タイル工事レンガ工事ブロック工事の建設業許可とは何か?取得要件も解説
目次
タイル工事レンガ工事ブロック工事とは何か?
私たちが普段目にする工事には、道路工事や水道工事、土木工事などがあります。
しかしながら、これらは数多くある工事の一端に過ぎず、建設業における工事は2つの一式工事と27の専門工事の計29種あることをご存知でしょうか。
ここでは、29種もある工事の1つ、「タイル工事レンガ工事ブロック工事」について紹介していきます。
まず、タイル工事レンガ工事ブロック工事は2つの工事に分かれます。
1つ目は、レンガやコンクリートブロック等により工作物を築造する工事、2つ目は、工作物にレンガやコンクリートブロック、タイル等を取付ける、または貼り付ける工事です。
以下で詳しく見て行きましょう。
タイル工事レンガ工事ブロック工事の種類
ここでは、タイル工事レンガ工事ブロック工事にはどのようなものがあるか紹介します。
具体的には、コンクリートブロック積み(張り)工事やレンガ積み(張り)工事、タイル張り工事、築炉工事、スレート張り工事、サイディング工事です。
ただし、スレート張り工事とコンクリートブロック積み(張り)工事の2つは、業種区分を間違えやすい工事なので、気をつける必要があります。
スレートを外壁に張る工事は、タイル工事レンガ工事ブロック工事におけるスレート張り工事となりますが、スレートにより屋根をふく工事は屋根工事の区分です。
また、コンクリートブロック積み(張り)工事は、とび・土工工事や石工事と間違えやすい工事です。
根固め・消波ブロック等との大規模工事やプレキャストコンクリートの柱や梁等の設置工事はとび・土工工事にあたり、石工事は建物の内外装として擬石等の張り付けや人工斜面処理でコンクリートブロックを積む(張る)工事となります。
それに対し、タイル工事レンガ工事ブロック工事はコンクリートブロックにより建築物を建設する工事で、エクステリア工事として行う場合もあります。
複雑な区分ではありますが、間違えることのないよう、しっかりと把握しておきましょう。
タイル工事レンガ工事ブロック工事の建設業許可を取得するための要件6つ
タイル工事レンガ工事ブロック工事を施工するにあたり、建設業許可が必要となる工事が出てきます。
建設業許可が必要となる工事とは、建築一式工事(税込み1500万円以上の工事、又は延べ面積150㎡以上の木造住宅工事)とその他の工事(税込み500万円以上)を指します。
この「建設業許可」は、「必要だから取得する」という面もありますが、取得すると大きなメリットも付いてくるという側面もあります。
許可が下りれば、社会的に信用できるという証明になるため、依頼者に安心感を与えたり、銀行からの融資を受けやすくなったりします。
また、建設業許可がないと下請けとしての仕事を貰えない傾向があるので、取得しておいた方が良いと言えます。
この建設業許可を取得するには6つの要件に該当することが必要です。ここからはその要件をについて詳しく見て行きましょう。
1:経営業務の管理責任者がいること
法人では役員の1人、個人では事業主本人もしくは支配人が経営業務の管理責任者になれますが、経営業務の管理責任者になるためには、4つの条件を満たしていることが必須条件です。
1つ目は、「タイル工事レンガ工事ブロック工事業を営む会社の役員として5年以上の経営経験があること」、2つ目は「タイル工事レンガ工事ブロック工事業を個人事業主もしくは支配人として5年以上経営した経験があること」です。
3つ目は、「タイル工事レンガ工事ブロック工事業以外の業種を営む会社の役員として6年以上の経営経験があること」、そして4つ目は「タイル工事レンガ工事ブロック工事業以外の業種を個人事業主もしくは支配人として6年以上経営した経験があること」となります。
そして、これらを証明できる書類を揃えられるかがポイントになります。
そのため、ハードルが高く書類を集めるのも大変ですが、これらを乗り越えた者が経営業務の管理責任者になれるということです。
2:財産的基礎を有していること
財産的基礎は、一般建設業と特定建設業のどちらかによって必要な要件が違います。
特定建設業は元請け業者、一般建設業はそれ以外の業者にあたります。
ここでは、一般建設業を見て行きます。
一般建設業の場合、自己資本(純資産合計)が500万円以上あること、もしくは500万円以上の資金調達能力があることの2つの内どちらかに該当することが必要です。
なお、資金調達能力は「500万円以上の金融機関の残高証明書」で証明します。
3:専任技術者がいること
専任技術者は依頼者と技術的な内容の交渉を行い、工事の見積書を作成・契約をします。
技術者としての裏付けを持って依頼者との契約に関する交渉を行うことが専任技術者の主な仕事です。
専任技術者もまた、一般建設業と特定建設業で必要な条件が違っています。
ここでも、一般建設業の専任技術者の要件をメインに説明していきます。
一般建設業における専任技術者に求められる要件は、資格の保有者であることと、高校もしくは大学卒業後における実務経験にあります。
資格保有者
・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士(仕上げ)
・2級建築施工管理技士(躯体)
・1級建築士
・2級建築士
・技能検定
1級タイル張り・タイル張り工
2級タイル張り・タイル張り工と実務経験が3年以上必要
1級ブロック建築・ブロック建築工・コンクリート積みブロック施工
2級ブロック建築・ブロック建築工・コンクリート積みブロック施工と実務経験が3年以上必要
1級石工・石材施工・石積み
2級石工・石材施工・石積みと実務経験が3年以上必要
土木工学、建築学などの学科を卒業した後に定められた実務経験がある
- 大学を卒業後、タイル・レンガ・ブロック工事に関する3年以上の実務経験
- 高校を卒業後、タイル・レンガ・ブロック工事に関する5年以上の実務経験
タイル・レンガ・ブロック工事に関する10年以上の実務経験者がある
タイル・レンガ・ブロック工事は主に以下のような工事が該当するとされています
- レンガ積み工事
- レンガ張り工事
- コンクリートブロック積み工事
- タイル張り工事
上記の3つのうちいずれかに該当する必要があります。
4:雇用保険と社会保険に加入している必要がある
社会保険や雇用保険に加入している必要があるということも要件の1つです。
特に社会保険の加入については、2020年10月の建設業法の改正から義務化されています。
これでは未加入者は仕事にならないと感じられるでしょうが、この改正には技能労働者の処遇の向上や人材確保、公平な競争環境の構築等の目的があります。
建設業界は、あまり良くない労働環境が続いてきたために、若い人が少なく、技術を引き継ぐ人材が減ってきているのが実情です。
そこで、環境を改善して若い技術者をつくりだしていくために、社会保険等の加入を必要とするようになりました。
つまり、建設業許可を取得することは、保険の加入をしており、若い人材確保のための環境を整えているというアピールに繋がります。
出典:令和2年 10 月 1 日付建設業法改正に伴う「適切な社会保険への加入」について|東京都都市整備局
5:誠実性があること
要件の1つとして、誠実性があります。
この誠実性は、建設業の事業者や経営者に対して求められるものです。
契約から工事完成までの取引の中で、不正を行う者や不誠実な者がいると信頼することはできません。
そのため、不正を行うような者たちを取り除く目的で、誠実性という要件が設けられています。
なお、誠実性がないことの基準には、不正行為(詐欺や脅迫等の違法行為)や不誠実な行為(工事内容や工期等に対する契約違反)があります。
6:欠格要件に該当していない
欠格要件は4つあり、これらに該当すると建設業許可の取得はできません。
1つ目は「成年被後見人もしくは被保佐人、または破産者で復権を得ない人」、2つ目は「不正に許可を受けたこと、または営業停止処分に違反したことにより許可取消後5年を経過しない者」です。
3つ目は「禁錮以上の刑または建設業法の法令違反で罰金刑以上に処せられて5年を経過しない者」、4つ目は「暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者」となります。
この欠格要件の対象者は、法人の役員や個人事業主もしくは支配人、5%以上の持分を持つ株主等です。
出典:欠格要件|国土交通省
必要な要件を事前に確認しよう
専任技術者の要件は、許可を得たい建設業によって異なります。
施工管理技士などは事前に確認しておきましょう。
よく使われる用語3つ
タイル工事レンガ工事ブロック工事において、よく使われる用語があります。
実は、この記事の前半にも出てきていますが、「サイディング工事」や「築炉工事」、「プレキャストコンクリート」がよく使われる用語にあたります。
これらの用語は、抽象的にイメージできても、分かるように説明するとなると少々手こずる言葉でもあります。
ここでは、「サイディング工事」と「築炉工事」、そして「プレキャストコンクリート」について詳しく見て行きましょう。
1:サイディング工事について
まず、サイディングとは外壁に使う板状の素材のことです。窯業系・金属系・木質系・樹脂系の4種類があります。
壁の面積に合わせてカット・貼り付けを行いますが、このサイディングは板の貼り合わせでも雨漏りや剥離を防止できる効果を持っています。
また、20年以上の耐用年数や安い工事費用、豊富な種類・デザインという特徴から、より多くの住宅に使われています。
このサイディングの主な工事方法は2種類で、「張り替え」と「重ね張り」です。
元々の外壁を剥がしてサイディングを貼るのは「張り替え」で、元々の外壁の上からサイディングを貼り付けるのが「重ね張り」になります。
元々の外壁を剥がさない重ね張りは、張り替えより費用を安くできる点がメリットになります。
2:築炉工事について
築炉工事とは、金属やガラスを加工する時に溶かしたり、燃料を燃焼させたりする炉を設置する工事のことです。
清掃工場の焼却炉や脱臭炉、製鉄所の溶解炉、身近なもので言うならば陶芸窯やピザの石窯といったものがあり、これらを耐火レンガや耐火キャスタブル等でつくりあげます。
熱の保存もしくは遮断のために、耐火物のライニング施行を行うことで、周囲が熱くならず、炉の中でのみ熱を与えることができます。
3:プレキャストコンクリートについて
プレキャストコンクリートは工法の1つで、工場でコンクリート板を作成し、工事現場に運んでから組み立てるというものです。
このプレキャストコンクリート工法(PC工法)は、計画的な生産ができるので納期を管理しやすいことや、工場で生産されるので高品質で安定していることがメリットになっています。
デメリットは、運送費や仮設工事費がかかることや、早期の段階で綿密な計画が必要になる等といったことです。
施工方法は途中で変更できないので、しっかり検討してから取り入れる必要があります。
タイル工事レンガ工事ブロック工事の建設業許可を取得しよう
本記事で紹介したように、タイル工事レンガ工事ブロック工事には、様々な種類があり、業務区分を間違えやすいものもあります。
それらをしっかり確認することは大切で、その様々な工事を行うためには「建設業許可」が必要であるということはご理解いただけたでしょうか。
建設業許可は、取得するまでの過程が大変ですが、取得した後は社会的信用の証明になります。
信頼性があれば、依頼者が増えたり、下請けの仕事を貰いやすくなったりという効果が期待できるでしょう。
タイル工事レンガ工事ブロック工事を行うのであれば、ぜひ建設業許可を取得しておきましょう。
関連記事:
【施工管理に携わる会社が覚えておきたい業種別許可制】建設業許可の要件:内装仕上工事業編
【施工管理に携わる会社が覚えておきたい業種別許可制】建設業許可の要件:土木一式工事業編
【施工管理に携わる会社が覚えておきたい業種別許可制】建設業許可の要件:水道施設工事業編
当サイトの記事は基本的には信頼性に足る情報源(公共機関や企業サイト、または専門家によるもの等)をもとに執筆しており、情報の正確性・信頼性・安全性の担保に努めていますが、記事によっては最新の情報でない場合や情報の出典元表記や正確性が充分でない場合があります。予めご了承ください。
おすすめ求人
編集部
建設業界の人材採用・転職サービスを提供する株式会社夢真の編集部です。
建設技術者派遣事業歴は30年以上、当社運営のする求人サイト「施工管理求人サーチ」の求人数は約6,000件!
このコラムでは上記の実績と知見を活かし、建設業界で働く方の転職に役立つ情報を配信しています。
株式会社夢真 コーポレートサイト