単管足場の構造とは?|主要資材4選や単管足場以外の足場の種類も紹介
こちらの記事では、単管足場の構造についてご紹介いたします。
目次
単管足場とは
「単管足場」とは、鋼管で作られた単管パイプやクランプ(金具)などの基本部材を組み立てて作る足場のことです。
単管パイプとクランプという2つの部品を軸にして、足場の形状を柔軟に変化させることが可能なため、狭い所でも足場を組み立てることができます。
基本的に、小規模な工事や狭いビルの間での作業のための足場や低層建築物の外壁塗装のための足場として使用されます。
また使用する主な資材が単管パイプとクランプなので、ホームセンターなので簡単に手に入ります。
そして組み立ても非常に簡単で、DIYなどでもよく利用されることがあります。
簡単に組み立てられ、狭い場所でも組み立て可能などのメリットもありますが、一方で強度があまり高くないというデメリットも存在します。
そのため「くさび緊結式足場」や「枠組足場」など他の足場と比較すると、強度や安全面については弱い部分があり、高層建築物の工事には適していません。
単管足場における主要資材4選
建築現場において単管足場を組み立てる際、単管パイプと呼ばれる銅管パイプやクランプと呼ばれる緊結金具を中心に、複数の資材を使用し組み合わせて構築します。
これらの資材は足場の組み立てが比較的自由に行えるため、狭いスペースでの足場や小規模建築の現場で、広く使われています。
ここでは単管足場における4つの主要資材である「単管ジョイント」、「クランプ」、「単管パイプ」、「固定ベース」について説明します。
単管足場における主要資材1:単管ジョイント
単管ジョイントとは、単管パイプと単管パイプを接合する際に使用する、「ジョイント」と呼ばれる接合金具のことです。
基本的には単管パイプの繋ぎ部分やコーナー部分をきれいに見せるためのもので、繋ぎの強度を高めるためのものではありません。
したがって、足場としての使用は減少してきています。
また、単管ジョイントは、単管足場以外に「フェンス」、「テーブル」、「作業台」、「小屋」、「ビニールハウス」などの設営に、幅広く使用されています。
ジョイントは接合場所によって種類が異なり、「エンド取り付け金具」「コーナーL継ぎ金具」「コーナーY継ぎ金具」「パイプT継ぎ」「パイプX継ぎ」「パイプX止め」「パイプX通し」などがあります。
単管足場における主要資材2:クランプ
クランプ(単管クランプ)とは、単管パイプと単管パイプを繋ぎとめる緊結金具のことです。
単管クランプは単管パイプを交差に組んだり並行して固定するなど、使い方次第で様々な形に対応します。
クランプの種類には、「直交型」、「自在型」、「連型」、「垂木止め」、「板止め」などがあり、これらを駆使することで単管パイプを様々な形に固定することができます。
さらに、ジョイントに比べ、クランプは高い強度で固定することが可能です。
ジョイントとクランプは種類が豊富なので用途に合わせて選びましょう。
単管足場における主要資材3:単管パイプ
単管パイプとは、直径48.6mmのパイプ状の銅管のことです。
建築現場で作業する際の足場の資材として使用され、「単管」と略されることもあります。
長さは1m~4mが主流で、直径規格は「JIS G 3444」によって48.6mmと規定されていますが、パイプの厚さには1.8mmと2.4mmがあります。
1.8mmのパイプは軽量かつ強度が高いという特徴があり、2.4mmのパイプは1.8mmに比べ、安価に購入することができますが、やや重量が増します。
どちらも外径の規格は同じなので、厚みは用途によって選択することになるでしょう。
単管足場における主要資材4:固定ベース
固定ベースとは、クランプの種類の一つで、単管パイプを地面に固定するための金具です。
「土台ベース」とも呼ばれ、単管パイプを独立して立たせることができ、足場枠を組み上げる際に必要不可欠な基礎部分となります。
また、固定ベースは単管パイプがピッタリとはまる構造になっているため、固定ベースを地面に固定すれば、単管パイプを容易に自立させることが可能です。
単管パイプには「ピン付き」と「ピン無し」があり、固定ベースには「ピン付き」を使用しますが、固定ベースには溝があり、ピン付きの単管パイプをはめ込み回転させることにより固定できます。
単管足場の構造
「単管足場」の基本構造部材は、固定ベース・単管パイプ・クランプ・単管ブランケット・足場板・ジョイントです。
主な資材は単管パイプとクランプで、ホームセンターなどで手に入りやすい部材なので、専門家でなくても簡単に組み立てることができます。
構造は、単管パイプという鉄パイプにクランプをかみ合わせてボルトを締めて接合する造りになっています。
また単管足場は複数の種類に分かれています。
例えば足場を設置する場所が極端に狭い場合、一列の単管建地に布パイプを2本並べて取り付けて床材とする単管抱き足場が用いられます。
他には、一列の単管建地に伸縮ブランケットを取り付け、足場板を敷き床材として単管パイプで手摺などを設置した単管ブランケット足場などもあります。
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単管足場の構造1:ブラケット一側足場
ブラケットとは、建築用語で「持送り」とも言われ、壁や柱、単管などに取り付けられ、「庇(ひさし)」「梁(はり)」「棚」「床」などの突出した部分を支えるための構造部材です。
単管足場におけるブラケットは金属製が使用され、重量に耐え得る床を設置できるようにします。
ブラケット一側足場は、一側足場の片側に「ブラケット金具」を取り付け、「踏板」と呼ばれる作業床を設置する方法です。
単管抱き足場に比べ安定性を高めた構造になります。
単管足場の構造2:一側足場
一側足場(ひとかわあしば)とは、建築現場の中での足場の構築方法の1つです。
「いっそくあしば」と読まれる場合もありますが、「ひとかわあしば」が正式な読み方です。
枠組足場や二側足場を組み立てることができない狭小地で使用される、「一列建地」の構造になっています。
例えば、地面から垂直方向に単管パイプを1本ずつ立てていき、それを2本の単管パイプで挟むように水平に設置する「単管抱き足場」は極端に狭い場所に設置されます。
一側足場は狭い場所にも設置できるという利点がありますが、安全面に不安を抱えるといったリスクもあります。
なお、一側足場はほとんどの場合、建地の片側にブラケットを取り付け、その上に踏板を敷き詰めた「ブラケット一側足場」が採用されるため、一側足場と言えばこのブラケット一側足場のことを指します。
単管足場の構造3:二側足場
二側足場(ふたかわあしば)とは、地面から垂直方向に単管パイプを2本ずつ立てていき、その2本のパイプにクランプなどを使って、単管パイプを水平に取り付けていきます。
その上に踏板を渡して、十分な作業床を確保できる二列建地の足場が二側足場です。
二側足場は一側足場よりも安定感のある作業床を設置することができますが、設置には余裕のある敷地面積を必要とするため、狭いスペースに二側足場は不向きと言えます。
また、二側足場は一側足場に比べて、広いスペースが使用できるため、安定が良く、その分高く組むことができます。
なお、一側足場は15mまで、二側足場は31mまで組むことが可能です。
単管足場以外の足場の種類
足場とは、建築現場において、高所作業時に作業員の足掛かりとして仮設される構造物です。
足場は大きく分けて「組立足場」と「吊足場」の2種類があり、主に使用される組立足場には「単管足場」「枠組足場」「くさび緊結式足場」の3つです。
こういった足場の構造は建築様式や周辺環境、高層建築など、それぞれの設置状況に応じて使い分けられます。
ここでは単管足場以外の組立足場である「枠組み足場」と「くさび緊結式足場」について説明します。
枠組足場
枠組足場は「ビティ足場」とも呼ばれ、鋼管を門型に溶接された建枠に、ジャッキベース、筋交い、鋼製布板などの、資材を使って組みあげた仮設足場のことで、主に高層建築の足場として使用されます。
枠組足場に使用する部材は上記の4つ以外にも、種類やサイズの数が多く、組み立てには知識が必要です。
各部材の強度は高く耐久性に優れており、単管足場に比べ安全なものとなります。
しかし、単管足場のように狭小地の使用には向かず、複雑な形状の建築物の場合、枠組足場は組み立てに時間がかかります。
また、高層建築における枠組足場は、あらかじめ組み立てられた枠組みをクレーンで持ち上げて組み立てるので、クレーンの使用が可能な敷地面積での作業環境が必要です。
これによって地上45m(14階建て~15階建て相当)までの建物に対応できます。
くさび緊結式足場
くさび緊結式足場とは、一定の間隔に緊結部を備えた鋼管を建地とし、「手すり」や「筋交い」などを「くさび」で支柱の緊結部に緊結して組み立てる足場のことで、「ビケ足場」とも呼ばれています。
くさび緊結式足場は、ハンマー1本あれば簡単に組み立て、解体ができ、作業時間が短縮できることや、亜鉛メッキで処理されているため、錆に強く耐久力があるなどの特徴があります。
以前は木造家屋など、低層住宅工事の足場として広く使用されていましたが、現在は中層建築工事用、または高層建築物などの外壁塗装の塗り替えや、短期間の補修工事に使用されており、主要部材は、ジャッキ、支柱、踏板、ブラケット、筋交い、鋼製階段、手すりなどです。
単管足場の特徴を学ぼう
今回は、「単管足場」の特徴や構造を解説しました。
単管足場は、くさび緊結式足場・枠組足場とともに代表的な足場として、近年の建築工事にて使用されています。
今回解説したように、単管足場は、狭い場所でも組み立て可能なことや、資材が手に入りやすく組み立ても簡単であるというようなメリットがある一方、他の足場に比べて強度の面や安全面では劣っています。
構造や基本構造部材の理解だけでなく、その長所や短所もしっかりと頭に入れておくようにしましょう。
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