良い生コンの配合とは?配合に必要な要素5つと扱い方のポイントを紹介
目次
生コンの仕組み
建物を建築する際に必要なのが、コンクリートです。そして、固まる前のコンクリートが生コンです。
生コンはセメント、砂や砂利などの骨材、混和剤などを混ぜ合わせて作られます。
生コンは工場で練り混ぜられた後、固まっていない状態で工事現場へ運ばれます。
コンクリートはご存知のとおり、すぐに固まりはじめてしまうため、生コンが無い時代は現場で材料を配合して練り合わせていました。
この場合、現場の職人の腕や気候などに左右されるため、仕上がりの品質がバラバラになるという問題点がありました。
現在、生コンは工場で作られるため、一定の品質を保つことができるようになったのです。
生コンの配合とは
生コンの配合・・・初心者や新人の管理者が聞いてもよくわからない言葉ですが、一般的に「普通 24−18−25」などと表されます。
素人的に予想すると、生コンを作る要素である砂利・砂・セメントの配合量だと間違いそうですがそうではありません。
文字や数字には以下のような意味があります。
生コンの配合に必要な要素5つ
生コンの配合には、覚えておかなければいけない知識や要素がたくさんあります。
コンクリートには様々な種類があるため把握しておきましょう。
さらに、呼び強度(ニュートン)やスランプ(cm)に対して理解を深めておくことも大切です。
また、粗骨材の最大寸法(mm)や水セメント比(%)についても把握しておきましょう。
これから、生コンの配合に必要な要素5つを紹介していきます。
生コンの配合に必要な要素1:コンクリートの種類
コンクリートには、様々な種類があります。
・普通コンクリート:一般的に知られた通常の外構工事などで使用されるコンクリート。
・マスコンクリート:ダムを作るときに使われるコンクリート。
・流動化コンクリート:高層ビルでの作業やプレキャスト工場製品などで使われるコンクリート。
・膨張コンクリート:床や壁に使用されるコンクリート。
・プレストレストコンクリート:大きい橋の工事やパイル工事(地中に支えになる杭を打ち込む工事)などで使われるコンクリート。
・繊維補強コンクリート:補強のために鋼繊維やガラス繊維を混ぜ合わせたコンクリート。
・水中コンクリート:防波堤などで使われるコンクリート。
・寒中コンクリート:気温が低い時の弊害への対策がなされたコンクリート。
・暑中コンクリート:気温が高い時の弊害への対策がなされたコンクリート。
など、ほかにもさまざまな種類のコンクリートが沢山あります。
一般的な住宅や外構工事に使用されているのは主に普通コンクリートで、それ以外は特殊な公共工事などに使用する場合が多いです。
生コンの配合に必要な要素2:呼び強度(ニュートン)
硬化したコンクリートが外力に対してどのような強さを持つのかという指標がコンクリートの強度です。
コンクリートは圧縮による力に対しては強く、引っ張り方向や曲げられたりする方向の力にとても弱いです。
コンクリートの強度は圧縮による力に対する強度(圧縮強度)を指すことがほとんどです。この圧縮する力に対する強度のことを呼び強度と一般的にいいます。
また、定められた日数(28日)が経過した後の固まったコンクリートの強度も関係します。
この数字が大きいほど強度が強くなります。
ダムなどでは16程度、住宅などの鉄筋コンクリートでは最低でも18で、21、24と3ずつ数字が増えます。
生コンの配合に必要な要素3:スランプ(cm)
コンクリートの硬さややわらかさを表した数字です。
数字が大きいほうがやわらかく扱いやすくなり、数字が小さいほうが硬く扱いにくくなります。
水やセメントがたくさん入っているほどスランプも大きくコンクリートはやわらかくなります。
スランプが大きければ作業効率が良くなります。その分配合するセメントの量が増えるので、コンクリートの単価が上がってしまうという問題があります。
スランプを小さくすると作業効率が低下します。
また一般的な工事には、作業効率とコンクリートの強度がどちらも求められますので、スランプの小さいコンクリートは向いてないといえます。
生コンの配合に必要な要素4:粗骨材の最大寸法(mm)
砂利などの粗骨材の寸法です。25ということは、中に含まれる砂利の最大寸法が25mmということです。
粗骨材が大きければ強さは出せますが、中に入っている鉄筋に配合されている大きな粗骨材がつまってしまうことがあります。ですので、鉄筋の間隔を見ながら粗骨材の大きさを決めていく必要があります。
コンクリートは粗骨材が大きければ大きいほど強度や耐久性を出していくことができます。経済面を考えた時も、粗骨材が大きい方がより良いです。
生コンの配合に必要な要素5:水セメント比(%)
生コンの配合における水セメント比とは、セメントに対する水の割合のことです。水の割合が少なくなるとコンクリートの強度が高くなります。
水路や堤防などの常に水に接する構造物のコンクリートは耐久性が必要なので60%以下のものが使われます。
ですが、どんな場合でもセメントが多ければ多いほど良いというわけではありません。セメントの割合が大きくなればその分施工が難しくなることが考えられます。
セメントの粒子は、水と化学反応することで繊維状の物質が発生します。これが水和生成物です。この水和生成物同士がさらに絡み合うことによって固体の硬化組織が作られます。
ペースト中のセメント粒子の比率が大きい場合、水和生成物同士の間の隙間がない、しっかりと詰まったより良い硬化組織が形成されるので、大きな強度がうまれます。
水セメント比は強度や耐久性に大きくかかわる部分であるため、セメントの種類に応じて規定されています。あらかじめその規定を知っておく必要と、それに従って作業を進めることが大切となってきます。
生コンの扱い方のポイント3つ
生コンの取り扱い方法を間違えてしまうと、さまざまなトラブルが起来てしまう場合があります。
生コンを取り扱う際は、防塵マスクやゴーグルを着用すること、皮膚接触をさけること、季節によって生コン管理を変えることが大切です。
生コンの扱い方を把握することで、トラブルを未然に防ぐことができます。
ここでは、大きく3つほどの注意しておくべきポイントを紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
生コンの扱い方のポイント1:防塵マスクやゴーグルを着用する
生コンを扱うときのポイント1つ目は、防塵マスクやゴーグルを着用することです。
コンクリートのなかに含まれるセメントはアルカリ性です。生コンの配合や生コンを扱っている際に、防塵マスクやゴーグルを着用せずに扱うと鼻や口に入ってしまい、粘膜が炎症を起こす危険性があります。
これらの危険性があるため、作業に取りかかる前には、防塵マスクやゴーグルなどの着用は徹底しましょう。
生コンの扱い方のポイント2:皮膚接触をさける
生コンを扱うときのポイント2つ目は、皮膚接触をさけることです。
皮膚接触をさけます。汗や涙によって強いアルカリ性が生じてしまい、皮膚に炎症をおこす危険性があります。また、涙にセメントがついた拍子に目の中に入ってしまうこともあります。様々な状況で体内に入ってしまうリスクがあるので、皮膚接触にも注意が必要です。
皮膚接触をできるだけさけて、作業するようにしましょう。
生コンの扱い方のポイント3:季節により生コン管理を変える
生コンを扱うときのポイント3つ目は、季節により生コン管理を変えることです。
寒い季節には
1、コンクリートの温度を高める。
2、凍結防止のために微細な空気を混入する混和剤を使う。
3、一定の強度を保たれるまでに保温養生をする。
などの方法で、コンクリートが固まるのが遅くなることや、凍結による耐久性の低下を防げます。
逆に、暑い季節には
1、コンクリートの温度が35℃以下になるように冷やす。
2、固まるのが遅くなるように混和剤を使う。
3、コンクリートの水分が蒸発によって飛ばないよう養生する。
などの方法によって、コンクリートが固まるのが早くなることや、水分が蒸発してひび割れをおこし、耐久性が下がることを防げます。
生コンは季節によって最適な管理方法が違います。管理についての知識も安全に効率よく作業するために必要です。
生コンの配合にこだわろう
生コンの配合には、用途や環境などによっても企画や種類が様々です。理想の生コンを配合するのはとても難しいですが、やりがいは確かにあります。
生コンの世界は奥が深く、生コン会社では、その日に使用する砂利の表面水量までしっかり量り、コンピュータで計算して配合します。それほど生コンの配合は重要で、品質を左右するのです。
建てる構造、建築物や作りたい物の種類によって、それぞれ適した生コンの配合というものがありますが、現場監督としては配合の意味は理解しておきたいところです。
生コンの配合がどうしてもわからない場合はプロに相談することをお勧めいたします。
DIYの人気が高くなっている今、是非理想の生コンをご自身で配合してみてはいかがでしょうか。
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