建設業界のテクノロジーの進化は日進月歩!IT活用、生産性向上についてまとめました
金融業界の「FinTech(フィンテック)」、IT業界の「AI」などの先進技術は日々進化し、私たちの生活をより豊かにしてくれています。
それは建設業界も同様でドローンを使った測量、工程管理のシステム化といった現場やバックオフィスの業務効率化、生産性向上を目指す取り組みが国や業界を挙げて推進されています。
そこで今回は、建設業界に関わるテクノロジーの進化とそれを取り巻く環境の変化や動向などの「建設業界の未来」についてまとめました。
現場監督の将来の働き方に影響するかもしれないテーマなので、ぜひ一度チェックしましょう。
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目次
国土交通省が進める i-Constructionとは
建設業界の関係者のなかには「i-Construction(アイ・コンストラクション)」という言葉を耳にした人も多いのではないでしょうか。
i-Constructionとは、2015年12月から国土交通省が促進している「魅力ある建設現場を目指す取り組み」によって、目指すべき建設現場の未来について以下のように掲げています。
- 一人一人の生産性を向上させ、企業の経営環境を改善する
- 建設現場に携わる人の賃金の水準の向上を図るなど、魅力ある建設現場をつくる
- 建設現場での死亡事故ゼロにする
- 「きつい、危険、きたない」から「給与、休暇、希望」を目指す
また、具体的には「ICT技術の全面的な活用」「規格の標準化(コンクリート工)」「施工時期の平準化」に取り組むことによって、上記の目標を達成できるとしています。
i-Constructionの成功の鍵とされている上記の3つの取り組みの概要をご紹介します。
ICT技術の全面的な活用
ICT(情報通信技術)とは、パソコンやスマートフォン、タブレットなどさまざまなコンピュータを使って「人と人」、「人とインターネット」をつなげる技術です。
i-Constructionは、立体的なデジタルデータである「3次元データ」の活用を促進するために、調査、設計・施工、検査、維持管理、更新まで、すべてのプロセスにおいてICT技術の導入を目指しています。
各工程での3次元データの活用事例をご紹介します。
測量
ドローンを活用した写真測量やレーザー測量を導入することで、従来の測量機器よりも短時間で高密度な3次元測量が実施できるようになります。
設計、施工計画
現在は、設計図から施工土量などを算出する方法が一般的ですが、3次元測量データと設計図面を比較することによって、施工量(切り土や盛り土)を自動的に算出できるようになります。
これにより、設計、施工計画の作成をより迅速に行うことが可能になります。
施工
IoT技術による自動制御システムを搭載したICT建機を活用し、3次元設計データなどを使って作業を実施します。コンピュータ制御により、従来の丁張りの設置とそれに合わせた施工、検測と施工を繰り返して整形する手法よりも作業時間が大幅に短縮でき、人件費の削減にもつながります。
検査
書類による検査から、3次元データによる差を評価する方法に転換することで検査業務を簡易化します。
3次元データを建設現場に導入することによって大きなメリットを得られる一方で、これらすべてを実現するためには「ICT建機の価格」などのハード面から、「操作する人のスキル不足」「ICTに対応した基準などが未整備」といったソフト面まで課題があります。
このような課題を解決するために、国土交通省は2016年4月に「新たに導入する15の新基準及び積算基準」を作成して制度を整えるなど、ICT施工技術の活用推進に力を入れています。
※出典:国土交通省「新たに導入する15の新基準及び積算基準」
規格の標準化(コンクリート工)
i-Constructionには「ICT技術の全面的な活用」だけではなく、「コンクリート工の規格の標準化」を掲げられています。
現在、コンクリート工は現場ごとに設計、鉄筋組立、型枠設置、生コン打設、脱型を行う「一品生産、個別最適設計」が多く採用されています。
この手法のデメリットは、①型枠加工・背筋作業などが現場ごとに異なるので作業工程が複雑になる②スケールメリットを得られにくい③準備したストックが無駄になってしまうリスクがある④コスト以外の優位な技術を採用しにくい。 などが挙げられます。
そこでi-Constructionでは、コンクリートの設計から施工、維持管理などすべてのプロセスの規格を標準化(プロキャスト化)して、部材を現場製作から工場製作にシフトすることによって、コスト削減、作業効率化による生産性の向上を目指しています。
施工時期の平準化
国土交通省の建設総合統計によると、公共工事の工事量は年度内で繁忙期と閑散期の差が激しく、特に年度明けの閑散期は技能者の遊休が約50~60万 人も発生するとされています。
そこで、i-Constructionでは「年度末を工期末とする既成概念からの脱却」「特に繁閑の差が激しい地方公共団体への取り組みの浸透」「長期的な平準化」を目指すことによって、作業者の収入の安定と建設業の企業経営の健全化などを図るとしています。
主な取り組みは、以下のようになります。
- 早期発注、国庫債務負担行為の活用による「計画的な発注計画の促進」
- 工事の性格や地域の実情に適した「適切な工期の設置」
- 「余裕期間制度」を活用して建設資材や建設労働者の確保を円滑に行えるようにする
- 工期が複数年度にわたる場合は、国庫債務負担行為や翌債(繰越)制度を適切に活用できるようにする
上記の内容を建設業者と発注元になる地方自治体などに働きかけることによって、施工時期の標準化を目指しています。
ICT技術の全面的な活用を掘り下げる
前述した国土交通省が推進する「i-Construction」の影響もあり、建設業界ではICT施工が盛んに行われています。今後、ますます発展するICT施工について概要をご説明しましょう。
ICT施工とは?
情報通信技術を活用した施工のことを「ICT施工」といいます。
具体的には、測量や機械稼働データなどの各プロセスから得られる電子情報を活用することによって、高効率・高精度な施工を行えるようになります。また、その電子情報を施工後の維持管理などにも利用することによって、建設生産プロセス全体の生産性向上や品質確保も図れるとしています。
実際に「トータルステーション」や「汎地球測位航法衛星システム」など、高度な測位システムが導入され、検査や測量に使用している建設現場も徐々に増えています。
情報通信技術と電子化された施工図のデータを活用することによって、施工現場では計測作業の合理化のほか、建設機械の自動制御、ナビによる品質・精度向上などが期待できます。
また、出来形管理においては、施工中のデータを電子データとして記録することも可能です。
任意点における計測が容易になるため、施工者の品質管理・帳票作成作業や発注者の監督・検査業務などの効率化にも期待されています。
ICT建機とは?
「ICT建設機械」とはMC/MG(マシンコントロール/マシンガイダンス・システム)を搭載した建設機械のことです。
マシンガイダンスは、トータルステーションや汎地球測位航法衛星システムの計測技術を活用し、ICT建機の位置情報や施工情報、施工状況や現場状況と3次元設定データとの差異を車載モニタでオペレーターに提供し、操作をサポートする技術です。
マシンコントロールはマシンガイダンス技術と、施工機械の油圧制御技術を合わせて3次元設計データの設計値に従い機械をリアルタイムに自動制御する施工技術です。
ICT建機を用いることによって、経験が少ないオペレーターでも熟練オペレーターと遜色ない作業が可能になります。
その結果、施工を効率化するだけではなく、出来形の品質確保なども実現可能になると期待されているのです。
ドローンの活用
測量は、建設業界のあらゆる事業において非常に重要な作業です。
建築物を造るためには、正確な測量が必須となります。
前述したi-Constructionの一環として、測量にドローンを活用する取り組みが進められています。
ドローンとは
無人飛行が可能な航空機の総称を「ドローン」と呼びます。別名「UAV(Unmanned Aerial Vehicle)」や「無人航空機」、「無人飛行機」、「マルチコプター」とも呼ばれています。
自動制御や遠隔操作によって動作するドローンには、電子コンパスや加速度センサーのほか、GPSやCPU、フラッシュメモリなどの搭載もでき、あらかじめプログラミングしておいた飛行経路の自動航行、写真、動画撮影も可能です。
人間の立ち入りが困難な場所を調査することもできる上に、機種や機能にもよりますが比較的安価に導入できるため、商業や産業における活用が期待されています。
建設業界におけるドローンの活用事例
2016年3月30日、国土地理院はドローン(UAV)を測量で使用できるようにまとめた「公共測量におけるUAVの使用に関する安全基準(案)」を作成し、同時期に定めた「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」を2017年3月30日に改訂しました。
これは、測量業者がドローンを用いてより安全かつ円滑に測量ができるよう環境を整備し、建設現場の生産性向上に貢献することを目的としてまとめられたものです。
公共測量にとどまらず、国土交通省が推進するi-Constructionに関係した測量作業すべてに適用する前提で作成されています。
このような国の動きを受け、ドローンは広く建設業界に用いられるようになりました。
現在、以下のような形で活用されています。
人の立ち入りが困難または危険な場所の測量
対空標識設置は必要ですが、人が立ち入る場所を少なくして測量を行えるようになりました。
産業廃棄物の体積量や土量データ測定
ドローンによる3次元測量で産業廃棄物の体積量や土量のデータを取得し、その運搬や処理にかかった所要時間を把握できるようになりました。
広範囲の測量
1時間で3~4ヘクタールと広範囲の撮影を実現しました。
工事中の現場測量
測量したいエリアでトラックや重機などが稼働していても影響がないため、工事を止めない測量を実現しました。
コストを抑えたい測量に活用
人の手による測量よりも安価に、しかも扱いやすいデータが取得可能になりました。
ドローンによる測量は、建設現場での作業効率化を実現しています。
また、ドローンによる測量は「短時間で3次元地形データを取得できる」ことが大きな特長です。
3次元地形データを取得するためには、測量後図面を起こして計算をする必要があるため非常に時間がかかり、これまでは人件費面でも負担が大きなものでした。
この一連の流れを短縮して3次元地形データの取得を実現したドローンによる測量は、建設業界全体における業務効率化に活用されています。
測量でドローンを使用する際の注意点
測量でドローンを使用する際、安全航行のために注意すべきポイントをまとめた『測量調査に供する小型無人航空機を安全に運航するための手引き』が、一般社団法人日本写真測量学会から発表されています。
この手引きは基本的なメンテナンスを日常的に行うことの重要性や、安全な航行ができるよう定期点検を行い、飛行時間を管理することなど、安全航行のために注意すべき点がまとめられたものです。
ただ、手引きはあくまで測量調査にドローンを使用する際に安全基準とすべきひな形を示したものです。
万が一事故が起こってしまった際のマニュアルや、安全管理規定に関しては、各事業者はそれぞれ用意することを促す内容となっています。
AIの活用
各業界で盛んに耳にする「人工知能(AI)」の活用は、建設業界では現場や事務作業の効率化に有効だと期待されています。このように進歩が著しいAIをめぐる動向と具体例についてまとめました。
国土交通省もAI開発を支援
国土交通省は現在、インフラメンテナンスの効率化を目指し、躍進的な発展を続けるAI技術とロボット技術を融合させた技術開発支援を行っています。
民間企業のAI開発に関してもサポートしており「土木技術者の判断をベースとした良質かつ正しい教師データの提供」「AI性能評価等による民間のAI開発促進」などを実施しています。
民間企業が積極的にAI開発に乗り出すことを目標に掲げ、さまざまな取り組みを展開しています。
その一環として、AI等開発支援プラットフォーム設立も検討しており、2018年7月には、開設準備WGの設置準備がスタートしました。
AI活用の目的と研究事例
現在、AIの実用化を目指して以下のような研究が進められています。
業務プロセスへの適用に関する研究
業務実態の分析やAI活用によるデータ収集の調査などを行なっています。
調達高度化に関する研究
工事現場の動画や建設技能者に装着したセンサーデータから歩掛(ぶがかり)や生産性向上に必要とされるデータを自動抽出し、施工状況に即した歩掛や生産性を把握します。
また、工種の組み合わせや施工内容などの条件が類似している案件を過去の工期設定データベースからAIが抽出し、適切な工期設定の実現を目指しています。
施工管理の高度化に関する研究
ICT建設機械の現場のセンサーデータとそれに対応する運転操作データを収集し、それらのデータをAIが相関分析します。
そして生産性と関連性の高い操作要素を抽出することによって、施工管理の高度化を目指しています。
情報連携の高度化に関する研究
2次元CADをベースに3次元のCIMモデルを半自動で構築するほか、2次元・3次元CADの連携技術を研究しています。
また、施工現場の事前調査におけるCIMモデルの活用など、情報連携の高度化を目指しています。
AIで建設業界にアプローチできること
測量や写真解析へのAI導入や重機への搭載は、建築業界の作業効率化に大きく貢献できるのではないかと期待されています。
具体的にどのような実用化を目指しているのでしょうか。民間企業が開発している事例を簡単に紹介しましょう。
施工計画案作成システム
人が作成する場合は、1週間程度の時間が必要だった施工計画もAIによる「施工計画案作成システム」を使用すれば数分で作成が可能です。
データには表れないような事情があったとしてもAIが複数の計画案を提案し、それを最後に人間がチェックすることによって、事情を考慮した施工計画を選定することができます。
工程認識AI
工事現場の記録写真を解析し、出来形の割合から工事の進捗状況を判定するというシステムです。
大型マンションの建設工事など、複数の工事が並行している現場の工程管理に有効だとされています。
ドローンやロボットで撮影を行うことによって、見回りなどの手間を省くこともでき、検査自体を無人化することも可能です。
シールドマシン操作
トンネル採掘に用いるシールドマシンのオペレーションを行うソフト開発にも、AIが活用されています。
目標は、熟練職人の技が必要とされていたシールドマシン操作のAI化です。
熟練工が減少している現状の対策という面もありますが、生産性向上にも大きく貢献することが期待されています。
工期設定支援システムの活用
建設業界をより働きやすい業界にするために、国土交通省は「工期設定支援システム」の提供をスタートさせました。
工期設定支援システムは「1日8時間労働」「週休2日」「年末年始休暇」などを前提とした適切な工期を自動計算するもので、このシステムを活用することにより、建設業界を働きやすい業界にする狙いがあります。
工期設定支援システムの概要
2017年3月、国土交通省は「週休2日推進に向けた適切な工期設定について」という通達を出し、工期設定をサポートするシステムの提供を始めました。
工期設定支援システムは歩掛ごとに標準作業日数及び作業手順を自動算出することによって、適切な工期設定の実現をサポートするシステムです。
工期設定支援システムは、国土交通省のホームページからダウンロードすることが可能です。
システムを使用する場合には、「ソフトウェア使用規約」を確認し、全条件に同意する必要があります。
工期設定支援システムのメリット
働き方改革を実現するためのツールとして、工期設定支援システムは注目を集めています。
建設業は道路やトンネルなど、インフラ整備を通して国民の暮らしに貢献している産業です。
だからこそ、建設業に従事する人たちのワーク・ライフ・バランスや健康管理を重視する必要があります。
建設業界の働き方改革推進は、建設業界の将来を担う人材の確保にもつながる動きといえるでしょう。
工期設定システムを導入することによって、工期に関する責任の所在を明確化すると同時に工事のクリティカル・パスを共有します。
無理のない柔軟な工期延期を実現し、施工に必要となる適正日数の確保を目指します。
工期設定支援システムの使い方
工期設定支援システムの基本的な使い方を確認していきましょう。
工期設定支援システムは、国土交通省が実施した生産体系の見直しに基づいて作られた『新土木工事積算システム』で設計書を作成することから始まります。
工程情報に関わるCSVファイルを作成し、そのファイルを工期設定支援システムにインポートしましょう。
工種単位でバーチャートを編集することによって、工期の妥当性が判定されます。
作成結果をエクセル出力し、全体工程表が完成します。
ウェアラブルカメラの活用
ウェアラブルカメラは、建設現場における生産性向上への貢献が期待できるツールです。
現在、すでに工事記録の管理やデータマイニングなどに活用されています。その概要や導入事例などについて解説していきましょう。
ウェアラブルカメラの概要
建設業界で用いられるウェアラブルカメラはゴーグル型のものが多く、GPSやインターネットに接続されたカメラやマイクが搭載されています。
それによって装着している人が今、実際に見ている光景や資料をパソコンなどで表示することができるのです。
この映像を熟練の技術者が確認することによって、離れた場所にいる新人にリアルタイムに指導することも可能です。
また、現場の作業員の仕事を把握することができるため、効率的にタスクを達成できるメリットもあり、建設現場の安全性と生産性向上に貢献できると期待されています。
ウェアラブルカメラで解決できる課題とは
ウェアラブルカメラを利用することによって、具体的にどのような課題を解決することができるのでしょうか。
例えば、今まで2名体制で行っていた測量もウェアラブルカメラを利用することによって、1人で円滑に計測可能になります。
また、ウェアラブルカメラを通して現場のライブ映像を遠隔地で共有することができるため、建設現場で行う調査や視察にも活用できます。
音声や映像を遠隔地にいるその道のスペシャリストに確認できるため、工数削減につながります。
資料だけでは分からない現場の様子を音声と映像で的確に捉えることができるのは、大きなメリットといえるでしょう。
ウェアラブルカメラを使用して作業を撮影し、クラウド上に記録として残せば、動画マニュアルを手軽に作成することも可能です。
ノウハウを共有することは、人材育成に非常に役立ちます。
建設業界におけるノウハウの共有、工程のマニュアル化は、結果としてコスト削減や売り上げの向上につなげることができます。
現在は時間や手間が掛かっているノウハウの共有やマニュアル化をウェアラブルカメラによって手軽に行えるのは、大きな魅力といえるでしょう。
このようにウェアラブルデバイスを用いることによって、建設業界が抱える課題を解決し、効率的に業務を進めることが可能です。
ウェアラブルデバイスの導入は業務の負担軽減や、仕事上のストレス解消にもつながります。また、コスト削減に役立つとも考えられています。
ウェアラブルカメラの導入事例
ウェアラブルカメラの導入事例をご紹介します。
工事で使用する資材の数量確認の立ち合いに導入
観察職員がPCとウェアラブルカメラを接続し、ブラウザを通してリアルタイムに確認を実施しました。
監督職員の移動時間が削減され、PCで立ち合いや現場の状況確認が行えるため、外出先でも立ち会いが可能になりました。
立ち合い時の現場作業員の待機時間短縮にもつながり、監督業務の効率化および負担軽減実現にもつながったといいます。
このように、ウェアラブルカメラは時間や工数の短縮に効果があるため、今後さらに活用されることが期待できるツールといえるでしょう。
建設業界のペーパーレス化への取り組み
建設業界におけるペーパーレス化は、紙の書類の持ち運びによる破損や紛失を防ぐだけでなく、確認ミスや情報更新時の周知漏れを低減する方法として注目を集めています。
建設業界におけるペーパーレス化とは
建設業界におけるペーパーレス化は、以下のような場面で適用されています。
点検や検査表、測量野帳、チェックシートなどの電子化
現場で使用していた紙ベースの検査表やチェックシートは、紛失や破損などの問題が発生するケースもありました。
また、データ集計に手間がかかり、入力漏れや入力ミスなどの管理が困難という課題も挙げられます。
そのような課題は電子化することによって、解決できる可能性があります。
入力するとその情報がサーバーにリアルタイムで記録されるので、手軽かつ確実な管理が実現できます。
技術資料を電子化
現場に技術資料を持参する際にもその資料をサーバーに保管することによって、タブレットなどで確認が可能です。
拡大縮小表示もできるため、細かく確認したい部分を拡大表示し、十分にチェックすることもできます。
技術資料を電子データ化することによって紛失や破損のリスクが軽減し、入力ミスなどの低減にもつながりました。
電子データの場合、タブレットで写真を撮影して書類に貼り付けることも可能です。これにより誤記入などがあった場合、その情報の共有がしやすくなります。
また、変更があった際の更新や情報の共有が容易で、周知しやすいのこともメリットといえるでしょう。
現場マニュアル
従来の紙ベースのマニュアルは、紛失や破損、水濡れなどのリスクがありました。
現場マニュアルをペーパーレス化することによって、紛失などといった危険性の低減につながります。それと同時にマニュアルを確認したい時にいつでも、どこでも簡単にチェックすることができるようになりました。
マニュアル更新時の通知や変更点の共有の難しさも課題でしたが、更新作業が簡易にできるようになったこともメリットのひとつです。
国がペーパーレス化を推進。国交省電子契約システムとは
国土交通省では建設業界のペーパーレス化推進のために、電子契約システムの運用をスタートしました。
電子契約システムを使うことにより契約締結、契約変更、検査から支払い請求と、今まで紙でやり取りしていたものをシステム上で実施することが可能となります。
これにより、これまで契約業務にかかっていた時間や手間の削減を実現しました。
契約に関する手続きがシステムに一本化されることによって、書類管理コストを軽減することができます。これは受注する側だけでなく、発注者側にとっても業務効率化につながると期待されています。
タブレットで使える施工管理アプリ
タブレットを使用した施工管理アプリを導入することによって、現場の工数削減を目指す動きもあります。
複数人が個々で管理していた情報やデータを一括で共有することは、有効な手段といえるでしょう。
連絡や段取りを円滑にすることによって、工程管理や現場内での情報共有のほか、さまざまなやり取りが可能になります。
各協力業者からの進捗報告や品質管理も行えるため、人手不足解消に活用されています。
身近なICT技術。スマートフォンを使った業務効率化
スマートフォンを活用した業務効率化の波は、建設業界にも訪れています。
身近なICT技術であるスマートフォンを用いることによって、建設現場ではどのように業務効率化が進められているのでしょうか。
スマートフォンでのアプローチ
「会議が多く、移動に時間をとられてしまう」
「報告書作成に時間がかかる」
「最新の図面を現場に持ち込めず、支障が生じている」
現場で起こりがちなこのような問題も、スマートフォンの活用によって解決を目指す動きが広まっています。
ビデオ会議で移動時間の問題を解決
ビデオを通して会議に参加するなど、これまでない出席方法を検討することによって、移動時間の短縮や業務効率化につながります。
スマートフォンを活用するのであれば、議事録を電子ファイルにしてスマートフォン上で閲覧できるようにすることも有効な手段です。
どこにいても会議に参加することができ、聞き取れない部分があった場合でも議事録を閲覧することによって情報を共有しやすくなります。
スマートフォン上で報告書作成
報告書作成は日中現場に出ていることが多い建設業界の場合、なかなか手が回りにくい業務ではないでしょうか。
スマートフォン上で報告書を作成できる環境を整備することによって、現場でも報告書の作成が可能になります。
これは事務作業の時間短縮、および効率化につながる動きといえるでしょう。
電子ファイル化で最新の図面をいつでも確認
図面や作業指示書を電子ファイル化し、スマートフォンから常時閲覧可能にすることによって、最新の情報を常時共有できるようになります。
連絡ミスや指示漏れなどの軽減にもつながる取り組みといえるでしょう。
建設業界で使われているアプリの事例
日々の業務を円滑に進めるために、アプリの活用は非常に有効な手段といえます。
すでに現場で導入されているアプリのうち2つを例に挙げてご紹介しましょう。
eYACHO
建設現場で多く使われている「野帳」のアプリ版です。
業務テンプレートがあらかじめ用意されているため日々の業務報告書、是正指示書などを現場で作成することができます。
これまで事務所に戻って作成していた手間を省くことで、作業効率化につながるでしょう。
図面や資料をデータとして持ち運べるため、重い資料を持ち運ぶ必要もありません。
簡単な図面作成もでき、図面や現場で撮影した写真は日付管理されるため、整理しやすい仕様となっています。シェア機能でリアルタイムに共有も可能です。問題がある部分の共有や是正指示などに役立ちます。
時間がないときに音声をメモ代わりに残して、後から再生できる「音声メモ機能」もついています。
蔵衛門 工事黒板
工事写真の撮影に必須となっていたデジカメ、黒板、チョークなどを現場に持ち込まずに、工事写真を撮影できるアプリです。
タブレットやスマートフォンが一台あれば、あらかじめ工事黒板を複数作成し、保存しておけるので、現場での撮影を円滑に進めることができます。
アプリとソフトを連携させ、写真の仕分けや台帳作成も自動化することが可能です。
これまで手作業で行っていた工事写真をデータとして取り込んで仕分けて、黒板の文字を台帳に転記するという作業を自動化することによって、人為的ミスの減少と作業時間の短縮を実現したアプリです。
ICT導入で建設業界の未来は変わる
ICT技術を導入することによって、建設業界の未来は大きく変化していくことが期待されています。
建設業界はドローンやAI技術、ウェアラブル端末などICT技術を導入していくことによって、品質と効率性向上を実現するための大きな一歩を踏み出しています。
ICT技術導入は、それを使いこなすことができる技術者も必要となります。大きな過渡期を迎え、建設事業に携わる技術者のスタイルもまた、変化を迎えようとしているといえるでしょう。
現場監督もこれらの動きを注視し、情報や技術を取得することでキャリアアップにもつながります。最新のICT技術を使った現場で働きたいのであれば、まずは「俺の夢」に登録して情報を集めてみてはいかがでしょうか。
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