【施工管理技士が覚えて置くべき杭工事の知識】2種類の杭工事の流れ
今回は、建築物を支える役割を担う杭を造る工程「杭工事」について解説します。
建物の土台づくりとして重要な役割を持つ杭工事には、「場所打ちコンクリート杭工事」と「既成コンクリート杭工事」の2つの工法が存在します。
施工管理技士としては、この2つの工法の違いをしっかりと把握しておくことが重要です。
この記事を通じて、2種類の工法の特徴を覚えるようにしましょう。
場所打ちコンクリート杭工事の流れ
1つ目の杭工事の工法は、「場所打ちコンクリート杭工事」と呼ばれるものです。
この工法では、杭工事を行う現場で直接杭を造ります。
杭を造る地盤に穴を開け、そこに生コンクリートを流し込んで固めることで杭にするのです。
このように工事現場で穴を開けて杭を作成するので、杭の長さに制約が少なく、70メートルほどの長大なものを造ることも可能です。
ちなみに場所打ちコンクリート杭工事には、細かく分けると「アースドリル工法」、「オールケーシング工法」、「深礎工法」の3つの工法が存在します。
ここではアースドリル工法を例にとって、場所打ちコンクリート工事の流れを見ていきましょう。
①地盤に穴を開け、崩れないように表層ケーシングを設置する。
②地盤に開けた穴に安定液を注入する。
③地盤深くまで掘削したら、穴の中に円筒の形をした格子状の鉄かごを設置する。
④穴に生コンクリートを流し込み、固まるまで待ったら完成。
以上が、アースドリル工法での場所打ちコンクリート基礎工事の基本的な作業工程になります。
既製コンクリート杭工事の流れ
2つ目の杭工事の工法は、「既成コンクリート杭工事」と呼ばれるタイプのものです。
こちらの工法では、先程の「場所打ちコンクリート杭」とは対象的に工場などで予め製造された既成の杭を利用して工事を行います。
事前に造られている杭を現場に運び、それを打ち込むため、設置できる杭の長さなどには制限があります。
この工事において、既成の杭を地中に設置する方法は、主に2つ存在します。
それは、大型ハンマーを用いた「打ち込み工法」と穴を掘ってから埋める「埋込み工法」です。
前者はハンマーで打ち込む際に大きな騒音や振動が発生するため、近年ではあまり採用されなくなっています。
続いて、埋込み工法での基本的な作業の流れを確認していきましょう。
①支持地盤まで掘削する。
②穴にセメントミルクを流し込み、既成コンクリート杭を挿入する。
③溶接やボルトなどで継杭する。
④杭を回転させて支持地盤に押し込み、セメントミルクで固める。
以上が基本的な工事の流れになります。
2種類の杭工事の違いを整理しよう
今回は、2つの杭工事の方法を紹介しました。
既成の杭を用いるか現場で杭を造り出すかで、工事の流れは大きく変わります。
施工管理技士の皆さんは、それぞれの工事の特徴を覚えて、適切な使い分けができるようになりましょう。
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