特記仕様書と標準仕様書の違いとは?特記仕様書で確認すべき内容5つを解説
こちらの記事では、特記仕様書と標準仕様書の違いについてご紹介いたします。
目次
特記仕様書とは?
特記仕様書とは、工事の施工について固有の技術的な内容を定める、もしくは工事の細かい部分を指定する書類です。
工事の施工上注意が必要な点や、使用する材料のグレードや仕様、品質の程度を指定します。この他、図面に表現が難しい内容を言葉やイラストで示す場合もあります。
特記とは、「特別に記載する」を意味し、標準の反対の言葉として建設関係では使用します。
標準仕様書との違い
標準仕様書との違いは、特記仕様書はその工事独自の内容を記載することです。
標準仕様書には工事の内容説明など、基本情報を記します。特記仕様書は図面に記載できない詳しい情報を示し、図面と記載内容が異なる場合は、特記仕様書を優先情報として扱います。特記仕様書に記載する内容がない場合は、「公共建築工事標準仕様による」と記します。
工事の仕様書は、特記仕様書と標準仕様書の2部1組です。
標準仕様書の特徴
標準仕様書の特徴は、建設する建物の構造や規模、工事範囲や材料、設備などを示します。
標準仕様書は共通仕様書とも呼ばれ、工事に関する幅広い注意事項を記載します。契約や施工、現場の安全にかかわる内容などです。
標準仕様書も特記仕様書も、国土交通省のサイトに公開されている「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」を参考に作成します。
特記仕様書を書くときに確認する内容5つ
特記仕様書を書くときに確認する内容は、工事の目的や範囲、工程や重要度の高い情報です。
標準仕様書や設計図面に記載してある内容は省略します。記載内容は、それぞれの工程を分割して記載し、設計基準強度の値の他、鉄骨の製作工場のグレードなど、標準仕様書に記載できない内容も示します。
誰が読んでもわかるように記載するので、ミスをしないように確認しましょう。
特記仕様書を書くときに確認する内容1:工事の目的
工事の目的は、工事名と施工内容も合わせて確認します。
標準仕様書に記載してありますが、改めて工事名と施工内容、目的を明確にし、工事内容によっては、工事や調査を実施する根拠になった災害名なども併記します。
工事の目的を確認し、工事の全体での位置づけや概要、工法や進め方のポイントを把握しやすくしましょう。
特記仕様書を書くときに確認する内容2:工事の範囲
工事の範囲は、対象の工事や工程のどの部分に関する内容かを明確に示すための項目です。
工事全体の範囲が記載され、その中から対象の工事に丸印やチェックをつけて選ぶ方式もありますが、個別に範囲を指定する方法もあります。
広範囲に及ぶ工事で、地盤や工法が特徴的な部分に特化した内容を記述する際に、強調する意味もあります。
特記仕様書を書くときに確認する内容3:工事の工程
工事の工程は工事の進め方に関するものですが、注視する条件なども記載します。
工程は標準仕様書に記載した場合と異なり、特別な工法や技術的な内容を詳しく記載します。気候条件や環境など、同じ環境で工事を続けられない場合は、工事の中止や続行する基準を明確にしましょう。
機材や資材の個別の取り扱い上の注意点の他、調査の場合はマーキングが必要な条件も記載して、担当者によるバラつきを避けます。
特記仕様書を書くときに確認する内容4:事前協議の概要
工事の事前会議の概要は工事を進める前提になるので、特記仕様書に記載する必要があります。
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省庁や自治体など関係省庁や、消防署や労働基準監督署などの諸機関との事前協議は、「工事打合簿」に記録します。協議を行った日にちと担当者、協議内容などを記録し、記録簿に基づいて作業します。
工事関係書類の作成方針として仕様書を根拠とする自治体もあるため、その後の書類作成に支障のないようにしましょう。
特記仕様書を書くときに確認する内容5:重要度の高い情報
特記仕様書は標準仕様書に記載しない工事の詳細について記載するので、重要度の高い情報は改めて内容を確認します。
工事の中でも注意して欲しい点は、関係者の共有が求められます。抽象的な表記を避け、具体的に記載するためにも内容を精査し、データや数値の他、工事を進める中で注意が特に必要な部分の確認作業は重要です。
仕様書に項目を追加して記載するなど記載方法に配慮する点も確認します。
特記仕様書を書くときのポイント3つ
特記仕様書を書くときのポイントは、わかりやすくすることです。
関係者全員が情報を共有するための書類なので、読みやすさと内容のわかりやすさを意識して記載します。使用するフォントや文字の大きさに配慮し、単位は工事関係者が使い慣れているものを使用しましょう。
表記の統一は、読みやすさとわかりやすさにつながります。専門用語と平易な言葉を使用して、ポイントが明快になる記載方法も大切です。
特記仕様書を書くときのポイント1:読みやすいフォントを選ぶ
特記仕様書はゴシック体など、CADソフトで使用できるフォントを選びます。
作成者が使い慣れたフォントより、CADでの利用を優先させます。設計図面に書ききれない内容を伝える書類なので、必要に応じて図で示す場合もあり、手書きを使用せず統一したフォントで読みやすさに配慮しましょう。
使用するCADのフォントを事前に確認すると、作業を効率化できます。
特記仕様書を書くときのポイント2:単位に気を付ける
特記仕様書は数値の単位を統一し、内容を取り違えないように配慮します。
工事現場など、多くの建設関係はミリメートルを使用します。範囲を示す場合など、単位の異なる数値で示すときは単位を必ず記入し、縮尺など重要な情報も省略せず、明確な伝達を意識しましょう。
共有すべき情報を提示する書類なので、全員が内容を正確に把握できる書類を目指します。
特記仕様書を書くときのポイント3:表記を統一する
角度の表記は複数ありますが、採用した表記で統一します。
単位を統一するように、角度の表記も統一するようにしましょう。角度は「○○度」とした表現が一般的ですが、正弦を利用した表記も利用できます。記載方法は「6分の1」や「8分の1」など分数で行いましょう。
屋根の勾配だけは分数を使用しても分母を1に限定しません。分母に10を使ってわかりやすく表記します。なお、仕様書内は同じ表記で統一しましょう。
特記仕様書の様式はダウンロードできる?
特記仕様書の書式は多くのサイトに掲載され、ダウンロード可能です。
特記仕様書はテンプレートや雛型の名称でダウンロードでき、CADソフト会社が作成したものは、使用するソフトと連携しているので作業効率を高めます。
国土交通省の公共建築工事標準仕様書はダウンロード可能ですが、特記仕様書は作成例が書式集に掲載されています。多くの自治体で特記仕様書をダウンロード可能ですので、検索してみましょう。
特記仕様書について把握しよう
特記仕様書は標準仕様書に記載しない特別な内容を指示する書類です。
工事の材料や内容、工事を進めるための注意点など詳細に記載します。現場で認識を共有するために、具体的にわかりやすく記載することが必要です。正確なデータや数字、図や画像を利用し、ダウンロードした書式の利用などにより作業効率を高め、内容の充実に努めます。
特記仕様書と標準仕様書の違いを把握し、ミスなく作成しましょう。
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