防災管理者の合格率・難易度について解説 | 防火管理者との違いや受験資格も紹介
防災管理者とは、火災以外の災害による被害を防止・軽減する資格であり、大規模な建築物への配置が義務付けられています。
これから防災管理者の資格を取得しようとしている方の中には、自分でも資格を取得できるか不安な方もいるのではないでしょうか。
本記事では、防災管理者の合格率・難易度について解説した上で、試験・講習の内容を紹介します。
この記事を読めば、防災管理者になるための方法や試験の対策方法が分かります。
これから防災管理者になろうとしている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
防災管理者とは?
防災管理者とは、災害(地震や台風など火災以外)による被害を防止・軽減するために、計画・管理を行う責任者です。
消防法によって、一定以上の大きさの建築物には防災管理者を設置することが義務付けられています。
防災管理者の業務は、災害が発生したときに大規模な建築物から円滑に避難できるように、計画の作成や避難訓練などを実施することです。
人の命に関わる業務であるため、防災管理者は責任感を持って仕事できる方に向いている資格です。
防災管理者と防火管理者の違い
「防災管理者」と似た資格に「防火管理者」があります。
両者の違いを、以下の表にまとめました。
資格 | 特徴 |
防災管理者 | 火災以外の災害による被害を防止・軽減するために、計画・管理する責任者 |
防火管理者 | 火災による被害を防止・軽減するために、計画・管理する責任者 |
防災管理者は火災以外の災害を対象としていますが、防火管理者は火災を対象としている資格です。
消防法第36条によって、防災管理者と防火管理者は同一の人物を選任することが義務付けられています。
そのため、防災管理者と防火管理者をセットで取得することをおすすめします。
防災管理者が必要な建築物
防災管理者の配置が義務付けられている建築物である「防災管理対象物」は以下のとおりです。
対象用途 | 地階を除く階数 | 延べ面積 |
共同住宅や倉庫など | 11階以上 | 10,000平方メートル以上 |
5階以上10階以下 | 20,000平方メートル以上 | |
4階以下 | 50,000平方メートル以上 | |
地下街 | ― | 1,000平方メートル以上 |
上記のように、共同住宅や倉庫など大規模な建築物には、防災管理者の配置が義務付けられています。
防災管理者の選任要件
防災管理者として選任してもらうためには、以下の要件を満たす必要があります。
区分 | 選任要件 | 選任例 |
1 | 防災管理に関する業務を遂行できる管理的・監督的役職にある | ・事業所長・総務部長 など |
2 | 防災管理に関する業務を行うために必要な知識・スキルを有している | ・防災管理講習修了者・学識経験者 など |
3 | 甲種防火管理者の資格を有している | ・甲種防火管理講習修了者・学識経験者 など |
学識経験者に該当する方は、以下の表のとおりです。
区分 | 学識経験者に該当する方 |
1 | 市町村の消防職員として、管理・監督の職に1年以上就いていた方 |
2 | 警察官または警察官に準ずる警察職員として、管理・監督の職に3年以上就いていた方 |
3 | 建築主事または一級建築士の資格を有していて、1年以上の防火管理の実務経験と、1年以上の防災管理の実務経験がある方 |
4 | 市町村の消防団員として、管理・監督の職に3年以上就いていた方 |
5 | 安全管理者として選任された方 |
6 | 甲種危険物取扱者の免状の交付を受けた方 |
7 | 保安管理者または保安統括者として選任された方 |
上記のように防災管理者として選任されるためには、消防職員としての監督の実務経験や、保安管理者として選任された経験などが必要です。
防災管理者の合格率・難易度
防災管理者の試験の合格率はほぼ100%であり、ほとんどの方が合格できる難易度です。
防災管理者の試験は講習の最後に実施され、試験は講習の内容をしっかり理解できていれば合格できます。
また、試験では講習のテキストを見てよいので、講習で重点的に説明された部分をテキストにチェックしておきましょう。
防災管理者になるには?
防災管理者の資格を取得するには、防災管理者講習を受けて、講習の最後にある修了試験に合格する必要があります。
具体的には、以下の講習を受けて試験に合格すると資格を取得できます。
- 防災管理新規講習(1日間)
- 防火・防災管理新規講習(2日間)
防災管理者は防火管理者の業務を一緒に行う必要があるので、防火・防災管理新規講習を受けることがおすすめです。
防災管理者の試験概要
防災管理者の講習・試験概要について、以下の項目に沿って解説していきます。
- 受験資格
- 試験内容・講習内容
- 免除科目
- 受講料
- 講習日
- 申込方法
- 合格後の更新|再講習を受講する必要がある
防災管理者の講習・試験の受験資格や試験内容、講習日などについて紹介します。
これから防災管理者になろうとしている方は、自分に受験資格があるか確認してみてください。
受験資格
防災管理者の講習・試験は、誰でも受講・受験できます。
ただし、市町村消防長主催の講習では、甲種防火管理者の資格を持っていることが受講要件である場合があります。
防火管理者は挑戦しやすい資格ですので、取得を検討している方はぜひ受講してみてください。
試験内容・講習内容
防災管理者の講習は、以下の表のように「防災管理者のみ」「防災管理者・防火管理者セット」の2つあります。
【防災管理者のみの講習】
講習 | 日数 | 時間 | 内容 |
防災管理者のみ | 1日間 | 4時間30分ほど | 1:防災管理の意義および制度 2:施設・設備の維持管理 3:防災管理に係る訓練および教育 4:防火管理に係る消防計画など 5:効果測定 |
防火管理者・防災管理者セット | 2日間 | 12時間ほど | 1:防火・防災管理の意義および制度 2:火気管理 3:施設・設備の維持管理 4:防火・防災管理に係る訓練および教育 5:防火・防災管理に係る消防計画など |
防災管理者と防火管理者の業務は同時に行うので、セットで取得できる2日間の講習を受講することがおすすめです。
免除科目
以下の条件を満たすと、防火管理者講習の一部または全科目免除となります。
免除科目 | 対象者 |
一部科目免除:防災管理の意義および制度 | 自衛消防業務の講習を修了した方 |
全科目免除 | ・大学・短期大学・高等専門学校で防災に関する課程を修了し、防災管理に関して1年以上の実務経験がある方 ・市町村の消防職員として、管理・監督の職に1年以上就いていた方 ・警察官または警察官に準ずる警察職員として、管理・監督の職に3年以上就いていた方 ・建築主事または一級建築士の資格を有していて、1年以上の防火管理の実務経験と、1年以上の防災管理の実務経験がある方 ・市町村の消防団員として、管理・監督の職に3年以上就いていた方・安全管理者として選任された方 ・甲種危険物取扱者の免状の交付を受けた方 ・保安管理者または保安統括者として選任された方 |
市町村の消防職員として勤めていた方や、安全管理者として選任された方などは、防災管理者の講習が全科目免除となります。
受講料
防災管理者の講習の受講料を以下の表にまとめました。
講習 | 受講料 |
防災管理者のみ | 7,000円(税込み) |
防火管理者・防災管理者セット | 10,000円(税込み) |
防火管理者の受講料にはテキスト代も含まれています。
講習日
防災管理者の講習は以下3つの団体で実施されており、それぞれ講習日が異なります。
- 都道府県知事
- 消防本部や消防署がある市町村の消防庁
- 一般社団法人 日本防火・防災協会
東京消防庁が令和4年度に実施している防災管理者新規講習の日程は、以下の通りです。
実施日 | 講習会場 | 申し込み締切 |
令和4年12月9日(金) | 立川都民防災教育センター | 令和4年12月8日(木)15:00まで |
令和5年1月17日(火) | 本所都民防災教育センター | 令和5年1月16日(月)15:00まで |
令和5年3月10日(金) | 立川都民防災教育センター | 令和5年3月9日(木)15:00まで |
東京以外に住んでいる方は、自分が住んでいる地域の消防庁の公式サイトから確認できます。
一般社団法人 日本防火・防災協会が主催している講習の日時は、公式サイトからチェックしてみてください。
申込方法
防災管理講習の講習への申込方法は、講習を主催している団体によって異なります。
東京消防庁が主催している講習の場合、東京都内(稲城市を除く)の各消防署に申込用紙を提出します。
講習によっては電子申請にも対応しており、詳しくは公式サイトから確認してみてください。
一般社団法人 日本防火・防災協会が主催する講習に申し込むときは、インターネットかFAXから申し込みます。
インターネットから申し込む場合は、公式サイトから手続きします。
FAXで申し込む場合は、公式サイトからFAX申込書をダウンロードして、必要な情報を記入した申込書をFAXで送信しましょう。
合格後の更新|再講習を受講する必要がある
防災管理者の資格の有効期間は5年間であり、有効期間内に再講習を受ける必要があります。
日数 | 時間 | 内容 | 受講料 |
半日 | 3時間ほど | 1:防火・防災管理に関する最近の法令改正概要2:火災その他の災害事例研究 | 7,500円(税込み) |
防災管理者の再講習は半日(3時間ほど)で終了します。
再講習を受けないと防災管理対象物の選任要件から外れてしまうので、再講習は忘れずに受講しましょう。
防災管理者の合格率・難易度に関するよくある質問
最後に、防災管理者の合格率・難易度に関する、よくある以下の3つの質問に対して回答していきます。
- 防災管理者の資格を取るメリットは?
- 防災管理者の過去問はどこから閲覧できるか?
- 防災管理者は国家資格?
防災管理者の合格率・難易度について分からない点や、気になる点がある方はぜひ参考にしてみてください。
防災管理者の資格を取るメリットは?
防災管理者の資格を取得することには、以下のようなメリットが存在します。
- 転職で有利になる
- 年収が上がる
- 災害が発生したときに対応できる
就職活動のときに防災管理者の資格を保有していると、評価してもらいやすくなります。
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防災管理者の過去問はどこから閲覧できるか?
防災管理者の過去問はインターネット上には、アップロードされていません。
防災管理者の試験の合格率はほぼ100%なので、しっかり講習の内容を理解しておけば合格できます。
それでも心配な方は、防災管理者に関する書籍を読むことをおすすめします。
防災管理者は国家資格?
防災管理者は消防法によって定められている国家資格であり、独占業務を行えます。
防災管理者の資格を取得すると、火災以外の災害による被害の防止・軽減に関する業務ができます。
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防災管理者とは、火災以外の災害による被害を予防・軽減するための資格であり、計画を作成することや避難訓練などの業務を行います。
防災管理者になるには講習と修了試験を受ける必要がありますが、試験の合格率はほぼ100%であり、講習をしっかり受けた方はほとんど合格できます。
資格を取得すると、就職・転職活動で有利になり、年収アップを狙うことも可能です。
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防災管理者の合格率は、ほぼ100%です。防災管理者の試験は講習の最後に実施されるので、講習の内容を理解していれば合格できます。また、試験中は講習のテキストを見てもOKです。合格率がほぼ100%なので、難易度は非常に低いと言えるでしょう。
どちらも災害による被害を防止・軽減するための資格ですが、「防火管理者」は火災、「防災管理者」は火災以外の災害を対象としています。消防法により、防災管理者と防火管理者は同一の人物を選任することが義務付けられているため、セットで取得することをおすすめします。
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