ベーン試験の方法4選|せん断強さと粘着力のベーン試験との関係についても執筆
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目次
ベーン試験について
ベーン試験とは軟弱地盤のせん断強さや粘着力を測定する試験です。
地盤の強さを測る土の原位置試験の1つで、正式名称は地盤工学会基準 JGS 1411 により規定されている原位置ベーンせん断試験のことです。原位置試験とは試験に必要な機材を持っていくことで、その場で測定できる試験という意味です。
室内試験を行うことで地盤の測定はできますが、ベーン試験は原位置で測定するために開発された手法です。
ベーン試験以外のサウンディング試験の種類3選
ベーン試験以外にもさまざまなサウンディング試験があります。
ベーン試験は抵抗体を先端に取り付けたロッドを地中に埋め込み、貫入や回転、引き抜きなどを操作することで地盤を調べるサウンディング試験に該当します。
また、サウンディング試験には他にも「スウェ-デン式サウンディング試験」「ポータブルコーン貫入試験」「標準貫入試験」があります。ここではベーン試験以外のサウンディング試験の種類3選をご紹介します。
サウンディング試験の種類1:スウェ−デン式サウンディング試験
スウェーデン式サウンディング試験とはもっとも一般的な地盤調査方法です。
SS試験やSWS試験などとも呼ばれている試験で、主に地盤構成や小規模建築物の地耐力の測定に用いられます。
スウェ−デン式サウンディング試験では地盤にロッドを垂直に突き刺し、沈み方によって地盤の硬軟などを調査します。適応範囲はGL-10.0m~GL-15.0m程度ですが、10.0m以上になるとデータの精度が下がります。
サウンディング試験の種類2:ポータブルコーン貫入試験
ポータブルコーン貫入試験とは軟弱な粘性土地盤の層厚確認に用いられる地盤調査方法です。
ポータブルコーン貫入試験は人力でコーンを貫入し、その抵抗から厚さや土層構成、粘着力などを求める試験です。この試験では、機器設置と摩擦トルクM1の測定・測定最大トルクMの測定という2つに場合分けしながら測定します。
単管式の場合は3m~5mが限界なので、それ以上の深さを調査する場合は二重管式を使用します。
サウンディング試験の種類3:標準貫入試験
標準貫入試験とは地盤の硬さなどを調べる地盤調査方法です。
掘削した孔を使用し、1mごとに地盤の硬さや地盤定数の推定、支持力や液状化の判定を行います。また、同時の土のサンプリングも行われます。
スウェーデン式サウンディング試験と違い、硬い層でも深く掘り進むことができる点が特徴です。また、3階建ての建造物や鉄骨造の建築物などの確認申請の際には構造貫入試験を実施し、構造計画書を添付する必要があります。
ベーン試験の方法4選
ベーン試験の方法をご紹介します。
ベーン試験は軟弱地盤のせん断強さなどを調査する試験で、地盤改良の方法や基礎の種類を決める際の重要なポイントです。
ベーン試験ではベーンと呼ばれる十字の羽根のついた器具を使用しますが、ベーン試験はどのような手順で行われるのでしょうか。
ここではベーン試験の方法4選をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ベーン試験の方法1:機器設置と摩擦トルクM1の測定の仕方
ベーン試験を実施する場合、試験に使用する機器を設置し、摩擦トルクM1を測定します。
ベーン試験では、裁荷装置の違いや操作方法がボアホール式か押込み式によって、作業の手順が異なります。
ここでは押込み式で測定する場合とボアホール式で測定する場合のそれぞれのパターンをご紹介します。
押込み式で測定する場合
押込み式とはベーンを地中に押し込んで所定の深さで試験を行うものです。
押込み式は押し込みの際にベーンを保護するケースと、回転ロッドと土の摩擦による影響を除くための保護管の二重管構造になっています。
押込み式の場合、回転ロッド、保護官、試験管の摩擦トルクM1は地上で試験前後に測定します。また、地表から500~800mmの位置まで保護官とともに押し込み、ベーンのみを押し込んで載荷装置を設置します。
ボアホール式で測定する場合
ボアホール式とはボーリングによって孔を掘削し、ベーンを地中に押し込んで所定の深さで試験を行うものです。
ボアホール式の場合、掘削した孔底を清掃してからベーンシャフトに回転ロッドを繋げ、孔底に降下させます。また、ベーンを回転させることで摩擦トルクM1を測定します。
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さらにロッドにねじりを加えないようにしながら一定速度でベーンを孔底から孔径の5倍程度の長さまで押し込み、載荷装置を設置します。
ベーン試験の方法2:測定最大トルクMの測定の仕方
ベーン試験を実施する場合、測定最大トルクMの測定を行います。
測定最大トルクMは、「乱した土」か「乱さない土」といった土の状態によって測定方法が異なります。「乱した土」「乱さない土」とは、サンプリングする際の土の状態を指します。
ここでは乱した土を測定する場合と乱さない土を測定する場合のそれぞれのパターンをご紹介します。
乱した土を測定する場合
乱した土を測定する場合、ベーンを急速回転して測定します。
乱した土とは、原位置における構造や含水量を保持せずにサンプリングされた土のことで、スコップやハンドオーガーなどによってサンプリングされるものです。
乱した土で測定最大トルクMを測定する場合、ベーンを急速に10回以上回転させ、トルク測定装置の指示値が一定になった際の値を測定最大トルクMとして求めます。
乱さない土を測定する場合
乱さない土を測定する場合、最大値が得られるまで継続して測定します。
乱さない土とは、原位置における構造や含水量をできるだけ保持してサンプリングされた土のことで、ブロックサンプリングやサンプラーなどによってサンプリングされるものです。
乱さない土で測定最大トルクMを測定する場合、ベーンを6~12(°/min)で回転させ、1°毎に指示値を読み取ります。また、そのまま最大値が得られるまで試験を続けます。
ベーン試験の方法3:適応される範囲
ベーン試験は軟弱な粘度土地盤に適用されます。
ベーン試験は一般的に、N値2以下の粘土やシルト、分解の進んだ有機質土地盤に採用される試験です。また、N値4以上の粘性土や砂に対しては試験を行うことが困難なケースが多く、試験可能な深さは15m程度となっています。
そのため、繊維質を含んだ泥炭などへの適用は十分に検討する必要があります。
ベーン試験の方法4:試験用具について
使用する試験用具にはベーンがあります。
ベーン試験では、ベーンと呼ばれる十字の羽根のついた器具を使用し、ロッドを回転させてトルクを与えます。また、一般的にベーンは直径7.5cm,長さ15cmのタイプが標準サイズとなっており、多く採用されています。
さらに押込み式の場合は、前述のとおり保護ケースと保護管の二重管構造になっています。
ベーン試験の土質判定の仕方
ベーン試験の土質判定の方法をご紹介します。
ベーン試験によって粘度土の強さがわかりますが、試験結果を使った土質判定の方法には「ベーンせん断強さτ」での算定と「鋭敏比Stv」での算定があります。
ここでは最後にベーン試験の土質判定についてご紹介しますので、どのような計算方法によって算出できるのか参考にしてみてください。
ベーンせん断強さτでの算定する
ベーンせん断強さτ(kN/m2)は式で算定することが可能です。
「M:測定最大トルク(kN・m)」「M1:試験機の摩擦トルク(kN・m)」「D:ベーンブレード幅(m)」「H:ベーンブレード高(m)」とし、「6(M-M1)÷7πD3」で算定できます。
鋭敏比Stvでの算定する
鋭敏比Stvは以下の式で算定することが可能です。
ベーン試験で測定した「乱さない土」、「乱した土」での試験結果をもとに、「τfv:乱さない土のベーンせん断強さ(kN/m2)」「τrv:乱した土のベーンせん断強さ(kN/m2)」とした場合、「τfv÷τrv=Stv」の計算式で鋭敏比Stvが算定できます。
せん断強さと粘着力のベーン試験との関係について
ベーン試験とせん断強さ、粘着力の関係は「s=M/(πD2(H/2+D/12))」で表されます。
ベーン試験によって得られたせん断強さを「s」、抵抗モーメントを「M」とし、十字羽根の長さを「D」、羽根の高さを「H」とした場合、上記の計算式でせん断強さと抵抗モーメントの関係を表すことができます。
また、せん断強さは粘着力cとほぼ一致します。
ベーン試験について詳しくなりましょう
ベーン試験とは粘性土のせん断強さや粘着力を測定するためのもので、原位置で地盤を測定するために開発された試験です。
ぜひこの記事でご紹介したベーン試験の概要やベーン試験以外のサウンディング試験の種類、ベーン試験の方法4選、ベーン試験の土質判定の仕方などを参考に、ベーン試験について理解を深めてみてください。
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