2級管工事施工管理技士の合格率は?難易度・試験勉強方法も解説
「2級管工事施行管理技士の資格を取得したいけど、試験に合格できるだろうか」「2級管工事施行管理技士は難易度の高い資格なの?合格率はだいたいどれくらい?」
キャリアアップするために2級管工事施工管理技士の資格を取得しようとしているが、上記のように悩んでいる方もいると思います。
本記事では、管工事施工管理技士の難易度や勉強法を、実際の合格率データの推移や年間2000名以上の施工管理技術者を採用・育成する当社の見解を元にご紹介します。これから2級管工事施工管理技士の資格を取得したい方は参考にしてみてください。
※この記事は未経験の施工管理技術者を年間2700名以上採用、施工管理技術者在籍数は業界No.1の7,500名以上、施工管理技士など国家資格保有者1,600名以上の実績を誇る株式会社夢真が監修しています。
目次
2級管工事施工管理技士の合格率と推移(難易度)
2級管工事施工管理技士の第一次検定と第二次検定別にはそれぞれ下記のように推移しています。
なお、令和3年度(2021年度)より試験制度が改正された影響で、
- 旧:学科試験 → 新:第一次検定
- 旧:実地試験 → 新:第二次検定
上記のように名称が変更された他、試験問題の見直しや「施工管理法」に関する問題が第一次検定へ一部移行されています。
下記表や合格率推移のグラフは便宜上この名称を使用して記載しています。
また、第一次検定(旧:学科)については、前期・後期の合算値(年間計)を使用しています。
第一次検定(旧:学科試験)の合格率と推移
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
| 2025年 (R7) ※前期のみ | 4,895人 | 3,087人 | 63.1% |
| 2024年 (R6) | 9,413人 | 6,128人 | 65.1% |
| 2023年 (R5) | 11,068人 | 7,701人 | 69.6% |
| 2022年 (R4) | 11,051人 | 6,274人 | 56.8% |
| 2021年 (R3) | 9,070人 | 4,408人 | 48.6% |
| 2020年 (R2) | 13,064人 | 5,760人 | 44.1% |
| 2019年 (R1) | 13,694人 | 5,537人 | 40.4% |
| 2018年 (H30) | 14,449人 | 5,903人 | 40.9% |
| 2017年 (H29) | 15,316人 | 8,029人 | 52.4% |
| 2016年 (H28) | 15,956人 | 8,369人 | 52.5% |
制度変更前は50%前後で推移していましたが、令和3年の改正以降、合格率は上昇傾向にあります。特に直近(R5〜R7)は60%台後半から70%近い高水準で安定しており、過去最も合格しやすい状況です。
これは制度再編により、第一次検定が「基礎能力の確認」へ重点を移し、以前より得点しやすい試験内容へ変化したためと考えられます。
第二次検定(旧:実地試験)の合格率と推移
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
| 2024年 (R6) | 7,550人 | 4,708人 | 62.4% |
| 2023年 (R5) | 10,385人 | 8,552人 | 82.3% |
| 2022年 (R4) | 8,316人 | 4,962人 | 59.7% |
| 2021年 (R3) | 13,099人 | 6,054人 | 46.2% |
| 2020年 (R2) | 12,678人 | 5,514人 | 43.5% |
| 2019年 (R1) | 7,429人 | 3,907人 | 52.6% |
| 2018年 (H30) | 7,723人 | 3,939人 | 51.0% |
| 2017年 (H29) | 8,236人 | 4,948人 | 60.1% |
| 2016年 (H28) | 8,631人 | 5,309人 | 61.5% |
| 2015年 (H27) | 8,881人 | 5,519人 | 62.1% |
制度改正までは40〜50%台くらいでしたが、制度改正を行ったR4年以降は60%〜80%台へ急上昇しました。特にR5年は82%と突出して高い合格率となっており、最新のR6年も62%と高い水準を維持しています。
深刻な技術者不足を背景に、記述試験の難易度が緩和傾向にあり、以前より合格を狙いやすい「広き門」の状態が続いています。
2級管工事施工管理技士の難易度は?1級と比較
結論、2級管工事施工管理技士の難易度は比較的低く、中程度の難易度といえます。
| 年度 | 2級 第一次 | 1級 第一次 | 2級 第二次 | 1級 第二次 |
| 2025年 (R7) | 63.1% | 38.7% | (未発表) | (未発表) |
| 2024年 (R6) | 65.1% | 52.3% | 62.4% | 76.2% |
| 2023年 (R5) | 69.6% | 37.5% | 82.3% | 62.1% |
| 2022年 (R4) | 56.8% | 42.9% | 59.7% | 57.0% |
| 2021年 (R3) | 48.6% | 24.0% | 46.2% | 73.3% |
上記は1級管工事施工管理技士の合格率と比較した過去5年間のデータです。一部「第二次検定の合格率」などの数字だけを見ると、1級の方が高い(合格しやすいように見える)という逆転現象が起きていますが、基本的には2級の方が合格率が高い傾向にあります。
この差は受験者の属性によるところが大きく、2級の受験者は学生や若手社員など経験が浅い人も多いのに対し、1級の受験者は長年の実務経験を持つ人が中心です。
つまり2級管工事施工管理技士は「広き門」といえ、基礎をしっかり固めれば、初学者でも6割以上の確率で合格できる、比較的難易度の低い資格であるといえます。
なお、1級管工事施工管理技士の合格率の推移・難易度は下記記事で詳しく紹介していますので合わせてお読みください。
※関連記事:一級管工事施工管理技士の難易度とは?合格率・勉強時間・合格者の声
2級管工事施工管理技士の試験内容(出題内容)
2級管工事施工管理技士の試験内容(出題内容)を第1次・第2次別に詳しくご紹介します。
第1次検定(旧:学科試験)の試験内容
概要
| 項目 | 内容 |
| 試験時間 | 2時間10分(130分) |
| 出題数 | 全52問(予定) |
| 解答数 | 40問(選択制と必須制の組み合わせ) |
| 合格基準 | 得点が60%以上(24問以上正解) |
詳細
2級管工事施工管理技士の第1次検定(旧:学科試験)は、空調や給排水設備の基礎知識から、施工管理の手法、関連法規まで幅広い分野から出題され、すべての問題がマークシート方式(四肢択一)です。
令和3年度の法改正により、従来の「学科試験」から「第1次検定」へと名称が変わり、「施工管理法(応用能力)」という新しい形式の問題が追加された点が大きな特徴です。
| 分野 | 項目 | 具体的な出題キーワード・学習内容 |
| 1. 機械工学・建築学等 (基礎・原論) | 原論(環境工学・流体など) | ・環境工学:日射、日照、採光、換気、伝熱、結露、音響、色彩 ・流体工学:ベルヌーイの定理、流量と流速、摩擦損失、ポンプの原理 ・熱力学:熱量、比熱、熱伝導、湿り空気線図の読み方 |
| 電気・建築 | ・電気工学:オームの法則、電力、電動機(モーター)、変圧器、配線 ・建築構造:RC造、S造の特性、建築材料(コンクリート、鋼材)、構造力学の基礎 | |
| 2. 設備・機材 (専門知識) | 空調・衛生設備 | ・空気調和設備:ボイラー、冷凍機、空調方式(単一ダクト等)、パッケージ型空調機 ・給排水衛生設備:給水方式、給湯設備、排水通気、衛生器具、消火設備、ガス設備 |
| 機材・材料 | ・配管材料:鋼管、塩ビ管、銅管、継手の種類と用途 ・ダクト:ダクトの形状、板厚、付属品(ダンパー、吹出口) ・機器:ポンプ、送風機、弁類(バルブ)の機能と選定 | |
| 3. 施工管理法 (現場管理) | 施工計画 | ・工程管理:バーチャート、ネットワーク工程表の読み方・計算、工事手順 ・品質管理:品質特性、管理図(ヒストグラム、パレート図等)、検査方法 |
| 安全管理 | ・現場の安全:足場の組立、高所作業、掘削作業、墜落防止、酸素欠乏症対策 ・建設業法の安全義務:元方事業者の責務、安全衛生管理体制 | |
| 施工要領 | ・据付・配管施工:機器の据付基準、配管の支持間隔、勾配、接合方法(溶接、ねじ接合)、保温施工、塗装、防錆 | |
| ★ 施工管理法 (応用能力) | 応用能力問題 | ・これまでの実地試験(第2次検定)の要素が含まれる問題。 ・施工図のチェック、工程表の工期短縮・修正、施工上の留意点など、実践的な判断能力を問う四肢択一問題。 |
| 4. 法規 (関連法規) | 関連法規 | ・労働安全衛生法:作業主任者、安全衛生教育、資格・免許 ・建築基準法:用語の定義、採光・換気の基準、防火区画 ・建設業法:主任技術者の配置、施工体制台帳、下請負人の保護 ・その他:消防法(危険物)、建築物省エネ法、騒音規制法、廃棄物処理法 |
第2次検定(旧:実地試験)の試験内容
概要
| 項目 | 内容 |
| 試験時間 | 2時間(120分) |
| 出題形式 | 全問記述式(マークシートなし) |
| 合格基準 | 得点が60%以上 |
詳細
第2次検定(旧:実地試験)は、第1次検定とは異なり、全問記述式(文章で書く、計算過程を書く、図面を読み取る)で行われます。

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暗記した知識を選ぶのではなく、「現場でどう判断し、どう対処したか」や「図面や工程表を正しく読み解けるか」といった実務能力が直接問われる試験です。
例年大問が5〜6問程度出題されます。中でも「施工経験記述」は配点が高く、最も重要なパートです。
| 分野 | 項目 | 具体的な出題内容・キーワード |
| 1. 施工経験記述 (最重要) | 自身の経験論文 | あなたが実際に経験した工事現場について記述します。 【必須記載事項】 ・工事名、工事場所、工期、発注者、工事概要 ・あなたの立場(役割) 【テーマ記述】 ・**「工程管理」「品質管理」「安全管理」**の中から指定されたテーマについて、 ① 具体的な現場の状況・問題点 ② 検討した内容・対策処置 ③ 実施した結果 を文章で記述します。 |
| 2. 設備全般 (知識・技術) | 機材・施工の知識 | ・用語の説明:提示された専門用語(例:キャビテーション、エアバインド、トラップなど)の技術的な説明。 ・施工上の留意点:特定の作業(例:冷媒配管の支持、ダクトの接続)を行う際の注意点を記述。 |
| 3. 図面鑑査 (図面読解) | 施工図の読み取り | ・平面図・系統図:空調または給排水の図面を見て、バルブの種類、機器の名称、配管のサイズなどを答える。 ・不備の指摘:図面内の施工ミス(例:勾配が逆、バルブの位置がおかしい)を見つけ、理由と改善策を記述する。 |
| 4. 工程管理 (計算・理論) | ネットワーク工程表 | ・工程表の計算:各作業の日数から、工事全体の所要工期を計算する。 ・クリティカルパス:最も時間がかかる経路(重点管理経路)を特定する。 ・余裕時間(フロート):ある作業がどれくらい遅れても全体に影響しないかを計算する。 |
| 5. 法規・安全 (法令順守) | 安全管理・法規 | ・労働災害防止:足場作業、酸欠危険作業、移動式クレーンなどにおける法令上の禁止事項や、やるべき安全対策を記述する。 ・法令知識:労働安全衛生法に基づき、現場で周知すべき事項や資格要件などを答える。 |
2級管工事施工管理技士の受験資格
2級管工事施工管理技士の受験資格は、令和6年度(2024年度)の制度改正により大きく変わりました。
現在はこれまでご紹介してきたように第1次検定(旧:学科試験)と第二次検定(旧:実地試験)の2つに分かれ、それぞれ受験資格は下記のとおりです。なお、しばらくの間は「古い制度の受験資格」も使える経過措置期間(令和10年度まで)となっています。
第1次検定の受験資格
試験を実施する年度の末日時点で満17歳以上であること(高校2年生相当の年齢から受験可能です)が条件で、実務経験は一切不要です。
第2次検定の受験資格
第2次検定(実地試験)を受けるには、「実務経験」が必要です。 現在は制度の移行期間中のため、以下の【A】新しい受験資格または【B】旧受験資格のどちらか一方でも満たしていれば受験できます。
【A】新しい受験資格(令和6年度以降の新ルール)
第1次検定(技士補)に合格した後、実務経験を積んでから第2次検定を受けるルートです。学歴による違いがなくなり、シンプルになりました。
| 第1次検定 合格区分 | 必要な実務経験 |
| 2級 第1次検定 合格者 | 合格後、3年以上 |
| 1級 第1次検定 合格者 | 合格後、1年以上 |
【B】旧受験資格(経過措置:令和10年度まで利用可能)
これまでの制度と同様に、「学歴 + 実務経験」で受験するルートです。 すでに実務経験を積んでいる方や、指定学科を卒業している方は、こちらのほうが早く受験できる場合があります。
| 最終学歴 | 指定学科※1 | 指定学科以外 |
| 大学 卒 | 卒業後 1年以上 | 卒業後 1年6ヶ月以上 |
| 短大・高専・専門 卒 | 卒業後 2年以上 | 卒業後 3年以上 |
| 高校 卒 | 卒業後 3年以上 | 卒業後 4年6ヶ月以上 |
| その他(学歴不問) | 通算 8年以上の実務経験 |
2級管工事施工管理技士の勉強方法5つ
管工事施工管理技士の試験は合格率が低くないため、ある程度の実務経験や、学校で専門的なことを学んだ経験をもつ方であれば、十分な試験勉強が必要ない場合もあります。
しかし、念には念を入れて、試験対策としての勉強を行なっておくことをオススメします。
学科試験と実地試験の対策が必要になるため、時間・予定の兼ね合いも大事です。
毎日少しでも勉強をする
合格するための勉強方法の1つ目は、毎日少しでも勉強をすることです。
とくに文章を書くことが苦手な方は、実地試験に向けて少しずつでも練習・勉強を行なうとよいでしょう。
実地試験ではテーマに沿って実務的な経験を示す文章を書くため、文章を書くことが苦手な方にはやや不利な試験です。
しかし、練習することで書き方のコツを多少なりとも理解でき、自身の合格率を上げることにつながるでしょう。
また、他者の実務経験からテーマに合うものを探して練習するなど、どのテーマが出題されても対応できるようにしておくことも大事です。
まず学科試験の勉強をする
管工事施工管理技士に合格するために大切なポイントは、まず学科試験の勉強をすることです。
試験は学科から始まるため、はじめに学科試験の対策から行うことをオススメします。
また、実地試験の内容は、経験記述以外は過去問演習で対策可能です。
そのことも含め、まず学科試験の勉強をした方がよいと考えられています。
問題集を何度も解く
効率的に学習するポイントは、問題集を何度も解くことです。
学科試験の対策でもっとも有効な方法は、過去問をくり返し解くことと言われています。
学科試験の合格ラインは全問正解ではないので、得意な科目と必須科目を中心に勉強すると、自身の合格率を上げられます。
講習会に参加する
勉強するときの4つ目のポイントは、講習会に参加することです。
実地試験に向けて文章を書く練習をする時に、不安がある場合は講習会などで添削を受けることをオススメします。
不得意な場合は修正点がわからないこともあるため、適切に添削を行なってくれる講習会を利用すれば、自身の合格率が上がります。
講習会では学科試験についても教えてもらえるため、要点を押さえて勉強を進めたい時にも有用です。
通信講座を受ける
通信の講座を受けることも、効率的な勉強方法です。
自身が立てた予定や計画の通りに勉強が進まない方や仕事の合間で勉強したい方、仕事上でどうしても資格が必要な方には、通信講座をオススメです。
通信講座では事前にカリキュラムが組まれており、どこを勉強したらよいのかが明白化されています。
試験に必要な内容を学べるため、合格率の向上が期待できます。
また、実地試験の添削も受けられます。
2級管工事施工管理技士の資格取得に必要な勉強時間
2級管工事施工管理技士の合格に必要な勉強時間は、大体100時間〜200時間くらいです。期間にすると、3ヶ月〜6ヶ月かけて準備するのが一般的ですが、これは管工事施工管理職としての「現場経験の有無」や「基礎知識(高校で設備を学んだか等)」によっても異なります。大体の目安は下記表のとおりです。
| レベル・状況 | 必要な勉強時間 | 勉強期間の目安 | 1日の学習量 |
| 完全な初学者 (事務職・学生など) | 200〜300時間 | 5〜6ヶ月前 から開始 | 平日1.5時間 休日3時間 |
| 現場経験あり (実務をしているが資格は初) | 100〜150時間 | 3ヶ月前 から開始 | 平日1時間 休日2時間 |
| 関連資格あり (電気工事士・給水装置など) | 80〜100時間 | 2ヶ月前 から開始 | 平日1時間 休日2時間 |
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2級管工事施工管理技士の取得は1級に比較して易しめですはありますが、計画的な学習は必要です。
合格するためには「毎日少しでも勉強する」「まず第一次検定の勉強をする」などの勉強法を実践することがおすすめです。
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