こちらの記事では、ICT施工についてご紹介いたします。

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ICT施工とは？

ICT施工とは建設事業での施工の工程において、ICTを活用することによって効率的で高精度な施工を実現するシステムです。

ICTとは「Information and Communication Technology」を略した言葉で、日本語では「情報通信技術」を意味します。

建設工事での施工でICTを利用することで電子情報を活用し、高効率かつ高精度な施工を行い、さらに得られた電子情報を他の工程でも利用することで、生産工程全体の品質向上や生産性向上を図ります。

ICT技術を活用するプロセス

ICT技術を活用するプロセスをご紹介します。

建設工事では調査や設計、施工、維持管理などの生産工程を経て工事が行われますが、具体的にどのようにして建設工事の施工にICT技術を活用するのでしょうか。

ここではICT技術を活用するプロセスをご紹介しますので、どのようなプロセスによってICT技術が活用されているのか参考にしてみてはいかがでしょうか。

測量

ICT施工の場合、測量はトータルステーションと呼ばれる高度な測位システムを使用することができます。

従来の測量の工程では、測量する場所に作業員が丁張りを設置し、別の作業員が排土板を操作しながら目視で確認を行っていました。また、繰り返し作業が必要で、施工後のチェックを行う補助員も必要でした。

しかしICT施工の場合、丁張りや補助員などは不要で、排土板を測定するだけで高精度かつ安全な測定が可能になりました。

設計データの作成

ICT施工の場合、3次元設計データを作成することになります。

ICT施工では建設機械はオペレーターの操作支援や自動制御が行われるため、従来よりも安全な施工が可能となりました。

この自動制御では建設機械の位置情報と3次元設計データを照合し、利用することになるため、3次元設計データを作成する必要があります。また、圃場整備などでは2次元設計データを利用することもあります。

施工

ICT施工の場合、施工の際には施工データを記録することになります。

ICTや電子施工図などを活用することで、実際の施工作業では計測作業の効率化や建設機械の自動制御による精度の向上、施工効率の上昇などが期待できます。

また、施工作業を実施する際には出来形管理でも施工データを電子記録できるため、施工者が任意に計測することで、品質管理や帳票作成などの業務も効率化できます。

ICT施工の5つのメリット

ICT施工のメリットをご紹介します。

ICT施工は建設のプロセス全体の生産性向上や品質確保を図るために国土交通省情報化施工推進戦略によって推進されているシステムですが、ICT施工には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

ここではICT施工の5つのメリットをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

メリット1：施工効率の向上

ICT施工を導入することで、建設作業における施工効率を向上させることができます。

ICT施工では汎地球測位航法衛星システムやトータルステーションといったシステムを導入し、電子施工図などのデータを活用することになります。

このことにより、計測作業を合理化し、従来であれば必要だった丁張を使用しない効率的な施工が実現できます。

メリット2：安全性向上

ICT施工を導入することで、建設作業における安全性を向上させることができます。

ICT施工ではあらかじめ入力している3次元設計データを使用することになります。そのため、従来であれば必要になっていた建設機械周辺での測量作業などを大幅に低減することができ、さらに丁張り作業や作業補助なども削減できることから作業の安全性が向上します。

メリット3：施工精度の向上

ICT施工を導入することで、建設作業における施工精度を向上させることができます。

ICT施工ではさまざまなICT技術や電子データを活用することにより、従来の手作業よりも高効率かつ高精度の施工が可能となります。

たとえば、ICT施工の建設機械は位置情報や設計データを照合することでオペレーターのナビゲーションや自動制御が可能となるため、より施工精度の向上が実現します。

メリット4：技術評価値の向上

ICT施工を導入することで、建設作業における技術評価値を向上させることができます。

建設企業の落札方式には、民間企業の優れた設計や技術力を活かせる「総合評価落札方式」というものがあります。

総合評価落札方式では「価格」以外に技術力などの価格以外の要素を評価の対象にできることから、ICT施工を活用することによって技術評価値を向上できる可能性が高いです。

メリット5：環境負荷の低減

ICT施工を導入することで、建設作業における環境負荷の低減にも貢献することができます。

ICT施工では建設機械も効率的な稼働が可能となるため、燃料の消費量も低減することができます。また、施工精度も向上することから当初の計画通りに施工が実現できるため、建設資材が過剰に余るようなケースも少なくなります。

そのため、CO2の排出量も抑制することができます。

ICT施工の3つの課題

ICT施工の課題をご紹介します。

ここまでICT施工のさまざまなメリットがあることをご紹介しましたが、一方でICT施工には課題も残されています。そのため、ICT施工の導入を検討する場合には課題についても理解しておく必要があります。

ここではICT施工の3つの課題をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

課題1：導入コストが高い

ICT施工は導入コストが高くなるという課題があります。

ICT施工を導入する場合、これまでに必要となっていた建設機械へのコストに追加されることになるため、導入コストは増大します。また、ICT施工で使用するシステムもアップデートしていく必要があるため、導入コストだけでなく維持費もかかることになります。

課題2：無線通信が可能な環境下が必要である

ICT施工は無線通信が可能な環境が必要という課題があります。

ICT施工で使用する機器は無線通信を使用することになるため、通信が安定していない環境下では使用することができません。

また、作業途中で通信が切れた場合や機器が故障した場合などは簡単に代替機を用意することができないため、作業そのものがストップしてしまうというリスクがあります。

課題3：システムありきの施工となってしまう

ICT施工はシステムありきの施工になるという課題があります。

ICT施工ではあらかじめ用意した3次元設計データを用い、自動制御されたブルドーザーや油圧ショベルなどを使って作業を行うため、オペレーターや作業員に従来のようなスキルは必要とされなくなります。

そのためスキルを身につけることが難しくなり、システムダウンなどが発生した場合にはICT施工導入前よりも工期が延びてしまう可能性もあります。

ICT施工が推進されるようになった背景

ICT施工が推進されるようになった背景にはどのような事情があったのでしょうか。

現在は国土交通省も導入を推奨しているICT施工ですが、国土交通省の推進にはどのような背景があるのでしょうか。ここでは最後に、ICT施工が推進されるようになった背景をご紹介します。

出典：ＩＣＴの全面的な活用｜国土交通省ホームページ

背景1：生産性向上を目指したい

ICT施工によってIoT技術などを活用し、生産性向上を目指したいという背景がありました。

国土交通省は建設現場における生産性の向上を目的として、3次元のデータや施工の電子情報などを活用したICT施工を推進しています。

従来であれば職人の手で行われてきた工程を自動化することで、より少人数でも生産性を向上することが可能になります。

出典：ICTの全面的な活用｜国土交通省ホームページ

背景2：魅力的な業界になりたい

就業率が低下している建設業界をICT施工によって魅力的な職場にしたいという背景がありました。

日本では少子高齢化によって労働人口が減ってきていることから、建設業界でも人材不足という問題に直面しています。

そのため、ICT施工によって生産性を向上し、仕事を効率化することで、より働きやすい魅力的な業界として若手人材を増やしたいという目的があります。

ICT施工は魅力的な技術

建設業界ではICT施工の導入による生産性の向上が推進されています。

ICT施工にはまだ課題も残されていますが、従来よりも大幅な高効率化や高精度での施工が可能となります。

ぜひこの記事でご紹介したICT施工の概要やICT施工のメリット、ICT施工の課題などを参考に、建設業界で推進されているICT施工について理解を深めてみてはいかがでしょうか。

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