工事監理者とは何?現場監督として知っておきたい工事監理者の7つの仕事を解説

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こちらの記事では、工事監理者についてご紹介いたします。
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工事監理者とは
建物の完成までには、様々な関係者との協力を基に仕事が成り立っていきます。その中で、設計側の立場として、指導をするのが工事監理者です。工事の段階毎に検査をしたり、設計図に基づいた指導をしたりするのが工事監理者です。
現場監督としても、工事監理者の事を良くしっておく事で、実際の仕事の中で活かせる事が多いかと思います。
この記事では、工事監理者の全容を紹介していきます。
工事監理者は、簡単に言うと「設計図通りに作られているかを確認する人」という事になりますが、詳しい定義等まで、ここでは紹介をしていきます。
工事監理者の定義
建築基準法2条11項に次のように定められています。
「工事監理者 建築士法第二条第八項に規定する工事監理をする者をいう。」
(出典:電子政府の総合窓口 建築基準法)
続いて、建築士法2条8項には次のように定められています。
「この法律で「工事監理」とは、その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう。」
(出典:電子政府の総合窓口建築士法)
上記を要約しますと、
“工事監理者とは、工事を設計図書と照合時、それが設計図書の通りに実施されているかいないかを確認する者”
という事になります。
工事監理者と資格
続いて気になるのが、工事監理者はどのような資格を所持している人が行っているのかではないでしょうか。
建築基準法5条の6 4項において次のように定められています。
「 建築主は、第一項に規定する工事をする場合においては、それぞれ建築士法第三条第一項、第三条の二第一項若しくは第三条の三第一項に規定する建築士又は同法第三条の二第三項の規定に基づく条例に規定する建築士である工事監理者を定めなければならない。」
(出典:電子政府の総合窓口 建築基準法)
このようにまず建築基準法において、“建築士である工事監理者を定めなければならない”とあります、そしてこの建築士は“一級建築士・二級建築士・木造建築士”を指している事は周知の通りかと思います。
工事監理者が必要になる工事規模等は後述しますが、法律によって建築士である工事監理者を定めなければいけないと規定されている訳です。
工事監理者の所属
一般的には工事監理者は、設計事務所等に所属する事が多いようです。しかし、法律等でどこに種族しているべきかという事までは定められていない為、建築士の資格さえ有していれば所属は問わないという事になります。現実的には、設計図を書いた設計事務所が、工事監理を行うことが多いようです。
それは、設計図を書いた人が一番設計意図を良く理解している為、工事で起きる様々な問題にも設計段階の事を把握している方が有利だろうと考える施主が多いのが現実です。
また、設計と施工を一貫で行う建設会社も多くあります。特に、設計と施工が同一会社でなければならないとする法律はないので、一貫体制で施主を安心させる事で工事を履行している場合も良くあります。
会社の中の体制では、設計と施工を同一に行う人材はいないので、設計を専門でやっている立場の人が工事監理者として業務を行う事が多いようです。
工事監理者が必要な工事規模
建築基準法5条の6 4項において、法5条の6 1項に定める工事をする場合においては工事監理者を必要とするとしています。
法5条の6 1項では、建築士法3条、3条の2、3条の3に示す工事規模をさします。
具体的には、建築士法3条で“一級建築士でなければできない工事監理”を示しています。
・学校、病院、劇場、映画館、観覧場、公会堂、集会場(オーデイトリアムを有しないものを除く。)
又は百貨店の用途に供する建築物で、延べ面積が500㎡をこえるもの
・木造の建築物又は建築物の部分で、高さが13メートル又は軒の高さが九メートルを超えるもの
・鉄筋コンクリート造、鉄骨造、石造、煉瓦造、コンクリートブロック造若しくは無筋コンクリート造の建築物又は建築物の部分で、延べ面積が300㎡、高さが13m又は軒の高さが9mをこえるもの
・延べ面積が1000㎡をこえ、且つ、階数が二以上の建築物
建築士法3条の2では“一級建築士又は二級建築士でなければできない工事監理”を示している
・鉄筋コンクリート造、鉄骨造、石造、煉瓦造、コンクリートブロック造若しくは無筋コンクリート造の建築物又は建築物の部分で、延べ面積が300㎡を超えるもの
・延べ面積が100㎡(木造の建築物にあつては、300㎡)を超え、又は階数が3以上の建築物
建築士法3条の3では、“一級建築士、二級建築士又は木造建築士でなければできない工事監理”を示している
・木造の建築物又は建築物の部分で、高さが13m又は軒の高さが9mを超えるもの以外の木造の建築物で、延べ面積が100㎡を超えるものを新築する場合
上記の規模に該当する場合は、建築士である工事監理者を定める必要があります。
それでは、これ等に該当しない場合はどうなのでしょうか?その答えは、“工事監理者を定める必要はない、もしくは建築士である必要が無い”という事になります。
しかし、規模等は小さいものになるので、なかなかそのような工事規模に出くわす事はないと思います。
工事監理者と契約形態
工事監理者がどのような立場で仕事をしているのか気になる所ではないでしょうか。
通常工事現場においては、「施主・施工者・工事監理者」の協力関係の基で事業が完遂されます。
施主は自ら施工する事はできない為、施主と施工者の間で請負契約を結び工事が行われます。
同様に施主は自ら工事監理をする事はできない為、施主と工事監理者の間で委託契約を結ぶ形で業務が遂行されます。施主は一般的には、建築に精通していることが少ないので、施主の代理として建物を完成まで導くのが工事監理者の役割となります。
設計図の中には、設計者が施主と相談して完成させた意図が盛り込まれている筈ですが、読み込めない事であったり、設計図を変更しなくてはいけない事情が出てくるのが現場です。
そのような時、施主の設計要望をくみ取った上で現場での事情に対応していくのが工事監理者の役割となります。
工事監理者の仕事7つ
ここからは、工事監理者が具体的にどのような仕事をしているのかを紹介していきます。
注意する点として、工事監理者の責務は「その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認すること」だけとなります。
これにより業務の範囲は狭く感じますが、施主との監理業務委託契約等に基づき、建築士法上の工事監理の他、建築物の品質を確保するため、様々な業務を行っている事が多いようです。
ここでは、一般的に行われている工事監理業務を対象として紹介していきたいと思います。
工事監理者の仕事1:工事状況の立会い検査・確認
監理者の仕事として一番イメージしやすいのが工事状況を検査する事ではないでしょうか。具体的には「配筋検査」「コンクリート受入検査」「鉄骨製品検査」「建方検査」「試験杭の立合い」など、多岐に渡りますが、工事過程の様々な段階で立会いを行います。
立会いをする目的は、設計図に書かれている品質を満足するものとなっているかを確認するもので、工事上重要な箇所で立ち会うパターンが多いようです。
工事監理者が立ち会う内容は、建築士法や建築基準法において義務としての位置づけは定められておりません。強いて言うならば、一般社団法人新・建築士制度普及協会が策定した「工事監理ガイドライン」というものがあり、その中には具体的な立ち会い内容が記載されています。
工事監理者の立場として、立ち会うべき内容は、施主と契約した委託契約に基づきますが、現場や規模等で立ち会う内容は異なるとの認識をしておいた方が良いでしょう。
工事監理者の仕事2:行政検査の立会い
一般的に工事が竣工を迎えると、「建築確認の完了検査」「消防の完了検査」等を受けて合格する事で、使用開始が認められる事になります。
完了検査の書類上、工事監理者を名乗り届出をしている事や、法律に基づく検査という事になりますので、全体を含めた把握をしているのは工事監理者という事になり、契約上も立ち会いを指定しているパターンがほとんどです。
工事監理者の仕事3:工事監理報告書
建築士法20条3項において、以下のように定められています。
「建築士は、工事監理を終了したときは、直ちに、国土交通省令で定めるところにより、その結果を文書で建築主に報告しなければならない。」
(出典:電子政府の総合窓口建築士法)
建築士法に基づき、工事監理を終了した時には、建築主に対して“工事監理報告書”をもって報告をしなければなりません。
施工者からの質疑に対する応答
施工者の立場からしてみると、質疑を明確に返答してくれるのは工事を進める上で重要なことです。
設計図書はあくまで全てを表現出来ている訳ではないので、工事施工者が施工図等で詳細化して全てを施工図にした後に工事を行う事で建物が完成します。
したがって、詳細な単位で物事を捉えてみると、設計段階では見えてこなかった点が見えてくる事で検討事項が生じます、このような点が施工者からしてみると、工事監理者に対してこのような納まりで施工して良いか等を確認して施工に移るというポイントになります。
設計者と工事監理者は一般的につながっている事がほとんどかと思います。
設計意図を含めた設計意匠図の理解者は工事監理者であると理解する事ができるので、疑問に思う事は一つ一つ確認しながら進めていくのが通常の方法でしょう。
工事監理者の仕事4:材料検査
上記3つが、如何なる工事や施主の違いによっても行われる工事監理の仕事であるとすると、これ以降に述べる事項は施主との契約等によって定められている場合などに行われる事項です。
材料検査は1番目に述べた“工事状況の立会い検査・確認”と重複する場合もありますが、材料は建築物を構成する重要なものです。見た目は一緒でも、性能が同じであるのか等を材料検査等をして確認をします。一般的には施工会社から見本品の提出をしてもらい現場確認を行います。
既製品で無い製作品であったりする場合などは、工場検査にいったりする等して検査をする場合もあります。
工事監理者の仕事5:施工計画、施工図の確認
一般的に“施工計画書”“施工図”と言われる書類の確認にあたります。“施工計画書”は、施工者が工種毎に施工体系や施工の流れ等を示した書類で、それらの計画が法律や設計図等と食い違いが無いかを確認します。
近年では、安全意識の高まりもあり、工事監理者に対して、全体調整を含めた安全管理をするようにと盛り込まれた委託契約もあります。そのような観点から施工計画が適切であるのかを確認する事も増えてきています。
また、躯体図や鉄骨伏図など“施工図”の確認も工事監理者が行います(※施工図の「確認」は「承認」とは異なります)。設計図自体は、詳細な部分については記載されていない事が多く、施工者が現場で納まるように施工図を起こす事が一般的です。
それらの施工図が設計図に基づいているのかを確認チェックするのが工事監理者の仕事です。
工事監理者の仕事6:変更事項の対応
設計図の通りに、工事が進み竣工すれば問題はないのですが、そのようにいく現場はほとんど聞いた事がありません。
ほとんどが、微々たる変更も含めた設計図を見直した形で施工していくことがほとんどです。
その為の、施工計画書であったり、施工図であるのですが、当然変更をしていくことは、少なからず工事費の面や工期の面で調整等が必要になってくる場合があります。
工事監理者は、施工者からの変更要望等に対して、施主との調整や工期等の調整等も含めた調整も業務一貫として行っています。
工事監理者の仕事7:定例会議
工事監理者、施工者、施主等の3社で定例会議等を開催する現場もあります。
定例会議は、現場の進捗や問題点などを、会議の場で確認しあう事で、円滑な現場運営の為に行います。
現場で問題が起こらない事はまずありません。
したがって会議等を通して一つ一つ問題を解決していくことは重要な事になってきます。
工事監理者の指針
工事監理者が業務を遂行するための基準は、国土交通省の提唱する「工事監理指針」や企業ごとの「社内指針」などです。
現場作業は工事監理者の判断で施工会社の能力や工事の難易度に合わせた方針で工事を行います。
そこで、工事監理者が設計者の意図を的確に把握し、仕様書に沿った工事を円滑に進めるため、指針の役割は重要です。
公共工事と民間工事の違いはありますが、多くの現場で利用される指針を紹介します。
工事監理ガイドライン
国土交通省は平成21年9月「工事監理ガイドラインの策定について」という事務通知の中で、工事監理として確認すべき事項を、工事の種別毎に明確にしました。
例えば、コンクリート工事のコンクリート打ち込みの項では、「確認項目」として”コンクリートの受け入れ 指定コンクリートであることの確認”とし、「具体的な確認方法として」では、”目視による立会い確認””計測による立会い確認””自主検査記録・施工記録・工事写真等に係る書類確認”等として、具体的な確認方法までを示すようにまとめられています。

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この「工事監理ガイドライン」は強制力のあるものではないので、工事監理者がこのガイドラインに従うかの判断をするものですが、今まで工事監理に対する指針等が取り纏められてはいない中で策定されたものなので、工事監理の方法が明確に設定されています。
工事監理指針
この「工事監理指針」は、国土交通省大臣官房官庁営繕部監修の基で作られているもので、「建築工事監理指針」「電気設備工事監理指針」「機械設備工事監理指針」と3つの工種に分かれて発刊されています。
公共工事の場合、工事の指針となる「建築工事標準仕様書」なるものが数年毎に改定され発表されていますが、この標準仕様書の対になるものとして、「監理指針」があります。
民間事業者が自分の業態にあった建物を建てるのに対して、官公庁は実に様々な施設を有しているので、統一的な考えかたを持つ為に「標準仕様書」や「監理指針」が存在しているといえるでしょう。
この「監理指針」は全ての工事内容について網羅をしているので、公共事業であれ、民間事業であれ参考とする内容が多く、工事監理者はどのようなポイントをどのようにチェックするのかという時に参照しましょう。
社内指針等
規模の大きい設計事務所や、ゼネコン、事業会社になると工事監理者独自の視点に寄らないように、画一的な指針等を策定している場合があります。
上記の「工事監理指針」が公共工事の為に作られたものであれば、会社独自で作っているものがこの指針になります。建物種別が決まっている場合などで、工事監理を合理的に精確に行いたいと場合などで有効です。
工事監理の方法は法律によって定められている訳ではないので、どのような基準で行うかは工事監理者次第ですが、ある程度決まった考え方を参考にしているようです。
工事監理者の立場
工事監理者の仕事内容を説明してきましたが、現場での工事監理者はどのような立場なのかも気になる点でしょう。
工事には、工事監理者の他に設計者と施主、現場監督、工事施工者など多くの人が関わります。施主は発注する立場で、設計者が図面化します。
そして工事監理者と現場監督、工事施工者が実際の施工し、完成後、施主に引き渡します。
それぞれの工事関係者と工事監理者の立場の違いを比較しながら、具体的に説明します。
設計者と工事監理者
工事監理者と設計者は同一の設計事務所に所属している事が多いと書きました。
同一人物である場合ももちろんありますが、設計者と工事監理者は明確に切り分けられた人になっていることがほとんどです。
確認申請書の中には、“設計者”の建築士番号等を記載する欄がありますが、完了検査申請書では、“設計者”に加え“工事監理者”について記載する欄があります。
官公庁の案件においては、設計業務と工事監理業務を別の位置付として捉え契約も別にする事もあり、そのようにすれば当然別の人となるでしょう。
従って、工事監理者の立場からしてみるとあくまで、設計者は設計内容を考えた人(図面を実際に作成される方はドラフトマン)であるので、設計図から読み取れない意図等は設計者からしっかりと引継ぎを受けなくてはなりません。
設計者と工事監理者を同じにする場合のメリットは?
設計者と工事監理者が同じであれば、設計の意図を確実に反映した建築物を施工できます。
工事監理者は図面通りに工事が行われているか確認し、施工会社による変更を防ぐ役割です。施主の意向をくみ取った設計者が実際に工事監理者として施工にかかわると、設計者と工事監理者が異なる場合より、施主の意向が直接現場に伝わります。
設計者と同一の場合、工事監理者は施主の代理人としての存在を高めます。
施主と工事監理者
工事監理者は一般的には、施主の“代理者”として工事の技術的な部分を中心として工事施工者の指導等にあたります。
また、工事監督者は施主と直接契約することはなく、工事監理を請け負った設計会社に所属していることが一般的です。
“代理者”と言われるように、施主においては建築的な知識を持っている人が多いとも限らない為、工事監理者は施主の立場に立ち建築施工を具現化する為に尽力しなくてはなりません。
現場監督と工事監理者
現場監督と工事監理者は、現場において密接に関る事が多いです。
現場監督は、設計者が書いた図面を基に、施工を行っていきますが、判断に迷う部分などは工事監理者に確認する等して工事を進めていきます。
また、検査等の立合いにおいても、施工が終わったものを確認する為、どのように施工したのか等を説明する事も必要とされ、現場においては密に関りあって工事を進めていくのが通例です。
工事監理者からしても、設計図等で読みとれない部分をしっかり具体化してもらう為にも、施工図のチェックや施工方法の指示などをしていきます。
工事監理者の責任と工事施工者の責任の関係
施工ミスは工事施工者の責任ですが、見落とした工事監理者も責任があります。この場合、工事監理者と工事施工者の責任の関係は「不真正連帯債務」で、施主に対して両方が賠償責任を負います。
しかし、賠償金の支払いは両者が施主に支払うことはありません。例えば工事施工者が施主に一括で賠償し、責任割合に応じた金額を工事監理者に請求します。
ただし、施主がどちらかを債務免除した場合は残りが全額を負担します。
似ている言葉と工事監理者との違い

工事現場で働く立場については、似ている言葉が使われます。工事監理と工事管理は、漢字1文字が異なるだけで、発音は全く同じです。よく似ているように思えますが、立場は異なります。
同様に施工管理業務に関わる、施工管理技術者と施工管理者もそれぞれ異なる業務を担当し、工事監理者とも違います。
工事監理者と工事管理者、監理技術者など業務内容や立場を把握して、それぞれの役割を確認しましょう。
工事管理者との違い
工事管理者は、施工会社の業務管理が目的です。作業員や材料の手配、スケジュール調整や施工確認を行います。周辺住民に対する安全確保も担当するため、多くは現場に常駐します。
工事管理者は現場を管理する担当者の呼び名で、資格などの規定はありません。
工事監理者は施主の代理人であり、工事のチェックや報告を行い、工事管理者とは相いれない立場です。そこで工事監理者と工事管理者は異なる所属が担当します。
監理技術者との違い
工事監理者と混同してしまいそうな建築用語の一つが、監理技術者です。
監理技術者とは、建設業法26条2項に出てくる“一定規模以上の建設工事における、技術上の管理をつかさどるもの”で、いわゆる施工管理を行う立場側のものを指しています。
監理という漢字も同じである事もあり、書面等でこの言葉が出てくると混同してしまう事があるかもしれませんので、しっかり区別をしておきましょう。
施工管理者との違い
施工管理者と工事監理者もよく混同する事があるので注意が必要です。
この記事を読んでいるのは、現場監督の方が多いかと思われますので施工管理者の事はよくお解りかと思います。
施工管理者とは、まさしく現場監督を含む工事を行っている人の事を指します。現場監督という言葉はあまり書面上にも出てきません。一般的な呼び名というイメージで捉えてよろしいかと思います。
対して施工管理者は、書類上や一般メディアでもよく取り扱われる用語です。
工事監理者の気になるところ
工事監理者について業務内容や立場の他に、気になる点をまとめました。監理者を目指す人が感じる素朴な疑問やよくある質問にお答えします。
工事現場に関わる場合、作業員や監督する立場も含めて資格は重要です。実務経験を重視した資格も多くあります。以下では、現場と資格に関する質問を中心にまとめました。
現場の作業内容や規模によって必要な監理者数など、作業する立場で気になることにもお答えします。
工事監理をするのに実務経験は必要?
工事監理として仕事をするのに実務経験は必要ありません。
強いて言うならば、ほとんどが建築士等の免許が必要になるので、そちらを取得する為の実務経験が必要となります。
建築士の免許を取得していれば、工事監理者として名前を出して仕事を行う事ができます。
工事監理者は現場に何人いても大丈夫?
建築基準法、建築士法において、現場に対しての工事監理者の人数を定める事はありません。
工事監理を行う会社の体制にもよりますが、複数人を配置して精度の高い業務を行うようにしている所もあります。
工事を行う施工会社が、所長と所員というように配置を充実させて業務を行うように、工事監理を行う会社も配置を充実させる事は可能です。
又、建築工事においては、建築工事と設備工事を分離で発注する事も多く、それぞれが専門性の高いものである事からも、工事監理としても設備専属で人員を立てる事もあります。
そのような場合は当然、一人で行う事はできませんので、複数人の体制となります。
現場に来ている工事監理者は全員資格をもっている?
建築士法上は、一定規模以上の工事においては、建築士資格が必要である事は説明しました。
では、工事監理者と扱われる人は全員建築士の免許を持っているのでしょうか?答えとして見ると、持っていない人もいるという事になります。
資格を持っている工事監理者の指導監督の基、資格を持っていない工事監理者が業務を従事するという体制をとっているのが通例的な考え方です。
建築確認申請上の書類等には、資格を持っている工事監理者の名前が記載され業務を行っている事になっていますが、当然人数がいないと仕事を行う事ができないという現実の中では、法律に抵触しないようにこのような体制をとっているのが通例のようです。
公共建築工事における工事監理委託契約等においても、業務を統括する“管理技術者”等の立場には建築士等の資格を要件としていますが、それ以下の一般業務者においては特段資格等を求める事はありません。
リフォーム工事等に工事監理者は必要?
建築士法において、工事監理を必要とする建築行為は「新築、増築、改築、大規模の修繕及び模様替」となっています。リフォームは「大規模の修繕か模様替」にあたるかが必要か必要でないかのポイントになります。
「大規模の修繕」とは、建築基準法上においては「主要構造部の一種以上について行う過半以上に対しての修繕をいい、修繕とは“同じ材料用いて元の状態に復元する事”を指しています。また“主要構造部は、壁、柱、床、梁、屋根又は階段”を指しています。
「大規模の模様替え」とは、建築基準法上においては「主要構造部の一種以上について行う過半以上に対しての模様替えをいい、模様替えとは“建築物の材料や仕様を変えて、更新する事”を指しています。
したがって一般的に行われるような住宅やマンション等のリフォーム工事の場合、主要構造部である、壁、柱、床、梁、屋根又は階段を含む、左記の工事には当然工事監督者が必要となります。
工事監理者の立場は高い?
よく工事現場の中では、工事監理者の事を“先生”と呼んだりする場合があります。
工事監理者の立場が高いのかと言われるとその答えは”高くない”というのが正しいでしょう。
施工者と工事監理者はあくまで、施主と契約を結んだ業務の請負者に過ぎません。
つまり、施工者と工事監理者は同じ工事というプロジェクトを進める為の共同事業者という事になります。
工事監理者について理解しよう
工事監理の仕事には、
1.色や柄を決める仕事があります
2.公共工事の場合、毎月出来高審査を業務として行う必要が出てきます
3.工事監理記録を整備し、会計検査院の監査にそなえる必要があります
現場に従事する人にとって工事監理者とどのように関っていけば良いのかという事はマニュアル化をされているわけでもなく、先輩社員等は現実的に経験してきた事を教えていただき理解をしていくという事の方が多いのではないでしょうか。
現場に従事する人にとっては、工事監理者との関り方も教えていただくのが実情なのかもしれませんが、その内容が経験則からくることも多い場合がある為、この記事では法律的な背景を踏まえて説明をしてみました。
実際の仕事現場で教えられている事と今回の記事の事を重ね併せて捉えることで、工事監理者との関り方に気づく事もあるのではないでしょうか。
是非、この記事が役立てばと思います。
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