管きょとはどういうもの?3つの種類と下水道管きょの工事方法3つを解説
目次
管きょとは?
管きょとは水路の総称で、主に地中に埋設した水道の排水や取水管(上水管と下水管)、または地表に出ている側溝のことを言います。
管きょはその性能を保つために、管きょ調査が行われます。特に下水道管は地盤変化や振動、そして地震等の災害、または硫化水素による劣化や外的影響により破損したりしやすいため、調査により破損の有無を調べる必要があります。
破損した管きょを放置しておくと、道路が陥没して交通事故を起こしたり、地中を汚染してしまったりするため、定期的な調査が必要です。
水路の総称
管きょとは、水路の総称になっていて、給水や排水を行うために作られた水路全体を指しています。
文字通り、管(くだ)で人工的に作られた水路全体を指すので、例えば農業用水路、上下水道なども管きょになります。管きょは、正しくは「管渠」と書きますが、一般的には「管きょ」と書くことが多いようです。
管きょ調査の目的
埋設された下水道管などは地盤変化や、振動、そして地震等の災害による荷重により破損する可能性があります。しかし、地中に埋設された管きょは目に見えないため、調査をして管きょに問題がないか確認する必要があります。
もし破損した場合は、知らず知らずのうちに地中に空洞を作り、道路が陥没してしまったり、汚水の流出により地中を汚染してしまったりします。また、上下水道が破損すると、水道が止まってしまい、日常生活に支障を来してしまいます。
管きょの種類3つ
管きょとして作られた水路の種類には3つあり、開きょ、溝きょ、そして暗きょに分類されます。給排水用の水路のうちで、蓋がないものを開きょと呼び、蓋があるものを暗きょと呼びます。
水路の形態や設置されている場所によって、管きょの名称は変わります。
管きょの種類1:開きょ
開きょ(開渠)は、蓋をしていない水路や側溝のことです。開きょは、明渠とも呼ばれています。水路の目的は農業や工業など産業のためのものと、家庭用のためのものがあり、給水と排水のために設置されています。
給水の水道などのライフラインは、管で給水されることになるので、開渠では行われません。運河規模の大きな水路でも、蓋がなければ開渠に分類されます。
管きょの種類2:溝きょ
溝きょ(溝渠)は、給排水を目的として造られる水路のうち、主に小規模な溝状のもののことです。そのうち、公共用として設置された溝きょは公共溝渠(こうきょうこうきょ)と言われています。
溝きょは、側溝とも呼ばれています。主に、道路の水が停滞してしまわないように、排水を目的として道路や鉄道に沿って作られています。
管きょの種類3:暗きょ
暗きょ(暗渠)は、蓋のある水路または地下水路のことで、蓋を簡単に外せるものでも暗渠と呼ばれます。
蓋で覆い隠した水路のことなので、下水道も暗きょと言えます。その他、河川や農業用水路の上に蓋をしたものも、暗きょと言えます。暗きょに流れている水の種類は問いません。
下水道管きょの工事方法3つ
下水道管きょの工事方法は、開削工法と非開削工法の2つに分かれています。非開削工法としては、推進工法とシールド工法が一般的になっています。
ここからは、「開削工法」、「シールド工法」、「推進工法」の3つについて詳しく紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
管きょの工事方法1:開削工法
管きょの工事方法として、開削(かいさく)工法と呼ばれる工法があります。この工法は、小口径の管きょを比較的浅い地下に埋設する場合の標準的な工法です。地面を掘削する深さや規模により、工事に使われる細かな工具の種類が変わってきます。
工事の種類には、「軽量鋼矢板建て込み工法」や「建て込み簡易土留め工法」などがあり、工事現場の状況によって最適なものを選択されます。
管きょの工事方法2:シールド工法
非開削して行う工法にシールド工法があります。シールド機と呼ばれるトンネルを掘削する機械で開削し、その後にセグメントと言う組み立てると円筒形になる鋼製品で下水道管を作ります。
できあがった下水道管のセグメントの内側を、コンクリートを打って仕上げたり、強化プラスチック複合管などを挿入して仕上げたりします。
管きょの工事方法3:推進工法
非開削して行う管きょの工事方法として推進(すいしん)工法があります。推進工法は工場で製作された下水道管を用いて、その下水道管の先端に推進機などの機械を取り付けて地中を進めていく工法です。
発進立坑と呼ばれる立坑から、ジャッキによる推進力を使って下水道管を地中に押し込んでいく工法になります。
管きょ調査の主な方法5つ
ここからは、管きょ調査の主な方法を5つ紹介します。
管きょ調査の主な方法として、カメラ調査があり、主に小口径の管きょの調査に用いられます。また、昔から行われているのが目視での調査です。他には内面の測定による調査や、ガスの測定による調査、そして清掃による調査があります。
管きょ調査の主な方法1:カメラ調査
管きょ調査の主な方法にカメラ調査があります。管きょの口径が直径800㎜未満の場合はカメラ調査になり、自走タイプのカメラで管きょの内部を調査します。
カメラ調査の前に、高圧洗浄で管きょ内部を綺麗にしてから実際の調査を始めます。カメラ調査をすると、録画画面にデータなどを同時に表示することが可能なため、資料作成がすぐできると言うメリットがあります。
管きょ調査の主な方法2:目視での調査
管きょ調査の主な方法として、人が潜行して目視での調査を行うことがあります。下水道管きょの口径が直径800㎜以上の場合であれば、調査員が管きょの内部に入り目視での調査が可能です。
しかし近年TVカメラの進歩により、大口径の管きょに対応したTVカメラ車両による調査が多くなってきています。目視での調査の際は、マンホールや管口部、インバート、管きょ自体の損傷や劣化を確認します。
管きょ調査の主な方法3:内面の測定
管きょ調査の主な方法には、管きょの内面の測定を行う方法があります。内面調査に用いられるのはプロファイラーなどのレーザー測定機器であり、レーザー照射デバイスにより下水道の管内形状を精密に計測することで、管内壁のデコボコや変形が分かります。
測定データはパソコンにより解析され、全方向の精密測定結果が示され3D表示も可能です。また、測定結果はデジタルデータであるため、計測されたデータはデータベースに蓄積が可能で、管の変形や腐食、そして破損の解析に利用できます。
管きょ調査の主な方法4:ガスの測定
管きょ調査の主な方法には、管きょ内のガスの測定をする方法があります。この調査は管きょ内などの閉鎖された空間に調査員が立ち入る際に必ず行われる調査です。主に酸素濃度や硫化水素濃度、可燃性ガスを調べます。
これらの調査項目の全てが安全基準値内でなければ、調査員がその空間に入ってはいけません。もし基準値を超えていた場合は、洗浄や強制換気等により、作業環境を整えてから、再度ガス測定で安全確認を行ったのち、立ち入り作業が行なわれます。
また、硫化水素は毒性が高く、生命の危険を脅かすだけではなく、腐食性もありコンクリート管を劣化させるので、下水道管の調査では必ず行うべき調査です。
管きょ調査の主な方法5:清掃
管きょ調査の主な方法には、管きょの清掃も行われます。管きょを清掃することで、可燃性ガスや腐食性ガスの発生源を除去することができますので、調査と合わせて行われます。
管きょ内を機械による洗浄や作業員による洗浄を行いながら調査するのが管きょ清掃です。管きょ内に堆積した砂やラードなどを洗浄します。管きょ調査の精度を上げるためにも清掃は必要ですが、管きょの維持のためにも必要な作業です。
下水道管きょの修繕方法
下水道管きょが初期の性能を発揮できないことが各種調査で判明したときは、管きょの修繕が行われます。
下水道管きょは、道路の地下に多くあるため、車両による振動の影響が大きいです。また、都市部では大量の排水の圧力により劣化の進行が早まるため、その際は修繕が必要になります。
下水道管きょの修繕方法には、マンホールとマンホールの間の管きょを入れ替える工事がありますが、全面入れ替えは高額になるので、一部の管だけが破損している場合や1か所に穴が開いている場合は、一部の修繕工事が採用されます。
下水道管きょはライフラインの重要施設
下水道管きょはライフラインの重要施設です。下水道施設は水道や電気等とともに住民生活を支える重要なライフラインで、万が一下水道機能が使用できなくなると、トイレなどの使用ができなくなり公共用水域の汚染にもつながります。
下水道に限らず、管きょは定期的なメンテナンスと適切な修繕が大切です。
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