仮設工事とは?仮設工事の主な項目13個と仮設工事をする際の注意点を解説

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仮設工事とは?
仮設工事とは、各種現場で工事を行うために必要な設備などで、工事期間終了後に撤去されます。
新築やリフォームの内装や塗装、解体工事などで設置されます。施工計画書に施工工程や工法、安全衛生と共に仮設工事についても記載します。
仮設工事は英語で「Temporary works」で、「一時的な作品」という意味です。見積書には仮設工事費や安全対策費として記載します。
仮設工事の種類2つ
仮設工事には直接仮設と共通仮設の2種類あります。
直接工事に必要な設備や作業を直接仮設工事、工事を行うためにどこの現場でも必要な設備を共通仮設工事と呼びます。
仮設工事には土木工事で行われる工事別仮設費もあります。土砂の崩落防止の矢板を使用した山留(やまどめ)や地下水より低い地盤を掘削する際の湧水を排出する水替えなどです。
直接仮設
直接仮設工事とは、仮設工事の中で建設作業を行うために直接必要な仮設設備や作業を指します。
直接仮設には、図面で表現しにくいデザインのために現寸大の型板や定規などを作成する現寸作業があります。足場や桟橋の設置、作業中及び完成後の屋内整理清掃費も直接仮設です。
労働安全衛生法では労働災害防止を目指し、作業中の転落防止など安全対策を定めています。そのための安全設備費も直接仮設で経理処理します。
共通仮設
共通仮設工事は、工事を行うために必要な設備です。
現場事務所や仮設トイレなどを指します。工事を始めるまでの準備費用や試験調査費、現場の警備費用も共通仮設工事です。
養生は工事する建物に対して行うものは直接仮設、隣接する建物に対する養生は共通仮設で処理することもあります。工事を円滑に進めるためには近隣住民や居住者への気配りが重要です。各戸配布のお知らせなども共通仮設工事費用に該当します。
仮設工事の主な項目13個
仮設工事の主な項目は、直接仮設の足場や仮囲い、共通仮設の電気や水道、現場事務所などです。
工事を行うための養生や墨出しは、工事会社の経理は消耗品に仕訳します。レンタル物件はレンタル費として計上します。廃材処理や運搬費、警備費用が外注の場合は、外注費用として分類します。依頼する側は、本体価格に含まれていない場合もあるので内訳を確認します。
仮設工事のそれぞれの項目を紹介します。
仮設工事の項目1:水盛・遣り方
水盛・遣り方、地縄張りも含めた準備工事は、直接仮設工事です。
地縄張りは建設予定部分の建物の外周を、黄色など目立つ糸で囲い、発注者と位置確認をします。水盛(みずもり)は水平の印付け、遣り方(やりかた)は実際の建物の外側を杭と板で囲います。
水盛・遣り方は土木工事では丁張り(ちょうはり)と呼ばれ、建物の正確な位置や高さを表示します。測量機器のなかった時代から行われてきた重要な作業です。
仮設工事の項目2:仮設トイレ
仮設トイレは比較的小規模な工事も設置する共通仮設です。
利用時にお互い気遣いするので、リフォームの際も、発注者のトイレを借りません。近くの公共トイレを借りる方法もありますが、作業効率が低下します。そのため、作業員が安心して作業できる環境づくりの一環として設置します。
レンタルの仮設トイレは設置と撤去、維持費も込みの価格です。設置する際は、向きや場所など隣接地にも配慮します。
仮設工事の項目3:仮設電気
仮設電気は、近くの電柱から仮の電柱まで引き込むか、発電機で対応します。
複数の電動工具を使用すると、一般家庭では容量不足になるので仮設電気設備を準備します。延長コードなど配線も作業員の思い通りにでき、気兼ねなく作業できます。
電気がまだ来ていない場合や、電柱が遠い場合は発電機を使用します。現場の状況に合わせてレンタルすると、設置や撤去も業者任せです。
仮設工事の項目4:仮設水道
仮設水道は建築の確認通知書が届いたら、早めに工業用水道を申請して設置します。
工事現場は想像以上に水道を使用します。仮設の流し台も準備し、排水管も設置します。水道が未整備の現場は、施工会社と水道工事業者と相談して設置方法を検討します。
電気や水道を仮設で設置する理由は、料金の請求を施工業者が負担するためです。発注者の負担を軽減し、利用者を明確にする意味もあります。
仮設工事の項目5:現場事務所
現場事務所や作業員の休憩所は、現場敷地内などに設置するか、近くの賃貸物件を借ります。
現場事務所を建築する場合は、建築基準法に基づき仮設構築物として確認申請を行います。多くの制約があり、できるだけ賃貸物件を探します。現場事務所の備品はレンタルなどで調達し、入り口付近の工事用掲示版なども取り付けます。
作業員や工事関係車両の駐車場も合わせて確保します。
仮設工事の項目6:足場・ゴンドラ
外壁や屋根の工事の他、注文住宅の現場も足場を使用します。
足場は単管足場や枠組足場に、落下事故防止のため手すりを設置します。マンションなどの外壁工事は、仮設ゴンドラを利用する場合もあります。足場やゴンドラを設置する場合は、労働安全衛生法に基づき事前に「建設工事計画届」を労働基準監督署に提出します。
内部足場は移動可能なローリングタワーなど、状況に合わせて使用します。
丸太足場
丸太足場は、間伐材を使用して鉄線で固定した足場です。
鉄パイプの足場を利用するまでは、多くの現場で丸太足場を使用していました。利用する材料も少なく簡単に組み立てられ、現在でも解体工事や一般家庭の塗装作業に使用されます。
足場は外壁部分の他、急こう配の屋根に設置する屋根足場などもあります。設置作業を行うとび工に建設業許可は不要ですが、作業主任者講習が法律で規定されています。
仮設工事の項目7:仮設ネット・仮囲い
仮設ネットと仮囲いは安全に工事を行うための仮設工事です。

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仮設ネットは材料などの落下防止など危険回避のため、足場の外側に設置します。仮囲いは現場への関係者以外の出入りを防ぐ防犯や事故防止と、騒音や粉じんの低減、景観を保つ目的です。
仮囲いにフェンスやフラットパネルを使用して工事関係の掲示を行います。仮囲いは建築基準法施行令で規定された仮設工事です。
仮設工事の項目8:養生
新築の場合は、仕上げ材の影響で汚れやダメージを受けないように保護する目的で設置します。
完成前の搬入作業は、共用部分を保護するため、ボードやシートを取り付けます。解体作業時は、足場の外側に防音シートを取り付け、作業中の埃や粉じんの飛散を抑えるために水を撒くのも養生です。
解体工事の防音シートは養生以外に建物の倒壊による周辺への被害を抑えるための目的もあります。
仮設工事の項目9:墨出し
墨出しとは、工事中に使用する位置や線を壁や床に表示する作業で、仮設工事では敷地の勾配の確認にも使います。
大工道具の墨ツボを使用した作業だったことがネーミングの由来です。現在では、印付け作業を指します。水平を表すものや壁や柱の中心を表すものなど様々な印があります。
墨出し作業は仮設から施工全般に行う作業で、経費は作業者の負担です。
仮設工事の項目10:廃材の処分
廃材の処分は廃棄物処理法で、請負業者が責任を持って処分することが規定されています。
建設工事で排出される端材などは、種類ごとに現場で分別して適正に処分します。解体工事も含め、発注者が費用負担します。
廃材の処分費用には運搬費用も含まれます。建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)に基づき契約書面などを作成し必要な手続きを行います。
仮設工事の項目11:整理整頓
仮設工事の整理整頓は毎日の作業と仕上げの美装工事が含まれます。
日常の整理整頓は、作業を安全に効率よく進めるために欠かせない作業です。美装工事は工事が終了して引き渡し前に行います。美装工事は竣工清掃工事として、工事期間中に付着したペンキや接着剤、養生による日焼け痕などを取り除きます。
毎日の整理整頓は業務の一部ですが、美装工事は料金が発生する作業です。
仮設工事の項目12:資材の運搬
資材の運搬費用は仮設工事に必要なものだけです。
本体の工事にかかわる部分は仮設の資材運搬費には含まれません。矢板などの重量物にクレーンを導入する場合や全体の資材量が多い場合、搬入道路が狭く人力で運ぶ距離が長い場合などは金額が増えます。
公共工事の積算基準では、共通仮設費の運搬費は直接工事費と共に純工事費として算出します。設計に基づき工法歩掛を適用します。
仮設工事の項目13:警備
工事の安全を確保するため、工事現場に設置する警備用防犯カメラは仮設工事に該当します。
工事関係者以外の立ち入り禁止の徹底や盗難防止目的の設備は仮設費に計上します。現場入口の警備員、関係車両や周辺の交通整理のための交通誘導員も仮設費として計上する場合もあります。
仮設工事の一般的な費用

仮設工事の一般的な費用は、算定方法が決まっています。
水盛・遣り方は建築面積、養生費は延べ床面積、足場は架面積に1㎡当たりの単価をかけます。仮設電気や水道、廃材処分費は一式で計上されることが一般的です。水盛・遣り方は業者によって外構工事と記載され、一式や建築費用の一定割合を算出することもあります。
見積書や請求書の金額や明細を見てわからない場合は、施工業者に質問します。
仮設工事をする際の注意点3つ
仮設工事をする際に注意することは、経理処理の勘定科目です。
本体価格と合わせて修繕費または固定資産に相当する償却資産とするかは、総工費によって決まります。負担する費用はマンションの場合、賃貸物件は管理組合の共通費として計上し、分譲物件は各住人に配賦します。
この他、見積書を見る際の留意点を紹介します。
仮設工事をする際の注意点1:傾斜地の足場は割高になる
傾斜地に建設されている建物の外壁や屋根工事などは、高低差があるので足場が割高です。
斜面を利用した掘り込み式の車庫や、敷地の入り口から高低差があって車両での搬入ができない時は、足場の運搬費がかかり単価が上がります。
伝統的な日本家屋は1階と2階に屋根があるので、ビルのような立方体の建物と比較して足場の組立にジャッキなど部材が増えて費用が増えます。
仮設工事をする際の注意点2:工事内容の確認をする
見積書の仮設工事の項目は、工事内容を確認します。
仮設工事一式の記載があった場合、明細も必要です。仮設工事の記載がない場合は、付帯工事として計上される場合もあります。金額と工事内容がわかるようにし、設計と異なる点がないかを調べます。
仮設工事も相場があります。施工面積を確認して、1㎡あたりか坪単価で調べてみましょう。
仮設工事をする際の注意点3:美装工事は別計上になる
仮設工事で行う片付けは日常業務ですが、美装工事は別計算です。
美装工事専門の業者に外注することもあります。美装工事は作業中の汚れの除去の他、排気口や換気口、床下や天井裏のゴミ処理、床のワックス掛けなどを行います。建設中のゴミが残っている場合もあり、一般家庭では処理できないものもあります。
ハウスクリーニングと記載される場合もありますが、工事の大切な仕上げです。
仮設工事の内容を把握しよう
家の工事は予算規模も大きくなるので、仮設工事も内容と金額を把握します。
仮設工事は工事前に準備し、完成後は撤去されるものです。直接工事費ではありませんが、工事には欠かせない作業工程です。見積書を確認する際の注意点は、工事の内訳と金額、相場との違いです。
納得できる仮設工事で、満足できる工事にしましょう。
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