安全衛生責任者と職長の違いを知ろう|資格取得のメリットやなり方も解説


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目次
安全衛生責任者の資格とは
建設業において安全衛生責任者の資格は、作業員を指揮・監督する人、職長などは必ず持っておきたい資格のひとつです。
また、労働安全衛生法第60条で、新たに職務につく職長または作業を直接指揮・監督する人は安全または衛生のための教育を受講することが義務づけられています。
安全衛生責任者の資格は、年齢制限もなく、受講するために必要な資格もないので、講習を受ければ誰でも取得することができます。
ただし建設業では、労働基準法に危険有害業務には18歳未満を就かせてはならないとあるので、年齢は18歳以上ということになります。
安全衛生責任者の講習は、2日間で14時間の講習が行われ、修了後に修了書もしくは修了カードが発行されます。
ただし、欠席してすべての講習が受講できていない場合は修了書をもらえません。
安全衛生責任者の資格を修了した後、おおむね5年毎に能力向上教育という再教育を受講することが求められています。
再教育を受講しなければ、修了書が無効になるということはありませんが、機械設備等に大幅な変更があったときは再教育の受講が求められます。
安全衛生責任者の資格難易度
安全衛生責任者の資格は、2日間で14時間の講習を受講すれば、誰でも資格を取得できるので、難易度は比較的低いものです。
ただ、2日間14時間の講習を休むことなく受講しなければならないという条件があり、複数の現場を抱えている人などにとっては、スケジュールの調整が困難な場合があります。
欠席して14時間すべて受講できなければ、資格を取得することができないため、2日間確実に受講できるスケジュール調整と体調管理が必要となります。
受講内容は、学科のみで実技はありません。
安全衛生責任者の資格を取得するメリット
建設業において、安全衛生責任者の資格は、持っていると特別な仕事ができたり、手当が出たりするといった資格ではありませんが、資格を持つメリットはあります。
そのメリットとは、職長と兼任できる、実務経験のアピールになるという2つです。どのようなメリットなのか、それぞれ見ていきましょう。
職長と兼任できる
建設業の現場においては、一般的に職長が安全衛生責任者に選ばれることが多いです。
そのため厚生労働省は、「職長教育」と「安全衛生責任者教育」を合わせた「職長・安全衛生責任者教育」が実施されています。
実務経験のアピールになる
安全衛生責任者の資格は、持っているからといって仕事が増えたり、手当が付いたりするようなものではありません。
しかし資格を持っていることで、職長としての最低限の知識や経験を持っていることの証明とすることができます。
つまり、職長とは実際に現場で実務経験した上で安全管理・作業管理など専門的な知識を兼ね備えた人なので、資格を持っていると職長としての実務経験があり、知識を持っているとアピールができ、信頼にもつながるのです。
職長と安全衛生責任者の違い3つ
職長と安全衛生責任者の違いは主に3つあります。
それぞれを、職長と安全衛生責任者の職務内容、目的、職務上の違いについて焦点を当てて解説していきます。
1:職長と安全衛生責任者の比較
職長 | 安全衛生責任者 | |
---|---|---|
現場配置 | 1名または複数 | 1事業者に1名 |
位置づけ | 現場監督者 | 混在作業による労働災害防止のための連絡調整役 |
職務規定 | 法規定なし | 安衛則第19条 |
選任報告 | 法規定なし | 安衛則第16条 |
教育規定 | 安衛法第60条、40条 | 平成12年3月28日基発第19号労働省労働基準局長通達 |
主な業務 | 作業指揮・監督 | 統括安全衛生責任者などとの連絡調整 |
〃 | 自社の作業員 自社の事業者・管理者 | 統括安全衛生責任者 他職および後次の請負人の安全衛生責任者 自社の事業者・管理者・職長など |
※出典:(財)中小建設業特別教育協会「1-3 職長・安全衛生責任者の役割と職務」
2:目的の違い
建設業では、職長は事業者と作業者をつなぐ現場のまとめ役で、安全衛生責任者は元方事業者の統括安全衛生責任者と現場との連絡・調整役です。
人を監督し、安全衛生管理に努めるという部分では同じですが、それぞれの役割が違うので、当然その教育目的も違ってきます。これから職長と安全衛生責任者の教育目的の違いを説明していきます。
職長教育の目的
職長は幅広い業務を担当します。
そのため責任感も必要とされます。
たとえば作業員への作業の説明、労働災害を防止するための安全管理などを行います。
職長教育はこれらの業務の目的をしっかりと理解し、滞りなく行えるために必要とされています。
そのため職長教育を受けていない人物が、現場で指揮や指導を行うと労働基準監督官から是正勧告を受けます。
安全衛生責任者教育の目的
安全衛生責任者は、混在作業において労働災害を防止する役割を果たします。
安全衛生責任者となるには「安全衛生責任者教育」を受ける必要があります。
建設業においては職長と兼務することが多いため、職長の項目で紹介した「職長・安全衛生責任者教育(14時間)」を受けるのが一般的です。
3:職務上の違い
職長と安全衛生責任者は、作業員の監督・指導や現場の安全管理維持といった同じような職務となる部分もありますが、一部違う部分があります。
職長教育を修了した人が、安全衛生責任者を受講する場合の補講部分となる「安全衛生責任者の職務等」「統括安全衛生管理の進め方」という教育内容が、職長と安全衛生責任者の職務の違いと言えるでしょう。
では、職長と安全衛生責任者の職務をそれぞれ説明しますので、職務の違いを見てみましょう。
職長の職務
一般的に職長は以下のような職務を行うとされています。
- 作業手順を正しく定める。
- 作業方法の改善を行う。
- 作業員を適正に配置する。
- 作業者に対して教育指導を行う。
- 作業者に対して監督や指示をする。
- 危険性および有害性を調査して対策を実施する。
- 環境の改善・保持に努める。
- 安全衛生点検を繰り返し実施する。
- 異常時の措置は適切に行う。
- 災害発生時の措置は適切に行う。
- 作業者の安全意識の高揚に努める。
- 創意工夫を引き出す。
安全衛生責任者の職務
安全衛生責任者の職務は、労働安全衛生規則などによって以下のように定められています。

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- 統括安全衛生責任者との連絡。
- 統括安全衛生責任者から連絡を受けた際に、関係者への連絡を行う。
- 統括安全衛生責任者からの連絡に関わる事項のうち、当該請負人に関わるものの実施についての管理を行う。
- 当該請負人が労働者の作業の実際に関して計画を作成する場合、当該計画と特定元方事業者が作成する計画との整合性の確保を図るため、統括安全衛生責任者と調整を行う。
- 当該請負人の労働者が行う作業および当該労働者以外の者が行う作業によって生じる労働災害に関わる危険の有無の確認。
- 当該請負人がその仕事の一部を他の請負人に請け負わせている場合、当該他の請負人の安全衛生責任者との作業間の連絡や調整。
安全衛生責任者のなり方
安全衛生責任者には、講習を受ければ誰でもなることができます。
建設業においては、職長と安全衛生責任者は兼任されることが多いので、「職長教育」と「安全衛生責任者教育」が統合された、「職長・安全衛生責任者教育」の実施を厚生労働省が推進しています。
また、労働安全衛生法第60条で、新たに職務につく職長または作業を直接指揮・監督する人は安全または衛生のための教育を受講することが義務づけられています。すでに職長教育を修了している人は、2時間の補講教育を受講すれば取得できます。
講習の受講に際して、年齢制限や必須資格はありません。ただし建設業では、労働基準法に危険有害業務には18歳未満を就かせてはならないとあるので、年齢は18歳以上となります。
講習は2日間で14時間あり、すべて修了した場合のみ、修了後に修了書または修了カードが発行されます。ただし欠席などで14時間すべて受講できなかった場合は、修了とならず、修了書は発行されません。
安全衛生責任者教育を受ける
安全衛生責任者は、混在作業において労働災害を防止する役割を果たします。
安全衛生責任者となるには「安全衛生責任者教育」を受ける必要があります。
建設業においては職長と兼務することが多いため、職長の項目で紹介した「職長・安全衛生責任者教育(14時間)」を受けるのが一般的です。
通常講座の場合
通常講座とは、通学して講座を受講するものです。講座を開講している協会に、電話やFAX、ネットで申し込みをします。
開催日時が固定されているので、どうしても都合がつかない場合は、受講が難しいことがあります。
それに急用や体調不調で欠席してしまっても、資格取得できなくなります。
また、定員が設定されており、大人数で受講したい場合、定員オーバーしてしまうといったようなデメリットがあります。
出張講座の場合
出張講座には2種類あります。主要都市で開催されている講座に申し込むか、もしくは会社で準備した会議室などに講師を招いて受講するというものです。
出張講座で講師を招く場合は、比較的日時調整が可能で、早朝・夜間・土日祝の受講や、大人数での受講などの相談ができ、柔軟に対応してもらえるというメリットがあります。
ただし、定員が決められており、開催最低人数を集める必要があったり、テキストを事前送付してもらったり、受講側の準備があり手間がかかるというデメリットもあります。
とはいえ、大人数の従業員が一斉に受講する場合には、移動時間、交通費が節約できる利点があります。
WEB講座の場合
WEB講座は、パソコンだけでなくスマホで受講できるものがあり、24時間いつでもどこでも受講が可能です。受講期限はありますが、自分の都合のよい時間に受講できるので大変便利です。
14時間すべて受講しないと修了とみなされないのは、通常・出張講座と同じです。WEBでも同様の受講ができるよう体制が整えられています。
たとえば、不正ができないように「顔認証」され、本人が受講しているか、途中で中断していないかを確認し、きちんと受講されていないと認識された場合は、受講が取り消されることがあります。この場合は個人認証で、複数同時の受講はできません。
一部Zoomでのグループ講義(1時間)があり、講師がコメントし、指導も行われます。また他の現場の意見を聞くことができ、視野を広げることもできます。通常や出張の講義と変わりない充実した内容の講習を受けることができます。
テキストと記入が必要なワークシートは、事前にダウンロードして印刷し、準備をする必要があります。
すべて受講が完了し、修了となれば、修了書は後日郵送されます。
現場の安全を確保するために安全衛生責任者は必要!
職長も安全衛生責任者も作業員の上にたち、安全と健康を確保するめに不可欠です。
そのため2つの資格を得るにはしっかりと講習を修了する必要があることを覚えておきましょう。
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建設業において安全衛生責任者の資格は、作業員を指揮・監督する人、職長などは必ず持っておきたい資格のひとつです。
また、労働安全衛生法第60条で、新たに職務につく職長または作業を直接指揮・監督する人は安全または衛生のための教育を受講することが義務づけられています。
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