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コンクリート打設における準備から仕上げまでの工程7つ|受け入れ検査についても紹介

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公開日時 2022.08.15 最終更新日時 2024.06.03

コンクリート打設とは?

コンクリート打設(だせつ)とは、生コンクリートを型枠に流し込む作業のことです。「生コンを打つ」という言い方もよくされます。

工場で生産された生コンは、ミキサー車で現場に運ばれてきます。これを圧送車のポンプを使って型枠へと圧送しますが、状況によっては、シュートと呼ばれるU字型の樋(とい)を使って直接流しむ工法などもあります。

コンクリート打設が重要な理由

コンクリートは建物や橋梁の基礎など構造上とても大切な部分に利用されますので、強度などの品質を保つことが必要です。

やわらかい状態で現場に運ばれてくる生コンは、正しく硬化しなければ欠陥品となってしまい、やり直しがきかないことも少なくありません。

したがって、きちんとした手順や方法でコンクリート打設を行うことが非常に重要となってきます。

コンクリート打設前準備から仕上げまでの工程7つ

砂や砂利、水やセメントなどを原料とする生コンは、ただ型に流し込んだだけでは均一になりません。ジャンカ(豆板)と呼ばれる不良物が多数発生してしまったり、継ぎ目の跡が残ってしまう、などの問題が起こってしまうからです。

ここでは、こういった不良品を防ぐためのコンクリート打設の前準備から仕上げまでの工程7つを、順を追ってご紹介していきましょう。

コンクリート打設工程1:計画を立てる

コンクリート打設工程の1つ目は、「計画を立てる」です。

生コンは攪拌(かくはん)を止めた時点から固まり始めますので、作業は時間との勝負になります。そのため、スムーズに進めるためにも、準備して計画をたてておくことが重要となってきます。

現場の状況にあわせてコンクリートポンプ車を使うのか、生コンを入れたバケットをクレーンでつるのかなど、打設の工法も決めておく必要があります。

打設の手順や役割分担、注意事項などを関係者と共有するため、あらかじめ打設計画書も配られます。

コンクリート打設工程2:型枠を組む

コンクリート打設工程の2つ目は、「型枠を組む」です。

生コンを流し込んで固めるための型枠を組むことは、コンクリート打設における重要な作業のひとつといえるでしょう。

基礎などとして地面に埋め込む際には、まずパワーショベルなどで地面を掘っておきます。この作業を根切りといいます。

そのまま地面に生コンを打つと安定せずに沈んでしまいますので、まずは砕石を敷いて押し固めます。その上に目印を付けるための(墨出し)、捨てコンクリートを打つこともあります。

設計図にあわせて先に鉄筋を組み、その周りに木枠や鋼製の型枠を組んでいきます。

コンクリート打設工程3:生コンの受け入れ検査

コンクリート打設工程の3つ目は、「生コンの受け入れ検査」です。

ミキサー車で攪拌しながら現場へと運ばれてきた生コンは、さまざまな受け入れ検査をして品質を確認します。

工場で練り混ぜてからすぐに凝固(ぎょうこ)し始めますので、練り混ぜから現場で打ち終わるまでの時間も決められています。

外気温が25度以下であれば20分以内、25度以上であれば90分以内に完了しなければなりません。これを越えてしまうと、不具合が出やすいといわれています。

納品書を確認する

現場に工場から運ばれてくる生コンには、納入書がついています。

発注時に指定しているコンクリート配合計画書の内容とあっているかを、まず確認しなければなりません。

また、コンクリートの種類や量、粗素材(材料の砂など)の大きさなどはもちろん、運搬にかかった時間を確認することも、重要なポイントです。

スランプ試験

生コンのやわらかさを確認する為に、スランプ試験を行います。

こちらはコンクリート打設時の仕事のしやすさや、品質にかかわってきます。

スランプコーンと呼ばれる高さ30センチの筒にコンクリートを詰め、ゆっくり引き抜きます。その時どのくらい下がったかが、スランプの値となります。やわらかいほどスランプは大きくなります。

発注時に指定したスランプ値に対して、許される範囲内の差におさまっているかどうかを確認します。

空気量試験

生コン中の、空気量の測定試験を行います。

一定量の微細な空気の泡が入っていれば生コンがやわらかくなりますので、コンクリート打設時のワーカビリティ(仕事のしやすさ)が生まれるほか、内部の水分が凍結と融解を繰り返すことによって出るコンクリートの品質劣化を抑える効果もあります。

ただし、空気量が多すぎると強度が低下してしまいますので、バランスが大事です。

塩化物含有量試験

生コン中の、塩化物イオンの量の測定試験を行います。

コンクリート中に塩分が多く含まれていると、中の鉄筋がさびたり腐食したりしてしまいますので、JIS規格によって、基本的には0.30kg/m³に抑えることとされています。

塩分濃度は、粗材として使用する海の砂や他の材料の影響によって高まってしまうことがあります。

コンクリート温度の測定

発注時に指定があった場合には、コンクリートの温度の測定を行います。

生コンは温度管理がとても重要です。高すぎても低すぎても生コンが固まるスピードに悪影響をあたえ、品質が落ちる原因となります。そのため、コンクリート打設が完了するまでの時間は、温度によって決められているほどです。

暑すぎると水分が蒸発して、ひび割れの原因となります。また寒い時期にはコンリートの硬化に時間がかかり、強度が出にくくなってしまいます。

圧縮強度試験のためのテストピース作成

コンクリートの圧縮強度試験をするために、円柱状のテストピースを作成しておきます。

圧縮に対してどれほどの強さを持っているかを確認するためには、完全に固まっていることが必要なため、納品時でのチェックは不可能です。そのため、コンクリート打設時に試験用のサンプルを取っておき、後から測定をします。

コンクリートは、この圧縮強度が強く、また安価に作成できるからこそ、さまざまな建造物に使用されている建材となっています。

コンクリート打設工程4:散水

コンクリート打設工程の4つ目は、「散水」です。

コンクリート打設前に、型枠などに散水をしておきます。コンリートは水とセメントの化学反応によって硬化していくのですが、水分が少なすぎると強度の低下や、ひび割れの原因となってしまいます。

打設時に型枠の木枠や地面が乾いていると生コンの水分を吸ってしまいますので、あらかじめ湿らせておく必要があります。

ただし、生コンの水分が多すぎても問題がありますので、たまっている場合は高圧空気などを使って余分な水分を取りのぞいておきます。

コンクリート打設工程5:コンクリート打設

コンクリート打設工程の5つ目は、コンクリート打設です。

生コンの材料のうち、重い砂などは沈もうとし、軽いモルタルなどは浮こうとします。そのため分離させないようにすることが重要です。したがって、できるだけ低い、目的の場所に近い位置から投入をします。

また、打ち込んだコンクリートを型枠内で横に移動をさせるのも禁物です。

作業の流れがうまくいかず、場所によって固まるスピードが異なると継ぎ目などもできてしまいます。不良品のコンクリートでは、建物全体の強度が落ちてしまうのです。

コンクリート打設工程6:締固め

コンクリート打設工程の6つ目は、「締固め」です。

締固めとは、打ち込んだ生コンを突いたり、たたいたりしてすき間なく密実にし、締め固めることをいいます。以前は竹の棒やハンマーなどを使うことが多く、これが「打設」という言葉の由来となっています。

高周波の振動を当たることによって、生コン内の余分な空気を追い出して分離を防いだり、すき間なく型枠の隅々まで行き渡らせるための、大切な工程です。

コンクリート打設工程7:仕上げ

コンクリート打設工程の7つ目は、「仕上げ」です。

締固めをしただけではデコボコになってしまいますので、表面をなめらかに仕上げます。まずスコップなどで粗ならしをして、それからコテを使ってきれいにするのですが、きちんと水平などを保つような注意も必要です。

また、急激に乾いてしまうとひび割れや欠陥の元となってしまいますので、スピードをコントロールすることが必要です。シートで覆って湿潤を保ったり、散水するなどして養生をします。

コンクリート打設の際の注意点4つ

コンクリートは、建造物の基礎や躯体(くたい)となる重要な建材です。確かな品質で仕上げなければ、安全性にも問題が出てきてしまいます。

欠陥品としないためには、さまざまな注意点や考慮すべき点があります。ここでは、コンクリート打設の際に特に気を付けるべき点を、4つご紹介しましょう。

コンクリート打設注意点1:型枠や鉄筋の位置や隙間を確認する

注意点の1つ目は、型枠や鉄筋の位置や隙間を確認することです。

コンクリート打設の前に、型枠や鉄筋の位置が間違いなく組まれていることを確認しなければなりません。平面的な設計図を読み解いて、立体的なイメージをたてていきます。

生コンが漏れないように、型枠をすき間なく仕上げることも必要です。水平方向や垂直方向の傾きがないようにチェックをし、生コンの重みで型枠がずれないよう、しっかりと組み上げることも重要でしょう。

コンクリート打設注意点2:かぶり厚さが十分あるか確認する

注意点の2つ目は、かぶり厚さが十分あるか確認することです。

鉄筋を組む場合には、かぶりの厚さが十分にあるかを確認します。「かぶり」とは、コンクリートの面から鉄骨までの最短距離のことをいいます。

コンクリートはアルカリ性の性質を持っておりますので、通常、鉄筋はサビることなく守られています。ただし、実際にはコンクリートには微細なひび割れなどもありますので、一定以上のかぶりの厚さが必要となってきます。

そのため、コンクリートの用途によって、かぶりの厚さは基準が定められています。(建築基準法施行令第79条)

コンクリート打設注意点3:型枠にゴミや汚れが無いか確認する

注意点の3つ目は、型枠にゴミや汚れが無いか確認することです。

生コンを流し込む前には、型枠にゴミや汚れがないかを必ず確認します。基本的には、打設の前に必ず型枠内を清掃します。なぜなら、木片などのゴミを残したまま生コンを打ってしまうと、不純物の混ざったコンクリートとなり、強度的にも問題が出てきてしまうからです。

同様に、運搬装置や打設用の設備などの清掃をしておくことも重要です。

コンクリート打設注意点4:天候を確認する

注意点の4つ目は、天候を確認することです。

コンクリートの打ち込みは、荒天の日は避けたほうが望ましいです。なぜなら、荒天の日に作業を行うと、生コンの状態に影響をあたえて、欠陥品になってしまう可能性があるからです。

コンクリートは、水とセメントの化学反応によって硬化していきます。生コンは、ゆっくりと時間をかけて固まることによって強度を増すように材料の割合が計算されています。雨で水分量が増えすぎてしまうと、強度的に問題が出る可能性があります。

また、強風の日にも、打設の作業は避けるべきです。

コンクリート打設の手順や注意点を知ろう

コンクリート打設のための順序から仕上げまでの工程について、ご紹介をしてきました。

生コンとして運ばれてきた時には、さまざまな状態のチェックをしていきます。しかし、納品時には問題がなくても、硬化する過程で問題があれば欠陥品となってしまいますので、正しい工程で打設を行うことが非常に重要となってきます。

コンクリートは、基礎や構造体としてとても重要な建材です。コンクリート打設の手順や注意点を、ぜひ知っておきましょう。


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