金属管工事の特徴3つ|施工方法2つや注意点もわかりやすく紹介
目次
金属管工事とは
金属管工事とは、金属製の電線管の中に電線を通す配線工事です。
電線管工事には、金属管と合成樹脂を使用した可とう電線管工事があります。金属管(きんぞくかん)工事は「電気設備技術基準解釈」第159条で規定された工事で電線が外傷を受ける恐れが少ない安全な工事方法です。
英語では、Metal pipe constructionと訳します。
金属管工事の特徴3つ
金属管工事の特徴は、木造建築の外壁側面以外は、どこでも施工可能なことです。
電線を金属管に通すため、外部からの圧力や衝撃に強く、施設場所の制限をほとんど受けません。そのため、展開した場所や乾燥した場所はもちろん、点検できない隠ぺい場所や湿気の多い場所でも施設できます。
使用電圧は300V以下でも300V超えでも施工できる点も特徴です。
金属管工事の特徴1:点検できる隠ぺい場所
金属管工事を施設可能な点検できる隠ぺい場所は、点検可能な場所を指します。
具体的には、押し入れや天井裏で点検口がある場所です。同様に湿気や水気のある場所にも可能ですが、防湿装置が必要です。
ワイヤラス張りやメタルラス張り、金属張りの造営材に配管する場合は、絶縁管など耐久性の高いものを使用し電気的に絶縁します。腐食防止にペンキ塗装で仕上げます。
金属管工事の特徴2:点検できない隠ぺい場所
金属管工事は、点検できない隠ぺい場所にも可能です。
点検できない隠ぺい場所とは、造営物を壊さなければ点検できない天井のふところや壁の内部、地中などです。
二重天井内は電線以外の配管も納められているため、法規上の離隔距離を保ち、施工上の支障がないようにします。間仕切り壁などに埋め込む場合は、支持点間距離2m以内の間隔で金属管肉厚1mm以上をバインド線などにより固定します。
金属管工事の特徴3:露出配管
金属管工事の露出配管とは展開した場所を指し、駅のホームや工場の天井や外壁などです。
屋外配管の注意点は、雨水の侵入と電線被覆の損傷防止です。水平配管の管端はエントランスキャップなどを取り付けた上にペンキを塗って錆と腐食防止措置をします。
天井などの造営材に施工する際、タイル壁などの穴開けにハンマードリルを使用します。支持固定はホールアンカーなどが適します。
金属管工事に用いる金属管の種類3つ
金属管工事に使用する金属管の種類は、厚鋼電線管(G管)とねじなし電線管(E管)、薄鋼電線管(C管)です。
使用する電線は低圧屋内用配線に使用する600Vビニル絶縁電線(IV線)などで、絶縁電線で屋外用ビニル絶縁電線(OW)を除きます。より線または、直径3.2mm以下の単線で、アルミ線は4mm以下です。
金属管に規定以上の電線を収めると発熱や発火の原因になるため、施工時は規定を必ず守ります。
金属管工事に用いる金属管の種類1:厚鋼電線管(G管)
金属管工事に使用する厚鋼電線管とは、管の肉厚が2.3mm以上の金属製の管で配線図では「G管」です。
対候性が高く、屋内外の駐車場や屋上、地下ピット内など過酷な環境でも使用できます。特別高圧電線や高圧電線、防爆のための空間の電線管路としても使用可能です。
標準の電線管は3.66mです。端部は接続できるように「ねじ切り」されていますが、途中で切断した際は、自分でねじ切り作業を行います。
金属管工事に用いる金属管の種類2:ねじなし電線管(E管)
ねじなし電線管は、ねじを切らないことを前提にした管の肉厚が1.2mm以上の金属管で配線図では「E管」です。
ねじ切りをしないため配管を薄くでき、シャフト内や機械室、天井裏など屋内で使います。薄鋼電線管と比較して同じ径でも余裕があり、軽量で施工性に優れます。
配管相互接続の際は、ねじなしカップリング部材を使用します。強度が劣るため、曲げ加工でつぶれる可能性もあり、取り扱いに注意が必要です。
金属管工事に用いる金属管の種類3:薄鋼電線管(C管)
薄鋼電線管はねじ切りで、管の肉厚が1.6mm以上の金属製電線管で配線図では「C管」です。
厚鋼電線管同様、亜鉛メッキが施されていますが対候性に劣ります。主に屋内露出配管で、天井や壁配管、スイッチやコンセント用の立ち下げ用などです。
厚鋼電線管と異なり薄鋼電線管は外径が呼び径です。C19の場合は内径19mmではなく16mm²くらいで、収容電線の占積率や本数計算を間違えないようにします。
金属管工事の2つの施工方法と施設できる場所
金属管工事の施工方法は、金属管の屈曲と指示方法にもきまりがあります。
施設場所は木造建築外壁側面以外であればどこでもできますが、金属部分に絶縁を行えば施設できます。危険物の製造や貯蔵場所、可燃性ガスや引火性物質のある場所など、特殊な場所にも施設可能です。
金属など爆燃性粉じんのある場所、でん粉や小麦粉など可燃性粉じんのある場所など、施設が難しい場所にも施工できます。
金属管工事の施工方法2つ
金属管とボックス、及び金属管同士は漏電による感電を防止するため、電気的に完全な接続を行います。
接続はアウトレットボックスの穴に金属管を通します。確実に設置させるため、各材料を接続する際は、絶縁被覆のない裸電線のボンド線を使用します。
リングレジューサでボックスの穴を調整し、ロックナットで固定します。絶縁ブッシングをボックスや金属管の終端に取り付け絶縁被覆を保護します。
金属管工事の施工方法1:金属管の屈曲
金属管の屈曲部の内側半径は、金属管の内径の6倍以上がきまりです。
施工するために自分で工具を使用して曲げ加工もできますが、屈曲部用のノーマルベンドを使用する方法もあります。直角に曲げる場合は、ユニバーサルを使用すると簡単に接続できます。直線部分を接続する場合は、カップリング部材を使います。
施工にはOW線を除く絶縁電線を使用し、管の内部で電線同士の接続はできません。
金属管工事の施工方法2:金属管の支持方法(固定方法)
金属管の支持方法は、固定する支持点間距離は2m以下が望ましいです。
支持点間距離とは固定部材同士の距離です。金属管を造営材に固定するために、サドルやダクタークリップを使用します。造営材が鉄骨の場合は、固定部材としてパイラックを使います。
金属管工事は必ず接地工事を行うきまりもあり、金属管と接地線の接続に接地金具を使用します。
金属管の接地と接地工事とは?
金属管工事の接地は、300V以下の場合はD種接地工事、300V超えの場合はC種接地工事です。
接地は英語でearth(アース)と言います。屋内配線や電気器具類を保護するための金属管などと地面が電気的に接続した状態です。漏電による火災防止や人などの感電を防ぐ目的があります。
300V超えの場合は、接触防護装置を施工するとD種接地工事に緩和可能です。
D接地工事が省略可能な条件
乾燥した場所で300V以下の場合、金属管の長さが4m以下の時と、金属管の長さが8m以下で交流対地電圧が150V以下で簡易接触保護装置を施工した時はD種接地工事を省略できます。
D種接地工事は、銅板や接地極(亜鉛メッキをした鉄棒)などにロウ付けで銅線を接続し、地中深く埋設または打ち込み、接地目的物を接地線で地面と接続します。
簡易接触保護装置は、簡単に設備に触れられない高さに設置することです。
金属管工事の注意点
金属管工事は、爆燃性粉じんなどがある特殊な場所に施工する際、例外もあります。
機械的衝撃を受ける恐れがある場所では、金属管を使用しても中にケーブルを収めることもあります。この工事はケーブル工事で、金属管工事ではありません。
この他、ねじ切り作業を行う手順も金属管工事です。パイプカッターで切断して平ヤスリで切断面のバリ取り、ねじ切り器でねじを切り、リーマーで内側のバリ取りを行います。
金属管工事について知ろう
金属管工事施工方法は、金属管に電線を収めて配管する工事です。
木造建築外壁以外のあらゆる場所に施工でき、屋外用ビニル絶縁(OW)線を除いたより線を使用します。3種類の金属管を使用し、金属管内で電線同士の接続は行いません。終端には絶縁ブッシングを付け、接地工事を施します。接地工事は条件によって省略可能です。
金属管工事の特徴を把握して、知識を深めましょう。
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