現場事務所を建設する時の基本的な設備構成7つ|注意点もあわせて紹介
こちらの記事では、現場事務所を建設する時の基本的な設備構成についてご紹介いたします。
現場事務所とは
現場事務所とは、工事管理用に工事現場の近くに設置する事務所です。
工事書類の作成や打合わせ、作業員の休憩や宿泊のために使用します。現場作業の始まる数か月前に構え、工事が終了すると撤去する期間限定の仮設事務所です。
プレハブやユニットハウスの新設、近くのマンションやアパートなど賃貸物件を利用することもあります。なお、設置義務はなく、住宅建築など設置しない工事もあります。
現場事務所の特徴
建設工事の現場事務所は工事現場の敷地内が基本で、現場ごとに環境は変わります。
隣接する敷地に設置する場合もあり、事務室や休憩室、資材置き場や材料の加工スペースも含み、建設現場では宿舎も現場事務所と考え、日中だけ使用する業種よりも設備を整えます。
事務作業が中心の業種は机を使用するので1人当たりの面積が広く、業界ごとに目安は1人に対して3坪~4坪が多いようです。
現場事務所の実態
工事現場では、オフィスと作業員の休憩室を併設するので、十分なスペースや設備が確保できないこともあります。
現場事務所は設置義務がないので、工事期間に必要最低限のものを揃えます。トイレは据え置き型か仮設型が多く男女兼用です。国土交通省が快適トイレの導入を進めていますが、改善には至りません。
また、女性が働く現場は更衣室が準備されることもありますが、男性だけのときは設置されない場合もあります。
現場事務所を建設する時の基本的な設備構成7つ
現場事務所は現場作業をサポートするオフィスと資材置き場、作業員の福利厚生のための設備で構成されます。
建設現場入口付近の目立つ場所に、法令で義務付けられた看板や掲示物を表示しなければなりません。さらに、社旗や安全旗、吹き流しや案内看板、郵便受けも設置し、仮設電気や水道、排水も整備するとなお良いです。
建築基準法による届出や建築確認は不要ですが、工事現場の一部として消防署に申請し、防火や地震対策、消火器を備え付けます。
現場事務所の基本的な設備構成1:現場の事務作業部屋
現場の事務作業部屋は書類作成のための机やパソコン、電気とネット回線は必需品です。そして、必要なものはレンタルや中古品を活用します。
以前は電話とFAXでしたが、現在は本社とネットワークを構築したWi-Fi中心です。そして、工事の安全を祈願するための神棚も祀ります。
ほかにも暑さ対策のエアコンや、感染予防対策に水道や手洗いも準備しますが、水道を外に設置して、飲用のウォーターサーバーを導入する会社もあります。
現場事務所の基本的な設備構成2:会議や打合せ用の部屋
事務作業部屋とは別に会議や打合わせ用の部屋も整備が必要です。
現場事務所は工事関係者が多く出入りします。依頼主との打合わせや関係業者との工程会議に専用の部屋を準備して、ホワイトボードを配置します。また、休憩室が見えないようにレイアウトに創意工夫を凝らすことも欠かせません。
ほかに毎月、火災や地震を想定した安全訓練の実施が義務付けられ、その際は本部として活用します。
現場事務所の基本的な設備構成3:駐車用スペース
駐車用スペースは、作業車両と運搬車両、作業員の通勤車両や来客用が必要です。
工事現場では多くの駐車スペースが必要になり、工事作業車と作業員の通勤用のスペースは必ず確保し、敷地内に確保できない場合は近くの土地を借りることもあります。また、盗難対策を行って作業員が安心して働ける環境を提供することも必要です。
さらに、工事関係者の駐車用スペースの表示をして、関係者以外の立ち入りを制限します。
現場事務所の基本的な設備構成4:資材置き場
資材置き場は現場事務所内に整備せず、近くの空き地を使用することもあります。
資材置き場は工事内容によって、大きく異なります。雨にぬれても良いものは工事車両と一緒に置く場所を確保しますが、雨にぬれると困るものは屋根付きの場所が必要です。
また、工事用の発動機や重機などリース品も多く、盗難対策も兼ねて倉庫を借り、資材置き場と現場事務所に使う場合もあります。
現場事務所の基本的な設備構成5:所員の休憩室(詰所)
所員の休憩室は詰所とも呼び、休憩と荷物置き場を兼用します。
工事内容次第では加工作業のスペースと兼ねて利用し、作業員の道具の保管場所にします。現場事務所が2階建てのときは1階を休憩室兼加工作業所、2階をオフィスと会議室に使用し、ネット環境を整備して働きやすい環境作りにも配慮が必要です。
現場事務所の基本的な設備構成6:更衣室
女性が働く現場では現場事務所に更衣室が整備されています。
作業現場の人手不足を背景に女性も多く従事するようになりました。更衣室を男女別に整備されている会社もあり、働きやすい環境整備とイメージアップが目的です。また、シャワー室を完備し、トイレを充実させる動きもあります。
さらに、更衣室が整備された現場事務所は、おしゃれな内装や電子レンジなど福利厚生を重視している事が多いようです。
現場事務所の基本的な設備構成7:仮眠室
夜間工事を行う現場では仮眠室を設置する現場事務所もあります。
事務所と別棟や2連棟のユニットハウス、可動式のトレーラーハウスを男女別にレンタルし、さらにエアコンやシャワー室を整え、寝泊りするメンバーで掃除します。
なお、ライフラインの接続以外にも、例えば、トレーラーハウスが随時かつ任意に移動することに支障のある設備(階段、ポーチ等)があるものや、車輪が取り外されており走行するのに十分な状態に保守されていないもの等も、建築基準法の設置届を要することになります。
現場事務所の予算と規模を決める
現場事務所の規模は多くの場合、予算によって決まります。
建設現場では、事務所の中に出入りする人数に関係なく、工事の予算から事務所の広さが決定されます。目安は、予算が5千万円の時で約7畳のプレハブ、予算が5千万円から1億円の時で約14畳、予算が1億円以上になると2階建てになることが多いようです。
大規模工事になれば関わる人数も増え、夜間工事を伴うものは予算も多くなります。
現場事務所を設置する際の注意点
現場事務所を設置する際は、労働基準法や労働安全衛生法に基づき、必要書類を届出ます。
建設業は現場事務所を設置して新規事業を開始する際に「適用事業報告書」を提出します。内容は事業場所と労働者数、工期です。あわせて「時間外・休日労働における協定届」「就業規則届」の3つを、現場を所轄する労働基準監督署に提出します。
なお、「就業規則届」は当該現場で10人以上が常時使用されない場合には、届出義務はありません。また、労働安全衛生法によって労働環境の整備も義務付けられています。
現場入場の際に労働基準監督署に届ける必要書類 | 建設業許可申請.com
現場事務所に使える物件の探し方4つ
現場事務所に使える物件探しは、敷地内にプレハブなどの建物を建築できない場合に行います。
プレハブ事務所は建築と撤収、電気や水道の接続、仮設トイレなど多くの作業が必要です。近くのアパートやマンション、倉庫や空き店舗を賃貸借契約する方が手軽に設営できます。なお、アパートやマンションを利用する際は、養生して床や壁など傷つけないようにします。
ここでは物件の探し方の例を紹介します。
現場事務所の探し方1:ネット検索
インターネットでテナントや土地、工場や倉庫で検索すると、現場事務所に適した物件を見つけられます。
コンビニやガソリンスタンドの空き店舗は駐車スペースも多いので、現場事務所に使えます。さらに、出入りの人数が少なく、屋根付きの資材置き場が不要な場合にピッタリです。
また、倉庫や工場などの物件は、大規模工事に適しています。事務スペースが別に確保でき、利用しやすい物件です。
現場事務所の探し方2:不動産で探す
工事現場近くの不動産屋さんに飛び込みで探す方法も有効です。
事前にインターネットで現場近くの不動産屋さんを検索してから、相談します。扱っている物件を確認して、一般住宅よりテナントに強い業者さんにしましょう。予算の都合や広さなどの条件を明確に伝えて、大家さんとの仲介を依頼します。
なお、工期だけの賃貸で、短期間だと断られることも多々あります。
現場事務所の探し方3:自分で現場近くを探す
現場近くの下見も兼ねて、自分で現場近くの物件を探す方法もおすすめです。
インターネットで物件情報や不動産屋さんを見つけられないときは、車で現場周辺を探します。テナント募集の看板や空き店舗、未使用の更地を見つけられるでしょう。看板から管理業者や大家さんに連絡を取ります。
この方法は、自分の目で状況確認してから交渉できるメリットもあります。
現場事務所の探し方4:同業などの伝手を頼る
工事現場近くの同業などの伝手を頼る方法もよくあります。
同業者や協力業者の伝手から建設機械のレンタル業者に話を通すと、手頃な物件を紹介されます。更地を持っている地主さんに期間限定で借りる交渉も地元業者ならではです。また、賃貸に出していない土地でも話をつけてくれる場合もあります。
もし、どうしても見つからない場合は、少し離れた場所を確保するようにしましょう。
現場事務所について理解しよう
現場事務所は、建設工事を行う際に現場近くに設置する事務所です。
オフィス機能を有する事務作業部屋と打合わせに利用する会議室、作業員の休憩室や更衣室、仮眠室を備えています。資材置き場や材料の加工所、駐車用スペースも含まれますが、広さの都合で隣接する更地を利用する場合もあります。
関係法令による規制もあり、働きやすい環境整備のために設備やレイアウトを工夫しましょう。
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