制対策が必要となります。
ポップアウト対策として一番に考えられるのが、ポップアウトを起こさないような抑制対策を実施することです。
たとえば、コンクリートに膨張性を持つ物質を使用しないようにしたり、アルカリ骨材反応を起こす可能性のある物質を含んだ骨材を使用しないようにしたりすることで、予防することが可能です。
コンクリートポップアウト対策2:AEコンクリートを用いる
コンクリートポップアウト対策には、AEコンクリートを用いることで対策が可能です。
AEコンクリートとはAE剤を用いた特殊なコンクリートのことで、一般的なコンクリートと比較して凍害を少なくしたり、コンクリートの耐久性を向上したりすることができるものです。
AEコンクリートなら膨張やひび割れにも強くなるため、ポップアウトを予防することが可能になります。
コンクリートポップアウト対策3:反応性のある骨材を使用しない
コンクリートポップアウト対策には、反応性のある骨材を使用しないことで対策が可能です。
前述の抑制対策とも被る内容になりますが、そもそもアルカリ骨材反応を起こす可能性がある骨材をコンクリートに使用しないことで、反応性骨材によるポップアウトを未然に防ぐことができます。
コンクリートポップアウト対策4:水セメント比が小さい密実コンクリートの使用
コンクリートポップアウト対策には、水セメント比が小さい密実コンクリートを採用することで対策が可能です。
水セメント比が小さい密実コンクリートは細孔組織が緻密になっており、凍結できるような自由水が少ないことから凍害が発生しにくいという特徴があります。
そのため、水セメント比が小さい密実コンクリートを使用することで凍害によるポップアウトを防ぐことが可能です。
コンクリートポップアウト対策5:発生後の補修
コンクリートポップアウトが発生した場合には、適切な補修を行うことが重要です。
ポップアウトはそれ自体がコンクリート表面の剥離だけなので、すぐに構造物の耐久性に影響を及ぼすものではありません。
しかし放置していると被害は拡大していくため、すでにコンクリートポップアウトが発生してしまった場合には、症状が進行しないようにすみやかな対策を実施するようにしましょう。
表層部の部分的破損ならモルタルなどで充填
コンクリートポップアウトが表面部の部分的な破損だけであれば、モルタルでの修繕が可能です。
一般的にポップアウトが発生した場合、埋め戻し工法と呼ばれる方法で修繕を行います。埋め戻し工法では剥離している部分のコンクリートを除去し、鉄骨を露出させて錆を落とし、防錆処理を施して、モルタルなどを充填することで補修を行います。
破損が進行した場合は大規模な補修が必要
コンクリートポップアウトが進行してしまった場合には、大規模な補修をおこなう必要があります。
ポップアウトはコンクリートの表面の剥離だけですが、そのまま放置していると剥離している部分から内部に雨水が染み込み、建物の構造体自体が腐食していく可能性があるでしょう。
そのため破損が進行した場合には、外壁だけでなく建物内部の修繕工事が必要になるケースもあります。
コンクリートポップアウトに関する知識を深めよう!
コンクリートポップアウトは症状が進行すると大がかりな工事を行わなければいけないため、事前に対策を取ることが重要です。
ポップアウトは使用しているコンクリートの劣化や、凍害融解作用といった原因で発生する可能性があります。
ぜひこの記事でご紹介したコンクリートポップアウト現象の原因や特徴、コンクリートポップアウト対策などを参考に、どのような現象を引き起こすものなのか理解を深めてみてはいかがでしょうか。
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