高強度コンクリートを使用するメリット・デメリットや特徴を解説

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こちらの記事では、高強度コンクリートを使用するメリット・デメリットについてご紹介いたします。
目次
高強度コンクリートとは?
高強度コンクリートとは、特殊なセメント、骨材、混和剤を使用して製造されたものです。
設計基準強度を高くするために、セメント量を増やして水を減らします。
高強度コンクリートの強度は、「N/m㎡」で表します。ちなみに、高強度コンクリートは36N/m㎡以上が該当し、60N/m㎡以上は超強度コンクリートと呼ばれます。高強度コンクリートは、高層ビルや大型の施設などの建設に利用され、耐震性に優れたものです。
ただ、高強度コンクリートはセメントの量が多く水分が少ないため、粘り気が高く作業効率が悪くなります。ポンプ車の使用時には、圧送力が不足しがちになり注意が必要となるでしょう。
出典 : 現行基準とその課題 | 国土交通省
高強度コンクリートと鉄筋コンクリートの違い
高強度コンクリートと鉄筋コンクリートの違いとは、単純に言えばコンクリート強度の違いです。
高強度コンクリートは、強度が36N/m㎡以上のものを言います。製造過程で特殊なセメント、骨材などを使用して、水との割り合いを通常より減らしてあります。また、100N/m㎡以上のものは、超高強度コンクリートと呼ばれます。
鉄筋コンクリートは「RC造」と略され、普通コンクリートに鉄筋が埋め込まれている建材で、建築コストが鉄骨鉄筋コンクリート造よりも安いため、中低層の建築物によく取り入れられています。
強度は、36N/m㎡以下のものとなります。コンクリートの中に鉄筋を施して強度を増しています。また、耐火性も優れて奇抜なデザインにも対応可能となっています。
しかし、建物荷重が大きくなるので地盤が軟らかい場所では不向きとなります。
出典 : 現行基準とその課題 | 国土交通省
高強度コンクリートの用途
高強度コンクリートは、超高層ビルといった高層建築物の下層階構造に使われています。柱間距離が大きい大スパンの建築物、高い耐久性を有するコンクリート構造物などにも適用されています。
具体的事例には、青森ベイブリッジの主塔などがあります。
高強度コンクリートの特徴4つ
ここからは高強度コンクリートの特徴について解説していきます。今回は、水量が少ないことを始めとした4項目をピックアップしていきます。
高強度コンクリートの特徴についてご興味がある方は、参考にしてください。
1:水量が少ない
高強度コンクリートの特徴のひとつに水量の少なさがあります。製造時にセメントの量を増やして、水量を減らします。
高強度コンクリートは水量が少ないので作業にも影響が発生します。圧力をかけてコンクリートを送り出すポンプ車の運用時には、粘度が高いため注意が必要です。
また、コンクリートバケットを利用する場合は、ポンプ車のように圧力の負荷によるロスは発生しませんが、打込みに時間がかかるため計画時に充分な検討が必要です。高強度コンクリートの施工時には、特に水量に関して特段の注意をしましょう。
2:一般的な生コン工場で製造される
高強度コンクリートは、普通コンクリートと同じ生コンクリート工場で作ることが可能です。最近の高層ビルの需要に伴って、生コンクリート工場での生産量がかなり増えているようです。
工場毎に製造や品質管理を実施して、ニーズに合致した強度をもった高強度コンクリートの生産を新たに開始する未来も近いかもしれません。
3:建築物以外にも適用されることがある
建築物以外にも例えば、橋梁に高強度コンクリートを使用する場合もあります。
高強度コンクリートは強度や恒久性が優れている点から、橋梁やトンネルなどにも多く利用されています。また、工場で決まったサイズで製造しておいて、現場で組み立てる方法も実施されています。
耐震強度は高層ビルで実証されたため、高く評価されているので普及にも拍車がかかっています。奇抜なデザインにも対応が可能となっています。
高強度コンクリートは、従来より使用されている普通コンクリートよりセメントの量が多く、粘度が高く強度も増しています。このようなことを踏まえて、大型の橋梁工事では高強度コンクリート工事が主流となっています。
4:柱も高強度化できる
超高層ビル集合住宅の柱は、通常の数倍の強度を必要とするためにこのコンクリートを使用します。
高強度コンクリートは強度が高いため、柱の間隔を長くして断面寸法を小さくすることが可能となります。これにより、柱の面積を小さくして広い居室空間を確保することが可能となり、平面空間の自由度を広げます。
高層ビル以外にも、ホールや屋内施設など建築対象の幅が広がるでしょう。また、耐震性もあり、地震や台風などにも充分な防御が可能です。
高強度コンクリートを使用するメリット4つ
ここからは高強度コンクリートを使用するメリットについて解説していきます。今回は、大型の建造物を建てられることを始めとした4項目をピックアップしていきます。
従来の普通コンクリートでは実現できなかった高層ビルを可能としているのは高強度コンクリートの技術があるからです。ここでは、高強度コンクリートを使用するメリットについて詳しく紹介しましょう。
1:大型の建造物を建てられる
高強度コンクリートを使用することにより大型の建造物を建てられる理由は、柱の間隔を長くして広い空間を造ることが可能なためです。高強度コンクリートは強度が高いので柱の間隔を広げての施工ができます。そのため、広い空間を造ることが可能となります。
従来の普通コンクリートでは、実現できなかった高さの高層ビルや大規模施設などを建築できるようになったのはもちろん、スポーツ施設やデザイン性を重視した構造物の施工にも用いられています。
2:耐震性が向上する
高強度コンクリートを使用することにより、耐震性能を高めることが可能です。
高強度コンクリートは、配合する水量を少なくして強度を高めています。また、高強度鉄筋との組み合わせや制震部材を利用することで、さらに耐震性能が期待できるでしょう。
3:工期の短縮ができる
高強度コンクリートを使用するメリットは工期の短縮ができることです。
高強度コンクリートは、高層ビルや大規模施設などで利用されますが、その他トンネルや橋梁などにも利用されています。土木建築分野などでは、工場で製造されたコンクリートを現場で組み立てて設置するなどして、工期の短縮が実現できます。
本来は、高度コンクリートの生コンを現場に運び、型枠に流し込んで工事を実施します。しかし、あらかじめ工場で長さや大きさを決めて製造し、その後、土木建築現場に運び組み立てることにより工期の短縮が可能となるのです。
4:高品質なコンクリートを提供してもらえる
高度コンクリートを使った建築物などは、国土交通省が認定する「性能評価」を受けなければなりません。この性能評価は、国の学識経験者によって専門分野ごとに綿密な審査を実施します。
昭和40年の設立以来、技術評価を実施しており大規模な案件や難易度の高い案件の評価対応をしています。また、新開発の材料や設備等の品質評価も実施しています。
出典 : 性能評価[建築基準法]| 一般財団法人日本建築センター
高強度コンクリートを使用するデメリット3つ

高強度コンクリートは、強度が高く高層ビルや大規模施設には必要になっていますが、デメリットもあり、その点に注意して活用しなければなりません。

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ここからは高強度コンクリートを使用するデメリットについて解説していきます。今回は、作業性が悪くなることを始めとした3項目をピックアップしていきます。ここでは、高強度コンクリートを使用するデメリットについて詳しく紹介しましょう。
1:作業性が悪くなる
高強度コンクリートを使用した際のデメリットの1つめとして、材料費が高くなり施工の複雑化により作業時間も増大することがあります。
普通コンクリートの施工工事に比べて、材料費のコストが高くなったり施工の難しさなどが発生します。建物のすべてに高強度コンクリートを使用すると、施工時にコンクリートの流し込みや締め時間に多くの時間を要するのです。
そのため、この高強度コンクリートを使用する際には削減可能箇所の検討なども考慮しなければなりません。作業性を向上させる工夫をする必要があるでしょう。
2:ひび割れしやすい
高強度コンクリートを使用した際のデメリットの2つめとして、ひび割れしやすいことが挙げられます。理由としては、水の割合を極端に減らして製造されるためです。
高強度コンクリートは、高温時、台風時の強風、また乾燥などの状況ではひび割れが生じる場合があります。このようなひび割れはコンクリート構造物を劣化させる原因となるため、強度も低下させる恐れがあり注意が必要です。
3:低発熱系のセメントが必要になる場合がある
高強度コンクリートを使用した際のデメリットの3つめとして、低発熱系のセメントが必要になる場合があることが挙げられます。
温度ひび割れは、外気温やコンクリート温度が高い時期や部材断面の大きい箇所ほど発生しやすくなります。そのような時に、低発熱系のセメントを利用します。
温度によるひび割れの対策は、「温度上昇を抑える」ことや「引張力の低減」があります。具体的には、発熱の小さいセメントを選ぶことが必要となってきます。例として、低熱ポルトランドセメントなどの低発熱系セメントの利用が挙げられます。
混和材料では、AE減水剤などより減水率の高い混和剤を使用すると水量が減るためセメント量が低減出来ます。コンクリートの発熱量は、セメント量に比例して増減します。
また、高炉微粉末やフライアッシュ混和材は、発熱量を抑える機能があります。膨張材を使用すると、コンクリート温度が下降するときの収縮抑制をする効果があるでしょう。
高強度コンクリート施工時におけるポイント3つ
ここからは高強度コンクリート施工時におけるポイントについて解説していきます。今回は、締固めを行うことを始めとした3項目をピックアップしていきます。
高強度コンクリートは、粘り気が強くブリーティングが少ないので、施工時にはさまざまなポイントに注意しなければなりません。それぞれの技術的ポイントについて正しく理解して施工するようにしましょう。
また、ポンプ車を使用して圧送する場合は、負荷やロスが大きくなるので施工には注意が必要となります。コンクリートバケットを使用する場合も、打込みが遅くなるので打ち継ぎの発生についても注意が必要となります。
ここでは、高強度コンクリート施工時におけるポイント3つについて、詳しく紹介していきます。
1:締固めを行う
高強度コンクリート施工時の締固めの実施とは、コンクリートを隅々まで充填できるように実施する作業を指します。具体的には、振動機を利用します。粘り気が高いため締固めの範囲が少なくなる傾向があります。
また、高層ビルなどでは、組まれた鉄筋の量が多くなるため、隅々まで高強度コンクリートを充填させることが困難となります。そのため、繰り返し締固めを実施する必要があるでしょう。
2:養生シートを使う
高強度コンクリート施工時に養生シートを使うことで、収縮によるひび割れを防止することが可能です。
前工程では、上面のコテ仕上げは散水などで対応しています。また、押さえの目的で上面をプラスチックにより覆っています。この部分の収縮によって、ヒビ割れの発生が予想されます。
上面の押さえ完了直後のプラスチック収縮のひび割れを防止するために、散水や養生シートを使って上面を覆う対策が必要とされます。
3:散水を行い仕上げる
高強度コンクリート施工時におけるポイントとして、散水して仕上げることが挙げられます。粘性が強く水分量が少ないコンクリートのため、仕上げ面処理が完了すると散水を十分実施する必要があります。
高強度コンクリートの上面の仕上げは、ブリーディング水が少ないことから急激に乾燥し、均しが難しくなります。そのため散水を充分に実施しながら仕上げることになります。散水は充分な量を実施すると、中性化はしないとされています。
高強度コンクリート施工時における使用上の注意点3つ
ここからは高強度コンクリート施工時における使用上の注意点について解説していきます。今回は、製造の際には繊維を混入することを始めとした3項目をピックアップしていきます。
高強度コンクリートは、セメント量が多く水分量が少ない特徴があるため、施工時に注意をする必要があり、対応には技術的に要求される点などが多く存在します。
ここでは、施工時に考慮すべきさまざまな点について、詳しく紹介していきます。
1:製造の際には繊維を混入する
高強度コンクリート製造の際に繊維を混入するのは、火災時など高温度になった場合に、コンクリートの破裂を防ぐためです。
普通コンクリートは、気泡を含んでおり水蒸気が気化後外部に排出される構造となっていますが、高度コンクリートの場合は気泡が少なく、水蒸気の逃げ場がほとんどありません。
このような状態で、建物火災などが起こると急激に内部の気泡が膨張して破裂してしまいます。この現象を「爆裂」と呼びます。この爆裂への対策としては、繊維を混入して気泡の逃げ場を作る方法があります。
このように、高強度コンクリートは火災などの際に爆裂してしまう恐れがあります。コンクリートに繊維を混ぜることでコンクリート強度が増大することはほとんどありませんが、爆裂防止には大きな対策です。
高強度コンクリートは、普通コンクリートに比べて耐火性が低い特徴があります。高強度コンクリートの表面に鉄板などを張り高温になるのを防御するもの有効でしょう。
2:ポンプ車を使用する場合
ポンプ車を使用する場合に注意する点は、圧送負荷が大きくなるためロスが大きくなることです。
高強度コンクリートの施工時に、高いビルなどにコンクリートを運ぶためにポンプ車による圧送を実施する工事の場合は注意が必要となります。高強度コンクリートは、粘り気が多くブリーティングが少なく、スランプロスが大きくなる恐れがあるため特に注意が必要となるのです。
3:コンクリートバスケットを使用する場合
コンクリートバスケットを使用する際に注意する点は、打込み速度の低下が発生する恐れがあることです。
高強度コンクリートの施工時に、コンクリートバケットを使用した工事を実施する場合は、ポンプ車に発生するような圧送負荷の増大によるスランプロスの発生はほとんどありませんが、打込み速度が遅くなる恐れがあります。
そのため、打ち継ぎなど不具合の発生を予想した対策が必要となります。
高強度コンクリートへの理解を深めよう
高強度コンクリートは、昨今の建造物の特徴から施工機会も増加傾向です。製造するにあたり、水量をおさえるため粘性が低くなります。そのため、ワーカビリティにも影響が出てきます。施工管理に気を配っていきましょう。
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