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アーク放電とは?アーク放電を防止する方法や3つの利用事例を紹介

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公開日時 2023.02.07 最終更新日時 2023.02.07

アーク放電とは

電弧放電(でんこほうでん)とも呼ばれることのあるアーク放電は、低電圧・高電流の時に発生する放電です。放電灯を見てみると、初期に電極と電極のあいだに円弧になった輝く部分が見られます。この形から、アーク放電という名称がつけられています。

アーク放電の特徴は、熱電子を大量に放出することと強い光を発することです。さらに特有の音も聞かれます。アーク放電は照明などに利用されますが、事故事例もあるので注意が必要です。

アーク放電の原理

アーク放電の原理

アーク放電は、狭い通路の中に電流が集中したときに起こる放電です。狭いところに電流が集中すると電子と中性子やイオンが衝突したり、中性粒子同士でたびたび衝突を繰り返したりします。

その結果、高い電気エネルギーが発生し、それが熱エネルギーや光エネルギーに変換されて放電が起こるのがアーク放電の原理です。

狭い空間の中に膨大な中性粒子があると拡散されにくいため、狭い通路に電流が集中してアーク放電に至ります。

熱陰極アークと電解アーク

アーク放電には、熱陰極アークと電解アークという2種類の放電があります。

マイナス極から電子が放出されることによってマイナス極が加熱されると、熱電子が放出されます。

このように、マイナス極から熱電子が放出されることで発生するのが、熱陰極アークです。それに対して、マイナス極の表面にある強い電解から電子が直接放出されて起こるのが、電解アークです。

アーク放電の事故事例

どのようなことが事故につながるのか、アーク放電の事故事例を見てみましょう。

1つ目は、ブレーカーの増し締め作業中に起きた事故による負傷事例です。2次側のブレーカーを切って作業に入ったのですが、誤って充電中だった1次側にモンキーが当たってアークが発生しました。

2つ目は、変圧器の月次点検の際に起こった負傷事故の事例です。こちらは、ポケットから一部出ていた金属製のキーホルダーが端子に触れたことが原因です。

アーク放電を防止する方法2選

アーク放電が起こると事故につながることもあるため、アーク放電を防止する方法を知って適切に対処する必要があります。アーク放電を防止する方法は主に2つあるので、それらを理解して事故が起こらないように備えておきたいものです。

どのような方法があるのか、詳しく見ていきましょう。

アーク放電を防止する方法1:遮断器を使用する

アーク放電を防止する方法の1つ目は、遮断機を使用することです。遮断機とはもともと電線路を保護をする目的で利用されるもので、電気回路を開閉したり負荷電流や故障電流を遮断したりする働きをしています。ですが、遮断時にはアーク放電が起こりやすい現状があります。

そこで、アーク放電を消滅させる能力を搭載した遮断機が開発されています。それを利用すれば、アーク放電を消弧することが可能です。

消弧とは

消弧とは、アーク放電によってできた陽光柱を遮断機を用いて消滅させることを言います。陽光柱は弧状の火柱のような見た目をしていて、アーク柱と呼ばれる場合もあります。

アーク放電を消滅させる遮断機には、ガスを吹き付ける方式のガス遮断機や高真空の絶縁耐力を利用した真空遮断機があります。

アーク放電を防止する方法2:きちんとした知識を身につける

アーク放電を防止する方法の2つ目は、きちんとした知識を身につけることです。

アーク放電を防止するには、アーク放電を遮断する機能がある遮断機が必要です。遮断機にはいくつかの方式があり、事故が起きて使われなくなったものもあります。アークを消滅させるためにさまざまな技術が開発されてきたため、電圧や規模で方法の使い分けもされています。

きちんとした知識を持って適切な遮断機を選び、方法を使い分けることが重要です。

アーク放電の利用事例3選

アーク放電が起こると大量の電流や熱が発生するので、それを有効利用している事例もあります。事故事例にもあるように扱いを間違えると危険で注意が必要ですが、有効に活用できれば生活に役立てることも可能です。

そこで、アーク放電を利用している主な事例を3つご紹介します。

アーク放電の利用事例1:アーク溶接

アーク放電が起こる際に発生する熱は、溶接に利用できます。

空間的に離して設置されている2つの電極に圧力をかけると、空気による絶縁が破壊されて電流が流れ始めます。電流が流れるとアーク放電が起こり高温の熱が発生しますが、この熱を利用して行うのがアーク溶接です。

アーク溶接は、強い光と高い熱が発生する溶接方法です。溶接に使用されるアーク放電の温度は高い時には2万度にもなるため、さまざまな物質を溶かせます。

アーク放電の利用事例2:照明ランプ

アーク放電は、照明ランプにも利用されています。アークランプは、アーク放電が起こる際に発する光を利用して光る証明です。アーク照明・アークなどとも呼ばれ、高圧水銀ランプ・超高圧水銀ランプ・熱陰極放電ランプなど、さまざまな種類のランプがあります。

アーク放電は一瞬のうちに大量の電流と高熱を発するので、照明に利用するなら電流を一定に保たなければいけません。そのために安定器が使用されます。

アーク放電の利用事例3:ライター

アーク放電は、ライターにも利用されています。

アーク放電を利用したライターは、アークライターまたはプラズマライターと呼ばれています。

アークライターはアーク放電を利用して火花を起こして火をつける仕組みなので、風があっても火が消えることがありません。ガスやオイルがいらないので、環境にも優しいメリットがあります。

アーク放電以外の放電3つ

放電には、アーク放電以外にもいくつかの種類があります。そもそも放電とは、電極間にかかる電位の差が大きくなることで電極の間にある空気による絶縁が破壊され、電流が流れる現象のことです。放電の形態が違うので、放電にも種類があることになります。

では、アーク放電以外の主な放電を3つ見ていきましょう。

アーク放電以外の放電1:コロナ放電

1つめの放電の種類は、コロナ放電です。コロナ放電とは、先が尖った電極の先端部分の電界が局部的に強くなった時に起こる放電です。流れる電流が小さいことが特徴で、持続的に起こります。

コロナ放電が起こると、小さな音やかすかな光が発生します。この光が発生している部分をコロナというので、コロナ放電と名付けられています。コロナ放電は、気圧が低くなるほど起こりやすい放電です。

アーク放電以外の放電2:火花放電

2つ目の放電は、火花放電です。火花放電とは、電極間に加えられる電圧が限界を超えたときに起こる放電です。短時間で消えることが特徴で、火花を伴って放電が起こります。

火花放電が連続して起こった時に、グロー放電やアーク放電へと移行していきます。コロナ放電は、火花放電が起こる前の段階の放電です。

アーク放電以外の放電3:グロー放電

3つ目の放電は、グロー放電です。電極の間に加える電圧を高くすることで電界が強くなると、電極の間にある電子が加速します。加速した電子は気体中にある分子の中に蓄積されて電離しますが、その際にできた正イオンがマイナス極に衝突することで電子が放出されます。

電極の間に放出された電子が増えると、プラス極とマイナス極の間を移動して大きな電流になります。この状態がグロー放電で、電流が増えるとアーク放電になります。

アーク放電の正しい知識を持とう

アーク放電は低電圧・高電流の時に起こる放電で、強い光と高い熱を発生させる特徴を持つ放電です。その性質をアーク溶接や照明ランプに利用して役立てることも可能ですが、事故事例にもあるように、気を付けて取り扱わなければ危険なものでもあります。

アーク放電の正しい知識を持って、有効に役立てましょう。


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