パーセントインピーダンスとは?計算方法や使うメリットなどを多数解説
目次
(%Z)パーセントインピーダンスとは
パーセントインピーダンスとは、変圧器などの特性を表す数値の1つです。変圧器に定格電流を流している時に、コイルに電流が流れることによって電圧降下を起こします。この電圧降下と定格電圧の比を百分率(%)で表したものです。
パーセントインピーダンスは変圧器以外のシミュレーションにも使われることがあり、電圧や電流が異なっていても比較することができます。呼び方として百分率インピーダンス、短絡インピーダンスと呼ばれることもあります。
インピーダンスとは
インピーダンスとは、交流回路の電気抵抗の値のことで略記号はZ、単位はΩ(オーム)で表します。
交流回路において電流の流れを妨げる、電流の流れにくさを表す量で、2端子間の電圧の電流に対する比のことを言います。
ある電気回路からの出力と次の電気回路の入力を接続する時、2つのインピーダンスを一致させることが原則であり、一致した時に効率よくエネルギーの伝達ができます。
パーセントインピーダンスの考え方
パーセントインピーダンスの考え方として、パーセントインピーダンス方式があります。これは、基準電圧及び基準kVAに対するパーセントインピーダンスと基準電流とで短絡電流を算定する方法です。この方式の考え方を説明します。
1.時定数を考慮することなく、発電機の交流分の減衰はしないものとします。すなわち短絡インピーダンスは初期過渡以後不変とみなします。
2.発電機の負荷時と無負荷時との区分はしません。
3.発電機、電動機の直・並列インピーダンスを含む全合成インピーダンスにより計算します。
4.母線から短絡点までの給電回路のインピーダンスは、短絡点から見た電源側回路網の全合成インピーダンスとして計算します。
5.非対称最大尖頭値は、対称実効値と直流分として合成インピーダンスの回路力率から、それによって定まる非対称係数を乗じて算出します。
6.電動機については、平均的な一定倍数を乗じます。
パーセントインピーダンスのメリット3選
パーセントインピーダンスはメリットのある計算方法です。
通常の回路計算のように電圧V、電流A、抵抗Ω、電力VAを単位そのままで計算を行うと、複雑な計算式が必要になって手間がかかってしまうのと、複雑になればなるほど間違ってしまうリスクも高くなります。せっかく計算したにも関わらず間違っていては意味がありません。
そこでパーセントインピーダンスのメリットを3つにまとめたので、わかりやすく説明していきます。
1:間違いに気づきやすい
計算結果の桁を間違えた時に気づきやすくなります。
例としては、基準電圧を200Vと定めたとき180Vの電圧は、単位法では180/200=0.9と表記しますが、パーセントインピーダンスでは180/200・100=90%と表記します。
このようにパーセントで表すことで、桁を間違えていた場合にいち早く気づくことができます。
2:計算が速い
2つ目は、計算の手間を大幅に省くことができるということです。
オーム法で計算していくと、変圧器が増えれば増えるほど計算の手間が大きくなっていきます。さらに送電線や配電線にもインピーダンスは存在しているので、電圧降下も計算しなければなりません。
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しかし、パーセントインピーダンスであれば理想変圧器の巻数比が1:1であると計算できるため、計算が非常に簡略化することができるようになり、計算ミスも少なくできるでしょう。
3:変圧器が増えても計算しやすい
理想変圧器の巻き数比が1:1で計算できるようになるということは、変圧器がないものとして考えることができるようになります。つまり変圧器が増えても計算がしやすいということになります。
手間のかかるインピーダンスの変換作業から解放されるということです。
オーム法が手間な理由
パーセントインピーダンスのメリットから考える、オーム法が手間になってしまう理由としては、変圧器があることでインピーダンスの大きさが変わって見えてしまうことが挙げられます。
実際の電力系統では複数代の変圧器が存在していますので、変圧器ごとにインピーダンスの値を変換するというのは手間がかかる作業になってしまうでしょう。この手間を解決してくれる計算方法がパーセントインピーダンスなのです。
パーセントインピーダンスの計算方法
今まで説明してきましたパーセントインピーダンスの考え方から、定格相電圧(V)短絡電流(A)インピーダンス(Ω)を使用した実際の式を用いて説明していきます。
この計算方法を覚えることで、電力系統の短絡電流の求め方や配電線の電圧降下を求める際に非常に役立ちます。
難しいと感じるかもしれませんが、定義、公式を知ることで、この後の例題にもチャレンジできるようになるでしょう。ぜひ見てみてください。
短絡電流を求める場合
短絡電流Is(A)は、定格相電圧En(V)を短絡点から見た系統の合成インピーダンスZ(Ω)で割り算することで求められます。
Is=En/Z(A)これをパーセントインピーダンスの式に代入するために変形させると、Z/En=1/Isとなります。
%Z=In/Is・100%このように、パーセントインピーダンスは短絡電流と定格電流の比で表すことができ、この式をさらに変形させると以下の式となります。
Is=In・100/%Z(A)これにより、短絡電流は定格電流をパーセントインピーダンスで割ることによって求めることができます。
配電線の電圧降下を求める場合
配電線路の計算をする時に、電圧効降下を考える必要があります。
100Vの電源電圧と100Ωの抵抗(負荷)があった場合、100Vの電圧がかかるとなりますが、この考え方の根拠になるのは、配電線の抵抗がゼロであると考えられているためです。
ですが配電線に抵抗があると考えた時には分圧されるため抵抗(負荷)にかかる電圧は100V以下となります。
配電線の電圧降下を求める時の式は、%Z=In・Z/En・100(%)このようになり、回路に定格電流In(A)が流れているときにインピーダンスZ(Ω)で起こる電圧降下InZ(V)と、定格相電圧En(V)の比を百分率(%)で表すことができます。
パーセントインピーダンスの計算方法を理解しよう!
パーセントインピーダンスが一体どのことを言うのか、考え方や計算方法について説明してきましたが、普段は使う機会が少ない方が多いでしょう。しかし一度理解しておくことで、いざ使う機会があったときに役立てることができます。
メリットなども生かして、正確な数値が必要な電気回路の計算に活用してみましょう。
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