クリンカーとは?クリンカーができるまでの工程3つとポイントを解説
目次
クリンカーとは?
クリンカーとはセメントの材料で、焼塊(しょうかい)とも言います。
クリンカー(clinker)はセメントの原料にするために製造され、セメントクリンカーとも呼ばれ、鉱物などが焼き固まったものです。
廃棄物などの焼却処理の際、焼却炉内でもクリンカーは発生します。ただ、こちらは焼却によって生成した灰が炉に付着したもので、放置すると巨大化するので除去されますが、セメントの原料とは別物です。
セメントとは?
セメントとは、クリンカーや石こうなどを混ぜて粉末状にしたものです。
セメントには大きく分けて、ポルトランドセメント、混合セメント、特殊セメントの3種類があります。一般にセメントと呼ばれるのがポルトランドです。混合は目的に応じてポルトランドに材料を加えたもので、特殊はポルトランド以外の原料から製造されたものです。
なお、セメントはコンクリートやモルタルの原料になります。
クリンカーができるまでの工程3つ
クリンカーができるまでの工程は、原料準備と焼成、急激に冷やすの3つです。
クリンカーの原料は、石灰石と粘土、珪石、酸化鉄原料などですが、石灰石は原料全体の7割~8割を占めます。石灰石は日本各地に鉱山があり、現在は西日本から九州の石灰が利用されています。
原料に石炭火力発電所の石炭灰や建設廃棄物のアスベスト含有材、酸化鉄原料に製鉄所の高炉スラグなど廃棄物や副産物も利用しています。
クリンカーができるまでの工程1:原料を細かく砕く
クリンカーの製造工程は、原料を細かく砕くことからです。
石灰石ドライヤと粘土ドライヤを使用して別々に乾燥させます。乾燥させたものを細かく砕きます。酸化鉄原料の高炉スラグは銅や硫化鉄鉱由来です。
細かく砕いたものを原料調整槽などで調合します。この際、決められた割合通りに調合することがポイントです。そして原料ミル(原料粉砕機)ですりつぶし、パウダー状にします。
クリンカーができるまでの工程2:原料を焼く
クリンカーを製造するために原料を焼く工程は、予熱で徐々に温めてから高温で焼きます。
原料はプレヒーター(予熱器)を通過させて50℃から900℃まで加熱します。その後ロータリーキルンで1450℃まで加熱して焼きます。ロータリーキルンは横長の筒状の回転窯です。通過する間に出口付近で目標温度に到達し、目標温度に達すると石灰石が急速に化学反応を起こします。
クリンカーができるまでの工程3:急激に冷やす
冷却装置で焼いた原料を急速に冷やすと、クリンカーを生成します。
化学反応が終わった原料はエアークエンチングクーラー(冷却機)で冷風により急速冷却します。この際の目標温度は大気温プラス65℃が目安です。冷却が完了するとクリンカーの完成となり、クリンカーサイロに保管します。
なお、クリンカー製造機械は大型で、サスペンションヒーターは高さ100m超のタワー型、ロータリーキルンは長さ100mに及ぶものもあります。
クリンカーからセメントができるまでの工程3つ
クリンカーを原料にセメントができるまでの工程は、石こうを加えることから始まります。
セメントは石こうを加えてクリンカーと混ぜ、粉砕します。クリンカー製造工程と異なり、加熱はしません。仕上げの工程を経て、ポルトランドセメントの完成です。混合セメントは仕上げの段階で目的に応じて高炉スラグや、火力発電所のフライアッシュなどの原料を加えます。
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セメント製造工程を紹介します。
クリンカーがセメントになる工程1:石こうを加える
セメントに石こうを加えるのは、固まる速さを調整するためです。
セメントに使用する石こうは、排脱石こう(脱硫石こう)です。排脱石こうは、火力発電所や工場などの排煙脱硫装置で排ガス中から取り除いた硫黄酸化物が原料です。また、排脱石こうはセメント材料の他、石こうボードにも加工されます。
クリンカーがセメントになる工程2:クリンカーを粉砕する
クリンカーは仕上ミル(仕上粉砕機)で粉砕します。
粉砕機の中には、クリンカーと石こう、鋼鉄製や鋳鉄製のボールを入れます。円筒型のドラムの中で、原料と金属製のボールがぶつかり合って粉砕されます。セパレーターで目の粗い粉と細かい粉に分けて、目の粗い粉は再度粉砕機で細かくします。
また、仕上ミルの前に予備粉砕機を利用して、作業効率を高める方法も導入されています。
クリンカーがセメントになる工程3:仕上げる
セメントが細かい微粉状になったら、粉の細かさを測定して完成です。
原料の受入れ段階で品質測定を行いますが、完成前にも測定で品質を確認します。完成したセメントはセメントサイロに保管します。その後、セメント輸送専用のパルクセメント車や専用船、貨車などでサービスステーションに配送されます。
サービスステーションで袋詰めされたり、工事現場用にそのままの状態でコンクリート製造場所へ運ばれたりします。
クリンカーが製造されるときのポイント2つ
クリンカーを製造するときのポイントは、原料を焼く温度と原料に融点が低い物質が含まれることです。
セメント特有の水を加えると軟らかくなり、乾燥すると固まる性質は石灰石のものです。焼く温度によって、この性質を引き出します。
原料に融点が低い物質が含まれることもクリンカーを製造するためには欠かせません。原料の7割は石灰ですが、その他の材料を混ぜる理由はこの条件があるからです。
原料を焼く温度
クリンカーを製造するための温度は1450℃が目安です。
石灰は、1300℃~1400℃で溶融します。溶融すると化学反応を起こし、セメント特有の性質が引き出され、十分に反応させるため1450℃まで焼成します。
一般に石灰は不粘着の固体から1000℃で粘着性を増し、1300℃以上で不粘着の液体になります。炉に付着しないクリンカー製造にこの性質も利用しています。
融点が低い物質が含まれること
融点が低い物質が適度に含まれると低温で石灰の粘度を低下させます。
酸化鉄原料として加える鉄は珪石と反応すると融点は約1070℃、銅は単体で1085℃です。焼成を続け高温になると、融点が1300℃の珪石が解けて粒子同士を焼結させます。
石灰だけを加熱した場合の状態変化に加え、石灰以外の原料が焼成中の粒子同士の結合をコントロールする役割を果たします。
クリンカーについて理解しよう
クリンカーはセメントを製造するために欠かせない物質です。
クリンカーの原料は石灰と珪石、酸化鉄原料です。粉砕して焼成し、急激に冷却して製造します。製造したクリンカーを再度砕き、石こうと混ぜてセメントが完成です。この他に床や屋根などに利用されるクリンカータイルの原料にもなります。
セメント主原料のクリンカーについて興味を持ち、理解を深めましょう。
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