短絡事故とは?短絡事故の予防策4つや起こりうる損失について紹介
目次
短絡事故とは?
短絡事故とは、当初予定した以上の電流が流れることによって起こる事故のことです。原因としては絶縁の劣化や誤作動・誤接続、小動物の侵入などがあります。
短絡はいわゆる「ショート」のことです。ショートとは、電気抵抗をもつ物体を介さず、直接、プラスとマイナスの配線を繋ぐことで発生する現象のことです。
この現象が発生すると回路にとても大きな電流が流れることとなり、電気火事や感電事故、機器の故障に繋がります。短絡事故の危険性について知り、その予防法を知ることが大切です。
短絡事故と漏電事故の違い
短絡は、プラスとマイナス2つの極が、電気抵抗をもつ物体を介さず、直接触れ合った時に起こる現象です。
電気抵抗がとても低くなることで回路に大きな電流が流れるようになります。大きな電流が流れ続け、電線やケーブルの許容電流を超えると、ケーブルの温度が上昇し発火などの事故に繋がります。これが短絡事故です。
一方、漏電は電気が漏れることを指します。本来電気の通るべきではない箇所に電気が通ったり、電圧がかかるべきではない箇所に電圧がかかったりすることが漏電です。
漏電事故は、この漏電箇所に触れることによる感電事故や、漏電火災などのことです。
短絡事故の原因3つ
短絡事故の原因としてケーブル・部品の自然劣化、鳥獣の侵入による電線同士の接触、設備不良や施行ミスの3つが挙げられます。
では、次にこれらの原因について詳しく紹介していきます。これらの原因を知り、短絡事故についての理解を深めましょう。
短絡事故の原因1:ケーブル・部品の自然劣化
電気設備は、使用環境や使用条件、保守管理の状態にもよりますが、長期間使用することで経年劣化していきます。
これらの部品を劣化したまま放置していると機能や性質が損なわれることになり、絶縁破壊や機能停止によって短絡事故に繋がることがあります。それを防ぐには定期的な点検が必要となります。
短絡事故の原因2:鳥獣の侵入による電線同士の接触
短絡事故の中には、小動物が原因となっているものもあります。ケーブルの引き込み口や引出口、通気孔、外箱の腐食部分などから鳥獣が入り込み、電線などを損傷させることから事故が起こるのです。
例えば、電気コードや屋内配線をネズミなどがかじって損傷させる、電気コード類をネコが引きちぎって断線させる、変電設備の中にネズミやヤモリ、ヘビなどが入り込み高電圧部に載ってしまう、などのケースがあります。
短絡事故の原因3:設備不良や施工ミス
短絡事故には、設備不良や施工ミスなど、人為的ミスが原因のものもあります。
電線には許容電流があり、その許容温度を超えると発火などが起こる可能性があります。本来ならば、そのような大きな電流が流れた時はブレーカー(遮断機)が作動し回路を遮断してくれます。
しかし、工事の施工ミスや設備不良などで電源が遮断されないと、そのまま電流が流れ続けることとなり、事故が起こる原因となります。
短絡事故の予防策4つ
ここまでは、短絡事故が起こる原因を見てきました。このような事故を防ぐには、きちんと予防策を講じておくことが必要です。
次に、短絡事故を予防するための予防策をご紹介します。絶縁する、キュービクルの密閉性を高める、配線用遮断器を使用する、目視点検を行う、の4つです。
短絡事故の予防策1:絶縁する
絶縁とは、電気を遮断することです。不要な部分に電気が流れないようにすることで、短絡や漏電などを防ぐことができます。
絶縁のための方法としてはまず、距離を開けるということがあります。空気による絶縁は効果が高く、配線同士や配線とケースの距離をとることで絶縁することができます。
また、絶縁ビニルテープなどを使ってむき出しの充電部を覆う方法もあります。被覆やカバーの無い部分に絶縁体による被膜を作ることで、短絡を防ぐことができます。
短絡事故の予防策2:キュービクルの密閉性を高める
キュービクルとは、発電所や変電所から供給された高電圧の電気を、住宅などで使用できる低い電圧へ変圧する設備です。
この中に鳥獣が侵入すると短絡事故の原因となります。そのため、キュービクルの密閉性を高めることや、ケーブルの導入口を塞ぐことは、重要な事故の防止対策になります。
短絡事故の予防策3:配線用遮断器を使用する
絶縁処理や接続などを正しく行ったつもりでも、部品の劣化や見落としなどによって短絡事故が起こる可能性はゼロではありません。
そのような時のために備えたものが、配線用遮断器です。配線用遮断器は、あらかじめ設定された値以上の電流が機器に流れた場合に、自動で回路を遮断し電路を保護する装置です。
これにより、ケーブルの燃焼や機器の損傷を防止することができます。
短絡事故の予防策4:目視点検
短絡事故を予防するには、定期的な点検実施時に、前回の点検時と比べて変化や不具合などがないか、外観目視点検を確実に実施することが重要です。
注意深く目視点検を行うことで、鳥獣の巣や草木との接触だけでなく、電気設備の不具合や劣化なども発見できます。
短絡事故で起こりうる損失3つ
短絡事故は、何らかの理由で回路に大きな電流が流れ、電線やケーブルが損傷することから起こる事故です。その際はとても大きな音と共に激しい光を放ち、とても高い温度も発生します。
そのため、短絡事故が起こった際には甚大な損失を伴う可能性があります。どのような損失が考えられるかご紹介します。
短絡事故の損失1:火災するリスクが高い
短絡が起こると、大きな火花と高い熱が発生します。その火花や高温によってコードや周辺にある可燃物などが燃えだすと、火災が起こる原因となります。
許容電流を超えたらブレーカーが電流を遮断してくれますが、実は許容電流を超えたからといって、すぐにブレーカーが反応するわけではありません。一定時間は電流が流れ続けるため、その間に引火し火災に繋がる危険性があります。
短絡事故の損失2:接続機器の破損
短絡が起こった時には、電線やケーブルの許容範囲を超えた大きな電流が回路を流れます。そのため、その回路に接続されている機器の破損は、ほぼ確実にその機能を失うと考えられます。
また、配線も高温と火花により焼けてしまうので、ひどい状態になることが想像されます。
短絡事故の損失3:アーク放電による感電
アークとは、気体放電現象の一種です。2つの電極の間で放電させることでアーク放電が起こります。アーク放電が起こると電極間の気体と両電極が高温となって、強い光を発します。
短絡が起きると激しいアークが発生し、それに人が触れると火傷や感電事故などを起こす危険性があります。
短絡事故の予防策について知ろう
短絡事故とは、部品の劣化や小動物の侵入、設備不良など何らかの理由で、電気機器や配線に危険な電流が流れ、電線が発熱したり、時には発火したりすることによって起こる事故です。
短絡事故は火災や感電事故、機器の破損など大きな損害を与える可能性がありとても危険です。
短絡事故を防ぐには、きちんと絶縁する、キュービクルの密閉性を高め小動物の侵入を防ぐ、配線用遮断器を設置してもしもの時に備える、定期的に目視点検して異常がないか確認する、などの方法があります。
これらの予防策について確認・理解をし、短絡事故を防ぎましょう。
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